You my Daddy(17)

 こんにちは! ご無沙汰してます、しづです!o(≧ω≦)o
 お礼記事とは打って変わったハイテンションでお送りします。SSは楽しくないとね! 
 あ、内容が楽しくないですか? ううーん。


 お休みしてる間、毎日毎日、過去作にいっぱい拍手していただきました。お休みします記事にもたくさん拍手いただいて、ありがとうございました。
 管理画面で1ヶ月分の拍手数が確認できるのですけど、9月25日の325は多分新記録です。どうもありがとう。
 おかげさまで総数、8万超えました。カウンターもくるくる回って15万超え。
 とっても嬉しいです! 感謝!!\(^o^)/
 
 えーと、このお話が7万のお礼だから、7万5千は薪さんが認知症になる話で、8万は薪さんがウェディングドレス着て竹内と結婚式挙げる話でいいかなあ。それとも薪さんが室長の座を追い落される話がいいかなあ。←話の内容に感謝が感じられない気がしますがそんなことはないの信じて。
 認知症は書き上がってるので、この話の次に公開します。
 後の2つはプロット立てます。しばらくお待ちください。

 みなさんのやさしさが詰まったコメントのお返事は、少しずつさせていただきますので、よろしくお願いします。 
 先に、お話の続きをどうぞ!




You my Daddy(17)





 母子が病院に寝泊まりすることになった夜、青木はホテルを引き払って薪の家に帰ってきた。
 ほぼ1月ぶりの我が家は、青木の心を懐かしさでいっぱいにした。ここに住み始めて1年にもならないのに、この家の空気を吸うと、まるで自分が生まれた家に帰ってきたように落ち着く。愛する人がいれば、そこが自分の第二の故郷になるのに時間は要らないのだと知った。

「女の匂いが残ってるか」
 深呼吸していたら、そんな嫌味を言われた。が、それくらいで動じるような青木ではない。もとい、そんな細い神経では薪とは付き合えない。
「薪さんの匂いが恋しいんです」
 帰りに買ってきた白百合の花を花瓶に活ける薪の、ほっそりとした背中を後ろから抱きしめる。薪は微かに身を固くしたが、すぐに肩の力を抜いて、青木の胸に軽くもたれかかった。

「久しぶりに、あれ、しましょうか」
 薪のシャツのボタンを、青木の手が上から順に外していく。指先が3つ目のボタンに掛かった時、薪の手がその所作を押さえた。
「気持ちは分かるけど、ちょっと不謹慎じゃないか? ミハルがあんな目に遭ったばかりなのに」
「いいじゃないですか。先生も、思ったより軽い怪我だったって」
「軽くない。あんな小さい子が10針も縫ったんだぞ」
「大丈夫ですよ。ヒロミさんがついてるんだし」
「今頃、麻酔が切れて痛がってるんじゃないかと思うと、楽しむ気分になれない」
 きっぱりと首を振る、薪のこういう思いやり深くて潔いところが青木は大好きだ。弱者に寄り添い、その痛みを自分のものとして感じることができる。柔らかくて純粋な心。

「分かりました。では、アロマキャンドルはまたの機会に」
「悪いな。そうしてくれると――、アロマキャンドル?」
 くるっと振り返った薪の髪が、降参の形に挙げた青木の手のひらを打つ。サラッとやさしい感覚。こうして薪の髪に触れるのも久しぶりだ。
「はい。ヒロミさんたちがいる間、薪さん、長湯できなかったんじゃないかと思って。ラベンダーのキャンドルでも焚いてバスタイムを演出しようかと」
「それならそう言えよ。紛らわしい」
「紛らわしいって、なんだと思ったんですか?」
「な、なにって」
 陸に上がった魚のように口をパクパクさせながら、薪は頬を赤くする。もうこういうのが気恥ずかしい間柄でも、また年齢的にもあり得ないと思うのだが、赤くなった薪は殊更にかわいいから、青木はつい、その常識を忘れる。
「おまえ、わざと言っただろ!」
「なんのことです?」
「絶対にわざとだ!」
「知りませんよ。ちょ、痛いですって」
 ゲシゲシと足を蹴られながら、口ではとぼけるけれど、眼鏡の奥で笑う黒い瞳がそれを裏切る。こういう彼が見たかったのだ。プライベートの時しか見られない、ちょっとコケた彼。職務時間の延長である朝晩の送り迎え中には決して見ることのできないストレートに感情を表す彼にこそ、青木は会いたかった。

「風呂入って寝る。さっさとそれ、持ってこい」
 言い捨てて、薪は手ぶらでバスルームに向かう。青木は急いでクローゼットから目的のものを取ってきて、薪を追いかけた。
 脱衣所のドアを開ければ、そこにはもう薪の姿はない。擦りガラスの向こう側からシャワーの音がしている。失礼しますと折り戸を折ると、バスチェアに座って髪を洗っている薪がいた。まことに素早い。洗ってあげたかったのに、間に合わなかった。

「あー、やっぱりウチの風呂はいいですね。ホテルのは狭くって、この辺までしかお湯に浸かれないんですよ」
 湯船の中、いつもするように2人で向かい合う。ゆっくり身体を伸ばして青木は、じっと薪に見つめられていたことに気付き、ガバと身を起こした。
「すみません。薪さんのおうちのお風呂ですよね」
「1年も経ってから何言ってんだ。いいだろ、ウチの風呂で」
 じゃあなんで睨まれてたんですか、オレ。

「場所、交替するか」
 ざばっと薪が立ち上がり、青木が座っている方に足を進めた。湯船の左右はシンメトリーではない。薪側の壁にはくつろぎやすいよう傾斜が付けてあるが、青木側は直角だ。より快適な場所と代わってやろうと、それは薪の心遣い。
 うれしかったけれど、薪だって今日は疲れているはずなのだ。入浴時が唯一のリラックスタイムである彼は、本当は独りで風呂に入りたかったに違いない。だけどアロマキャンドルの話を青木に持ち出されて、それを断念したのだろう。これ以上、薪の癒しを奪うことはしたくない。
「オレはこっちでいいです」
「遠慮しなくていい」
「本当にいいんです」
「いいから退け」
 押し問答をしながら尻の横をゲシゲシ蹴られて、心遣いなのか苛めなのか分からなくなった末、二人が落ち着いた体勢は、長方形の湯船の短辺方向に揃って膝を抱えて並ぶという不思議な図式。
「狭いな」
「ホテルの風呂と同じくらい窮屈ですね」
 横を向いて顔を見合わせて、同時にぶふっと吹き出してしまった。「強情だな」と笑いながら薪は元の場所に戻り、その優雅な白い身体をゆったりとくつろがせた。

「じゃ、点けますよ」
 浴槽の縁にバランスよく置いた3つのアロマキャンドルに、薪の側から順に火を灯す。脱衣所の壁のスイッチで浴室の明かりを消せば、ゆらゆらと蠢く蝋燭の炎が暗い水面を映し出す幻想的な風景がそこに現れた。
 しばらくの間、薪はその光景に見惚れるふりをして黙っていたけれど、やがて、ぽつりぽつりと話し始めた。今まで青木にも隠していた今回の事件の舞台裏。
 ヒロミ母子が誰かから逃げていることは、話し合いを持った当日、すぐに解った。だから彼女たちを家に連れてきた。宇野に命じて、ヒロミの身元調査をさせた。結果、父親が母子を虐待し、挙句母親を殺していた事実が判明した。父親は逮捕されたものの裁判で39条が適用され、執行猶予5年の精神病院送りになっていた。
 その父親が退院してくることになった。正常な精神状態に戻ったと医療機関の診断が下りれば、後は家族の問題だ。責任はすべて娘のヒロミに掛かってくる。だが、ヒロミにはそれを受け入れる勇気はなかった。父はヒロミに執着するあまり、邪魔になった母を殺したのだ。

「彼の最も許されない罪は、ヒロミにミハルを産ませたことだ。法廷で明らかにされることはなかったが、そのことで彼女たちは、殺された母親よりも悲惨な境遇に落とされたはずだ」
「それはヒロミさんの口から?」
 青木の質問に薪は、いや、と首を振り、
「あの事件調書を読めば、誰だって察しが付く」
 義父(戸籍上は実の父親)に性的虐待を受けた少女が彼の子供を産まされた。その時点で青木はそう理解していたが、事実はもっと劣悪だった。あの男はヒロミにとって、最低最悪の父親だったのだ。

「おまえが病院で言ったように、生まれてくる前になんとかすべきだったんだろう。それを怠ったヒロミが罪を背負うのは仕方ないし、覚悟の上だとも思う。でも、ミハルは可哀相だ。あの子にはなんの罪もないのに」
 薪を不安が苦しめるなら、それを取り除くのが自分の仕事だ。青木は、それこそ何の根拠もなかったけれど、心からそれを信じて薪を勇気付けた。
「大丈夫ですよ。ミハルちゃんは強い子です。なんたって薪さんのお孫さんですから」



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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