理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(3)

理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(3)

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テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(2)

 こんにちは。

 今日はデートなのですよ。
 初めての二人きり。 ドキドキします~~!!!
 ケダモノにならないように気をつけnk。


 しづの理性が持つように祈っててください★



理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(2)





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理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(1)

 こんにちは~。

 予告では『スキャンダル』というお話を公開するはずだったんですけど、それのちょっと前の話が書き上がったのでこちらを先に。すみません、いっつも予告通りに行かなくて。(^^;

 これ、ものすごく難しい題名なんですけど、哲学も心理学も関与してなくて、ぶっちゃけ、

 ただのRです。


 なんか題名が思い浮かばなくて~~、もともと何が言いたいのかわからない内容だし~、
 要は、
 セカンドインパクトの直前だから、ちょっとくらいイチャつかせてやるか、的なお話なので、深い意味は無いです。 カテゴリ的には雑文に入れてもいいくらいです。


 このお話の時期は、ふたりが付き合い始めて3年くらいです。
 なので、薪さんの熟成度も完熟に近付いておりまして、糖度も高めに……最初の頃とは別人みたいですね☆

 どうか広いお心でお願いします。

 あ、今更ですが、18歳未満の方はご遠慮ください。





理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(1)






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もう終わりだと思った

 突然ですが。

 みなさん、『べるぜバブ』ってアニメ、見てます?
 あのエンディング曲って、もろに 薪さん→青木さん じゃないですか?
 (まあ、鈴木さん→薪さん でもいいんですけど、青木さんの方がタイムリーなので。)


 だってね、
 『永遠にきみを守りたい』とか、
 『きみは(僕の気持ちを)知らない 
 (きみが僕を必要とする)その日が来るまでこのままでいい』とか、
 極めつけは、

 『きみの心が折れそうなとき 運命のようにこの手 伸ばそう』

 まさに、いま!
 この状態じゃないですかっ!



 青木さんが自分を必要としてくれるならどんな犠牲でも払うつもりで、それは運命のように当然のことだと。
 彼の苦しみに自分が手を伸ばすのは、彼に対する憐憫ではなく、ましてや自己犠牲ではない。
 転んだ子供を助け起こすように、当たり前の、そうせずにはいられないこと。

 きっと原作の薪さんもこんな気持ちで、
 自分が特別なことをしているという意識はないままに、
 青木さんを救い上げるんだろうな、と思うのですよ。

 なんていじらしい・・・・・薪さん・・・・・。


 青木さんが薪さんの負担になって、お釈迦様(=薪さん)もろとも井戸の底に真っ逆さま、という危惧もありますが、
 わたしは逆に、守るものがあってこそ人間は強くなれると思うので、
 今の状況は、ばっちこい!!なんです。 (ドSに怖いもんなし とも言う) 


 というわけで、
 
 薪さん、がんばれ!!




 見てない方には何のことやら、な記事ですみません。
 一応、下に歌詞を載せます。


 

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クッキング(15)

 最終章です。
 読んでくださって、ありがとうございました。(^^





クッキング(15)





「そうだったんですかあ。そんなことが」
 雪子のマンションのリビングで、昔話を聞き終えた菅井が、感無量といったため息を吐いた。まではよかったが、その後がよろしくない。
「ほんっと竹内さん、気が狂ってたとしか思えませんね」
「そうね、この子ができたってことは、今も狂いっぱなしってことねっ!」
 新居へ訪ねて来て、『おふたりの馴れ初めを聞かせてください』と頼むから話してやったのに。なんて言い草だ。

「先生、怒っちゃだめですよ。胎教に悪いです。もっと穏やかな心持ちでいないと、短気で意地悪な子が生まれちゃいますよ」
「スガちゃんが黙っててくれると、優しい子になると思うんだけど」
 いつもの小競り合いを楽しんでいると、夫が紅茶を淹れてきてくれた。本来なら妻である自分の役目なのだが、最近つわりが始まって、動くのが億劫なのだ。

「先生。その昔話、ちょっと脚色しすぎじゃないですか? それじゃあ俺、ただの我儘小僧じゃないですか」
「そう? 客観的に語ったつもりだけど」
「いくらなんでもひどいですよ。カッコ悪すぎ」
 あたしはそういうあんたの方が好きだけど、と心の中で呟いて、夫が淹れてくれた紅茶を飲む。雪子のお気に入りの銘柄の茶葉を、好みの濃さで出してある。香りも味も、満点だ。

「風間先生にとっても良かったんじゃないですか? だって、雪子先生と上手く行ってたら、今の奥さんとは結婚できなかったんですから」
 あれから1年もしないうちに、風間は10歳も年下の女性と結婚した。お見合いだったらしいが、夫婦仲はうまく行っているようだ。
 風間に結婚のお祝いを言ったとき、『先生のおかげですよ。自分に自信が持てました。彼にもよろしく伝えてください』と耳打ちされた。皮肉を言うようなひとではないから本心だとは思うが、意味が良く分からなかったので彼には伝えていない。

「風間先生、命拾いしましたね」
「だからどういう意味よっ」
「怒っちゃダメですってば。胎教が」
 この娘が自分の友人でいる限り、優しい子供は望めそうもない。

 キッチンからは、軽快な包丁の音が聞こえてくる。ジュウジュウという油の音も聞こえて、雪子は久しぶりに食事が楽しみになる。
 つわりが始まってからは食欲がなくて、本音を言うとかなり参っていた。こういうときには母親の作った手料理が食べたくなるものだが、雪子の実家は青森だし。そこで、雪子がこの世で一番美味しいと絶賛する友人の手料理を作ってもらおうと、夫が彼に頼んでくれたのだ。

「はい、雪子さん。お待ちどうさまでした」
 雑談も一区切りついたころ、幾皿もの料理を友人の一人が運んできた。雪子たちが座っているリビングのテーブルの上に皿を置き、さあどうぞ、と箸を並べる。
 
 エプロン持参、食料持参で雪子のマンションに来てくれた彼は、警察庁の上層部に籍を置く警視長。来年あたりは警視監に昇進するとの、もっぱらの噂だ。
 そんな大層な肩書きとは掛け離れたその容姿。さらさらした亜麻色の短髪と、きれいな顔立ち。細い手足に小柄な身体。チェックのエプロンがここまで似合う41歳の男って、染色体の異常じゃないかしら。加えて、この肌の透明度。この人、大学のときから年を取ってないんじゃないかしら、と雪子は監察医にあるまじき非科学的なことを考える。

「たくさん食べてくださいね」
 笑いかける彼の笑顔は、雪子向けの特別仕様。その笑顔を瞬時に消して、彼は雪子の夫に話しかける。
「竹内さん、飲み物を持ってきてもらえますか? 大丈夫です、雪子さんの隣には僕が座って給仕しま」
「みなさん、飲み物麦茶でいいですよね?」
 もう一人の友人が麦茶のポットとコップを持ってきて、テーブルの上に置いた。菅井が素早く取り皿と箸を分け、麦茶をコップに注いでそれぞれの席の前に置く。
「ちっ。余計なことを。青木、後でオボエテロよ」
「はいはい」

 仕方なく菅井の向かいに腰を下ろした薪は、面白くなさそうに麦茶を飲んだ。その隣に青木が座って、雪子たちと彼らが相対する形になる。
 卓の上には、寿司桶に入ったちらし寿司、秋刀魚の青紫蘇揚げに定番の鳥唐揚げ。付け合せのマッシュポテトは固めて花の飾り切りを施し、ダシで煮た人参は季節に合わせて紅葉の形に整えてある。筑前煮と生野菜、口直しのサーモンマリネ。生野菜には雪子の好きなマッシュかぼちゃとさらし玉ねぎのマヨネーズ和えが添えてあった。

「わあ、すごい、美味しそう。薪室長って、本当に何でもできるんですね」
 菅井が素直に賞賛する。この素直さの10分の1でもいいから、直属の上司に向けて欲しいものだ。
 お口に合うかどうか、などと儀礼的な謙遜を菅井に返して、薪は雪子の顔を見る。
「雪子さんがつわりだって言うから、お寿司にしてみたんですけど。どうですか? 食べられそうですか?」
「ええ。ありがとう、薪くん」
 温かいご飯は匂いが辛い。友人の気遣いに微笑んで、雪子は礼を言った。

「食べたいものを言ってください、僕が……あ」
 薪が行動に移る前に、夫が雪子の好みのものを小皿に取り分けてくれた。寝食を共にしている彼よりも雪子の好みを知っているものは、ここにはいない。

「ううう~~、竹内のやつ~~~! 僕が取ってあげたかったのに!」
「仕方ないでしょ、ご夫婦なんですから」
 青木が取り皿に薪の好きな生野菜を彩りよく盛り付けて、不平タラタラの彼の前に置く。それで薪の気持ちを宥めようという目論見らしいが、そんなもので落ち着くほど彼の恨みは浅くない。
「おまえはそれでいいのか。口惜しくないのか。それでも男か、プライドないのか。ここで引いたら一生負け犬のままだぞ」
「はいはい、帰ったらゆっくり聞きますから」
 小声でなにやら言っているが、聞こえない振りをしておいた方が無難だろう。

「うん、すっごく美味しいです。さすが室長ですね」
 好物の筑前煮を口に入れて目を細める竹内に、薪はぶすっとそっぽを向いたまま、
『おまえに作ったんじゃない』
 と声を出さずに口だけ動かした。竹内は、見てみない振り。薪のこういう行動には慣れている。

「それにしても、最初に知ったときは驚いたなあ。室長にこんな特技があったなんて、ぜんぜん知りませんでした。さっき菅井さんに話してた遊園地の弁当も、室長が作ったんですよね」
「くっ。こいつが食べると分かってたら、手伝わなかったのに……!」
 罪人が懺悔をするような、苦悩に満ちた薪の声を掻き消すように、菅井が明るい声を響かせる。

「それより、雪子先生が料理作れないって知ったときの方が驚いたんじゃないですか?」
「ええ。プロ級だって母親に自慢しちゃったもんだから、大変だったのなんのって。あのときも室長に助けてもらったんですよね」
「本当は僕は手伝いたくなかったんだ、これで結婚が白紙になるかもしれないと期待してたのに。雪子さんがあんまり一生懸命だったから。ていうか、この話ってなにか? 結果的に僕の料理がふたりをくっつけたとか言うオチじゃないだろうな? 認めない、僕は絶対に認めないぞ」
 小さな声で暗示を掛けるように繰り返して、薪は黄色いパプリカを口に運ぶ。カラフルなピーマンの爽やかな甘さを、彼は気に入っている。

「結局、薪さんの料理がふたりを、グホッ!!」
「言葉にするな! 本当になっちゃうじゃないか!!」
 薪が乱暴に青木の背中を叩いても、この場にいるものは誰も止めない。青木が余計なことを言って薪に怒られるのは、このふたりのパターンだ。菅井がズバズバと雪子に物を言うように、これがふたりのコミュニケーションなのだ。放っておくに限る。

「うん、このサーモンマリネ、美味しい」
「あ、それ、オレが作ったんです。けっこう腕上がったでしょ?」
「へえ。青木くん、すごいじゃない。あ、このお吸い物も美味しい」
「それは俺が作ったんですよ。先生の好物でしょ? はまぐりの吸い物」
「そうなの? 二人ともすごいわね」
「雪子さん、僕は? 他は全部僕が作ったんですよ、美味しいですか?」
「あー、はいはい、おいしーおいしー」
「なんか僕だけ投げやりじゃないですか……?」

 むうっと膨れて、腹いせに青木の膝を蹴る。なんでオレに当たるんですか、と青木が抗議するのに、うるさい、と一喝。その様子があまりにも可愛らしくて、全員で笑い出してしまった。
 あの当時、雪子も竹内も大人気ない自分たちを恥じたものだが、薪には全然敵わない。

 夫が作ってくれた吸い物を飲み、雪子はほっと息をつく。
 見回すと、自分の周りには楽しげに食事をする友人たちの姿。隣には愛する夫がいて、お腹の中には新しい生命が宿っている。

 雪子は密かに左手の手首に触れ、かつてこの世で一番大切だったひとのことを思い出す。それから腹に手を当てて、生まれてくる子供のことを思う。

 ――――― 出産を終えたら、整形外科に行ってみようか。

 そうしたら再来年の夏は、半袖の服を買わなくちゃ、と雪子は思った。


―了―


(2010.11)

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クッキング(14)

クッキング(14)





 春の宵の街には、薄ぼんやりした灯りがよく似合う。霞が掛かって、まるでガス燈のように見えるLEDの光が、ロマンティックな夜の演出に一役買っていた。

 その街灯が照らす青山通りの歩道に、一組の男女が肩を並べて歩いていた。
 彼らとすれ違う人々は、だれもが思わず彼らに見惚れた。プラズマ画面の向こう側でしか見られないような、美男美女の組み合わせだったからだ。
 特に男の方は、芸能プロダクションに所属していること請け合いの美形で、だから隣の女性に向けられる同性の眼は厳しいものがあった。しかし彼女たちも結局は、ライトグリーンのワンピースに身を包んだ彼女の美しさを認めて、口を噤むのだった。

 傍目にもお似合いのふたりで、並んで歩いていることからも彼らは恋人同士だと思われたが。彼らの心中は、憤怨に満ちて荒々しく乱れていた。
「どうしてくれるのよ。あんたのせいでA5等級のサーロイン、味が全然分からなかったじゃないの」
 つんけんした態度で憤慨を口にして、雪子は忌々しそうに舌打ちした。フェミニンなワンピースが台無しだ。
「俺なんか、前菜の時点から分かりませんでしたよ」
 相手の男も相当怒っていて、肩を並べているふたりの間にはギスギスした空気が流れていた。

 雪子はこれ見よがしにため息をつき、ショルダーバックを肩に掛け直した。
 レストランが少し暑かったのか、頭に血が昇っているようだ。おかげで外気が心地よい。季節は春でも夜の空気はまだまだ冷たくて、レストランの空調以外の理由でも火照っている雪子の頬を冷ましてくれる。

「風間さん、って言うんでしたっけ。大人ですね、あのひと」
 いくらか気持ちが冷えたのか、竹内が静かに言った。
 レストランでの一幕を思い出し、雪子は自責の念に駆られる。自分たちの大人気ない振舞いを、風間は寛大にも許してくれた。

『僕は最初から気付いてましたよ。あなたが席に着いたときから、ずーっと睨まれてましたから。それに』
 何故レストランの場所が解ったのだろうと考えて、竹内の職業を思い出す。竹内は捜査一課のエース。尾行はお手の物だ。
『雪子先生もずっと、心ここに在らずでしたよね?』
『……ごめんなさい』
『いいえ。僕がお願いして来てもらったんですから、贅沢は言いませんよ。僕は充分楽しかった』
 そう言って笑うと、自分もデザートはキャンセルする、コレステロールの他に血糖値も高めだから、と片手を上げて、さっさと会計を済ませて堂々と店を出て行った。彼は本当の紳士だった。
 ひきかえ、この男ときたら。

「あんたがコドモなんでしょ」
「先生だって、アイスクリームに釣られて出てきたくせに」
 あんたはアホか、と怒鳴り返してやろうとして、雪子は口を大きく開く。が、隣を歩く未熟な男の玄妙な横顔に出会って口をつぐんだ。
 きっと、同じことを考えている。

 自分の感情を厳密に突き詰めることは、怖くてしんどい。曖昧な気持ちのまま友だち感覚で付き合っていたほうがずっと楽しい。認めてしまったら、この関係が終わってしまうかもしれない、そんなことを考えてしまうから。
 それは自分たちの勝手で、そのまま関係が途絶えるのも自然の摂理だと思うけれど、こんなふうに誰かを巻き込んで、負う必要のない傷を負わせていいわけがない。

 滅多に吐かないため息を吐いて、雪子が口を開こうとした、そのとき。
 一陣の風が、ふたりの間を吹き抜けた。
 軽い生地のスカートはふわりと舞い上がって、雪子は慌てて裾を押さえる。その仕草は女を感じさせて、通りすがりの男性のさりげない視線を集めた。

 竹内がじっとこちらを見ているのに気付き、次いでその目つきが険悪なことに気付く。まだ怒っているのか、この常識知らずは。
「分かってるわよ、ガラじゃないって言いたいんでしょ。どうせ似合わないわよ、こんなフワフワしたワンピース」
 これは菅井が選んでくれたのだ、自分の趣味ではない。でも鏡を見たとき、似合わないこともない、と少しだけ思った。思ったのに。

「似合わないです。ぜんっぜん似合ってない」
 ……そんなに力を込めて言わなくても。
 他人に100%の否定を食らうと、かなり凹む。竹内はセンスが良いから尚更だ。

「そんな、女みたいな服を着て、男の傍でニコニコ笑ってるだけの先生なんて。全然、似合ってません」
「女みたいって、生物学的には一応女なんだけど?」
 雪子が控えめに抗議を挟むと、竹内はくわっと眼を剥いて叫んだ。

「俺、頼んだじゃないですか! 先生は仕事と食事に生きてくださいって!」
「……はあ!?」

 竹内の主張を聞いて、雪子は思わず大声を上げる。わずかに間が空いたのは、一瞬、言葉の意味が解らなくなったからだ。なんて無茶苦茶なことを言う男だ。
 冗談じゃない、ひとの人生の貴重な瞬間を台無しにしただけでは飽き足らず、仕事と食事以外の楽しみをすべて諦めろと言う。どうしてそんなことをこの男に強制されなければならないのだ、少しでも心を揺らした自分がバカだった。

「あのねえ。あたしにだって恋愛の自由くらい」
 抗議の言葉は突然途絶えた。
 何が起きたのか、咄嗟にはわからなかった。鼻先に竹内の肩がぶつかってきて、あっと思う間もなく身体を拘束された。
 数年前までは婚約者がいたのだ、男に抱きしめられるのはもちろん初めてではない。
 だけど雪子が知っている抱擁はもっとやさしくてあたたかく、すっぽりと包み込まれるような感触で。まるで自分のオモチャを他所の子供に取られまいとするような身勝手で懸命な竹内の抱き方は、正に拘束という言葉が相応しかった。

 驚きのあまり硬直した雪子の耳に、男の情けない声が聞こえた。
「約束したじゃないですか。俺の泣き言、一生聞いてくれるって」

 それは、雪子が今まで聴いたことのない彼の声だった。
 男友達と喋る陽気な声でもない。女性に向けるやさしい声でもない。初めて聞く、だけど何故かそれとわかる、これが本当の彼の声。

「他の男の話なんか、聞かないでください。俺の話だけ聞いてください」
 自分にだけ聞かせてくれる、彼の真実。雪子の心がざわざわと騒ぎ出す。
 この気持ちは優越? それとも……。

 ―――――― 認めよう。これは恋だ。

「わかった。わかったから、放してよ。人が見るわ」
「本当に?」
 雪子の言葉は確かに聞こえたはずなのに、竹内は腕を緩めようとはしない。都合よく前者だけ聞いて、後者は無視するつもりか。まったく、自分勝手な男だ。

「約束ですよ」
 雪子の耳元を彼の声がくすぐる。春の夜にはぴったりの、ひそやかな囁き声。桜の花びらのようにふわりと雪子の耳に忍び込んできて、聴覚から脳髄を痺れされる。

「一生、俺の傍で。俺の泣き言聞いてください」




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クッキング(13)

クッキング(13)





 銀食器の優雅な光沢が慎ましく輝く店内で、雪子はフォークを操る手を止め、にっこりと向かいの男性に笑いかけた。流れるモーツァルトの調べに合わせたやわらかい声を心掛け、小さめに口を開く。

「ステキなお店ですね。よくこういうお店でお食事を?」
「いいえ、今日は特別です。雪子先生をお誘いしたんですから、おかしな店へはお連れできません」
 お腹いっぱい食べられればラーメン屋でも牛丼屋でも大歓迎だけど、と心の中で返しつつ、雪子はニコニコと微笑み続けた。
「うれしいわ。ありがとうございます」
 ドレスアップに注ぎ込まれた菅井の苦労を無にしないように、雪子は淑やかな言動を心掛ける。それほど得意ではないが、そこは年の功。こういう店の出入も慣れているし、ツラの皮も厚い。

「素敵なのは貴女のほうだ。今日は驚きましたよ。前から美しい人だとは思ってましたけど、こんなにきれいだったなんて。もったいないですよ、どうして普段からそういう格好をなさらないんですか?」
 これを毎日やってたら神経衰弱で入院だわ、と心の中で呟き、「おだてても何もでませんよ」とありきたりの応えを返す。
 美辞麗句は雪子の心を動かさない。人間の美醜は皮一枚、服一枚のことだとイヤになるほど分かっているからだ。
 むしろこんなときは菅井のように、『馬子どころか馬にも衣装ですよ!』などと無礼極まりない言葉を吐きながらもハシバミ色の瞳をキラキラさせる、そんな真実が雪子を喜ばせる。

 無礼つながりで思い出すのはやっぱりあの男のことで、彼なら何て言うだろう、と雪子はまたもや考える。暖かい茶色の瞳を無邪気に細めて、悪戯っ子みたいにニヤッと笑う。彼の口から出るのは、そう、きっとこんなセリフ。
『先生、女装似合うじゃないですか』
 クスッと笑って雪子は、桜色のテリーヌにナイフを入れる。季節に合わせて桜のソースをあしらった、上品な味わいの一品。食器を縁取るピンクの曲線が、春らしさと華やぎを演出している。

「なんですか? 思い出し笑い?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと助手の女の子に言われたことを思い出して」
 後から思い浮かべたひとのことは内緒にして、菅井に言われたことを正直に話す。そうして菅井ひとりに罪を被せると、雪子は何食わぬ顔で風間と笑い合った。

 こんなふうに、自分の心と身体をバラバラに操る術を覚えたのは、いつの頃からだったろう。監察医の仕事は滅入ることが多くて、だけどそれを表に出したくない雪子は、人前で虚勢を張ることがいつしか当たり前になっていた。
 他人は口を揃えて自分のことを強い女性だと言うけれど、それは過大評価だ。自分は弱さも狡さも併せ持った、ただの女。でなかったら、あんなバカな真似はしなかった。

 4年前の夏。
 彼を喪って、自分の中に穿たれた底の見えない空虚に飲み込まれ、挙句の果てに自殺未遂。その傷は今も雪子の左手首に残っている。整形手術で消えないことはない。だけど、雪子はその傷をわざと残している。これは自分への戒めだ。もう二度と、弱さに溺れないように。

 わたしは強い女性。他人に頼らずとも生きていける。
 少なくとも、自分の気持ちを偽り続けることと寂しさの二者択一なら、後者を選ぶ。それくらいの強さはある。

「風間先生。先日のお話ですけど」
 コースがメインに移ったころ、雪子はそう切り出した。
「申し訳ありませんが。私には、もったいないお話だと」
「そんなに答えを急がなくてもいいじゃないですか。これからゆっくり付き合って、その上で僕が貴女の夫に相応しいかどうか、見極めてくれればいい。
 僕だって、貴女に投げ飛ばされるかもしれないと思いつつ、勇気を出して告白したんですよ。そのくらいの猶予は与えてください」

「投げ……どうして私の特技を知ってるんですか」
「菅井さんに聞きました。柔道のことだけじゃなくて、先生が本当はすごく気さくで、勇ましい方だということも。今度は、そんな貴女も見てみたい」
 風間から菅井との会話の内容を聞くと、雪子が家事全般が苦手なこと、特に料理は壊滅的なこと、痴漢を投げ飛ばして肋骨を折る重傷を負わせてしまい、裁判沙汰になりかけたことまで筒抜けだった。
 あたしにはお淑やかに振舞えとか言っておいて、自分がバラしてどういう気だ、と思いかけて雪子は、菅井が雪子のためにフォローを入れてくれていたのだとすぐに気付く。虚勢は張っても見栄っ張りな嘘は苦手なのだ。付き合い始めたらすぐにバレてしまう。

「菅井さんが言ってましたよ。先生は正義感が強くて、勇気があるって。その痴漢ていうのも、菅井さんに付きまとってたストーカーだったんでしょう? 彼女、すごく感謝してましたよ。
 それに、先生は努力家だから、料理も習い始めたら上手になる筈だって。メスを扱う監察医が包丁を使えないわけはないから、上達も早いでしょうって」

 ――――― 先生、がんばってくださいね。

 両の拳を胸の前でぎゅっと握り、小動物のような笑顔で自分を送り出してくれた後輩の顔を思い出す。彼女のエールが耳に届いて、雪子は何も言えなくなった。

 曖昧に微笑み、運ばれてきたメインディッシュを見る。雪子の好きなサーロイン。薄切りのレモンの上に載せられたバターが溶け出して、食欲をそそる匂いをさせている。
「僕はコレステロールが高いから、肉は控えてるんですけど。今夜は特別です。先生をダシに使わせていただきます」
「あら。じゃあ、私を誘った本当の目的はこれだったんですか?」
 顔を見合わせてクスクス笑う。ユーモアを交えた穏やかな会話は、最高のスパイスだ。美味しい食事がもっとおいしくなる。

 答えは今でなくともよいと風間に言われたことで、大分気持ちが楽になった。何も風間のことが嫌いなわけではないし、彼の言うことにも一理ある。
 自分の中に生まれかけている感情があることは認めるが、それが必ず育つとは、雪子自身はっきりと断定できないものだし、風間との間に同種の感情が芽生えないとも限らない。
 アラフォーの恋愛は日和見主義。鈴木に恋をした20代とは違うのだ。

 鈴木の恋人だった、あのころ。
 この人以外に考えられない、どんな立場でもいいからこの人の傍にいたいと思った。彼が心の奥底で一番大事にしているのが誰なのか、雪子は薄々感づいてはいたけれど、決してそれを表面に出すことはしなかった。大らかに許したと見せかけて、本音では鈴木を失うのが怖かった。それに、鈴木の愛情は贋物ではなかった。一番にはなれなくても、愛されていた。それで充分だった。

 雪子は右手のワイングラスに手を伸ばした。美しい赤色の液体が、芳醇な香りを漂わせる。グラスを空けたとき、彼女は初めて2つ向こうの席の人影に気付いた。

「……なんでいるわけ」
「はい?」
「あ、いえ。何でも」
 僅かに首を傾げた風間は、雪子の微笑に安心したように笑って、ボトルのワインを雪子のグラスに注いでくれた。テーブルに置いたワイングラスの足を押さえ、雪子はチラリと風間の先に視線を送る。

 見間違いであって欲しいとの願いは、虚しくも消えた。
 やっぱり竹内だ。あんな俳優顔が、そう多く存在しているはずがない。
 
 彼女と来たのかと思いきや、竹内はひとりだった。一人分の食器の前に、ひとりでぽつんと座って、それは彼の華やかな容姿にまるで相応しくなかった。
 いったい、いつからそこにいたのだろう。 
 雪子の疑問は、レストランのホールスタッフが彼のテーブルにメインディッシュを運んで行ったことで解決された。この店は夜はコース料理しか扱っていない、ということは、雪子たちのすぐ後に席に着いたのだ。

 竹内は品良くワインを飲みながら、嫌な目つきでこちらを見ている。まるで自分が犯人になって、彼に張り込みをされているような気分だ。
 いやだ、あんなにジロジロ見られたら、せっかくのステーキの味が台無しだ。ていうか、彼が同じ店にいると知った時点で、料理の味なんか分からなくなったんだけど。

「雪子先生? ステーキがミンチになっちゃいますよ?」
「え? あ」
 風間に指摘されて雪子は手元を見る。無意識のうちに、肉を切り刻んでしまった。しかも検査用に5ミリピッチで。習性とは恐ろしい。
「ちょっと、緊張してるみたいです」
「今になってですか? ユニークなひとですねえ、先生は」
 急にソワソワしだした雪子をどう思ったのか、風間は大人らしい落ち着きを見せているが、本心は分からない。申し訳なさでいっぱいになって、雪子は激しく自分を恥じる。
 風間は真面目な気持ちで交際を申し込んでくれて、それを承知の上で自分はここに来たのに、他の人が気になって彼の存在を忘れるなんて、最低だ。

 しかし、真の最低野郎は別にいた。
 そいつは礼儀知らずにも、食事の途中で席を立った。そして他人が食事をしているテーブルにつかつかと近寄ってきた。
 ナイフを持った女性の右手を出し抜けに掴み、威嚇するような声で、
「三好先生。行きましょう」
「……どこへ」
「ここじゃないとこなら何処でもいいですから。とにかく、出ましょう」
 あまりのことに唖然として、風間は声も出ない様子だった。周りの客はひたすら下を向いて、雪子たちの席を見ないふり。でも聞き耳はしっかり立てている。

「いやよ」
 当然、雪子は断った。当たり前だ、ここで応じたら自分もサイテー野郎の仲間入りだ。
「まだデザート食べてないもん」
 その理由はどうかと思われたが、雪子にはそれ以上の断り文句は浮かばなかった。
「コンビニでハーゲンダッツのトリュフショコラ買ってあげますから」
「ふざけないでよ」
 流石に頭にきて、雪子は強い口調で言い返した。

「レストランのデザートよ? せめてサーティワンにしてよ」




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クッキング(12)

クッキング(12)





『先生。夕飯一緒にどうですか?』
「あたし今日は胃袋がラーメンだけど、それでいい?」
 わかりました、と苦笑する声が聞こえて、電話が切れた。雪子は上機嫌で白衣を脱ぎ、仕事場を出る。春とはいえ、夜は冷える。温かい麺類が恋しいのだ。

 研究所の正門に出ると、既に電話の主は来ていて、彼がここから電話をしてきたことを知る。平日の呼び出しは久しぶりだが、何か聞いて欲しいことでもあるのだろう。竹内が話すことと言ったら、どうせ引っ掛けた女のことだろうが。
 そう思って、カウンター式のラーメン屋ではなく中華飯店のテーブル席にしたのだが、その夜に限って竹内は妙に静かだった。食事の前も後も、ロクな会話もなく、頬杖をついて雪子が食べる様子を見ていた。
 以前も「自分の周りにはこんなに良く食べる女性はいないから珍しい」と言っていたが、そんなに面白いのだろうか。自分が食べているところを自分で見たことはないが、そう変わった食べ方はしていないと思うが。

 食事を終えて、店を出る。歩道には多くの人々が楽しげに語らいながら歩いている。ふたりもまた夜の街を並んで歩く、それでも竹内は黙ったまま。話したがらない相手に口を開かせるのは雪子の流儀ではないが、さすがに沈黙が重くなってきた。
「ねえ。なんか話があったんじゃないの?」
 単に夕飯の相伴が欲しかっただけだったのだろうか。だったらラーメン専門店にしたのに。中華飯店と専門店では、味も値段も違う。専門店なら値段も安いし、トッピングとか脂の量とか、色々注文も付けられるし、替え玉だって、などと食べた後まで意地汚いことを考えていた雪子の耳に、竹内の歯切れの悪い声が届いた。

「なんで急に髪型変えたんですか」
「え? 特に理由もないけど。ヘン?」
「いえ、お似合いですけど。もしかして、誰か見せたいひとが」
「誠?」
 一旦通り過ぎた女性が立ち止まり、こちらを向かずに彼の名前を呼んだ。雪子が立ち止まると、ちょうど振り向いた相手と眼が合った。

 職業、モデル。そんな字幕が現れそうな女性だった。華やかでセンスが良くて、当たり前のように目鼻立ちがいい。
 十中八九、竹内の元カノだ。
 
 竹内の昔の女性に会うのは初めてではない。あれだけ多くの女性と付き合っていれば、出先で偶然遭遇する事だってあって当然だ。しかし、これまでは竹内の方が先に気付いて、彼女たちの目を逃れるようにさりげなく立ち位置を変えるとか、手荷物を顔の近くに持ってくるとか、非常手段としては雪子の後ろに隠れるとかして、彼女たちと顔を合わせないよう気遣ってきたのだが。夜ということもあって、今日はニアミスを許してしまったらしい。

「久しぶり。元気だった?」
「ああ。君も、元気そうで」
「そちらは? 新しい彼女?」
 否定しようと雪子が口を開ける前に、竹内がさっと彼女のほうへ歩み寄った。雪子の前に立ちふさがる形で、たぶん彼女の顔を見られたくないのだと思ったから、雪子は口を噤んで2,3歩下がった。

「うん。君は?」
「いいわね。あたしはまだ独りよ」
「どうして。蓉子ほどの女なら、引く手あまただろ?」
「誠以上の男なんか、そうそう見つかるもんじゃないわ」
「よく言うよ。君が俺を振ったくせに」
「振ってあげたのよ。あなたが別れたがってるの、解ったから」
 数歩離れた場所で、二人の会話を聞くともなく聞いている。彼女と話している竹内の瞳も声もやさしく甘く、雪子がついぞ見たこともなければ聞いたこともない、それは雪子が知らないもうひとりの彼。
 女性に対しては、彼はきっといつもこんなふうに接するのだ。心地よい言葉と涼やかな眼差しで、相手を夢心地にさせる。男友達の自分とはエライ違いだ。

 それからほんの僅かな時間、竹内と元彼女とは穏やかに話して穏やかに別れた。いい付き合い方と、きれいな別れ方をしていたのだろう。さすが捜一の光源氏。
「いいわけ? 彼女、絶対に誤解したわよ?」
「誤解? ああ、すみませんでした。つい」
『つい、先生の性別忘れちゃって。しまった、彼女に男に走ったと思われたかな』
 雪子はそんな軽口を期待して、でも竹内は何も言わなかった。つい、の後に続くセリフは、その後も彼の口から零れることはなかった。彼の唇が形作ったのは、人間が言い難いことを言うとき特有の、曖昧な空隙だった。

「あの……噂を聞いたんですけど。先生、同じ課の」
「あっ!! 竹内、アレは何っ!?」

 竹内の焦げ茶色の髪の向こうに、雪子は知り合いの姿を見つけて、彼の注意を別方向に向けるべくわざとらしく声を上げた。
 薪と青木だ。仕事帰りのようだったが、どこかに用事でもあるのか、研究所から直接駅へ向かわなかったらしい。

 食事の後、すぐに職場に変えるつもりだったから科警研の近くの店を選んだのだが、失敗した。青木はいいとしても、竹内と一緒にいるのを薪に見られたら、どんな騒ぎになるか。
 冷静なのは見た目だけ、薪はけっこうケンカっぱやい。『雪子さんを毒牙に掛ける気か!』などと見当違いの言い掛かりをつけるや否や、問答無用で飛び蹴りがきそうだ。そんなことになったら、捜一VS第九の全面戦争が勃発してしまう。

「アレって……あ、焼き芋屋じゃないですか? 珍しいですね、もう春なのに」
「そうよ、今シーズン最後の焼き芋屋よっ! 逃せないわ、行くわよ!」
「って、いまラーメン食ったばっかり、ちょっと先生!」
 反対車線の路肩をトロトロと走る軽トラック目掛けて、雪子は近くの歩道橋を駆け上がった。後ろから竹内が付いてくるのを確認して、胸を撫で下ろす。

 階段を駆け下りて、歩道をダッシュする。「おじさん、ちょっと待って!」と声を上げて、トラックを止める。
 何本買おうか思案していると、竹内が横から出てきて、大きい方の袋をひとつ、と言って札入れを出した。
「どうせ今からまた仕事なんでしょう?」
「ご明察」
 袋の中から一本取って、半分に割って雪子は嬉しそうに笑う。ヤキイモは雪子の大好物。満漢全席を食べた後でもこれなら食べられる。お義理で竹内に差し出すと、袋を片手に抱え直し、いただきます、と礼儀正しく断ってから受け取った。

 トラックの陰から向かいの歩道に視線を走らせ、問題の二人が歩き去っていくのを確かめる。彼らの様子を見て、無駄な労力を使ったかもしれない、と雪子は思った。
 なにやら楽しげに喋りながら、ちらちらと互いに視線を交し合って、その視線が長く絡み合うことはないけれど、それでもあれだけ頻繁に目を合わせていれば、周囲の人間の顔なんかロクに見ていないに違いない。
 人前では常に距離を置いている彼らだが、こうして知り合いがいないところでは、言葉以外の温かいものを通わせあっている。数ヶ月前、青木が『薪さんの気持ちが分からない』などと寝ぼけたことを言ってきたが、どうやらお灸が効いたようだ。

 あのふたり、わりと仲良くやってるじゃない、心配して損したわ、と雪子は自分の杞憂に憤慨し、でもその表情は明るく。大切な友人たちの幸せを心から望む彼女の瞳は、やさしい光に満ちている。

「俺、女の人とヤキイモ屋の追っかけやったの初めてです。ほんっと、先生って……ククククッ」
 突然噴き出すように笑われて、雪子は一緒にいる男の方に顔を向ける。竹内の身長は雪子より2,3センチ上といったところ、昔のように見上げる必要はない。
 何がそんなにおかしいのか、竹内はしばらく笑い続けていたが、やがて笑いを収めて上空のおぼろ月を見上げ、大きな独り言を言った。

「あー、やっとわかりました。すっきりした」
「なにが?」
 黄金のスローフードをかじりながら雪子がモゴモゴと訊くと、竹内は空に視線を固定したままで、
「俺が欲しかったのはイモじゃなくて、モチだったみたいです」

「えっ。あんたの田舎には、石焼モチってのがあるの? おいしいの、それ」
 食べたことはないが、どんな食べ物かは想像がつく。焼いた石を使って調理するのだろう。石焼だと遠赤外線効果で中身はふっくらやわらかく、外はこんがりと仕上がるから、味には期待できそうだ。
「ええ。そのうち先生にも、絶対に味わってもらいますから。それも大量に。覚悟しててくださいよ」

 竹内がいつもの無礼なお喋り男に戻ったのが嬉しくて、雪子は心が軽くなる。腰に手を当てて肩をそびやかせ、横目で彼を見下すように軽口を返した。
「ふん、あたしの胃袋舐めんじゃないわよ。鏡餅サイズで持ってきなさいよ」
「あははっ、さすが先生。頼もしいですね」
 当然、と豪語して雪子は大きく口を開け、ヤキイモを頬張った。



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クッキング(11)

 またもやあおまきすとにあるまじき発言なんですけど。
 わたし、雪子さんとスガちゃんのガールズトークが大好きなんです。 スガちゃん、言葉はキツイんですけど、きっと雪子さんのことが大好きで、ずっと彼女を支えてきたんだろうなあって。

 スガちゃん、これからも雪子さんをよろしくねっ!
 いま青木さん、それどころじゃないから。 もしかしたら、ずっとよろしくねっ! 未来永劫よろしくねっ!!(←わたしが今後の展開に何を期待してるのかとか、追求しないでください)  





クッキング(11)





「ぜ――ったいに逃しちゃダメですよ!」
 雪子の手首を万力のように締め付ける小さな手の持ち主は、耳にタコができるほど繰り返したセリフをまたもや口にした。
「雪子先生にプロポーズしてくれる男性なんか、あと百年待っても出てきませんからね」
 この娘はいったい、あたしが何年生きると思っているのだろう。

「あのね、スガちゃん。風間先生はプロポーズしてくれたわけじゃなくて、『結婚を前提としたお付き合いをしましょう』って言ってきただけよ? OKするかどうかも、あたしはまだ決めかねて」
「20代ならともかく、40に手が届く先生に迷う時間なんかあるわけないじゃないですか。ここで会ったが百年目です」
 なんだか親の仇みたいになってきた。

「だからって何も、勝負服まで用意しなくても。ただ一緒に食事しようって誘われただけよ? 返って引かれちゃうんじゃない?」
「甘いっ!!」
 ブティックの店内という場所柄も忘れて、菅井は大きな声で雪子を一喝する。プライベイトになると、菅井は雪子より優位に立つことが多いような気がする。

「甘いですよ、雪子先生。いいですか、白衣姿の先生しか見たことのない風間先生が、こういうフェミニンなワンピース姿の先生を見たら、どういう反応を示すと思います?」
 フワフワしたピンク色のワンピースを手に取り、菅井はそれを自分の身体にあてがう。童顔で華奢な彼女に、その服はとてもよく似合っていた。
「男はギャップに弱いんです。コロッと落ちますよ、わたしが保証します」
 言いながら、菅井は値札を確認する。まさか、この服を着て行けという気だろうか。ありえない、30超えてパステルピンクを着るくらいなら、雪子は迷彩服を選ぶ。

「まさかスガちゃん、あたしにそれ着ろっていうんじゃ」
「そんな社会的公害を引き起こすような真似はしません。雪子先生がこれを着て街を歩いたら、お年寄りなんかショック死しちゃうじゃないですか」
 失礼を通り越した菅井の切り捨て方に、咄嗟には上手い切り返しが浮かばない。この後輩相手に言語能力を競ったら、雪子の完敗だ。
「でも、形はいいから色違いで……これなんかどうですか? きれいなライトグリーンですよ」
 口惜しさに歯噛みする雪子の険悪な表情を意に介することもなく、菅井は同じ列にあった同型のワンピースを取り出す。さっと雪子の身体にあてがって、「なかなかいいじゃないですか、馬子にも衣装ですよ」と失礼を重ねた。

「こういう色合いのスーツなら持ってるわ。わざわざ新しいものを買わなくても」
「スーツなんかダメですよ。どうせ色気のないビジネススーツでしょ」
 鋭い。でも、30過ぎの女性が洋服を買う場合、公私共に使える服を選ぶのが普通だと思うが。
「男性に誘われたら、着飾って行くのが礼儀ですよ。ロクにオシャレもしないで行くってことは、相手を男性として意識していないってことでしょう? 失礼に当たります」
 そういうものだろうか。
 あまりゴテゴテとアクセサリーをつけたりする事が苦手な雪子は、鈴木とのデートのときもそれほど飾り立てたりはしなかった。現在も、青木や竹内とふたりで会うことはあるが、あれは友だち感覚だし。ていうか、この子に礼儀を諭されるとは。

「はー。ガラじゃないと思うけどなあ、こんなの」
 そうぼやきながらも、菅井に押し付けられたワンピースを試着室で着てみて、鏡の中の自分を覗き込む。スタイルの良い雪子は大抵の服は着こなせるが、ふんわりしたシルエットのスカートは生理的に受け付けないので、これまで穿いたことがなかった。

 初めて出会う自分の一面に、雪子は新鮮な驚きを覚える。
 悪くないかもしれない。
 服に着られている感じがしないでもないが、これはこれでありかも。

 菅井に勧められたワンピースを購入して、それに合わせた靴も買う。美容院へも行くんですよ、と命令口調で言う後輩に辟易して、雪子はため息を吐いた。
 自分のことでもないのに気張りすぎの後輩は、その情熱のすべてが雪子を思ってのことだと分かっているから無碍にもできない。

「よかった、先生を任せられる人が現れて。おかげで雪子先生の老後の面倒は、わたしが見なくても済みそうです」
「なんでスガちゃんがあたしの老後の世話をするのよ」
「だって、雪子先生を屍蝋化死体にするわけにはいかないじゃないですか。だからわたし、将来的には雪子先生をわたしの家庭に引き取ろうかと」
 いったい、どんな将来設計してたの、あんたは。

 口は悪いが、菅井は本当に雪子のことを心配してくれている。鈴木のことも、その後のことも知っている彼女は、雪子の傷を癒そうと懸命に働きかけてくれた。『男の傷は男で癒す』が持論の彼女の好意はありがた迷惑な部分も多大にあったが、それでもそこまで自分を案じてくれる誰かがいるということは、雪子にとって大きな支えとなってきたのだ。
 そんな彼女を喜ばせてあげたい気持ちは、雪子の中にもある。ましてや、こんなに楽しそうに雪子の服やアクセサリを選ばれたのでは、止めることもできない。
 結局は美容院まで菅井に連れて行かれて、彼女の指示で髪をカットされた上に色を染められた。もう、彼女の言うがまま。お洒落に関しては、雪子は菅井の足元にも及ばない。
 そうして仕立てられてみれば元は良い雪子のこと、何処に出しても恥ずかしくないシックな美女の出来上がりというわけだ。

 姿見の中の自分を見て、雪子は何だかこそばゆいような気分を覚える。
 最初は完全にありがた迷惑だと思っていたけれど、雪子だって女性だ、お洒落が楽しくないわけがない。特にこの髪形は気に入った。前髪を左から斜めに分けたショートカットは薪とスタイルが被るような気もするが、今までの真っ直ぐに切り揃えた髪型よりも軽やかで、季節に合っている。新しい服にもマッチして、「らしくない」と「悪くない」が半々くらいになった。
 
 菅井は自分のプロデュースに満足して何度も頷き、次いでいつもの命令的な口調で言った。
「いいですか。風間先生は仕事中の雪子先生しか知らないんですから、気を抜いちゃダメですよ。先生の本性がガサツで女らしさ皆無の干物女だってことがバレたら、この話はおじゃんですからね。お淑やかに振舞ってくださいよ」
 本音が出せないようでは付き合いも長くないだろうと思ったが、最初から全開というわけにもいかない。菅井の言葉は、ある程度は正しい。
「はいはい。せいぜい気をつけるわ」

 素直に賛同の意を示しながら、雪子はふと、この姿を竹内が見たら、それでも自分を男友達として扱うのだろうか、と詮無きことを考えた。



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クッキング(10)

クッキング(10)





「で、相手は? どんなやつか知ってるか」

「オレもよくは知りませんけど。法一の同僚で、班のリーダーになってて、年は三好先生より5歳上。人格、将来性ともに良好、女性関係も心配なし。敢えて欠点を挙げるとすれば、少しだけ潔癖症のきらいがあるみたいです。 両親共に健在で、四谷の1戸建てに親と一緒に住んでます。好きな食べ物はエビのチリソース、嫌いな食べ物はオクラや納豆のネバネバ系。お酒はウィスキーやバーボン等の洋酒が好みで」
「……めちゃめちゃ詳しいじゃん」
 やや呆れ顔の竹内は、やっぱり俳優みたいにかっこいい。どんな表情をしてもサマになる、ハンサムは得だ。

「そっか。同じ職場で、5歳年上……顔は? いい男か?」
 青木は自らがシュレッダーに掛けて極細に分断した男の顔を思い出す。白衣姿がよく似合う、穏やかな紳士だった。
「イケメンの部類に入ると思いますよ」
「完璧じゃないか」
 なにやら難しい表情になって、竹内は右手の拳を唇に当てる。この春の連ドラで売れっ子のイケメン俳優が名探偵の役をやっていたが、彼より遥かにカッコイイ。薪は男性には興味がないはずだが、ここまでカッコイイ男が自分を好きだと知ったら気持ちが揺れるかもしれない、などと意味のない仮定をして青木は焦る。
 本当に薪が男に興味がなくて良かっ……待って、それだとオレにも興味ないってことになるんじゃ? うう、凹みそう。

「先生、プロポーズ受ける気なのか?」
 さりげない仕草が青木の不安を煽っているのに気付かず、竹内はあからさまな野次馬根性で質問を重ねてくる。その浅ましさに1割、残りは完全なやっかみで、青木は彼の質問を素っ気無く跳ね除けた。
「知りませんよ」
「なんで知らないんだよ。おまえ、先生と仲いいだろ」
「悪くはないですけど、別にオレ、三好先生とは何でもないし。てか、竹内さんには関係ないじゃないですか。なんでそんなに気にするんですか?」
「だから気にしてるわけじゃないって。受けるかどうか、そこが知りたいだけなんだ」
 両者の違いが分からない。青木にはどちらも同じことのように聞こえるが、気のせいだろうか。

「どうしてそんなこと、オレに訊くんですか? そんなに知りたきゃ本人に訊いたらいいじゃないですか。知らない仲じゃないでしょう」
 竹内は捜査一課、雪子は監察医。それなりに仕事上の接点もある。顔見知り以上の間柄ではあるのだから、自分で聞けばいい。青木がその程度の気持ちで言ったことに対して竹内が返してきた言葉は、少なからず青木を驚かせた。
「な……ち、違うからな! あれはそういうんじゃない、そういう意味で付き合ってるわけじゃないんだ!!」
「は? 付き合ってる?」

 鸚鵡返しに尋ねて、尚も青木は自分の耳を疑う。
 竹内が雪子と?何がどうしてそんなことに??

 びっくり眼で固まった青木に今度は竹内が驚いて、強張った顔で詰め寄ってくる。形の良い唇から弾丸のように放たれる言葉は、不自然なくらい強い否定口調。
「付き合ってない! ただ一緒に食事したり、酒飲んだり、休みの日に遊園地とか映画館とか、あ、プラネタリウムも行った。それから先週は水族館でホウジロザメを」
「それ、普通に付き合ってません?」
「だから違うって言ってんだろ! 先生とは、男友達みたいな感覚で」
 たしかに雪子は性を感じさせない女性だ。男に媚びないというか、男を男とも思わないというか。青木も雪子とは数え切れないくらいのプライベイトを一緒に過ごしたが、そんな雰囲気は生まれなかった。
 まあ、雪子は自分よりも12歳も年上だし、そういう対象には見てもらえないだけかもしれな……だから待ってくれってば、薪さんもオレより12歳年上じゃないか。やっぱりオレのことなんか……ダメだ、泥沼だ。

「それに」
 虚ろな目になった青木に頓着せず、竹内は言葉を継ぐ。普段は気配り上手な彼だが、今は自分のことでいっぱいいっぱいらしい。
「先生も俺のこと、男として見てないし。何度か誘いを掛けたこともあったんだけど、うまくはぐらかされちゃって」
「あの」
 なんだか恋愛相談みたいになってきた会話に、青木は休符を挟んだ。薪の怒り狂う様子が目に浮かんだからだ。
 薪は竹内が大嫌いだ。彼を嫌悪する最大の理由は、竹内が警視庁一のプレイボーイだからだ。察するに、10年以上も同じひとを想い続けていた薪には、竹内の行動は不誠実さの象徴のように見えて、自分の不器用さを思い知らされるようで、耐えられないのだろう。
 その一方で、亡き妻の忘れ形見の一人娘を盲目的にかわいがる父親もかくやという状態で雪子を大切にしている。そんな薪が、彼らが付き合っているなんて知ったら何をしでかすか。青木には薪の暴走を止める自信はない。

「竹内さん。もしかして三好先生のことを?」
「それが……自分でもよく分からないんだ」
 分からない? 警視庁一のモテ男で、恋愛経験は星の数ほどあるはずの竹内が、自分の気持ちが恋愛感情かどうか分からないなんてことがあるのだろうか。

「ときめかないんだ、先生といても。幸せな気分になったり、ウキウキしたり、手を握りたいと思ったりキスしたいと思ったり、そういう風にならないんだ。だからこれは恋ではないんだな、と自分では割り切っていたんだけど」
 竹内の主張はもっともだ。ときめきのない恋なんか恋愛とは言えないだろう。
 青木なんか、薪と一緒にいるときには心臓がドキドキしっぱなしだ。次はどんな意地悪をされるんだろうとか、いきなり別れるって言い出されるんじゃないかとか、て、なんか、これも恋のときめきとは別物のような気が……ああ、泥沼に底が見えない。

「じゃあ、どうして一緒にプライベイトを過ごしてるんですか?」
「楽だから」
 そりゃーまた、明確な答えで。

「とにかく、先生が相手だと楽なんだ。何にも飾らなくていいし、わけのわからない女性ファッションの話を聞かされることもないし、話を合わせるために雑誌を買ってその情報を仕入れておく必要もない。相手のチャームポイントを探して褒めなくてもいいし、高級なレストランとか行かなくてもいいから、金もかからないし」
「プレイボーイって大変なんですね」
「毎日が緊張と気配りと勉強の連続だ」
 自分には無理だ、と思いかけて青木は、薪と接するときには自分もまた強制的に竹内と同じ状況に陥っていることに気付く。でも、あれは薪が相手だから頑張れるのだ。それが不特定多数を相手取るとなったら、とても続かない。やっぱり竹内はすごい。

「そんな調子だったから、今まで先生の男関係なんか気にしたことなかったんだ。でも、先生がプロポーズされたって聞いて、だれか他の男のものになるかもしれないって思ったら、何も手につかなくなって……確かめずにはいられなくて」
 竹内の話を聞いて、青木は複雑な気分になる。
 竹内のことは友人として好きだし、優秀な先輩刑事として尊敬してもいる。しかし、彼は何年も前から薪に恋をしていて、青木の立場からは目障りな男だった。薪が竹内のことを嫌っているのは分かっていたから頭痛の種というほどでもなかったのだが、喉に刺さった小骨くらいには邪魔だと思っていた。だから彼に好きな女性ができるのは喜ばしいことなのだが、相手が雪子となると、そう簡単に首を縦に振ることはできない。

 雪子に恋愛感情はないが、今までさんざん世話になった恩義がある。だから彼女には幸せな恋愛と結婚をしてもらいたい。それは薪が切望することでもあるし、青木も心からそう願っている。
 竹内は、自他共に認めるプレイボーイだ。恋愛は上手かもしれないが、平和な結婚生活は望めないだろう。友人として付き合うにはいいが、恋人や夫にするには不向きな男だ。彼の妻になった女性は、女性関係の心配を一生しなくてはならない。
 はっきり言って、お勧めできない。

「竹内さん。真剣な気持ちじゃないなら、余計な真似しないでくださいね」
「まだ手は出してない」
「まだって、今から出す気なんですか?」
「出せないんだよっ、この俺が! 初めてだ、こんなこと」
 竹内には珍しく逆ギレされて、青木は口を噤む。オシャレでスマートで軽い恋愛が得意な竹内らしくもない。

 迂闊に手を出せないのは雪子の武勇を恐れてのことか、あるいは。
 大切に思っているから、簡単に手が出せないのか。

「そうだ、おまえ、俺に嘘の情報教えただろ。三好先生、料理めちゃめちゃ上手かったぞ」
「えっ。そんなはずは」
 ない、と言い掛けて、青木はその情報が他人からの伝聞だったことに思い当たる。実際に彼女の手料理を食べたことはないのだ。あれはむかし薪から聞いたのだが、さては冗談だったのか。薪が雪子を悪く言うとは思えないが、その場のノリだったのかもしれない。

「俺が食べたのは和食の弁当だったけど。今まで食った差し入れの中で、一番美味かった。聞いたら料理は得意で、和洋中なんでもござれだって言ってたぞ」
「そうですか。すみませんでした」
「ったく、ガセネタはカンベンしてくれよ」
 イラついた表情で腕を組み、抑え切れないため息を吐く年上の友人を見やり、青木は困惑するばかりだった。



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プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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毎日たくさんの拍手をありがとうございます。励まされてます。
おかげさまで、しづは元気で仕事してます。(10/28)
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