恋人のセオリー その1

 こんにちは。
 先日、みなさまに押していただいた拍手の数が7000を超えました。
 どうもありがとうございます!! 
 本当に、いつもいつも気遣っていただいて、そのお気持ちがうれしいです。

 7千のお礼は、次点の『楽園にて』です。
 バカオロカなわたしのミスで、6千のお礼より先に公開することになると思います。(ううう、ホントにごめんなさい)
 すずまきさんのRなので、苦手な方にはごめんなさいです。
 よろしくお願いします。
 



 それで、こちらのお話ですが。
『運命のひと』のあとには『言えない理由』というお話を公開する予定だったのですが、内容的に暗いお話が続くとめげるので、間に息抜きしていただこうかと。
 
 最近書いたお話で、本編からは少しズレた話になってます。
 そのため、『男爵の華麗なる日々』(笑)というカテゴリを作ってみました。こちら、うちの薪さんのカンチガイが全開のR系ギャグになっております。
 なんですかね、暗い話を書いた後というのは、ギャグが書きたくなるんですよ。で、その後はまた痛い話が書きたくなると。その繰り返しです。
 つまり、うちのお話はギャグとSの連鎖ってことですね!(なんて邪道なSS……)
 

 すみません、どうかよしなにお願いします。






恋人のセオリー その1








 まだ科学捜査というものが存在しない時代、推理だけで犯人を追い詰める名探偵という存在が脚光を浴びていた。
 それは主に小説や映画の中のことだったが、彼らの快刀乱麻の活躍ぶりは読者の胸をスカッとさせ、現実にはありえないと解っていても手に汗を握り、狡猾な犯人と探偵の知恵比べを楽しんだものだ。
 206X年の現代においてもその人気は根強く、レンタルショップにはずらりと推理活劇のDVDが並ぶ。科学捜査をまったく無視した犯罪捜査は、専門知識を持たないものでも楽しめる、という利点もある。逆に、科学捜査に詳しい人間の目には、完全なファンタジーとして映るのだ。

 そんなわけで、ここにもコアな名探偵ファンがひとり。
 今夜の主役は灰色の脳細胞を持った小柄な紳士。英国の偉大なる女流作家が生み出した、お洒落なヒゲがチャームポイントの名探偵だ。
 秋の夜長のお供にと淹れてきたコーヒーをローテーブルの上に置いて、青木は恋人の隣に腰を降ろす。リモコンを片手に青木が来るのを待っていた恋人は、何故かさっと席を立った。
 
 菓子でも取りに行くつもりだろうか、と彼の様子を見ていると、空いている方の手でマグカップを持ち、青木の膝の上にストンと腰を降ろした。
「……あの?」
 なんだろう。
 新しい嫌がらせか?視聴のジャマをしたいのか?それとも、自分の重さで青木の足を痺れさせようという魂胆だろうか。

「何してるんですか?」
 青木が聞くと、薪はふふんと笑って、子供が新しく得た知識を母親に披露する時のような自慢げな顔つきになった。
「恋人同士ってのは、テレビを見るときはこうするもんだろ?」

 呆気に取られる青木の上で、薪はリモコンの再生ボタンを押した。
 こんな都合のいい法則をいったい誰に教わったんだろう、と考えるまでもない。40年近い人生の中で、薪がこれまでに恋人と呼んだのはたったひとり。そのひとに刷り込まれたに違いない。
 でも、薪の方からくっついてくれるのはとても嬉しいから、その間違いを正すのも惜しい。だから青木は、黙って後ろから薪を抱きしめる。百合の香がほのかに漂う首筋に鼻先を埋め、短い髪の先端がさらさらと目蓋をくすぐる感触を楽しむ。

「おまえ、それで画面が見えるのか?」
 小さな貝殻のような外耳の形に添ってくちびるを運び、耳朶を軽く挟む。くすぐったそうに肩を竦めて、薪は後ろを振り向いた。
「やめろ。集中できない」
 そんなことを言われても。
 こうやって密着していたら、自然にそうなってしまうと思うが、鈴木とは違ったのだろうか。
「ったく、おまえって」
 ムッとくちびるを尖らせていた薪の顔が、不意に驚きの表情に変わった。青木の腕を振りほどいて、跳ぶように立ち上がる。
 青木の身体の一部分の変化に目を瞠ると、薪は心底不思議そうな表情で叫んだ。
 
「なんでそんなことになってんだ!?」
 だって……薪さんとくっついてたら、自然に……。

「僕、やっぱりおまえとは付き合えないかもしれない」
「どうしてですか!?」
「だって、テレビを見るたびにそんなことになってたら、とても身体がもたない。僕はもう若くないし」
「大丈夫です、我慢しますから」
「我慢させるのもイヤなんだよな」
 どうしろというのだろう。生理現象を理性で抑え込め、というのだろうか。それとも自分と会う前には5回くらいヌイてこいと? ……例えそれが役に立たなくても、薪のからだに触れたら平静でいられる自信がない自分が悲しい。

 というか、テレビを見るときには恋人に後ろから抱きしめてもらう(あるいは抱きしめる)、という思い込みのほうが間違っているのだが。しかし、それを指摘しても多分、無駄だ。「青二才はこれだから」とか、尤もらしい顔で頷かれた挙句、鈴木とのノロケ話を聞かされるのがオチだ。その話は青木にとってとても不愉快だ。できうる限り避けたい。
「じゃあ、こうしましょう。薪さんのセオリーをちょっと曲げてもらって、テレビを見るときには手をつなぐ、ってことで。それならオレだってやばくならないし」
「手をつなぐのは眠るときだろ?」
 ……鈴木さんとは手をつないで寝てたんだ。ふうーん……。
 いや、めげない。今の恋人は自分だ。

「でも、泊まれることって滅多とないから」
 そんな理由に基づく青木の提案を、薪は軽く頭を振って受け入れてくれた。
 薪は、青木がこの部屋に泊ることを許してくれない。何か特別な日――例えば、誕生日とか記念日とか、そういうときでもないと、朝まで一緒にいさせてくれない。
 人生の中心に仕事がある薪の考え方は、プライベートは明日の職務に響かないように、というのが基本だ。よって、平日のデートは10時まで。まるで高校生だ。

 恋人として過ごすことに決めている土曜の夜も、付き合い始めの数ヶ月は翌日薪の世話をするために泊り込んでいたのだが、あの夏以来泊らせてくれなくなった。薪はその理由を、「頻繁に相手の家に泊るなんて。そんなけじめのつかない付き合いは嫌だ」とこじつけていたが。
 薪が何を心配して自分に帰れと言うのかは、ちゃんと分かっている。「タクシー代は僕が出してやるから、さっさと帰れ」という憎まれ口の裏に隠れた薪の懸念を思うと、それ以上は食い下がれない。

 夢の中まではコントロールできない。そういうことだ。

 しかし、薪に関しては独占欲の塊のような青木が、「死んだひとには勝てない」と素直に白旗を上げるとでも思ったら大間違いだ。
 それは辛い現実だが、こうして薪と過ごしている自分も確かな現実だ。夢の中でしか薪を抱けない男になんか、負けてたまるか。
 鈴木の時とは違うセオリーを、これからふたりで作って行きたい。これはその第一歩だ。

「次からはそうすることにして……すみません、今日のこれだけは、処理してもらっていいですか?」
 薪は秀麗な眉を顰めると、右手を額に当てて、これ見よがしにため息を吐いた。



 *****




 薪が鈴木に教え込まれた恋人のセオリーは、他にもたくさんある。
 20年近い年月が流れた今でも、それを細かく覚えているのは、薪が彼のことをどれだけ愛していたかの証明だ。青木にとって、その事実はとても腹立たしい。

 特に、ベッドの中のことは頭に来る。
 青木が何かするたびに、「鈴木はそんなことしなかった」「鈴木はこうだった」と言われると、ものすごく哀しくなる。もちろん、薪はいちいち鈴木の名前を冠したりはせず、一般論として言うのだが、薪の過去を知る身にはそういう風に聞こえてしまう。
 例えば、寝室以外の場所で行為に及ぼうとしたとき。体位もあまり変わったものは好まず、立位や騎馬位は断固拒否。もっと細かく言うと、前戯の際に行うあれやこれや。とにかく、薪は不平が多い。

 薪がベッドの中で発する一番多い台詞といったら、これだ。
『普通はそんなことしない』
 普通って、なんですか?
 鈴木さんとのセックスを基準にオレを否定するの、やめてもらえないですか?

 何度も口まで出かかった言葉を、青木は今日も飲み込む。飲み込んで、聞こえないフリで行為に没頭する。
 しかし、青木がいくら愛撫に熱を込めても、薪の反応は薄かった。
 嫌だとも止めろとも言わないが、薪が今夜の交歓を望んでいないことは分かる。白く浮かび上がるような肌から伝わってくるのは、諦観とため息。
 青木はまるで、人形を抱いているような気分になる。

「そんなに嫌ですか?」
 穏やかに目を閉じた薪の静かさに、青木の胸が冷たくなる。からだはこんなに熱くなっているのに、心臓だけが凍ってしまったようだ。
「薪さん、オレとこういうことするの、そんなに嫌ですか?」
 気乗りしない薪の様子が、そのまま彼の本音を現しているような気がして、青木は激しい不安に駆られる。
 薪は今は自分の恋人だけど、心の底ではまだ鈴木のことを想っているのかもしれない。自宅の机の引き出しの奥に鈴木の写真をこっそりと忍ばせていることも、それを薪が夜中に見ていることも、青木は知っている。

「そんなことないけど」
 薪は目を開けて、青木の顔を亜麻色の瞳に映した。青木の困惑が伝染したかのように、薪の穏やかだった顔に不安が浮かぶ。
 薪さんの反応が薄いのは、オレのこと好きじゃないからですか? 相手が鈴木さんなら、ちゃんと感じるんですか?
 そう言いたいのを堪えて、青木は言葉を選んだ。

「これまでオレの誘いを断ったこと、一度もないですよね。でも、年齢的なことを考えても仕事のことを考えても、薪さんだってしたくないときはあるはずでしょう? 実際、ぜんぜんダメなときだってありましたよね。
 今夜だって、本当は嫌だったんでしょう?」
「だって、恋人だから」
 恋人はベッドの誘いを断わらない、というセオリーがあったとみえる。

 薪はうつむいて、申し訳なさそうに目蓋を伏せる。弱気に眉を下げて、長い睫毛を震わせる。つややかなくちびるをきゅっと噛み、今にも泣き出しそうだ。
 ベッドの中で、恋人にこんな表情をさせてしまうなんて。青木は自分の身勝手な行動を恥じ、それを埋め合わせようとにっこり笑った。

「体調が悪いときとか、その気にならないときは、正直に言ってくれていいんですよ。オレだって、無理強いしてるみたいで嫌だし」
「そうなのか?」
 薪はぱっと顔を上げると、驚いたように青木を見た。
 青木が頷くと、幼い顔に笑顔を浮かべ、子供が母親におやつをねだるような口調で言った。

「じゃあ、3ヶ月に1ぺんくらいでいいか?」
「えっ!?」
「僕にはそれくらいが丁度いいんだ」
 3ヶ月に1ぺんて……季節ごとのタンスの整理じゃあるまいし……。
「この次は1月13日だな? 忘れないように、手帳に書いておくから」
 いや、そんな仕事の予定みたいに。
「ああ、これから夜が楽しくなるな。今までは夕方になると憂鬱でさ。そうだ、今度から土曜の夜はナイトサファリに行こう。ライオンとかトラとか、夜行性の動物が活動してるところが見られるぞ。楽しみだなっ」

 ……忘れてた。
 薪は極端に性欲が薄いのだ。きっと若い頃からこの調子だったのだろう。鈴木の作ったセオリーは、自分から求めてくれない淡白な恋人に対する苦肉の策だったに違いない。
 「じゃ、今日の分はさっさと終わらせて、映画のつづきを観よう。ショートで頼むぞ」
 本当にエッチが嫌いなんですね……。
 目を閉じて横を向く薪のきれいな顔が、憎らしくて愛しくて、青木は薪の細い首筋に、しっかりと痕が残るようなキスをした。




 教訓。
 先人の知恵に学べ、もとい、鈴木のセオリーに従え。
 青木は、自分が墓穴を掘ってしまったことを知り、昔の薪の恋人の苦労を垣間見る。
 リビングの机の奥で、鈴木の写真がニヤリと笑ったような気がした。


 (おしまい)




(2009.12)


 

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恋人のセオリー その2

 すみません、これ実は3作ありまして。
 ええ、とってもくだらないお話なんですけど、わたしはこういうグダグダな感じが大好きでして。
 R系のギャグって、癒されるなあって。
 あ、わたしだけですか? すみません。


 その2です、よろしくお願いします。
 薪さんの言動がその1と矛盾してますけど、気にしないでください。
 設定甘くてすみません。 ギャグなんで、大目に見てください。





恋人のセオリー その2







 薪さんはとても不思議な人だ。
 普段はあれだけ我が儘で自己中心的な態度を取るくせに、ベッドの中では一切の不満を口にしない。逆に、どういう風にして欲しいかも言わないから、青木は彼が何を望んでいるのかよくわからない。

 その日、後ろから重なる形で薪の中で動いていた青木は、薪の背中の筋肉が異様に強張っていることに気付いた。ぐっと歯を食いしばり、薪は声ひとつ上げないで耐えているが、それは羞恥心から快楽を抑えると言うよりは、純粋に苦痛に耐えているように感じられた。
「薪さん。もしかして、後ろからされるの、嫌ですか?」
「……正直に言うと、ちょっと」
 やっぱり。好みの体位ではなかったのか。それならそうと、早く言えばいいのに。

「なんで最初に言わないんですか?」
「だって、恋人だから」
 ベッドの中では恋人に逆らわない、というセオリーがあったらしい。

 青木にとってそれは実に都合の良い決まりだったが、このセオリーは薪の昔の恋人が作ったものだ。薪がそんな決まりに従う道理はないし、青木としても新しいセオリーは、薪と話し合ってふたりで作って行きたい。
「嫌だったら、そう言ってくれていいんですよ。なるべく薪さんのご希望に副うようにしますから」
「そうなのか!?」
 薪の驚きに満ちた顔に、青木は嫌な予感を覚える。なんだか、前にもこんなことがあったような。

「じゃあ、僕のセックスの理想を言ってもいいか?」
「理想?」
「抱き合ってキスして、さわって入れる」
 なんてつまらない……いや、シンプルなエッチだろう。

「ここにキスしたりとかは?」
「キスは首から上」
「じゃあ、ここを舐めたりとかは?」
「汚いだろ、そんなことしたら」
「体位は?」
「正常位に限る。でもって、トータルの時間は30分以内、挿入時間は5分以内で」
 時間制限まで?! てか、はやっ!!

「ああ、よかった。これからAVみたいな真似をさせられずに済むんだな。嫌でたまらなかったんだ」
 ほんっとうに、エッチが嫌いなんですね……。
「えっと、今日の分は終わったから、次の予定は4月15日だな」
 やっぱり3ヵ月後なんですね。てか、手帳に書くの、止めてもらえませんか。
 しかも、どうして印が赤十字なんですか? ボランティア?
 
「人事異動で忙しい時期だな。5月に延期してもいいか?」
 ……鈴木さん、助けてください……。
「いや、待てよ。5月は官房室の慰安旅行が……あー、もう、面倒だな。いっそ、盆と正月に限定しないか? それぞれ2回ずつで、1年のトータル数は同じってことで」
 うわああああん!!!

「青木、どうした? おなか痛いのか?」
 ベッドに突っ伏して泣きじゃくる青木の横で、薪はきょとんとした顔で首を傾げた。



 教訓。
 鈴木さんは正しいよ! 何ひとつ間違ってないよ!!


(おしまい)





(2010.1)



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恋人のセオリー その3

 こんにちは。
 くだらないお話は、これで最後です。

 えっと、わんすけさん。
 このお話、あれです。薪さんがソープ嬢になるお話です。
 わんすけさんにもらったコメに爆笑して、これ、何とかして書けないかしら、と思って書いてみました。
 なので、わんすけさんに捧げます。(^^







恋人のセオリー その3







 夏の昼下がり、青木は腕が痺れるほどの荷物を持って炎天下を歩いていた。

 休日を利用して、薪の家の近くのショッピングモールに買い物に来た。両手いっぱいの荷物は、殆どが薪のものだ。 野菜に果物、肉に魚に調味料。米やミネラルウォーターまで入っている。重いわけだ。
 薪はといえば、青木に荷物を持たせて、自分は小脇に何冊かの本を抱え、悠々と前を歩いている。青木の奴隷生活は今に始まったことではないが、こういう扱いをされると、ちょっとだけ哀しい。薪に荷物を持たせるつもりは毛頭ないが、「大丈夫か」とか「重くないか」とか、気遣うフリくらいして欲しいものだ。
 ちらりとそんなことを思っていると、薪はふと立ち止まり、振り返って青木を見た。

「青木。荷物、重くないか?」
 願望が現実になって、青木は度肝を抜かれる。
 薪はとても優れた捜査官で、これまで幾度となく事件関係者の心情をズバリと言い当ててきた。今も青木の表情や態度から、不満を読んだに違いない。
「大丈夫です、全然平気です」
「そっか」
 青木が快活に返答すると、薪は小首を傾げてにっこりと笑った。
 ああっ、相変わらず天使のように可愛らしい!

 薪のこの笑顔が拝めるなら、腕が痺れるくらいなんでもない。いっそ、薪を背負って歩いてもいい。
「じゃ、これも頼む」
「はい?」
 青木が肩から提げたエコバックの中に自分が抱えていた本の袋を入れると、身軽になった薪は、軽快に走って行ってしまった。さっさと家に帰って、涼む気なのだろう。
 また騙された、と青木が自分の単純さに目眩を感じて俯いているうちに、薪の姿は見えなくなってしまった。せめて一緒に歩いてくれたっていいのに。本当に勝手なんだから、と思いつつも、青木の頬は苦笑に緩む。先刻の薪の笑顔が効いているのだ。

「おまえ、歩くの速いな」
 青木が急ぎ足で歩いていると、後ろから声を掛けられた。自分を置いていったはずの薪の声だ。びっくりして後ろを向くと、薪が両手に百合の花を抱えて立っていた。
 ああ、そういうことか。

「いい匂いですね」
 うん、と薪は軽く頭を振って、その香りがよく解るように青木の鼻先に花束を突き出した。
「百合もいい匂いですけど。薪さんからも、とってもいい匂いがしますよ」
「そんなわけないだろ。こんなに汗かいてるのに。おまえ、一度耳鼻科に診てもらえ」
 薪からは、百合の香がする。最初は百合の移り香だと思っていたが、これはどうやら体臭らしい。普段は嗅ぎ取れないくらい薄いものだが、汗をかいたり興奮したりすると、この匂いが強くなる。

「そうですね、オレも汗だくだし。帰ったら、一緒にシャワー浴びましょうか」
 横断歩道の信号待ちで、隣にいた女子高校生たちに聞こえないよう、青木がこっそりと囁けば、薪は信号のストップランプみたいに赤くなって、百合の花びらに顔を埋めるように、こっくりと頷いた。
 ……かわいいっ。肩車して走って行きたいくらいだっ!

 信号が青に変わり、それに背中を押されるように歩き出す人波の中、周りの誰よりも急く心を抱えて、秘密の恋人たちは静かに白と黒の橋を渡っていった。




*****



 青木が先にシャワーを浴びていると、すりガラスの押し戸を開く音がした。すぐに薪が入ってくるかと思いきや、一向にその気配がない。
 不審に思って振り向けば、薪が入り口に立ったままでモジモジしている。視線を下方に泳がせ、タオルで前を隠している。

 何を躊躇っているのだろう?
 薪と一緒に風呂に入るのは、これが初めてではない。第九の慰安旅行のときも、温泉スパに行ったときも、ふたりで旅行に行ったときも、何度もふたりきりで風呂に入っているのに。

 それに、何だかやけに赤い顔をしている。昼間だから恥ずかしがっているのだろうか。
 いや、そんなはずはない。このひとはいつも、風呂から上がったら素っ裸で部屋の中を歩いている。第一、自分たちは恋人同士だ。明るいところで愛し合ったことも一度や二度ではないのだから、今更恥ずかしがることはないはずだ。
 それなのに。

「薪さん。シャワー空きましたよ。使ってください」
 青木が声を掛けると、薪はぎゅっとくちびるを引き結び、何かを決意したときの形に眉を吊り上げて、青木からシャワーを受け取った。立ったまま身体に温水を浴びると、ボディシャンプーを自分の胸で泡立てた。
 洗い場の椅子はひとつしかないので、それを薪に譲ろうと腰を浮かせた青木は、次の瞬間、心臓が口から飛び出るかと思うほどびっくりした。

 自分の背中にあてがわれた、温かくて心地よいもの。石鹸でぬるぬると滑る彼の胸は、男の欲望をたまらなく煽り立てる動き方で、押し殺された吐息と共に上下の動きを繰り返した。背後から青木の首に絡みついた細い腕は、手のひらに泡立てた石鹸を青木の胸や腹に擦り付けようと忙しく動き、恋人の前半身は青木の背中に密着して淫らに揺れた。
 これは、いわゆるソープごっこ?

 こんなことを薪の方からしてくれたら、じっとしてなんかいられない。青木は薪の腕をほどくと彼の方に向き直り、そのからだを自分の膝の上に抱え上げた。
「あっ、いやだ……」
 薪が寝室以外での行為を嫌がるのは知っているが、今日は薪から仕掛けてきたのだ。いやだ、と言うのは口先だけのことで、本当は待っているに違いない。
 それを証明するように、薪はイヤだと言いながらも青木の首や腰の辺りを手のひらで擦っている。抱きついて、胸と胸を擦り合わせ、ベッドの中でするように膝を使って上下に動いている。
 
 すごくウレシイことをしてくれているのだが、薪の顔が……なんでだろう。ものすごく困っている。自分からしてきたくせに、これはどういうことなのだろう。
「なんか、嫌がってません?」
「正直に言うと、すっごくイヤだ」
 やっぱり。薪の性格からして、絶対に好んでやるとは思わなかった。

「じゃ、どうしてこんなことを?」
「だって、恋人だから」
 風呂の中ではソープ嬢になる、というセオリーが、って、このひとに何を教えてんですか、鈴木さんっ!!!

 薪が恋愛方面に疎いのを良いことに、 自分に都合のいいことばかり教え込んで。あのプライドの高い薪にソープ嬢の真似事をさせるなんて、まったく、羨まし・・・いやいや、見下げ果てたひとだ。
 自分はそんなことはしない。薪の意志を尊重し、薪がいつも笑顔でいられるように、彼が喜ぶセオリーで、これからの未来を自分たちの色に塗り替えていくのだ。

「オレを悦ばせようとしてくれるのは、とってもうれしいですけど。無理しなくてもいいんですよ」
「本当に?」
「ええ。オレは、あなたのその気持ちだけで充分幸せです」
「そうなのか!?」
 パッと笑顔になった薪の顔つきに、青木は嫌な予感を覚える。このパターンって、前にもあったような。

「じゃあ、夏の間は半径1m以内に近付かないでくれるか?」
「はっ!?」
「この季節って、肌が汗ばんでじっとりしてるだろ? 触るのも触られるのも、気持ち悪くってさ」
 ……忘れてた。
 このひとは、こういうひとだった。お互いの汗の匂いで興奮するとか、そういう扇情的なシチュに縁のない人なのだ。

「あのう……1m以内に近づけないということは、手をつなぐのもキスも禁止ということで?」
「別に問題ないだろ? 次の赤十字の予定は11月だし」
 セックスするとき以外、さわれないってこと? てか、やっぱり3ヶ月後!? しかも、赤十字ってなに!?
 完全にボランティア活動になってるよ!!

「ああ、よかった。これで夏の間も快適に過ごせる」
 オレにとっては地獄なんですけど!
 きっと鈴木も似たようなことを言われて、せめて風呂の中くらいは薪とじゃれ合いたくて、こんな無茶苦茶なセオリーを考えたに違いない。

「よおし、これでジャンジャン出かけられるぞ。動物園に水族館に、海もいいなあ。いいよな。1m以上離れてるなら、人目を避ける必要ないもんな」
 1mも離れてたら、間にジャンジャン人が入ってくるんですけど! 人目を避けるどころか、確実にあなたを見失いそうなんですけど!
「はぐれたら困るだろうって? そんなの時間決めて、車で落ち合えばいいだろ」
 もはやそれ、デートって言いませんよね!? ただのドライブですよね!?
「そうだ、岡部も誘おう。雪子さんも。どうせなら、みんなで行った方が楽しいし」
 うええええーーーん!!

「青木、どうした? またおなか痛いのか?」
 大きなからだを丸めてしゃがみ込み、膝に顔を伏せて涙を流す青木を見て、薪は不思議そうに首を傾げた。


 教訓。
  もう二度と、鈴木さんのセオリーには逆らいません。
  悪口言ってごめんなさい、鈴木さん……。



(おしまい)







(2010.1)


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恋人のセオリー その4

 こんにちは。
 先日はヘンなお話を上げてしまって、すみませんでした~~。


 前回のSSの焦点となったイリュージョンについて、知りませんでした、とおっしゃる方がけっこういらして、でも知ってよかったのか、となると、かなり微妙でございます。 
 本当に、世の中には知らない方が幸せなことって、たくさんありますね。
 
 これも知りたくなかった……。 
 あんまりショックだったんで、SSに書いちゃいました。(←もはや、色んな感情を整理するツールと化している)
 でも、みんなは知ってるのかな、どうなのかな。


 と言うことで、
 BL界に追放されても文句は言えないSS 第2弾 でございます。 ←反省の色が見えない。


 これ、本っ当に汚い話なので、
 冒頭のごあいさつにもあります通り、BLを美しいと感じ、そこに夢を抱いてらっしゃる方は読まないでくださいねっっ! 責任、持てませんからねっ!


 内容的には、うちのふたりの決め事のひとつなので、カテゴリは『恋人のセオリー』で。
 よろしくお願いします。





恋人のセオリー その4



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恋人のセオリー その5

 祝!!!
『秘密』過去編、スタート!!



 個人的には不安もたくさんあるのですけど、(鈴木さんとか鈴木さんとか鈴木さんとか)
 新しい薪さんに会えるのは、やっぱり嬉しいです。
 それも、こんなに早く会えるなんて。 先生、長期連載終了後でお疲れでしょうに、本当にありがとうございます!
 白状しますと「過去編」とのお言葉、読書会のお愛想かと思ってました。<こらこら。
 気が向いたらね、くらいのニュアンスだと思ってたんです。 それに、描いてくれたとしても事件中心になるって話だったし、薪さんじゃない第九室長が主役になるんだと思ってた。 だってほら、薪さんが主役になったら彼の美貌に心を奪われて、読者はみんな事件なんかどうでもよくなっちゃうじゃん。←おまえだけじゃ。

 コミックスも加筆がたくさんあるみたいだし。
 10月末はお祭りですねっ!!



 で、今日のお話ですが。

 予告とも妄想とも違う話ですみません。 さらに勝手な都合で、予告の『パーティ』は次の話の後になります。
 うーんとね、クリアファイルがいけないの。 モロ「明日に向かって撃て」なんだもん。 ちょうどその話書き上がったとこだし、こっちを先に公開したくなっちゃうんじゃん、ねえ。(←誰に同意を求めているのか)
 それにしても、このファイルの青木さん、カッコいい。 薪さんじゃなくても惚れるわ。

 ということで次のお話は、法十版『明日に向かって撃て』(原題 「たとえ君が消えても」)でございます。 よろしくお願いします。


 こちらはその前座なんですけど~、
 うちの青薪さんは、片方が死んでももう片方が後を追うようなことはございません。 相手と別れたら生きられない、ということもありません。 べつに冷めてる訳じゃないと思うんですけど、あ、やっぱり冷めてるのかしら? ううーん。
 ぬるいカップルですんません。





恋人のセオリー その5





『青木。僕はもう、青木が傍にいてくれないとダメなんだ』
「薪さん……」
『青木がいないと、生きていけない』
「薪さんっ! オレもです、愛してます!」
『青木っ!』
「薪さ、痛ったいっっ!!」
 ゴイン! と言う派手な音と共に青木の後頭部を直撃したのは、あろうことかフライパン。このひと、本気でオレのことコロス気じゃ。

「なにを気色悪いことやってんだ」
 絶対零度のオーラをまとってキッチンから姿を現した青木の恋人は、冷ややかに言い放った。その出で立ちは白地に小さな野菜柄のエプロン姿で、彼の険しい表情にはまったく合っていないが、やっぱりかわいい。

「気色悪くないですよ。むしろ、これが本来の姿かと」
「いい年した大男が不気味なセリフを呟きながら自分で自分の肩を抱きしめるのが?」
 薪はローテーブルの上のリモコンを操作して、青木が見ていたコテコテの恋愛ドラマを止めると、容赦なくテレビの電源を切った。それから明らかに青木をバカにした目つきで、
「こんなドラマばっかり見てるから、脳に虫が湧くんだ」
 薪は恋愛もののドラマが苦手だ。見ていると、身体中痒くなってくるらしい。引き換え青木は、ロマンチックなラブストーリーが大好きだ。自分がドラマの主人公になって、ヒロインのセリフを薪に言ってもらえたら、と妄想するのはとても楽しい。
 青木の妄想の中の薪は恥じらいに頬を染めて青木を見つめ、亜麻色の瞳をうるうるさせながら愛の言葉をそっと囁く。青木がそれに応えて同様の言葉を返すと、感極まって青木の胸に飛び込んでくる。ふたりは熱い抱擁を交わし、それから甘いキスを――――。

「なにが『愛してます』だ。くだらない」
「他所さまの青薪は、みんなこうなんですよっ! うちは薪さんが協力してくれないから、オレがひとりでやるしかないんじゃないですか!」
 空想と掛け離れた薪の言葉に、青木は強い口調で言い返した。恋人に愛を伝える大事な言葉をくだらないなんて、いくら薪でも許せない。
「あん? 『他所さまのアオマキ』って、なんだ?」
「いや、そこは突っ込まないでください。色々あるんで」
 薪は首を傾げ、呆れ果てたというよりは困惑した口調で独り言のように呟いた。
「やるしかないって……そこまでして遂行する必要があるミッションなのか?」
 床に落ちたフライパンを拾い上げ、ちらりと青木を見る。薪の身体からケチャップの匂いがするから、きっと今日の昼食はオムライスだ。

「勿論です。だってオレたちは恋人同士で、身も心も離れられない関係でしょう?」
「ふうん。そうなんだ」
 ここでめげてはいけない。このぐらいで引いてたら、『秘密』の世界では生き残っていけない。

「恋人同士ってのは百歩譲って認めるとして」
 ちょっと待って! 譲るとこですか、そこ!!

「身も心も離れられない関係というのはどうだろう。これまでも仕事の都合で何日も会えなかったりしたけど、お互い命に別状は無いようだが?」
 そんな、冷静に分析されても……。

 折れそうになる心を必死に立て直して、青木は懸命に言葉を紡ぐ。言語能力に些かの不具合がある薪に、恋愛における特殊な比喩表現を理解させるには、根気強く説明するしかない。
「それは短い間だからですよ。これが長期に渡ったら、オレは確実に健康を害します。真面目な話、オレ、薪さんがいないと食欲がなくなるし」
「腹八分目は健康に良いそうだぞ」
 ……負けないもんっ!!

「夜は眠れないし、やる気は出ないし。でも、何日か後には薪さんに会えると思って頑張るんです。薪さんがオレの原動力なんです。それが叶わないとなれば、何もする気が起きません。離れられないってのはそういう意味です。
 だから絶対に別れられないんです。薪さんだって、そうでしょう?」
「僕は別に、おまえと別れても平気だけど」
 うわああああんっっ!!

「ひどいですよ! オレは薪さんがいなかったら生きていけないのにっ!」
 本当は分かっている、薪の人生の最優先事項は仕事だ。事件が起これば青木の恋人としての立場なんか、地平線の彼方にポイだ。今まで何度もそんな目に遭ってきたから、薪の本音は分かっている。だけどそれを彼本人の口から聞きたくはない。
 床に突っ伏してオイオイ泣き始める青木を見て、薪は肩を竦める。フライパンを右肩に担いで、冷めた口調で、
「誰かがいなきゃ生きられないなんて。それは依存症という立派な病気だ。精神科に行ったほうがいい」
「どうしてそんなに冷たいんですか?! 恋人に向かって『別れても平気だ』なんて!」
「僕はおまえに失恋したくらいで、ダメになったりしない」

 キッパリ言い切った冷酷なセリフの、『失恋』という言葉に青木の涙が止まる。
 もしも自分たちが別れるとしたら、失恋するのは自分の方だと薪は思っているのだろうか。そんなことはありえないが、言葉尻を捕らえて逆説を辿れば、薪は自分を好きだと言ってくれていることになる。
 そのことに思い至って、青木の心は地獄から天国にワープする。
 こんな方法でしか相手の気持ちを測れない恋人関係ってどうなんだろう、なんて普通の人間が考えるようなマイナス思考が欠片でもあったら、薪とは付き合えない。舞い上がりそうな心地で、遠回しな言い方ながらも愛情を表してくれた薪に笑いかける青木を哀れと捉えるかバカと見るかは個人の自由だが。

「別れたとしても、おまえは生きてるんだから。絶望したりしない」
 薪は呆れた表情を崩さずに、だが青木は彼の微細な変化を見逃さない。微かに亜麻色の瞳に浮かんだ苦味。青木は、かつて薪を襲った絶望を思う。
 薪の壮絶な過去を顧みれば、その考えは無理もない。薪には実際に、生きること自体が難しい時期があったのだ。死の誘惑と戦う日々が。自分の身体を傷つけて、ようやく正気を保っていた日常が。
 愛するひとの命を亡くすことに比べたら、恋を失くすことなんか大したことじゃない、という理屈は、青木にも納得できる。
 過去の経験が、今の薪を形作っている。そんな当たり前のことに気付いてみれば、彼の言葉は決して薄情なものではなく、深遠な意味を内包していると青木は考え、ありきたりの言葉を彼から聞きたがった自分の愚かさを罵倒したくなる。

 うなだれた青木の目の高さに合わせて薪は膝を折り、下らないことを言うなと言わんばかりの乱暴な手つきで、青木の頭髪をつかんだ。そうして髪の毛ごと年下の恋人の顔を上げさせると、
「おまえが僕から離れても、僕は死なない」
 言い切った薪の瞳には、苦悩も悲しみもなく。いっそ清冽に輝いて、青木は一瞬で彼の擒人になる。
「例えおまえが死んでも、後を追ったりしない」
 それは最初に青木が求めた言葉とは正反対のはずなのに、何故かとてもうれしくて。彼のたくましさに心の底からの喜びを感じている自分を自覚して、青木は自分が彼に与えてもらいたかった言葉を忘れそうになる。

「おまえの言葉を借りるなら、僕の命は鈴木が守ってくれた命なんだろ?」
 右手で持ったフライパンを青木の左頬の近くに構え、脅しつけるような目つきで冷笑していた薪は、一筋の怯えも含まない黒い瞳に出会って、ふっと頬を緩めた。暗い朝闇の中に最初の光が差し初めるように、瞳の色合いを温かなものに変えると、中段に構えた右手をそっと床に下ろして、
「鈴木の遺志を掬い上げて、僕に見せてくれたのもおまえだろ。だから僕は」
 そこで薪は言葉を切り、その先を続けようかどうしようか、しばらく迷う素振りを見せた。青木には薪が言いたいことは分かっていたし、薪がそれを口にしづらいことは察しが着いたが、敢えて何も言わずに薪の言葉を待った。
 やがて薪は、しっかりと青木の眼を見て口を開いた。

「僕の命は鈴木に守ってもらった命で、僕の人生はおまえがくれた人生だと思ってる。だから、自分から捨てたりしない。何があっても、絶対にしない」

 青木は息を呑んだ。声は出せなかった。薪の発言の意外性は、青木の声を失わせるに充分だった。
 青木の予想は、半分だけ当たっていた。鈴木に守られた命を粗末にはできない、そこまでは的中していたが、その先は晴天の霹靂だった。薪が自分の人生をそんなふうに捉えていたなんて、想像したこともなかった。

「悪かったな。冷たい恋人で」
 片手に青木の髪をつかみ、もう片方の手にはフライパンを持っている薪の姿は、他人から見たら言い逃れようのない恋人虐待の場面だが、そこには彼らにしか分かり得ないパルスがあって、それはひっきりなしにふたりの間を行き来している。言葉にしたくてもできない、表しきれないその想いを、曖昧な夢のように伝え合っている。
 それを言葉にすることが愚かだとは思わないし、時には必要だということも解っている。でも、いまは。

「大丈夫です、オレが今から薪さんのカラダを熱くして差し上げま、痛っ!!」
 自分を抱き寄せようとした青木の腹に鋭い蹴りを入れて床に転がすと、薪はさっさとキッチンに戻ってしまった。
「もう。乱暴なんだから」
 蹴られた腹を擦りながら青木は笑い、薪の後を追ってキッチンへ入った。



(おしまい)



(2011.1)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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