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ラストクリスマス(1)

 2061年、最後のお話です。
 いつの間にか、季節を追い越してしまいました。

 クリスマスは、うちの薪さんの誕生日。
 去年は青木くんのお父さんが亡くなって、お流れになってしまったデート。
 今年こそ、楽しいクリスマスデートをさせてあげたい、と考えて書いたお話です。

 この次のお話が、最終話になります。
 なので、これは薪さんが青木くんに落ちる直前のお話です。




 余談ですが。
 実は一昨日いただいたコメと拍手コメが、12件中10件も鍵だったんです。
 なんでみんなして、鍵??
 あまりの確率に、大笑いしました。(^^




ラストクリスマス(1)





 冬空に、びっしりと敷き詰められた雲が妙に明るく、白む昼。
 ふわりふわりと上空から落ちてきたのは、冬の女神が花びらをちぎって下界に撒いたかのような、人の手には作り出せないうるわしき結晶体。この季節にしか楽しめない、自然が作り出した幻想的な風景。
 以前はとても美しいと感じ、その白さに飲み込まれた景色を楽しんでいた薪だったが、今年ばかりは苦々しい思いで窓の外を眺めている。先々月に見舞われた、災難のためだ。

「わあ。降ってきましたね」
 室長室にコーヒーを持ってきた青木が、窓から空を見上げて弾んだ声を出す。第九のバリスタの特製ブレンドに口をつけて、薪は呆れ果てた声で言った。
「おまえ、あれだけの目に遭っておいて。まだ雪がうれしいのか?」
「雪に罪はありませんから」
 罪はなくても、そのせいで死にかけたのは事実だ。薪の神経では、とてもそんな呑気なことは言えない。
「今年、二度目の初雪ですね」
「それは初雪とは言わんだろ」
 それもそうですね、と笑って、青木は薪の傍らに立つ。
 コーヒーを置いてすぐに出て行かないところを見ると、薪になにか話があるらしい。
 机の前に立たないということは、仕事の話ではない。青木が自分の隣に立つのは、プライベートの話があるときだ。

「薪さん」
 やっぱりそうだ。
 仕事中の青木は、薪のことを室長と呼ぶ。苗字で呼ぶのは、友人としての話があるときだ。
「あのですね」
 この時期。この季節。
 別に何を期待しているわけでもないけれど。
「実はその……」
 じれったいな、早く言え。

 マグカップを机に置き、右隣に立っている男を見上げる。
 不安そうな黒い瞳に視線を絡ませ、薪は瞬きを2回する。小首を傾げて、くちびるをすぼめる。理由は不明だが、薪がこうすると青木は、臆せずに物が言えるようになる。

「クリスマスの夜。今年こそ、ディナーを一緒に」
 だと思った。
「だけど、すみません。山水亭の予約が取れなくて。青山のベルギューイにしたんですけど」
 たしか、魚料理が美味い店だ。フレンチだけど日本人の好みに合わせて、あまり脂っこくなくて、乳製品の臭みが無い料理を出す。
 薪の好みを掌握している青木ならではの選択だったが、薪は即座に首を振った。
「いやだ」
「どうしてですか?」
「男ふたりでクリスマスのレストランなんか行けるか。みっともない。周りはカップルばかりだぞ」
「そこをなんとか」
「だめだ」
「お願いですから」
「ぜったいに、行かない」
 取り付く島もない口調で言い捨てる。その言葉の温度は、降り積もる雪よりも冷たい。

「……どうしておまえ、そんなにうれしそうなんだ? 僕は断ってるだろ?」
 訝しげな薪の問いかけは、無理もなかった。
 薪の隣に立った大男は、何故かにこにこと笑っていて、メガネの奥の切れ長の目を細めていた。
「まだ日にちがありますから。ゆっくり考えてくださいね」
 薪の問いには答えず、青木はそう言うと室長室を出て行った。

「??」
 青木の態度に納得がいかない薪は、目をぱちくりさせつつ首を捻った。
「やっぱり、最近の若いもんはよくわからんな」
 薪の理解の及ばない若造と入れ違いに、岡部が入ってくる。
 議事録の綴りを小脇に抱えている。生真面目な岡部は、会議の記録をいちいち薪に見せに来る。捜査会議以外の会議をあまり重要なものに捉えていない薪は、議事録は適当でいいといつも岡部に言っているのだが、これも副室長の役目としっかりしたものを作ってくるのだ。

 ファイルを開けると思った通り、きちんと書き込まれた室長会議の記録。渡された資料を抜粋して綴じておけばいい、と以前も言った気がするが、これは岡部の努力だ。正当に評価してやろう。
「薪さん。なにかいいことありました?」
「……なんで?」
「いや、なんか。お顔が緩んでます」
「寝ぼけたこと言ってないで。ほら、この議事録。こことここ、書き直し!」
 ファイルを突き返して、岡部を部屋から追い出した。

 岡部まで、意味不明のことを言い出した。この雪、放射能でも入ってて、人の脳に作用してるんじゃないだろうな。
 バカなことを考えつつ、薪は私用のロッカーの扉を開けた。扉の内側に取り付けられた鏡で、自分の顔を見る。

 げっ。なんだ、この顔。
 頬は赤いし、口は緩んでるし、眼はキラキラしちゃってるし……。

 くっそ、青木のやつ。やけに余裕かましてると思ったら!

 ふらふらと後ずさって、寝椅子に座り込む。ため息をついて、頭を抱え込んだ。
 食事に誘われたくらいで、こんなにニヤケちゃうなんて。
 そりゃ、本音を言えば、今年も誘ってくれるかな、なんて期待してたけど。
 親父さんの1周忌のために、青木は再来週から実家に帰る。その前に一度、ゆっくりとふたりで過ごしたい、なんて、ちょっとは……考えたりもしたけど。

 思いどおりにならない自分の中の衝動に、薪はため息を吐く。
 この頃、自分の気持ちに歯止めが利かなくなってきている。たしかに、青木と過ごす時間は、とても楽しくて。今の僕にはかけがえのないものだと自覚はしているけれど。
 それでも、やっぱり超えられない一線はあって。そこを超えたがっている青木と絶対に死守したい僕との間で、密かに攻防戦が繰り広げられている。

 許す気がないんだから、誘いも断るべきだと思うけれど……それは、どうしてもできない。
 できるはずがない。食事に誘われただけで、こんな顔になっちゃうくらいだ。
 さっきだって、あれくらいで青木が引き下がるはずがないと分かっていて、行かないと言ったのだ。もう、これは言葉遊びみたいなもので。青木も了承済みの駆け引きなのだ。

 薪がいやだ、と言えば、青木はもっと丁寧な言葉で誘ってくる。
 瞳に熱を込めて、「お願いします、あなたと一緒に過ごしたいんです。あなたが生まれた特別な日を、オレにお祝いさせてください」なんて、僕を有頂天にさせるようなセリフを言ってくる。
 べつに、そんな言葉が欲しいわけじゃないけど、キリストの生誕に埋もれて忘れられがちな自分の誕生日を祝ってくれる人間がいるということは、決して悪い気分ではない。

 昼食後のコーヒーを持ってきたときにでも、承諾の返事をしてやるか。それとも、2、3日、気を揉ませたほうがいいかな。あんまりすぐに返事して、尻尾振ってるみたく思われるのも業腹だ。

 ……いいや。昼に返事をしてやろう。どうせこの顔で、自分の気持ちはバレてるし。

 自分がOKの返事をしてやったときの青木のうれしそうな顔を思い浮かべて、また頬が緩む。それを窓の外に広がる雪景色の美しさのせいだと自分に言い聞かせて、薪はブラジルベースのコクのあるブレンドを飲み干した。



*****

 薪さんのオトメ化が進んでる。 ツンデレの研究までしてる。
 いったいどこまで行っちゃうんでしょう、このひと。(笑)



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ラストクリスマス(2)

ラストクリスマス(2)







 職員食堂のランチのボリュームは大きい。科学警察研究所という施設がら、ここの職員は圧倒的に男性が多い。その需要に合わせて、働き盛りの男子向けに分量が定められているからだ。
 よって、普通の女子が定食を頼むときには、ほぼ例外なく半ライスを頼む。半ライスでも、小ぶりの茶碗2杯分はある。女の子には充分すぎる量だ。

 しかし、どこにでも例外というのは存在するもので、女性の中にもこの量を食べきる猛者はいる。しかもごはんは大盛り、さらにはおかずをもう一品追加するという非常識な食欲の持ち主も、わずかではあるがいたりするのだ。

 半ライスのごはんを更に半分にして、菅井祥子は隣に座った上司を呆れ顔で見ている。
 菅井の所属は法医第一研究室。主に遺体の解剖をし、死因を確定するのが仕事だ。菅井の職種は監察医の助手で、隣の上司は監察医だ。
 上司の名前は、三好雪子。年は37歳。
 仕事一筋のキャリアウーマンで、当然独身。女だてらに柔道4段の腕前で、やっぱり独身。第九研究室の室長で警察庁一怖いと評判のだれかさんの名をとって、「女薪」とのあだ名があることから結局独身。

「どうしてかしら。急にムカついてきたんだけど」
「食べすぎじゃないんですか? それとも昨日のお酒ですか? 30女の自棄酒はみっともないから、控えてくださいね。ひとり淋しく急性アルコール中毒で亡くなってる先生を発見するなんて、わたし、イヤですからね」
「心配してくれて、どうもありがとう! スガちゃんのやさしさには、毎度、涙がちょちょぎれるわっ!」
 どういたしまして、と平気な顔で切り替えして、菅井は雪子の茶碗に自分のごはんの半分を入れてやる。これだけ食べて太らない雪子の体質を、実は密かにやっかんでいる。

「ところで。来週のご予定は決まったんですか?」
「来週? 何か入ってたっけ?」
 この季節、この時期に『予定』という言葉に反応しないのは、雪子くらいのものだ。今は高校生だって、クリスマスは家族ではなく、彼氏とパーティという時代なのに。
「クリスマスですよ。今年もおひとりで過ごされるんですか?」
「ほっといてよ。べつに、スガちゃんに迷惑掛けてないでしょ」
「迷惑ってほどじゃないですけど。いまごろ雪子先生は、ひとりでチキンを齧って、ケーキをホールごと食べて、ヤケ酒飲んで、あの汚い部屋にいるのかと思うと、心の底からのデートを楽しむ気になれなくて」
「よけいなお世話よ!」

 強い口調で叫んで、雪子は大きな酢豚の肉を丸ごと口に放り込む。菅井なら3口に分けて食べる、いや、カロリーが気になるから、酢豚なんて始めから食べない。
「仕方ないから、これ、差し上げます」
「ふぐふぐ?」(なに、これ?)
 頬を大きく膨らませてモゴモゴ言っている雪子の前に菅井が差し出したのは、コンサートのチケットだった。

「クリスマスコンサートのチケットです。ほら、第九とか合唱するやつ」
「これ、ひとりで行けっての?」
「青木さんを誘えばいいじゃないですか」
「はあ? なに、その人選」
「またまた。素直じゃないんだから」
「あのねえ、スガちゃん。なんか勘違いしてるみたいだけど」
「カンチガイじゃありません。37にもなって恋人のひとりもいない雪子先生が、恋愛マスター菅井祥子に意見するつもりですか?」
「だから大きなお世話だっつのっっ!!」
「うわ!」
 思わず立ち上がった雪子の背中にどん、と押されて、後ろを歩いていた人物がよろめいた。

「あ、ごめんなさい……あら、薪くん」
 不幸な事故でトレーに山菜そばの汁をこぼしてしまったのは、第九の室長で雪子の友人の薪だった。
 それほど強くぶつかったわけではないから、普通の体格の男ならよろめくこともなかったかもしれないが、薪は小柄だ。菅井といくらも変わらない、華奢な身体をしている。
「大丈夫? やけどしなかった?」
「はい。平気です」
「服は汚れなかった? ごめんね。いま、新しいの買ってくるから」
「大丈夫です。ちょっと汁がこぼれただけですから。食べられますよ」
 薪はにこっと雪子に笑いかけ、一緒に来ていた第九の副室長の方へ歩いていった。

「はあ。薪室長って、本当に素敵ですねえ」
 雪子より自分の方が遥かに幸せだといつも思っている菅井だが、これだけは雪子がうらやましいと思ってしまう。氷の警視正の異名をとる薪が笑いかけるのは、ごく限られた人間だけだ。
「薪室長のクリスマスのお相手は、だれかしら」
「薪くんはクリスマスなんて関係ないから。どうせ今年も仕事でしょ」
「まさか。あ、でも、官房長も間宮部長も家庭があるから……そうだ、竹内さんがいるじゃないですか」
「なんで男限定なの?」
「薪室長に女の人なんて、許せません」
「どういう理屈?」
 このニュアンスが解らないところが、雪子の恋愛オンチの証だ。雪子は現実主義で、オトメゴコロに欠けるのだ。

 菅井の3倍の量の食事をぺろりと平らげて、更にデザートにとお汁粉を頼んだ上司に、菅井は深いため息をついたのだった。




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ラストクリスマス(3)

ラストクリスマス(3)





「青木。さっきのクリスマスの話だけど」
 昼に食後のコーヒーを持って室長室を訪れた青木は、薪の言葉に驚きを隠せなかった。
 ひねくれものの薪にしては、返事が早すぎる。直前まで焦らされると思っていた。
 しかし、薪のその後のセリフにはもっと驚かされた。

「雪子さんと3人なら行ってもいい」
「三好先生と、ですか?」
「そうだ。それなら、男ふたりより目立たないだろ」
 よっぽどふたりきりが嫌らしい。
 そういえば、去年の秋に青木の昇格試験合格の褒美にと、ふたりで赤坂のスカイレストランで食事をしたことがあった。そのことを薪は何故かとても悔やんでいて、あんな恥ずかしい思いはもう二度としたくない、と言っていた。
 青木にとってはとても素晴らしい夜で、薪がなにを恥ずかしがっていたのか、さっぱりわからない。店の客にじろじろ見られていた、とか、おかしな誤解を受けたに違いない、などと心配しているようだったが、青木の目には、ドレスアップした薪の美しさに店中の客の視線が釘付けになっていたようにしか見えなかった。

「わかりました。じゃ、予約の人数を増やしておきますね」
「それは僕がやる」
「え? どうしてですか?」
「おまえは、僕へのプレゼントにこのレストランを予約してくれたんだろ? だったら、僕もおまえにそのお返しをしたいから」
「オプションでケーキとかですか?」
「ナイショだ」
 コケティッシュな微笑で青木の口を封じると、薪は机の上の書類を手に取った。もう、青木と話をするつもりはない、ということだ。
 青木は黙って敬礼し、室長室を後にした。




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ラストクリスマス(4)

 すいません、ちょっと私信です。

 K24さん、ここ、読まないほうがいいです。(笑)

 わんすけさん、お察しの通りです。

 そしてかのんさん。恐れ入りました。4年先まで、見透かされました。




ラストクリスマス(4)






 青山のベルギューイは、普段からカップルが多く訪れるお洒落な店だ。
 客のプライバシーに配慮して、テーブルの間隔は広く、照明も暖色の間接照明を使うなどして、ロマンチックなムードに浸れるように配慮している。そのためか、このレストランで、愛の告白やプロポーズをする客も多い。
 いつも甘い雰囲気に包まれている店内だが、クリスマスイブともなればその甘さはいや増す。一年に一度の特別な夜を楽しむ恋人たちの熱で、店内に飾られた作り物の雪まで溶けようかという勢いだ。

 その店内で1箇所だけ。
 甘い雰囲気とはかけ離れたムードの席があった。

 黒髪のメガネをかけた男性と、黒髪の美女。どちらもなかなかの容姿で、クリスマスらしくドレスアップしており、見た目にはお似合いの二人とも思えたが。
 二人の表情はなぜか物憂げで、特に男のほうは泣き出しそうなくらいにしょんぼりしていて、傍目にはこの青年が、向かいの美女にプロポーズを断られた直後のようにも見えた。

「まあ……薪さんが予約の変更を自分でするって言ったときから、予想はしてましたけど」
 携帯電話の画面を見つめつつ、青木は自嘲気味に言った。
 画面には、薪からのメールが表示されている。青木の胸に突き刺さる、素っ気無い文章。

『行けなくなった。雪子さんを頼む』

 最初から、そのつもりだったのだろう。
 予約された席には、椅子もグラスも二人分しか用意されていなかった。
 
「薪くんが来ないんじゃ、本末転倒ね。どうする? 青木くん。キャンセルして帰る?」
「キャンセルなんてもったいない。食べましょうよ」
「いいの?」
「いいもなにも。先生をお誘いしたのは、オレのほうですから」
 雪子に声を掛けたのは、青木だ。薪に言われて、誘いに行った。
 最初は断られたが、雪子が来ないと薪も来ないという裏事情を告げると、二つ返事でOKしてくれた。雪子にだって、クリスマスイブの予定があったに違いない。それを自分のために都合をつけてくれたのだから、ここで帰すような真似はできない。

 しかし、予約をし直すと言いながら、薪が何もしなかったと思ったのは、二人の早とちりだった。
 薪は、特別なワインを用意していた。
『ラストクリスマス』
 このワインを一緒に飲んだ男女は、幸せな結婚ができる、というジンクスがあるんですよ、とソムリエが教えてくれた。
「そんな意味合いのワインが、どうして最後のクリスマスなんですか?」
「独り身で過ごす最後のクリスマス、という意味です。次のクリスマスには、夫婦になっていましょう、という意味が込められてるんです」
 ワイングラスに注がれた微かに金色がかった透明な液体を、ふたりの男女は複雑な思いで見つめた。

「わあ、前菜は平目のカルパッチョですね。薪さん、これ大好物なんですよね。きっと悔しがりますよ。うん、美味しい」
 ナイフとフォークを意外なくらい上品に操って料理を口に運ぶ年下の男に、つい見とれていた自分に気づいて、雪子は苦笑した。
 菅井の悪影響だ。なんだか、青木がいい男に見える。
 無理もないかもしれない。こんなにお洒落に決めている青木を見たのは、初めてだ。
 薪とのデートのために、ずいぶん鏡の前で苦心したのだろう。髪型も装いも、普段の公務員然とした地味な彼とは別人のように洗練されている。

 シルバーのワイシャツと同系色のタイ。控えめなストライプがシャープな印象をかもし出すスーツは、ブラックに近いグレー。髪型も前髪を残して、ふわりと左側に流している。
 たぶん、都会派の竹内にも負けない。竹内と青木は仲がいいから、彼からお洒落を学んでいるのかもしれない。

 次の料理が運ばれてくる。
 澄んだ琥珀色のコンソメスープに、青木の手が止まっている。
 きっと、雪子と同じことを考えている。琥珀は、薪の瞳の色だ。

「ホント、美味しいですね。さすが、クリスマスのお勧めベスト5に入る店ですよね」
 言葉は明るいが、表情と合っていない。
 青木はとても正直な男で、心の中がどうしても顔に表れてしまう性質なのだ。
「無理しなくてもいいわよ。今更、あたしの前で強がったって、意味ないでしょ」
 くいーっとひと息にワインを飲み干して、雪子は笑った。真っ赤なルージュと耳元のイヤリングが、柔らかい照明の中で揺れる。
「仕方ないです。これが薪さんの答えなんですよね」
 青木は顔の前にワインを掲げて、つらそうに口をつける。
 ここで慰めるのが女の役目かしら―――― そんな考えが、ちらりと頭を掠める。

「薪くんて、いっつもこう」
 コンソメスープを見つめる青木の目を見て、雪子は心を決めた。
「あれこれ考えすぎて、とんちんかんなことばかりしてる。手を伸ばせば届くところに美味しいものがあるのに、それは自分のものじゃない、誰かのものだと思い込んでる。実際に誰かが食べちゃったら、悔しくて泣き出しちゃうくせに」
 メガネの奥の切れ長の瞳が、迷うように雪子を見ている。雪子の言いたいことはわかるが、それを行動に移すのはためらわれるのだろう。

「あー、今ごろ泣いちゃってるかも。薪くん泣き虫だから。だれかに食べられちゃったかな、とか思いながら、ウジウジしてるわよ、きっと」
 青木はやさしい男だ。
 自分の気持ちだけを優先して、行動するようなことはしない。薪がそれを望むなら、身を引く覚悟もある。
 恋と呼ぶには深すぎる想い。あまりにも深くて、はまったら身動きがとれない。

 雪子は手酌で3杯目のワインを注ぐ。スープの段階で3杯目なんて、我ながら無茶な飲み方をしている。
「さっさと行けば」
 菅井に言われるまでもない。
 雪子とて、自分の気持ちくらい、とっくに気が付いている。
「ウザイのよね、その辛気臭いツラ。せっかくのワインと食事が不味くなるわ。あたしの人生で一番の楽しみを、ジャマしないでくれる?」
「……すみません」

 雪子に深く頭を下げて、青木はテーブルを離れた。
 1本目のワインが早くも空になり、2本目を頼もうとしたとき、雪子の前に見知った顔が現れた。
「こんばんは、三好先生」
 一課の竹内だ。署内一のモテ男。竹内もここでクリスマスデートだったのか。いやなやつに見つかったものだ。
 こんばんは、と応えを返すが、雪子はこの男があまり好きではない。プレイボーイで、次々女を変えると評判の男だ。雪子も薪と同じで、そういう男は好きになれない。
 
「よそのテーブルの女に声を掛けるなんて。彼女に誤解されるわよ」
「さっき、振られちゃいまして。食事の途中で帰ってしまいました」
 竹内の打ち明け話に、雪子は目を瞠った。
 雪子が男に逃げられたのを見て笑いに来たのかと思っていたが、そうではなかったらしい。

「もうけっこう前からなんですけど、本気で好きな人ができちゃいまして。絶対に叶わない恋だから諦めようとしてるんですけど、これがなかなかうまく行かなくて。おかげで署内モテ男ナンバー1の座を、二課の大山に奪われました」
 竹内の好きなひと、とは薪のことだ。
 薪本人はまったく気付いていないらしいが、以前、青木がそんな事を言っていた。
「どんな娘と付き合っても、忘れられなくて。デート中も、その人のことばかり考えてしまって。おかげで振られ記録更新中です」
 情けない現実を暴露した竹内の顔は、何故だかうれしそうで。
 ひとりで飲み干したワインのせいか、雪子にはその顔が、いつもの気障な遊び人とは別人に思えた。

「あたしは、今のあんたの方が好きだけどね。少なくとも、一緒に食事をしてもいいと思うくらいには」
「光栄です」
 竹内は青木が座っていた席に腰を下ろした。
 どうやら、雪子のディナーに付き合ってくれるらしい。
 
「ちょっと。あんたの彼女の分の食事も、こっちへ運んでもらって。あたしが食べてあげるから」
「あはは。頼もしいですね、三好先生」
「もうあたしの人生には、これと解剖しか楽しみがないからね。すいません、ワイン追加。ボトルで!」
 真っ赤なルージュを引いたくちびるの端をにやっと吊り上げて、雪子はフロア係に手を上げた。



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ラストクリスマス(5)

 薪さん、空回り中です。
 袋小路のどん詰まりで、壁相手にいちびってます。どんだけグダグダした主人公なんでしょう。
 でも、バカな子ほどかわいいってね♪(←親バカ)




ラストクリスマス(5)





 クリーム色のソファで片膝を抱えて、薪はテレビを見ている。
 このドラマの原作は、薪の好きな推理作家だ。病院で起きる連続殺人を解明するのは駆け出しの研修医で、犯人に辿りつく重要な手がかりがこの辺で……。
「あれ? おかしいな」
 原作は読んでいるから、内容は頭に入っている。ここであのヒントがないと、事件の解決につながらないはずなのに。
 不思議に思ってビデオを巻き戻してみると、CM前にそのシーンがちゃんと入っていて、自分がうっかりと見過ごしていたことを知った。覚えていなかったのはその場面だけではなく、看護師が窓の鍵を開けるシーンや、麻酔医が手術前の注射をする重要なシーンも記憶になかった。

 薪は、ため息混じりにビデオのスイッチを切った。
 ダメだ。ぜんぜん頭に入ってない。これは電力の無駄遣いだ。

「うまくいってるかな、あのふたり」

 今年のクリスマスも、やっぱりひとりだ。去年も一昨年も、その前も。もう何年も、この日は独りだ。
 いや、3年前は鈴木と過ごしたんだった。山水亭でふたりで食事をして。土瓶蒸しが美味かった。
 その後のことはわざと思い出さないようにして、薪は親友の婚約者だった女性のことを考える。何日か前に職員食堂で聞いた彼女と彼女の助手の会話を、一字一句違えず脳裏で再生する。

『青木さんを誘えばいいじゃないですか』
『またまた。素直じゃないんだから』

 忘れてたわけじゃない。雪子さんの気持ちは、ちゃんと分かってた。
 僕だって、何回も青木にそう言ったんだ。でも、あいつは……僕が好きだって。
 何度も何度も繰り返すもんだから、僕はいつの間にか雪子さんのことを考えなくなってた。

 両膝を抱え込み、ソファにころりと横になる。身体を丸めると安心するのは、これが胎児の体勢だからだろうか。
 そのまま目を閉じて、目蓋の裏に自分の部下と友人の女性の姿を思い浮かべる。途端にきりきりと胸が痛むのは、夕飯に食べたチキンのせいか。脂が強くて、胃もたれしているのかもしれない。

 ……鈴木が死んで半年が過ぎた頃、青木が現れた。
 彼の生まれ変わりとしか思えないくらい、何もかも鈴木にそっくりで。彼を思い出させるその姿を、薪はずっと見ていた。
 1年近く経った頃、青木は何を思ったか男の薪に好きだと告白して来た。
 はっきりと断ったのに、諦めないと言われた。自分の態度のどこに青木の想いをつなぐ余地があったのか、薪は今でもわからない。だけど青木はその言葉どおりに、積極的に薪のそばに寄ってくるようになって。

 かつての親友とよく似た男と過ごすのは、とても楽しかった。
 本当に、青木は鈴木にそっくりだった。
 外見だけじゃなく、考え方や会話のセンスや、食べ物の好みまで。鈴木といるみたいな錯覚に陥って「鈴木」と呼びかけてしまったことも、一度や二度じゃなかった。
 セリフがそっくりかぶることもあった。鈴木が薪に言ったことをどこかで聞いていたのか、とバカな疑いを持ってしまうくらい。それは薪の心を千々に乱した。

 複雑な思いを重ねた2年。
 色々なことがあって、泣いたり笑ったりしているうちに、青木の存在は薪にとって、とても大切なものになっていった。それはかつての親友と同じくらいの重さで、大きさで。
 だけど。

 鈴木と違って、青木が自分に抱いている感情は、危険なものだ。倫理的にももちろんだけど、それが成就したときのことを想像するに、仕事のこととか青木の肉親のこととか、どう考えても暗い結末しか浮かばない。
 どうして青木は、そんなことを望むのだろう。
 青木が望む関係は、いつかは必ず壊れるものだということが、わからないのだろうか。

 青木は分かってない。
 男同士の恋人関係なんて、もともといびつで不自然なものなんだ。
 ずっとずっと隠し続けなければいけない、暗闇ばかりを選んで歩かなければいけない。そんなみじめな思いをし続けて。
 そんなものが、そう長く続くはずがない。
 一時期はたしかに幸せかもしれないけれど、その後には傷つけ合うだけの日々が待っている。

 第一、僕たちがそんな関係になったとして、いったい誰が喜んでくれる?
 親はどうする? 友人は?
 プライベートだけじゃない、仕事は? もしも監査課にバレたら、ふたりとも左遷だ。警察というところは、スキャンダルを嫌う。僕はおそらく第九の室長ではいられなくなるし、青木の出世にも関わってくるだろう。
 周りの人間、すべてを騙し続けなければならない状況が、正直な青木にどれだけの負担を強いることになるか。

 今の僕には、あの頃は見えなかった現実がよくわかっている。だから、青木の気持ちは受け入れられない。最終的には、ふたりとも不幸になるだけだと解っているから。

 青木とは友だちでいたい。
 友だちなら、ずっと一緒にいられるのに。だれ憚ることなく、堂々としていられるのに。

 ……それは、詭弁……かもしれない。
 僕は本当は、怖がっているだけなのかもしれない。
 そうなったときに、のめり込んでしまうのがこわいのかも。

 受け入れてしまったら、相手のすべてが欲しくなる。
 鈴木との経験から、それを制御できない自分を僕は知っている。

 鈴木とは、それでうまく行かなくなった。
 鈴木と僕の気持ちがかみ合わなくなってから、完全に壊れるまでの2ヶ月あまり。僕たちは毎日のようにケンカして、鈴木は肩を竦めて僕のアパートから出て行って、僕は泣きながら朝を迎えて。
 最後にはお互い、これ以上はないくらい傷つけあって別れた。
 雪子さんのおかげで、僕たちは友だちとしてやり直すことができたけど。おそらく雪子さんがいなかったら、あれきり鈴木とは縁が切れていた。

 青木とは、そうなりたくない。
 こわい。
 青木を失うのが怖い。
 鈴木のときみたいに、傷つくのが怖い。あの絶望感を味わうのが怖い。

 絶対に失いたくないから。
 このままの関係でいれば、完全に糸が断ち切られることはない。
 一番大切なひとになれなくてもいい。友だちでいい。鈴木との時のように、疎んじられて顔も見れなくなるより、ずっとマシだ。
 そう思っているのかも。

 わからない。
 わからない。
 わからない。

 一つだけ確かなことは。
 僕よりも、雪子さんのほうが青木を幸せにできるってことだけ。青木に平穏で満ち足りた人生を与えてやれるってことだけ。

 だから、後悔しない。
 『ラストクリスマス』は、あの二人にこそ相応しい――――。



*****


 薪さんが鈴木さんに振られた顛末は、『言えない理由sideA』に書いてあります。
 よろしかったらどうぞ。


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ラストクリスマス(6)

ラストクリスマス(6)




 軽やかな電子音が響き、薪に来訪者の存在を告げる。

 エントランスのドアを解除した覚えはないから、これは管理人の馴染みだ。つまり、岡部かあいつだ。でも、後者はない。だって、青木は雪子さんと食事中――――。
 不安に駆られて、インターホンについたカメラの画を見る。いやな予感は的中し、マヌケ面をした長身の男がそこに映っていた。

「薪さん。オレです。開けてくださ、あ、よかった、いてくれて、って痛っあ!」
 ドアを開けると同時に、薪は青木の向こう脛を蹴り飛ばした。
「なにするんですか、もう」
「それはこっちのセリフだ! 何してるんだ、こんなところに来て。雪子さんはどうしたんだ?」
「三好先生なら、二人分のフルコースを食べてます」
「レストランに女性をひとりで置いてきたのか!? なんてことするんだ、おまえは! 雪子さんの気持ちを考えなかったのか!」

 ドア口で怒鳴っていたら、同じマンションの住人が廊下を歩いてくるのが見えた。
 いくら完全防音が売りのマンションでも、廊下はその対象外だ。ここで騒ぐのは迷惑だ。
 薪は細い顎をしゃくって、青木に中に入るよう促すと、自分は靴を脱いで部屋に上がった。青木は玄関に立たせたまま、自分は一段高い床の上で、それでも自分より青木の顔が高いところにあるのがシャクに障る。

「薪さん。これ、お土産です。薪さんが入れてくれたワイン。とっても美味しかったから、1本買ってきちゃいました」
 能天気な顔で、きれいにラッピングされたワインを差し出す。リボンを止めているハート型のシールには、Xmasではなく、Happy Birthday の文字。
 薪はそれを受け取ろうとはせず、腕組みをして青木を睨み据えた。

「おまえな。レストランに残された女性が、周りからどんな目で見られて嫌な思いをするか、想像して」
「オレの気持ちはどうなるんですか」
 薪の言葉を遮るように、青木は言った。
「オレの気持ちは、考えてくれないんですか。オレはあなた以外は見えないって、何度も言ってるじゃないですか。それなのに、三好先生とふたりきりの夕食をセッティングするって、どういうことですか」
 普段なら、青木は絶対に薪の言葉を遮ったりしない。どんなに耳が痛いことでも、あるいはどれだけ理不尽なイジワルでも、にこにこしながら聞いている。
 それが、こんなふうに言い募るのは……青木の父親が亡くなったとき以来だ。

「薪さん。オレのこと、キライじゃないですよね。休日に、何度もふたりで出掛けましたよね。オレがキライだったら、そんなことしないでしょう?」
 嫌いじゃない。
 きらいじゃないから、困ってるんじゃないか。

「じゃあ、正直に言うけど。僕はおまえとは友だちでいたい。おまえとセックスするところなんか、想像できないんだ。だから、そういう関係を望んでるなら、僕のことは諦めろ」
 今まで何度も何度も断り続けてきたけれど、ここまで具体的な拒絶の言葉を告げたのは、初めてかもしれない。
 僕には鈴木がいるから、とか、僕は鈴木のものだから、なんて死んだ人間を引き合いに出す断り方は、もう卑怯だと思った。そんな言い方じゃ、こいつは僕を諦めない。

 ……諦めて欲しくなかったのか?
 いや、そんなことはない。そんなことはないけど、でも。
 言ってしまった後の、この焦燥感はなんだ?どうしてこんなに不安になるんだ?
 これで決定的にこいつが僕から離れてしまうと思ったら、泣き出したくなるほど辛いのは何故だ――――?

「いいです、友だちで」
「へっ……?」
「友だちでいいです。薪さんのそばにいられるなら、それでもいいです」
 またこいつは、きれいごとばかり言いやがって。男の欲望ってのは、そんなに純粋なもんじゃない。
「おまえの望みは、そうじゃないんだろ?」
「オレの望み、ですか?」
 薪の頭上10センチの空間で、青木が首を傾げる。メガネの奥の子犬のような瞳が、ふわりと笑った。
 
「オレの望みは、薪さんが昔の写真にあるような顔で、笑ってくれることです」

 屈託のない笑顔に、薪の心臓がとくりと高鳴る。

 だめだ。
 抱きしめたくなるくらい、こいつが愛おしい。

 こいつの真っ直ぐな愛情に貫かれるのが、震えるほどうれしい。
 流される。
 抑えが効かなくなる。
 これ以上、こいつの顔を見ていることは、危険だ。

「笑えばいいんだな? 望みを叶えてやるから、レストランに戻れ。雪子さんを家まで送ってくれ」
 くちびるの端を吊り上げて、微笑みの形を作る。
 作り慣れた営業スマイル。どんなに心が乱れていても、笑顔の一つも作れなければ、第九の室長は務まらない。
「あの写真には、ほど遠いですね」
 薪の完璧な作り笑顔を受けて、青木は苦笑した。
「三好先生が言ってました。薪さんは余計な事を考えすぎるんだって。笑顔の秘訣は、考えても仕方のないことは、考えないことですよ。オレはいつもそうしてます」

 薪の両肩に、青木の手が置かれる。
 黒曜石の瞳が、琥珀の瞳を捕らえる。瞬くようなきらめきが、自分へ向かう想いの熱を、薪に悟らせる。
「オレはまだまだ未熟ですけど。きっといつか、あの写真みたいな笑顔をあなたに取り戻してあげ」
「いいから、早く行け!」

 突き飛ばすように、青木をドアの外に追い出す。顔を伏せたままドアを閉めて、背中で扉ごしに青木の気配を探る。
 見えなくてもわかる。
 青木はちょっと困ったような顔をして、ドアを見ている。僕がこうしてドアのこちら側で青木の気配を感じているように、青木も僕の背中を見ている。
 ドアは僕たちの間にあって、でもまるで鏡のように、お互いの姿を映し出す。

 冗談じゃない。
 胸のうちまで見透かされてたまるか。

 薪はドアから離れた。
 完全防音の部屋には、廊下の音は一切聞こえない。青木が歩く足音も、階段を下りていく音も。
「ったく。正真正銘のバカだな」

 さっきまでの哀しい気分が、ウソのように消えている。一回りも年下の若造に、こうまで感情を操られるなんて。

 友だちでいいと青木は言ったけど。
 たぶん、それは無理だと思う。
 それはお互い分かっている。僕たちは友だちになるには価値観が違いすぎるし、考え方も違う。
 何より、僕も青木も、それを本心から望んでいない。
 このままいくと、そこに辿りついてしまう予感はある。が、そうなってしまったら……。

 答えの出ない堂々巡りに再び陥りそうになって、薪は慌ててかぶりを振る。
 考えても仕方のないことは、考えない。
 それが笑顔の秘訣だと、青木は言った。
 
「何様だ、あいつ。何がオレが笑顔を取り戻して、だ」
 せめて独り言で強がって、薪は青木が上がり口に置いて行ったワインを取り上げた。ダイニングに行き、オープナーでコルクを抜く。
 ワイングラスに薄い黄金色の液体を注ぐと、見えない誰かと乾杯でもするように、顔の前に掲げた。

「はっぴーばーすでぃ……僕」



―了―





(2009.7)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

ラストクリスマス~あとがき~

 このたびは、うちのオカドチガイ男爵(←わんすけさん命名)の誕生日にお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。


 今回は薪さんの誕生日のお話でした。
 青木くんに誘われて、ニヤケまくりの薪さん。書いてて楽しかったです。(^^
 そして、いつもの袋小路思考と暴走。
 結局は雪子さんにしてやられて、青木くんと雪子さんをくっつける計画はおじゃんです。青木くんに落ちる一歩手前の、最後の悪あがきってところですね。


 作中の、
『オレの望みは、薪さんが昔の写真にあるような顔で笑ってくれることです』
 青木くんのこのセリフは、唯一、わたしが原作の薪さんに望むことです。

 昔のあの笑顔を取り戻して欲しい。どんな方法でもいいから、自分の幸せを諦めることなく、前に向かって歩いていって欲しいのです。
 見るのも辛いシーンでしたが、10月号の雪子さんとのやり取りで、薪さんが一歩でも前に進めたなら。あの涙は流す意味があったのだ、と……そう思いたいです。


 さて、次のお話は、少々本編から外れまして。
 2000拍手のお礼SSです。
 かのんさんにリクエストいただきました、不憫な竹内のお話です。
(リクエストをいただいたのはだいぶ前なのですが、時系列的にここに入るので、公開を遅らせていました。ご了承願います)

 竹内はオリキャラなんですが、なぜか異様に気に入ってくださった方がいらっしゃいまして。作者としてはうれしい限りです。
 彼女には雪子さんとの結婚話に泣かれてしまいましたが、産みの親にしてみれば、それはとても嬉しいことなのです。そこまで惚れてくださるなんて、と感激いたしました。

 
 この世界で一番報われない男、竹内の不憫な様子をご笑覧いただけましたら幸いです。



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Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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