新人教育(1)

 今回のお話は、青木くんが警察官として大事なことを学ぶ、というお話です。
 原作の青木くんは、その辺、初めからよくデキてて、偉いなあ、と思いました。
 うちの青木くんは最初の頃はヘタレ設定なので、青木くんファンの方は幻滅必至です。どうか、寛大なお心でお願いします。




新人教育(1)






「見つけましたよ、この角の看板の黒い部分です」
 得意満面という顔つきで、青木が画面を指差した。
 この新人は、最近とても調子がいい。このように、小池でも気づかなかったところを指摘することもしばしばある。調子付くと怖いタイプだな、と小池は思う。

「黒い文字の上だから分かりにくいんですけど、拡大すると……ほら、血が付いてます」
「現場検証では無かったな。こんな立て看板」
「ええ。血が付いた可能性があると思って、現場からここへ持ってきたんですね。けっこう気の回る犯人ですね」
 自分の発見に興奮して饒舌になる新人に苦笑して、小池は報告書の添付ファイルのフォルダにその写真を追加した。発見者の欄に、ちゃんと青木の名前を載せる。かなり有力な手がかりだ。あとで室長のお褒めの言葉があるかもしれない。

「でも、MRIにかかればこの通り。ほんと、神様みたいなシステムですよね。何でもお見通しってやつです」
 青木はまだ喋り続けている。普段はそれほど口数の多い男ではないが、自分が一番最初に手がかりを見つけたときの高揚感は、小池にも良く分かる。こんな時にはつい、軽口を利いてしまうものだ。
「面白いですよね。MRI捜査って」
「……面白いって、おまえ」
「あ、すいません。殺人事件の捜査を面白いって言い方はないですよね」
 小池の非難するような眼に気付いたのか、素直な後輩はすぐに謝罪してくる。しかし、それほど悪いとは思っていないようで、続けて自分の意見の補足にかかる。
「でも、自分が予想したところにピタッとはまる画を見つけた時って、オレってすごいとか思っちゃうじゃないですか。なんかゾクゾクしちゃいますよね。エンドルフィン出てるぞ、みたいな。室長なんかもっとズバズバ当てちゃうから、脳内麻薬バンバン出てるんでしょうね」
「青木。言葉に気をつけろよ」
 小池の口調が厳しくなる。普段は軽い皮肉が得意な小池が、こんな風に真面目に叱ることはあまりない。

「すいません。ちょっと調子に乗りすぎました」
 今度はきちんと反省したようだ。しおらしく頭を下げる。
 青木は東大の法律学部を卒業した秀才なのだが、自分の頭の良さを鼻にかけるようなことはしない。頭の出来が良いと周りの人間がバカに思えてきて、周囲の苦言を素直に聞く心を失っていくものだが、青木はそれを失わない。エリートらしからぬ素直で可愛い後輩なのだ。あまり表立って褒めたことはないが、小池は青木のそんなところをとても高く評価している。どこかの誰かに、爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだ。
 しかし。

 小池はそのどこかの誰かに、青木のことを相談する必要性を感じている。
 このところ、青木の言動はときどき小池の理解を超えることがある。
 べつに、生意気だとか反抗的だとかいうことではない。誰よりも熱心に仕事をするし、先輩の言うことは素直に聞くし、叱られれば真面目に反省もするのだが、なんとなく根底の部分が浮ついているというか。

 警察官にとって最も大切なものを、この新人はまだ手に入れていないのではないか―――― 小池には、そう思えてならない。

 仕事熱心な後輩は、せっせと次の画の解明に取り掛かっている。眼鏡の奥の真剣な瞳は、しかしどこかしら面白がっているようで、それが小池に不安の種を植え付ける。
 後輩に対するこの疑念は自分でも不明確で、はっきりとした言葉にはできない。そんなあやふやなものがあの人間味のない室長に伝わるかどうか不明だが、とにかく報告はしておいたほうがいい。
 きっと、早いほうがいい。なんとなくそんな気がする。

 報告書のファイルと一抹の不安を抱えて、小池は室長室の扉をノックした。


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

新人教育(2)

新人教育(2)






 昨日まで降り続いた雨はようやく止んで、今日はいくらか薄日が差している。しかし梅雨時の空は不安定で、重く立ち込めた雲は、いつまた水滴を落としてくるかわからない。
 そんな空模様とは対照的に、青木は上機嫌でハンドルを握っていた。

 青木は、ある遺族の自宅へ向かう途中だ。
 死亡した人物は、自宅付近で起きた連続殺人の目撃者と思われる若い女性だ。殺人現場のほうから慌てて走ってきて、車に飛び込んで亡くなった。目撃者の話によると、何かに追われるように怯えた表情で駆けてきたと言う。偶然にも殺人現場を目撃してしまい、パニック状態で走り出して車道に飛び出してしまったものと考えられる。
 こういう場合、直接犯行の被害に遭ったわけではないので、遺族の承諾が無ければ司法解剖には回せない。犯罪による被害者であることが確定できれば半ば強制的に司法解剖を行い、遺族の承諾書を取りつけてMRI捜査にかけることができるのだが、今回の場合はそうはいかない。あくまで交通事故による死亡であることしか立証できないからだ。
 しかしながら、当日殺された被害者の死亡推定時刻によると、この若い女性が殺人現場を目撃している可能性は非常に高い。そこで警察庁の方から働きかけて、遺族に承諾を得て、MRI捜査に協力してもらう運びになった。
 MRI捜査のためには、遺体から脳を抜き取らなければならない。その外科手術のため遺体を病院に引き渡すのだが、それには警察庁の人間の立会いが必要とのことで、青木の出番となった。
 
 もちろん、青木の上機嫌の理由は研究室を出られて息が抜けるといったことではない。好きな車の運転ができることが1割、残りの9割は隣で窓の外を見ているきれいな横顔の持ち主のおかげだ。
 たかが遺体の引渡しの立会いにわざわざ室長が出向くということにも驚いたが、同伴者に青木を指名してくれたことにはもっと驚いた。室長はたいてい、岡部と一緒に行動することが多い。青木が室長と2人で仕事に出るのはこれが初めてだ。
 目的の家は越谷だ。霞ヶ関からは車で30分ほどの距離である。たとえ短い時間でも、薪と2人きりでいられることは青木にとって嬉しい。狭い車中で薪と同じ空気を吸っていられる。まるでドライブデートのようだ。

「おまえ、なんでそんなに機嫌が良いんだ? これからどこへ行くか分かってるのか」
 うれしさが顔に出てしまっていたらしい。室長の厳しい言葉に、青木は姿勢を正した。
「遺族の前で、そのにやけたツラ晒してみろ。塩撒かれるぞ」
「すみません」
 青木の謝罪を受け入れてくれる様子もなく、室長の眼は冷たい。仕事のときは本当に怖いひとだ。
 仕事中に無駄口を叩くのを嫌う室長とは、会話が続かない。重い雰囲気になってしまうのは嫌なので何かしら話しかけるが、うるさいと一喝されてしまう。以前なら胃が痛くなってしまう状況だが、今の青木の精神状態は少し違う。

 自分がこのひとに恋をしていると気付いたのは、つい先日のことだ。青木の中に生まれた感情は、自制心の及ばない日陰の場所で徐々に育ってきている。
 薪にどんどん惹かれていく自分を、まずいな、と思う。
 これは憧れだ、室長は男の人だ、と自分に言い聞かせるが、違うぞ、と頑固に反論する自分がいる。憧れと恋の間の境界線が、いまひとつはっきりしなくて困っている。
 
 今だって、こうして薪の姿を見るだけで幸せな気分になるのだ。

 こんな気持ちは、中学生の時の初恋以来ではないだろうか。
 大学の頃付き合っていた彼女とは一緒にいて楽しかったが、そこは大人の関係なので、将来のこととかもっと切実な男の事情とか――― どうやってベッドに連れ込もうとか――― そういうものが絡んできて、純粋に相手を想うばかりでは立ち行かなくなってくる。恋愛の駆け引きというやつだ。
 薪はちがう。
 何と言っても室長は男のひとだ。結婚のことなんか考えなくていいし、ベッドのことはもっと必要ない。恋心が性欲に繋がらないこともあるのだ。薪は確かにきれいだが、青木にはそういう趣味はない。……今のところは。

 ろくな会話もないまま、青木の運転する車は目的の家に到着した。
 今時珍しい古風な日本建築の屋敷で、玄関には忌中の札が掲げてある。外観の通り内部も日本調で、障子と襖と畳の風景がノスタルジックな雰囲気だ。
 そして、強い線香の馨り。
 さすがに青木の顔も引き締まる。ここには死体があるのだ。

 薪が玄関で声を掛けるが、応えがない。呼び鈴を押しても誰も出てこない。警察庁のほうから連絡は入っているはずなのに、と青木は不審に思う。
 玄関は諦めて、庭に回ることにする。日本家屋の便利な点は、玄関以外にも庭に面した出入り口が多いということだ。
 二人が建物に沿って歩いていくと、奥の部屋のサッシが開いていて、中の様子が見えた。
 昔の日本家屋によくあるように、サッシから直接廊下に上がれるようになっていて、その奥に八畳間がある。暗い部屋の隅に棺があり、その周りに様々な葬具が置かれている。一見すると華やかな装具は、やはり蒼を基調とした寂しい色彩で、死者の魂を安らかに眠らせようとしている。黒い縁取りが為された大きな写真立てには、まだ死ぬには早すぎる若い女性の姿がある。

 ひとりの中年の男が、コップに入った酒を飲みながら遺影の前に座っている。亡くなった女性の父親だ。その悲痛な表情は深い悲しみを慮らせ、周囲の人間の声を失わせる。
「太田さんですね。警察庁から参りました法医第九研究室室長の薪と申します。この度は突然のことで、さぞお力落しのことと存じますが」
 薪がそっと声を掛ける。いたわりの心が表れた哀しげな表情―――― いや、薪は車の中から、既に沈痛な顔つきだった。この光景を予想していたのだろうか。

 薪の言葉を聞いているのかいないのか、相手には何の反応もない。娘に先立たれた親の心痛は計り知れない。しかし、こちらも仕事だ。
 ところが、男は意外なことを言い出した。
「帰れ。娘は渡さん」
 青木にはびっくりだ。警察庁からの連絡で、今日この時間に遺体を取りに来ることは、遺族には了承済みのはずである。もう病院の手配もしてあるのだ。今更そんなことを言われても困る。

「なにを言って」
 反論しようとした青木を、薪の華奢な手が制した。横目で睨まれる。黙っていろ、ということだ。
「お気持ちはよく分かります。大切な人を亡くされたんです。ご遺体を他人の手に渡すのは、身を切られる辛さだと思います。しかし、娘さんの無念を晴らすためにも、ぜひMRI捜査にご協力を」
「そうしたら、娘は生きて帰ってくるのか」
 無茶苦茶なことを言っている。
「だいたい、あんたらが早く犯人を捕まえないから娘がこんな目にあったんだ。警察の怠慢のせいで娘は死んだんだ」
 支離滅裂だ。第一、現場の捜査は警察庁の仕事ではなく警視庁の仕事だ。一緒くたにされて、他の部署の非でこちらを責められてはたまったものではない。
 もちろん、警視庁の捜査官も必死で頑張っている。その努力を見もしないで怠慢とは、被害者遺族とはいえ、あまりにも言葉が過ぎるだろう。

「お言葉ですが、それは」
 青木の反論は再び、薪の細い腕に阻まれる。
 薪は青木の眼を見て左右に首を振ると、一旦その場を離れた。庭の隅まで歩いて立ち止まり、まるで青木を糾弾するかのように険しい目でじっと見つめる。
「黙ってろ、青木。余計なことを言うな」
「だって室長。あの親父、めちゃくちゃですよ。まるでオレたちが悪者みたいじゃないですか。オレたちは遺体を預かりにきただけなのに」
 家人に聞こえないように声を抑えて、青木は謂れのない非難を受けたことに対する憤りを吐露する。薪はその言葉を黙って聞いていたが、何も言わなかった。
 薪だってそう思っているに決まっている。自分たちは何も悪いことはしていないし、娘が事故にあった元凶の犯人を捕まえてやろうとしているのだから、逆に感謝されてもいいくらいだ。あの男のほうがおかしいのだ。大きな悲しみが彼の正しい思考を奪ってしまっているのだろうが、こういうことははっきりさせなければ。

「青木。おまえ、先に第九に帰れ。僕はもう少しご主人と話をするから」
「オレも行きます。あの親父、頑固そうですよ」
「いいから、帰れ」
 声は低いが目は厳しい。部下に否と言わせない威厳を、この室長は持っている。
「……はい」
 青木が頷くと、薪は踵を返して今来た道を辿り始めた。
 青木は植え込みの陰に隠れて、そっと後を着いていく。命令とはいえ、室長を独り残して帰ることなどできない。あの親父は酒も入っているようだった。薪に危害を加えるかもしれない。

 開け放された窓から、薪は家人に向かって説得を続けている。廊下に上がり込むこともしない。庭に立ったまま背筋をぴんと伸ばして真摯な姿勢を崩さない。
「太田さん。ご心痛のほどはお察しします。しかし」
 薪はそこで深く頭を下げる。腰を90度に折り曲げて、平身低頭というありさまだ。
「犯人を捕まえるためには、どうしても必要なことなんです。娘さんのご遺体を、ほんの少しだけ預からせていただけませんか」
 薪の態度が、青木には少し意外だ。
 警察官は基本的に、15度より深いお辞儀はしない。警察学校でこの角度はいやというほど仕込まれるのだ。最敬礼でも30度。だから 体がそれ以上は曲がらないように、自動的にセーブがかかる。それは警察庁のトップである警察庁長官に対しても同じだ。ましてや市井の人間相手にこのような深いおじぎなど、警察の威信にも関わることではないか。

 警察庁の管理職であり研究室室長という肩書きを持つ薪が、そこまで礼を尽くしているというのに、相手の態度には変化がない。薪の方が年は下でも、社会的地位を鑑みればこの男よりずっと偉いのだ。
「脳みそを取り出すっていうじゃないか。娘がうちに帰ってくるときは、脳の代わりに紙切れでも詰めてよこすのか?」
「データを引き出した後は、ちゃんと元通りにしてお返しします。腕のいい外科医が、なるべく傷が残らないように最大限の注意を払います」
「娘の脳を見るんだろ? 親の俺も知らないような娘のすべてを、おまえらが見るんだろ? 頭を割られて脳を抜かれて、おまえらの視線に散々汚されて……そんなことを許す親がいると思うか!?」
「MRIに掛けるのは、事件に関わる最低限の箇所だけです。娘さんのプライバシーも絶対に守ります。私たちにできるだけのことはします」
「やかましい! おまえらなんか信用できるか!」
 真剣な薪の声に耳も貸さないとは、あまりにも酷すぎる。こっちがこれだけ下手に出ているのに、どこまで傲慢な親父だろう。

「帰れ!このハイエナ野郎が!」
 憤怒の表情で自分を罵る男に対して薪が次に取った行動は、青木を驚愕させた。
 地面の上に、薪は膝を折ったのだ。
 昨日までの雨で、庭の土はぬかるんでいる。スーツを汚した泥を気にする様子もなく、薪は両手を着いて頭を下げた。
「お願いします。これ以上の犠牲を出さないためにも、何卒ご協力を」

 あのプライドの塊のような室長が土下座するなんて―――― 薪の弱気な態度に、青木は少し幻滅している。
 何も薪がここまですることはない。土下座してまで頼み込まなくても、警察には公務執行妨害という伝家の宝刀があるではないか。これは殺人事件の捜査だ。力ずくで遺体を奪って行っても、罪には問われないのだ。
 あの無礼な男を怒鳴りつけてやりたい。が、薪の気持ちを考えて、青木は立ち上がりかけた足を自分の手で押さえつけた。土下座しているところを部下に見られるのは、室長のプライドが許さないだろう。
 警察庁の管理職にここまでさせたのだ。どんなに陰険な男でも満足だろう。慌てて「頭を上げてください」などと言ってとりなしてくるに違いない。

 しかし、青木の予測は見事に裏切られた。
 頭を地面にこすり付ける薪に、男は冷たく「帰れ」と言い放ったのだ。
 ここまでして犯人を検挙し、犯罪を未然に防ごうとする薪の正義感が分からないなんて、この男こそ人間じゃない。青木は怒りで目の前が赤く染まるのを感じた。
 それでも薪が食い下がる気配を見せると、男は突然立ち上がり、バケツに水を汲んできて薪の頭からぶっ掛けた。更にはずぶぬれになった薪に、空のバケツを投げつける。
 もう、じっとしてはいられない。反射的に青木は薪の前に立ちはだかり、飛んできたバケツを叩き落していた。

「なにを乱暴な!」
「引っ込んでろ、青木!」
 助けようとしたのに、怒鳴りつけられる。理不尽なことだらけだ。
「だって室長。事前に連絡したときにちゃんと許可を得ているのに、今になってこんなことを言う方がおかしいんですよ!」
「あれは妻が勝手に、俺は了解などしていない!」
 妻は後妻で娘とは血は繋がっていないから、と父親は弁解がましいことを言っている。が、それはそっちの都合だろう。承諾書に印鑑まで貰ってあるのだ。どこに出てもこちらの言い分が通るはずだ。
 それは百も承知しているはずなのに、薪はどこまでも低い姿勢を崩さない。

「失礼致しました。この男は新人でして。私の教育が行き届きませんで、誠に申し訳ありません」
 バケツがぶつかっていたら、薪は怪我をしていたはずだ。それなのに謝罪をするのはおかしい。この態度は、もはや謙虚というのではない、卑屈というのではないか。
 薪のきれいな顔も髪も泥まみれだ。室長としての身だしなみにと用意してきた英国製のスーツも泥だらけになって、もう使い物にならないだろう。せっかく薪の細身の身体によく似合っていたのに、この男のせいで台無しだ。
 そんな情けない姿になっても、薪の熱心な説得は続く。ここまでしなければならない理由が、青木にはわからない。

「太田さん。犯人はまだ大手を振って歩いているんです。娘さんのような被害者がもっと増えるかもしれない。それを防ぐには、太田さんのご協力がどうしても必要なんです。お願いします、お願いします!」
「……一日だけだ。それ以上は貸さんぞ」
 消え入るような声で、男は言った。やっと引き出した了承の言葉だ。
「ありがとうございます!」
 本来なら、礼など必要ないはずだ。それに、一日だけという限定つきでは徹夜作業になってしまう。まったく迷惑な話だ。
「感謝します」
「あんたは警察のお偉いさんだと聞いてたが、違うのか?」
「警察庁の者ですが、偉くなどありません」
「そうか」
 あなたより遥かに偉いんですよ、と教えてやりたい。薪は警察庁始まって以来の天才と呼ばれていて、出世の最短記録を更新中なのだ。

 薪はようやく立ち上がり、無愛想な家人にもう一度頭を下げた。ハンカチを絞って髪を拭き汚れた顔を拭く。とても拭き取りきれるものではないが、この家の風呂を借りるわけにもいかない。
「青木。病院に連絡だ。僕の携帯は浸水して使い物にならん」
「はい」
 室長の指示通り病院に連絡を入れながらも、青木は不満を隠しきれない。しかし、それをここで話すことはできなかった。もしあの男に聞かれて臍を曲げられでもしたら、室長の苦労が水の泡だ。

 程なく病院の車が来て、遺体を搬送していった。泥まみれの薪を見てびっくりしている病院の担当者に、薪はくれぐれも遺体に傷を残さないようにと頼み込んだ。
 午後には第九へ脳が届く。この男のせいで今夜は徹夜だ。

 薪が父親に再度丁寧に礼を言って、2人はその家を辞した。
 車に乗り込もうとして、薪は足を止める。自分の泥だらけの格好を見て、困惑した表情を浮かべる。車のシートが汚れてしまうことを気にしているようだ。
「室長。オレのジャケットで良ければ着てください。ズボンを脱いでも、ワイシャツとジャケットだけ着てれば外からはわからないと思います」
「そうだな。そうするか」
 庭の片隅で車のドアに隠れて、薪はスーツを脱いだ。白いワイシャツにも所々泥は跳ねているが、直接地べたに着いたわけではないので、見苦しい程ではない。

 ズボンを脱ぐと、人形のように形の良い足が現れる。その肌の白さは、目に痛いくらいだ。思わずワイシャツの裾のあたりを凝視してしまう。なんというかその……色っぽい。
「青木。ジャケット貸してくれ」
 ワイシャツの裾を絞ると、ぼたぼたと水が垂れてくる。ちらりとグレーの下着が見える。ごく普通のボクサーパンツなのだが、なんだか妙に……。
「青木。上着!」
「あ、はい」
 慌てて上着を脱いで薪に手渡す。薪は怪訝な顔をしたが、何も言わなかった。

 青木のジャケットはとても大きくて、丈が薪の膝の辺りまである。そのことは室長のプライドをいくらか傷つけたようだ。
 人間でかけりゃいいってもんじゃないぞ、と口の中で言って、汚れたスーツを無造作に丸め足元に積み込む。土下座よりも背丈のほうが気になるなんて、室長のプライドの基準はよくわからない。
 助手席に座った薪は、ジャケットの前を掻き合わせるようにして身体に巻いている。頭から水をかけられたのだ。ズボンも履いていないし、寒いに決まっている。
「ひどい目に遭いましたね」
「ああいうことは珍しくない。誰だって、大切な人の遺体を傷つけるのは嫌だろう」
 他人に聞かれる心配のない車内でまで、薪は父親を弁護した。青木はますます薪という人が解らなくなる。お人好しなのか、偽善者なのか。どちらも普段の冷徹な室長の姿からは、かけ離れた人物像だ。

「あんなの、おかしいですよ。ちゃんと本部のほうから遺族には話を通してあって、遺体の受け取りに立ち会うだけだって言ってたじゃないですか」
「いざとなると躊躇ってしまうんだ。そういうものだ」
 室長らしくない。
 室長はいつでも冷静で、ちょっと皮肉屋で。誰よりもきれいでスマートで。土下座なんて想像もつかなかったのに。裏切られた気分だ。

「別にいいじゃないですか。すぐ返すんだし」
 何より、薪をあんなひどい目に遭わせたことが許せない。こんなにきれいで可憐で気高いひとに、よくあんな真似をさせられたものだ。もはや犯罪だ、と青木は憤慨している。
「遺体はどうせ焼いちゃうんでしょ。無くなってしまうものじゃないですか。脳を抜かれたからって、死んだ人間が痛みを感じるわけじゃなし。室長があそこまですることないですよ。公務執行妨害で引っ張っちゃえばよかったじゃないですか」
 突然、青木の頬に薪の平手打ちが炸裂した。華奢なくせに、かなり強い平手打ちだ。
 昔から優等生で育ってきた青木は、親に叩かれたことがない。ましてや他人に叩かれるのは、これが初めての経験だった。
 痛みよりも驚きのほうが大きい。
 薪を見ると、なぜか悲しそうな表情をしていた。

「なんでオレがひっぱたかれなきゃならないんですか。ちゃんと説明してくださいよ」
「なぜ叩かれたのか分からないなら、おまえには第九を辞めてもらうしかない。異動願いを書いておくんだな」
 ふい、と横を向いた薪の顔は、とても冷たかった。
 わからない。
 法学部の青木は刑事訴訟法にも詳しい。自分は間違ったことは言っていないはずだ。ああいう場合、公務執行妨害を適用して任務を速やかに遂行するべきだ。それが迅速な捜査活動の為にもなるし、警察の威信を示すことにも繋がる。警察庁の人間なら、そう考えるのが正しいはずだ。

 久しぶりに異動願いを書けと言われてしまった。この頃、ようやく言われなくなったと思っていたのに。あの親父のせいだ。

 押し黙ったまま、青木は車をスタートさせた。
 曇天の空は陰鬱だ。いっそ雨でも降ればいいのに―――― 何もかもが面白くなくて、青木は帰りの車中でとうとう一言も口を利かなかった。


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

新人教育(3)

新人教育(3)







 新人と一緒に帰ってきた室長の姿は、第九の職員を仰天させた。
 いったい何があったのか、上から下まで泥まみれである。ワイシャツの上に明らかに借り物とわかる大きなジャケットを羽織って、膝から下は裸足だ。華奢な足首が痛々しい。
 車に泥水かけられたんだ、と子供にも解る嘘を白々しく吐いて、室長は真っ直ぐにシャワー室へ向かった。室長のロッカーには、急な泊まり込みに備えて着替えが置いてある。シャワーさえ浴びればこのまま仕事に戻れるのだ。

「薪さん。大丈夫ですか?」
 扉の向こうで岡部の声がする。熱いシャワーを頭からかぶりながら、薪は応えを返した。
「ああ、なんとかな」
「だから言ったでしょう。あそこの親父はキツイって」
「まあ、あの気持ちは分かるから」
 髪を洗いながら、薪は昨日の岡部との会話を思い出している。
 室長室に報告書を持ってきた小池の一言から、この件は始まったのだ。
 
「青木のことなんですけど、その……」
 小池の言葉に、室長は報告書をめくる手を止めて顔を上げた。
 一言多くても少ないことはあまりない、その小池がこうも言い淀むのは珍しい。なにか言いにくいことがある証拠だ。
「青木がどうした」
「どうもなんか現実感がないっていうか……悪い言い方をすると、ゲーム感覚で捜査をしてるみたいな」
「青木の性格は、そういうんじゃないだろ。どっちかって言うと優しすぎるのがネックになるタイプだろ」
 同席している岡部が、的を得た人物評を下す。その見立てには薪も同感だ。
「そうですよね。俺の気のせいですかね、やっぱり」
 バツの悪そうな顔で頭を掻く小池に、薪は無表情に、
「小池、よく報告してくれた。あとは僕に任せろ」
「は?」
「行っていいぞ」

 小池が室長室を辞した後、薪はすぐにPCのキーボードを叩き始めた。室長のIDを打ち込んで、人事部の検索システムから情報を引き出す。画面を見つめる大きな眼が細められ、小さく舌打ちする音が聞こえた。
「そうか、失敗したな。指導の順番を間違えた」
「どういうことです?」
 岡部の問いに、薪はPCの画面を指し示す。警察庁が誇る人事統括データ―――― 画面には青木の経歴が細かく表示されていた。
「青木のやつ、所轄の経験がゼロなんだ。見ろ、警大を9月に卒業してそのあと警察庁の総務課に配属されてる。そこからここに来たんだ」
 考え込む時の癖で、薪は右手を口元に当てる。それから手を頬に滑らせて、机の上に肘をつく。
 岡部の前では薪はいくらかくだけて、こんな仕草もしたりする。頬杖はあまり良いことではないが、室長がやると優雅に見えるから不思議だ。

「うっかりしたな。あいつ、おそらく現場を見たことがないんだ。被害者遺族と話したこともない。遺族の悲しみや嘆きを聞いたことがない。だから捜査が上っ滑りするんだ。
 まずいな。このままいくと、ただの技術屋になってしまう。なまじ頭が良い分、陥り易いんだ。何とかしないと」
「俺が話してみましょうか」
 経験と実績に裏打ちされた岡部の指導力は確かだ。任せておいて間違いはない。が、これは言葉だけで理解できるものでもない。実際に現場に連れ出すのが一番だ。
「……例の越谷の家に、青木を連れて行く。あの遺体は明日がリミットだからな」
「あそこの親父はキツイですよ。俺が行きますよ」
「いや、僕が行く。室長は僕だ」

 昨日、室長とそんな会話を交わしていた岡部は、薪の身をずっと心配していた。
 案の定、こんな格好で帰ってきた。怪我はしていないようだが、体中泥まみれだ。
 青木が一緒だったのだから暴力を振るわれたわけではないと思うが、土下座くらいはさせられたのだろう。こんなことは初めてではない。頻繁にあることでもないが。
 薪は意外とこういうことは平気だ。室長が天より高いプライドの持ち主ということは岡部も認めているが、そのプライドに傷をつけるのは人に頭を下げることではなく、もっと別のことだ。例えば……背丈とか。

「岡部。あの件、頼んでくれたか」
 タオルで髪を拭きながら、薪がシャワー室から出てくる。もちろん素っ裸だ。その姿から岡部は自然に目を逸らして上を向く。自分の容姿が見るものをどんな気持ちにさせるのか、自覚のない室長はこういうことには無頓着だ。
「後輩には頼んでおきましたけど、今は出待ちです。初めはきれいなやつがいいと思って」
「いや。出来れば1週間くらい経過したのがいいんだが」
「え? 最初からそんなの見せる気ですか?」
 素肌に直接ワイシャツを着込み、下着とズボンを履く。防弾チョッキは濡れてしまっているが、さすがに替えは置いていない。今日は仕方がないと割り切ったようだ。
「あいつには荒療治が必要だ」
「ていうかそれ、周りのフォローの方が大変ですよ」
「フォローは僕がする」
「いや、何も室長がなさらなくても。指導員は俺なんですから、俺がやりますよ」
「部下の経歴を把握して指導方針を決定することは室長の役目だ。それを怠った僕が悪かった」
 備え付けのドライヤーで髪を乾かしながら、室長は潔く自分の非を認めた。
 髪を掻き回す手つきが乱暴だ。自分の失態に腹を立てているのだ。薪は部下にも厳しいが、自分にはもっと厳しい。その厳しさが薪の強さであり、危うさでもある。岡部は薪のそういうところを一番心配している。

「まさか、大学から直接に近い形で第九への人事があるとは思いませんでしたからね。三田村のやつ、なにか問題でも起こせばいいとでも思ったんですかね」
「三田村のせいじゃない。これは僕のミスだ。責任は僕にある」
 くどくどと理由を述べることはしないが、薪はひどく後悔している。岡部にはそれが分かった。

 新人に現実を見せる前に、MRIの画像を見せてしまった。
 最初に画像から事件に入っては、現実感を失ってしまっても無理はない。頭では現実に起きたことだと理解していても、どこか絵空事のような気がしてしまうのだ。
 現実が見えない人間に、捜査官は務まらない。どこの部署に行っても使い物にならない。最初が肝心だったのに自分のせいだ―――― 薪の考えは大体読める。

「青木は粘り強いし打たれ強い。着眼点もいい。きちんと育てれば、良い捜査官になる。あいつの才能を潰すわけにはいかない。僕が何とかする」
 亜麻色のさらさらした髪に櫛を通し、さっと整えると、薪は予備のジャケットを着込んだ。何だかいつもより、華奢に見える。防弾チョッキを着ていないせいか。

「午後には病院から目撃者の脳が届く。今日中に、徹夜してでも画を捜すぞ。一日しか猶予をもらえなかったんだ」
「じゃあ、みんなでやっつけますか」
「うん。頼む」
 はい、と頷いて岡部はモニタールームへ戻っていく。ロッカールームのドア口で振り返ると、薪はうつむいて厳しい目で空を睨んでいる。

「室長」
 岡部の呼びかけに、我に返ったように顔を上げる。岡部はにやりと気安い笑みを浮かべて楽しげに言った。
「新入りをいびる楽しみを、独り占めせんで下さいよ。俺にも少しは分けてください」
 何でも自分で抱え込もうとする薪の性癖を矯正するのは自分の役目だ、と岡部は自負している。
 室長の重責を少しでも軽くしてやりたい。独りではないのだと思わせたい。もっともっと自分を頼って欲しい。

 薪は亜麻色の目を丸くした後、きれいな微笑を岡部にくれた。
「そうだな。共犯者がいたほうが、イジメは楽しいからな」
「はい」
 第九研究室の懐刀と称される岡部の気持ちは、どうやら室長に届いたようだった。



*****

 かみんぐあうと。
 わたし、岡部さん大好きなんです。(きゃ、言っちゃった)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

新人教育(4)

 初めに謝っておきます。
 いろいろ汚くてすみません……。






新人教育(4)
 





 まんまと徹夜作業になった翌日、仮眠すら取れない状態で、青木は室長に呼び出された。
 事件現場へ向かうという室長を後部座席に乗せて、車のハンドルを握る。助手席には岡部の姿がある。昨日のことがあるので、室長と二人きりになるよりは岡部がいてくれたほうがありがたい。が、何となくつまらないような気もする。相変わらず複雑な心理状態が続いている青木である。

「現場検証に立ち会うんですか?第九が?」
「今日は特別でな」
 何故だろう。
 第九の仕事は、基本的に研究室の中に限られる。現場に出て証拠を集めたり聞き込みをしたりするのは、捜査一課の仕事だ。そのテリトリーに入ることは、一課の人間にとっても不愉快なことのはずだが。

 捜査現場は、鑑識や捜査官で溢れかえっていた。
 こんなに大勢の人間が現場に集まるのか、と青木は驚いている。現場はそれほど広くない公園だ。すべての出入り口はKEEPOUTと赤く印字された黄色いテープによって塞がれている。その中に40人~50人くらいの捜査官がひしめき合っている。たくさん居すぎて身動きが取れないのではないかと心配になるくらいだ。
 テレビドラマのように、10名くらいの人数で捜査をするというのは現実にはない。殺人事件ともなれば、こうして最低でも30人からの人員が捜査に携わるのが普通だ。青木も勿論それは承知していたが、こうしてそれを間近に見るのは実は初めてだ。警大のときに研修で見学をしたことはあるが、遠くから眺めただけで現場の中に入ったわけではない。警大の授業は机上の勉強だけで進んでいくものだ。
 圧倒される。一人だったら、とても中に入っていける雰囲気ではない。

 岡部が捜査官の一人と何事か話している。気心の知れた者らしく、砕けた口調だ。
「青木。こっちだ」
 岡部に呼ばれて、青木は人混みを掻き分けるようにして黄色いテープの内側を進んだ。薪が後ろから着いてくる。ちらちらと青木のほうを見ている瞳が、何事か言いたげだ。
 昨日は全員徹夜だったのだから、薪も岡部も眠っていないはずだ。自分よりだいぶ年上なのに、二人ともタフだ。頑丈そうな岡部はともかく、見るからに華奢な薪のどこにそんな体力があるのだろう。

 岡部の向かう先は、公園の植え込みの方だ。ごった返す捜査員の狭間に、シートを被せられた物体が見え隠れしている。近づくにつれ、死臭が強くなる。青木は手で鼻と口を覆う。これだけ離れていても物凄い臭気だ。
 シートの中のものを想像して、思わず青木は足を止めた。
 岡部が手招きをしている。行かなくてはダメだろうか。死体を見るのが第九の仕事ではないはずだが。
 躊躇していると、後ろから薪に背中を押された。もう少し心の準備をさせて欲しいが、どうやらその気遣いはしてくれないらしい。

 嫌がる足を無理に進めて、青木は岡部の横に立った。岡部は地面にしゃがみこみ、シートに手をかけている。青木にも屈むよう指でサインをする。あまり近寄りたくはないが、先輩の命令では仕方がない。
 薪は青木の背中越しに覗き込むように身を乗り出している。その目は被害者に向けられているようだが、何故か青木は薪の視線を感じる。さっきからずっとだ。室長は自分を見ている。
 岡部の無骨な手が、いきなりシートをめくった。
 その瞬間。
 青木の目に飛び込んできた凄絶な光景――――。
 土気色の顔。断末魔の形に歪められた口。落ち込んだ眼窩。鼻や耳、ありとあらゆる穴から湧き出している蛆虫が、もぞもぞと蠢いている。
 今まで嗅いだことのない強い腐敗臭に、猛烈な嘔吐感が沸き起こる。まるで身体の中に直接手を突っ込まれて胃をひっくり返されたかのようだ。意志の力で止められるものではない。

「青木、吐くな! 現場を汚すな!」
 岡部が叫ぶが、とても無理だ。
 もともとスプラッタは苦手なのだ。臭いのないMRIの画像でさえあんなに吐いていたのに、現実の腐乱死体に耐えられるはずがない。
 岡部の叫びが終わらないうちに、思い切り吐いてしまった。
 口元を押さえていた手の隙間から、吐瀉物が溢れてくる。すみませんと心の中で謝るが、裏返ってしまった胃は元に戻せない。
 こんなことなら朝食を食べるんじゃなかった。食べないと仕事にならないと思って無理に詰め込んだのに。しばらくはツナサンドが食べられなくなりそうだ。こんな間近に、未消化のものを見せられたのでは。

 あれ、と青木は思う。
 何故こんなに近くに吐いたものが有るんだろう。地面に落ちたはずなのに、この距離感はまるで宙に浮かんでいるようだ。

「終わったか?」
 薪の声が耳元で聞こえる。
 眇めた視線を横に走らせると、顔がくっつきそうなほど近くに薪の美貌があった。
 状況を把握しようと、しっかり目を開ける。
 後ろから薪が、青木の首に抱きつくようにして、両腕を前に回している。自分の上着を袋のような形に持って、青木の口の前に差し出している。上着の中は青木の吐いた汚物でどろどろだ。
 室長が自分の上着でとっさに汚物を受け止めてくれたのだ、とようやく理解する。理解して、青くなる。

「大丈夫か?まだ吐きそうか?」
 室長は青木の顔色の変化の意味を誤解して、やさしく言葉をかけてくれる。このパターンは確か前にもあったような。何故一番見られたくない人に、こういうところを見られてしまうのだろう。恥ずかしくて顔が上げられない。

「青木。どれだけ吐いてもいいから、よく見ておけ。これが現実だ」
 頬が触れそうな至近距離で、薪のつややかな唇が動く。
「このむごたらしい現実の上に僕たちの仕事はあるんだ。それを忘れるな」
 真剣な声音。強い眼差し。亜麻色の瞳は、凄惨な死体を真っ向から見据えている。
「人間は年を取って家族に看取られて、穏やかに死んでいくものだ。こんな悲惨な死に方をしなきゃいけない人間なんて、本来はいないはずだ。おまえだって自分の大事な家族や友だちに、こんな死を迎えて欲しくないだろう。
 僕たちが作らなきゃいけない社会は、人間が自分の人生に満足して死ねる社会だ。神様から貰った命を全部使い切って死ねる社会だ。他の誰かに途中で奪われるなんてことがあってはならないんだ」
 普段、口数の少ない室長の言葉は重みがある。
 それは青木の心にずっしりと沁みてくる。

「おまえは昨日、遺体はどうせ焼いてしまうのだからと言ったな。死んだ人間は痛みを感じないから、脳を取り出しても平気だと言ったよな。この死体もそうだ。痛みは感じないし、嗅覚も触覚も失っているから、この臭いも蛆虫が這い回るのも解らない。
 でも、どうだ。これを見ても同じことが言えるか? この被害者に今ここで、昨日のセリフを繰り返すことができるか? この被害者の遺族に、死体は何も感じないのだから腐っても平気です、と言えるか?」
……言えない。
 言えるわけがない。こんな悲惨な目に遭った可哀想なひとに、その家族に、そんな鬼のようなことが言えるものか。
「おまえが昨日、あの父親に言おうとしたのはそういうことだ」
 薪の横顔がゆっくりこちらに向いて、青木と目が合った。鼻先がぶつかりそうな距離で、長い睫毛に囲まれた亜麻色の瞳が瞬きもせずに青木の眼を見ている。

――――そうだ。
 不当に薪を責める父親を鬼だと青木は思った、でも。鬼は自分だった。

「事件の被害者たちは、みな理不尽に自分の人生を奪われて、夢半ばに死んでいくんだ。ものすごく痛い思いをして苦しんで苦しんで、そんな辛さを味わった被害者の脳を取り出すためにまた身体にメスを入れる。頭蓋骨をドリルで削って脳漿を抜いて脳髄を切り取って……文字通り、死者に鞭打って初めてMRI捜査は成り立つんだ。
 だから、僕たちを信用して愛する人の亡骸を預けてくれる遺族の人には、頭を下げるのが当然だ。社会正義のために、自分たちの身を切られるような痛みを推してまで協力してくれる。その気高い精神に敬服して、感謝するんだ」
 青木は自分を恥じた。
 人からはやさしいと褒められることが多い青木は、自分でもそれなりに優しい人間でいたつもりだった。なのに、自分はいつの間にこんな傲慢な人間になっていたのか。

 それは多分……薪に恋をしたからだ。

 薪のこと以外、目に入らなくなっていた。物事のすべての基準は薪にとって良いことかどうか、そんな風にしか考えられなくなっていたのだ。だから薪に冷たく当たったあの男に腹が立って、それを分かってくれない薪にまで苛立ちを覚えて。
 これではまるで、子供の恋だ。中学生の初恋どころか、幼稚園児の戯れだ。
 自分は薪を思うあまり、他の人々に対する気遣いがなくなっていたのだと初めて気づく。
 これではだめだ。こんなことでは、室長に迷惑を掛けるだけだ。
 室長の役に立ちたいと、室長の助けになりたいと思っていたはずだ。もっと大人にならなければ―――― もっともっと自分を磨かなければ、このひとを助けることはできない。

「すみませんでした」
 青木の吐き気が治まったのを見て取ると、薪はエチケット袋代わりの上着を持って立ち上がった。捨てとけよ、とそれを青木のほうへ渡す。死臭よりはマシだが、やはり臭う。

 現場から離れて、公園の外に出る。青木はようやくまともに呼吸が出来るようになった。
「今月は、洋服代がかさむな」
 昨日に引き続いて今日もまた、薪のスーツは駄目になってしまった。
「昨日はドロで今日はゲロですか。1字違うだけでえらい差ですな」
 室長とその腹心の部下は、信頼しあったものだけが持つ気安い空気の中で、とぼけた会話を交わしている。青木にはその関係がとても羨ましい。

 徹夜明けの薪は、大きく背伸びをして欠伸をした。二人とも、自分のために仮眠も取らずにここへ連れて来てくれたのだ。
 防弾チョッキを着ていない室長のワイシャツ姿は、とても細くて頼りなく見える。しかし、この人の強さは本物だ。自分が目指すのはこの強さだ。そして岡部のような懐の大きい人間になって、室長に信用してもらうのだ。

「青木、第九まで車で送ってくれ。そしたらおまえは、今日は家に帰っていい」
「室長はどうなさるんですか?」
「僕は、岡部と一緒に昨日の遺体を返しに行く」
「オレも連れて行ってください」
 ハンカチで口元を拭いて、青木は言った。
 岡部が眉を寄せて首を振る。行かないほうがいい、という意味だ。
「おまえ、昨日あの親父とケンカしてるだろう。親父の神経逆撫でしないほうがいいぞ」
「大丈夫です」
「あのな、青木。困るのは室長」
「岡部。おまえ小池と交代してやってくれ」
 室長を気遣う岡部の言葉を、涼やかなアルトの声が遮った。
「あいつ、先週の日曜も出てたんだ」
「室長」
「太田さんの所へは、僕と青木で行く。大丈夫だ」
「しかし」
「僕が大丈夫と言ったら大丈夫なんだ」
 自信に満ち溢れた声。背筋をピンと伸ばして腕を組み、しっかりと2本の足で立っている。長年、第九の室長として数多の窮地を切り抜けてきたという自信が、薪を輝かせている。
 なるほど、女性にモテるわけだ。男から見てもカッコイイ。

 暗い雲の切れ間から光が差してくる。梅雨時期の太陽はすでに夏の力強さを持っていて、その光は徹夜明けの青木の目にとても眩しい。そして、室長の白いワイシャツ姿はもっと眩しい。
 冷静な室長の仮面の裏に隠された、熱い正義感。守るべき人々に対する、深い愛情と感謝。
 この人はどこまできれいなんだろう。どこまでやさしい人なんだろう。

……完全に持って行かれた。

 心の片隅に生まれた感情はいつの間にか大きく育って、青木のこれまでの常識を粉々にぶち壊した。薪は男性だ。自分と同じ男のひとだ。でも。
 降参だ。
 すごい力で惹き寄せられる。もう、止まらない。自分にも止められない。
 この魅力の前に、自分の薄っぺらな理性など消し飛んでしまう。

 ああ、やっぱり室長はきれいだな、と青木は思う。きれいでかっこいい。
「青木。途中で洋品店に寄ってくれ。さすがにもう、替えの上着が無い」
 華奢な肩を竦めて両手を広げる。芝居がかった仕草は、青木の気持ちを汲み取ってくれた証拠だ。
 青木の答えを待たずに、踵を返して薪は歩き出す。2人の部下は、その華奢な背中を慌てて追いかける。

 この背中を守っていきたい――――。

 青木の心に、薪に対する深い尊敬が刻み込まれた一幕だった。



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

新人教育(5)

新人教育(5)







 越谷の家には昨日と同じく、父親が一人で祭壇の前に座っていた。
 遺体を元通りに棺の中に収め、儀礼的な挨拶をした後、病院の係員は帰っていった。忌中の家には、室長と青木と父親だけが残された。

「ありがとうございました」
 昨日と同じように、廊下側の窓の外から、薪は深く腰を折る。室長に倣って、青木も深く頭を下げる。他人に向かってこんなに深いお辞儀をしたのは何年ぶりだろう。客商売に就いたことの無い青木には、なじみの薄い姿勢だ。
「まあ、線香の一本もあげてやってくれ」
 昨日と違って、父親の態度は柔らかい。薪が約束した通り、遺体に目立った損傷は見られなかったせいもあるのだろう。薪の頼みを聞き入れてくれた病院のスタッフに感謝だ。

 父親の好意に甘えさせてもらうことにして、薪は家の中に上がりこんだ。祭壇の前に正座して、手を合わせる。
 凛とした佇まいは、純日本風の部屋にあっては時代劇の剣客のようだ。顔は女のようにきれいなのに、室長は時々とても男らしく見える。
 薪の後ろで焼香の順番を待っている青木に、父親が低い声で話しかけてくる。どうやら薪には聞かれたくないらしい。
「あんたのところの上司は本当に刑事なのか」
 それはたまに言われる。まったく、薪の顔には似合わない職業だ。
「はい。室長は警視正ですよ」
 警視正という役職の高さをこの男が理解しているとは思えないが、今日はそんなことはどうでも良いことに思えた。
「あんな刑事もいるのか……」

 薪は長いこと手を合わせていた。心の中で、不運な被害者に語りかけているようだ。
 あなたをこんな目に遭わせた犯人は必ず捕まえます―――― 険しく寄せられた眉が、固く結ばれた唇が、薪の決意を表している。
「いい上司を持ったな」
「はい」
「あんたは幸せものだ」
「はい。うちの室長は最高です」
 もしかしたら謙遜するべきところだったかもしれないが、青木は素直に頷いてしまった。まだまだ社会人としては半人前である。この会話を小池にでも聞かれたら、また笑われそうだ。小池は言葉を巧みに操ることに長けていて、交渉事が得意なのだ。口下手な青木には羨ましい才能である。

 薪の後に続いて青木が焼香をしている間に、父親は薪と何事か話しているようだった。父親の言葉に薪が小さく微笑んで、首を振っている。昨日の一件のことだろうか。
 青木の方を見て、何か言っている。声が小さくて聞き取れないが、昨日の今日だ。大方の予想はつく。世間知らずな新入りをしっかり教育してくれ、などと言われているに違いない。

 父親のことは薪に任せて、青木は心の中で被害者に誓いを立てる。
 オレたち警察が、必ず犯人は捕まえて法の裁きを受けさせます。それであなたの人生が戻るわけではないけれど、オレたちにはそのぐらいしかできないから。だからオレは、自分にできることを一生懸命にやります。あなたのお父さんやお義母さんのためにも、犯罪のない社会を作れるように。

 社会正義の為に奉仕する心。
 青木が手に入れたその想いは警察官にとって、一番大切なものだ。それを持たないものに、薪の部下でいる資格はない。
 この日、青木はようやく第九の仲間入りを果たしたのだった。




*****





 太田の家を辞するとき、青木が深く頭を下げるのを見て、薪は胸を撫で下ろしていた。あの腐乱死体が効いたらしい。岡部の人脈には感謝しなくては。

 岡部にはああ言ったものの、実は不安だった。
 昨日の青木の様子では、相手の出方次第で、また揉め事に発展する恐れは充分にあった。青木が自分を心配してくれるのは分かっているのだが、だからと言って遺族を責めるのはお門違いだ。彼らはあくまで被害者であり、自分たちが守るべき存在なのだ。

 何か吹っ切れたような表情でハンドルを握っている新人を横目で見ながら、薪は先刻、被害者の父親に言われたことを思い出している。
『あんたの部下は、あんたのことをよほど大事に思ってるんだな』
 以前も青木は、自分に憧れて第九に来たと言っていた。
 でも自分は、そんな人間じゃない。
 自分は咎人だ。殺人を犯した犯罪者なのだ。そのことを青木は知っているはずなのに、なぜ憧れだなどと言えるのだろう。

 あの事件は、警察内部の隠蔽が効くほど些細な事件ではなかった。
 新聞でも大きく報道されたし、マスコミもメディアも連日のように騒ぎ立てた。薪の顔も、TVや大手の新聞にこそ出なかったものの、週刊誌やその他の二流雑誌には掲載されてしまって、それまで住んでいたマンションを引越さざるを得なかったくらいだ。当時警大に在籍していた青木も当然知っていたはずだ。
 しかも、青木はあの28人殺しが薪のせいで引き起こされたことも知っている。第九の他の職員たちは、そこまでの事情は知らない。鈴木の脳を見た青木と自分だけが知っていることだ。そこまで知っていて、断罪するどころか逆に自分を庇おうとしてくる。

 何故だろう。自分が上司だから?
 人殺しの下で働きたくない、とは思わないのだろうか。自分だったら願い下げだ。人殺しの命令など聞けるものか。

 朝も青木の前で偉そうなことを言ったが、自分は本来なら他人に説教ができるような徳の高い人間ではない。
 もちろん、警察官になろうと決めたときから社会正義の為に働くのだという意識はあった。しかし実際は、青木の年齢の時の自分は野心と功名心に燃えて、捜一で迷宮入りの事件を片っ端から調べ直していた。謎を解くのは楽しかった。その結果、犯人が逮捕され、周囲の皆に誉めそやされるのはもっと楽しかった。自分はもともとそんな俗な人間なのだ。

 あの事件が薪を変えた。
 MRI捜査に協力してくれる遺族の気持ちが身に沁みて解ったのも、あの事件があってからだ。

『鈴木警視の脳を保管する』

 しごく当然の上層部の決定に、薪は激しく動揺した。
 鈴木は貝沼の脳を見て発狂し、保管庫から拳銃を強奪、MRIシステムを破壊したうえ薪に発砲してきたのだ。その様子は監視カメラに映っており、だから薪の正当防衛が認められた。常軌を逸した凶行に及んだ捜査官の脳を保管するのは当たり前のことだ。
 だが、薪は嫌だった。
「鈴木のご両親は納得したんですか?雪子さ……いえ、婚約者の方は?」
 決定事項を伝えてきた所長の田城に、薪は食って掛かった。
「納得して頂いたよ。鈴木くんは自分の職場を愛していたからと、ご両親はすんなり承諾書に判を押してくれた」
「僕はいやです」

 自分の撃った弾丸が鈴木の心臓を貫き、びっくりするくらい沢山の血が飛び散った。白いワイシャツの胸が真っ赤に染まった。
 鈴木はものすごく痛かったはずだ。苦しかったはずだ。そんな辛い思いをして死んでいったのに、またその体を傷つけるなんて。そのうえ、鈴木の私生活も秘め事もすべて晒しものにされるなんて。
 鈴木が可哀想だ。

「薪くん。残念ながら、君に決定を覆す権利は無いよ」
「いやです」
 薪は頑固に繰り返した。
 田城に言っても仕方のないことだと解っていた。しかし、心の中の激しい感情を吐き出さずにはいられなかった。
「これ以上鈴木の身体を傷つけるなんて、絶対にいやです!」
 田城は眉根を寄せて薪を見ていた。あんな大事件を起こしたすぐ後で、こんな頑迷な態度を取るなんて。懲戒免職になりたいのか―――― 田城の目は薪を心配してくれていたが、薪には自分が止められなかった。
「やめてください、お願いですから……もう鈴木を傷つけないでっ……』
 田城の前で涙を見せてしまったのは、後にも先にもあれが最後だ。

 あの時、壊滅状態だった第九を放り出すことは出来なかった。鈴木が愛した第九を守りたかった。
 あの事件が尾を引いて、第九はまだまだ不安定な状態だ。もっとしっかりとした地盤を築かなければ、部下を育て上げなければ、後を任せることはできない。
 あの事件がなかったら、薪はきっと今でも功名欲に燃えて捜査に取り組んでいたかもしれない。自分のところに謎めいた事件が来ないかと心待ちにするような、最低の捜査官になっていたかもしれない。そんな人間が他人に説教など、ちゃんちゃらおかしい。
 ただ、薪には室長としての立場と責任がある。
 部下を導くのは自分の役目だ。自分に自信がないからといって指導をしないのは、職務を全うしないことだ。だからこうして、自己嫌悪に陥りながらも偉そうなことを言わねばならない。おまえがそんなことを言える人間か、と自分自身を責めながらも、高潔な人格を装わねばならないのだ。

 鈴木のように生まれつき清らかな心を持った人間なら、こんな風には思わないのかも知れないが、薪は自分の中に醜い感情が沢山あることを知っている。第九に対する偏見や捜査一課の情報隠匿などは、本当に腹が立つ。鈴木ならそんなことで相手を責めたりしないが、自分はそうはいかない。つい口汚く罵ってしまう。
 罪を犯した人間に対しても同じだ。
 鈴木は『罪を憎んで人を憎まず』を地で行く男だったが、薪はどうしても犯人を許せない。罪は憎いが、犯人のことはもっと憎い。犯罪者には制裁が必要だ。被害者と同じ痛みを苦しみを、犯人たちは身をもって知るべきだと思っていた。
 いかなる理由があろうとも、殺人は許されない。過失でも正当防衛でも、殺人は殺人だ。

 だから薪は、自分のことも許さない。
 司法が裁いてくれないのなら、自分で自分を裁くしかない。でなければ、これから自分が生きていくことを認められない。
 他人も自分も許すことができない。そんな狭い心しか持てない自分を、情けなく思う。
 鈴木の遺志を継いで生きると決めたのだから、できるだけ彼のような人格者に近付きたいと努力してはいるのだが、いかんせん、デキが違うというか素質がないというか。一朝一夕の努力で埋められるほど、鈴木との格差は小さくなかったようで、薪は未だ自分の性格の矯正には成功していない。

 まだまだ鈴木には遠く及ばない―――― 薪の自分に対する評価は低い。

 しかし、それはあくまで薪自身の評価であって、周囲の人間の自分に対する評価とは大きな隔たりがあることを薪は知らない。
 薪は自分の容姿に自覚がないのと同じに、自分の評価にも自覚がない。第九の部下たちがどんなに自分のことを尊敬し、慕ってくれているか、大切に守ろうとしてくれているのか、薪は分かっていない。それに気付けばもう少し自分自身の評価も上がり、自分を許す気持ちも出てくるのだろうが……それはまだ、先の話である。
 とにかく、今はこの新人が、警察官の心得を習得したことを喜ぶべきだ。
 これからは新入りだからと言って、遠慮はしない。他の職員と同じようにビシビシしごいてやる。根幹の部分さえしっかりしていれば、徹夜の2日や3日平気なはずだ。次はどうやってイビリ、いや、教育してやろうか。

 基本的に意地悪な自分を、薪は認めない。これは室長としての指導だと主張して憚らない。
 昔の第九には薪の親友がいて、そのことをいくらかは諭してくれたものだったが、今は誰も咎めるものがいない。よって薪の意地悪と皮肉はどんどん増大して、現在の部下たちに降り注いでいるのだ。
 新人の成長を心から願って、薪は第九仕様の特別養成プログラムを頭の中で組み立て始めた。


 ―了―



(2008.10)


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
毎日たくさんの拍手をありがとうございます。励まされてます。
おかげさまで、しづは元気で仕事してます。(10/28)
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: