たとえ君が消えても(16)

 こんにちは!
 
 会社のお仕事、決まりまして!(喜)
 契約書類を作らなきゃなので、連日更新は今日でストップですー。 我ながら短かったなー。(--;
 申し訳ないのと、この章も短いので、次のも一緒に上げておきますね。
 ではでは、また来週!





たとえ君が消えても(16)






 電話から5分後、岡部は新横浜で降りて、タクシーを拾った。薪からの指示があと5分遅かったら、名古屋まで行く所だった。警察手帳を振りかざして無理矢理新幹線を止める羽目にならずに済んでよかった。薪ならそのくらい平気で「やれ」と言うに決まっている。

 夜の10時過ぎ、年老いた管理人には申し訳なかったが、緊急を要する事件の捜査のためだと頭を下げた。管理人がしょぼついた目を擦りながら開けてくれたドアに滑り込み、岡部は青木の部屋に入った。
 岡部は余所見をせずに本棚に向かった。そこには、試験勉強用の参考書やIT工学の専門書、果ては趣味のカー雑誌までもがきちんとナンバー順に並べられていた。几帳面な青木らしいと思った。

「こいつか」
 雑誌とIT関連本の間に挟まれたノートを見つけ、岡部はそれを抜き出した。薪から聞いた通り、表紙に『研究書 極秘扱』と書いてある。床に腰を下ろし、目的のものを調べるためにパラパラとノートをめくり出した岡部の無骨な手が、脱力したように投げ出された。
「なんだこりゃ」
 ノートには、青木のコーヒー職人としての経歴が細々と記されていた。独自に試みたブレンドの配合設定、それを飲んだ薪の反応が逐一書いてある。コーヒーの研究書と言うよりは、薪の好みを探るための研究日誌みたいだ。これは確かに個人情報ではあるが、『極秘扱』とは大げさな――。

「うおっ!?」
 ある一文が目に入って、岡部は吼えた。それは夜間に不適切な音量で、でもこれは不可抗力だ。いきなりこんなことが書いてあれば、誰だって我を失う。
「こ、これは……!!」
 生々しい言葉の羅列に、心臓が早鐘を打ち始める。岡部の耳に、薪の不必要に凄みを利かせた声が甦った。

『いいか、コーヒーの記述以外のところは絶対に読むなよ? 読んだらコロスぞ』
 その後に続いた、彼のヒステリックな声も。
『ホントは自分で調べたいんだ! でも僕は神戸に来ちゃってるから、調べに帰ってたらコーヒー店の閉店時間に間に合わないし!!』

 取り乱すわけだ。これは他人には見られたくないだろう。
 おそらく薪は電話口で顔を真っ赤にして、この内容では無理もない。まったく青木のヤツ、薪さんになんて酷い事を。何が新記録だ、幾ら若いからって一晩に6回はないだろ、薪さんもすごく悦んでたってそれはおまえの主観じゃないのか薪さんお可哀想にっ。

 これが事件の最中でなかったら、またこのノートに重要な手がかりが書き記されていることを知らなかったら確実に破っていたところだ、てか、読んだ後に破ればいいんだ、そうだそうしよう。
 いや待て、このノートの存在を薪が知っていて、その上で放置していたことを考えると勝手なこともできない。こんなことまで記録されるなんて自分なら絶対にごめんだが、まあこういうモノは人それぞれだし。とりあえず、青木が生きて戻ってきたら、
「この手で息の根を止めてやる」

 神戸から直線距離にして約400キロ離れた東京の地で、自分に対する殺意が生まれたことを、青木警視は知る由もなかった。



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Rさまへ

9/28に拍手コメントいただきました Rさま。

お返事遅くなってすみませんーー!!

岡部さん、不憫ですね。(笑)
わたしが代わりに、とのRさまのお言葉、まるっと同意します♪


わたしの不躾な質問に丁寧に答えていただいて、ありがとうございました。
後でコメント入れに行きますが、一言だけ、
Rさまってすごいと思いました。 その状況で、あんなに正しく深く、作品を読み取れるなんて。 理解力と洞察力が、人並み外れて優れているのですね。 感服しました。
それと、娘さんとの関係がとても素敵ですね。(^^

SSの手直しをされたとのこと、
Rさま、プロ根性入ってますね。 エライなっ。
わたしも誤字脱字くらいは見直しますが、あとはあんまり……適当ですみません。(^^;

Rさまへ

Rさま。
コメントありがとうございますー(^^


> あおきぃ~純粋にコーヒーの研究ノートじゃないの。

それだったら「極秘」にしなくてもいいのにね。(笑)
「何をどう研究(探究)して」って、そりゃーwww。


> まだまだ青いよ青木くん(ビシッ)、回数より時間のほうがポイントではないのかね。
>

あはははは!!!(>▽<)
いやそれ、薪さんにとってはどっちもどっちだから! メイワクなことに変わりないから!! 


> しかし薪さん、岡部さんになら読まれても(見られても)いいと決断されたんですね。おいたわしや。

緊急事態でしたからね~、この場合は仕方ないですね~。
第九の中で二人の関係を知ってるのは岡部さんだけなので (実はバレバレなんですけど、薪さんはそう信じている) 岡部さんに頼むしかなかったんですね。
おいたわしや、薪さん☆

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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