きみのふるさと(12)

 こんにちはっ!

 年末年始にかけて、たくさんの方のご来訪、及びコメントと拍手をありがとうございました!
 お返事遅れててすみません。 お正月ってついだらだらしちゃ、あ、いえ、色々忙しかったんですよ、ガキの使い笑ってはいけない6時間スペシャルのビデオをオットと一緒に見たりとか、しづ、OUT! ←こんなん見てる人、秘密コミュにいる? 
 すみません、だらだらしてました。
 人としてOUTですみません。

 コメントのお返事もしたいし、お友だちのブロガーさんのところへ新年のご挨拶にも行きたいのですけど、休みの日のわたしは基本的にオットに独占されてるので、時間的に余裕が無くて~~、
「警視庁24時」の4時間スペシャルのビデオをオットが見ている間に更新してます。

 7日から平常運転に戻りますので、それまでどうかお待ちください。
 お待ちの間にお話の続き、よろしかったらどうぞ。(^^
  
 





きみのふるさと(12)






 青木が家に帰ってショックだったのは、昼食の用意ができていなかったこと。そして、もっとショックだったのは叔父が未だ居座っていたことだ。
 姉さん、と恨みがましい目つきで姉を見ると、さすがの姉もこの叔父ばかりは手に余ったようで、
「あんたが帰ってくるまで帰らないって言い張って」と叔父の主張をそのまま伝えた。匙を投げた、という感じだった。

「おう一行、帰ったか。ちょっと此処ば座れ」
 目ざとく甥の姿を見付けて呼びつける。叔父の態度は相変わらず横柄だ。空腹感も手伝って、青木は不快な気分になったが、さっき薪に言われたことを思い出して「はい」と返事をした。
 叔父の隣には母親がいて、困惑した眼をして青木を見た。ずっと叔父の話を聞かされていたのか、疲れたような表情だった。

「それでな、この女性なんやが」
 叔父がおもむろに取り出したのは、着物姿で映っている女性の写真。立派な装丁の、所謂見合い写真というやつだ。叔父はその写真を指で示しながら、年は28で丁度いい、中学校の先生をしていて料理が得意だそうだ、などと、彼女のセールストークを始めた。
 しかし、叔父の押し出すセールスポイントはまったくもって青木の食指を動かさない。青木は基本的に年上が好きだし、美味しい料理は薪に食べさせてもらってる。
「なかなかの美人やろ。こん人ならおまえも気に入ると」
 毎日薪の顔を見ているのだ。美貌で青木を釣るのは相対的に不可能だ。
 薪さん以上に美しい女性を連れてきたら考えてもいいです、と言ってやりたかったが、思い留まった。出来るだけ穏便にこの場をやり過ごそうと、青木は言葉を選んだ。

「すみません、叔父さん。今こっちへ戻ってくるのは無理なんです。さっき、オレの上司も同じ事を言ったでしょう?」
「長男坊が30過ぎても実家に戻らんと、そげな非常識な」
 法事の席に見合い写真を持って来るのは非常識ではないのだろうか。
「警察というところは、厳しい世界なんですよ」
 愛想笑いを浮かべて叔父の相手をするのはひどく疲れるが、薪の心配事を増やすよりはずっといい。ほんの小一時間、自分がこうして我慢すればよいのだ。
 叔父が帰ったら薪さんに甘えさせてもらおう、とモチベーションを上げるためのご褒美の算段までして、青木は顔の筋肉に力を入れた。

 青木が叔父の話し相手になったのを確認して、和歌子は仏間の障子を閉めた。
「薪さん、ごめんなさいね」
 お腹空いたでしょ、と和歌子は台所へ行き、草太を床に下ろして、昨夜のカレーを温め始めた。心地良い母親の腕から離された草太は床を這って薪のところにやってきて、自分を抱き上げるよう態度で示した。天下の警視長も、彼にかかっては単なる下僕だ。
「僕はいいです。先にお客さまに」
 草太を抱き上げながら、薪が昼食を辞退すると、和歌子は笑って、
「冗談。昼食なんか出したら、ますます帰らなくなっちゃうわ。長っ尻なんだから、あの人」
「いつもあんな調子なんですか」
「まあねー。とにかくしつこくって。母さん、ノイローゼになりそうだって言ってたわ」
 和歌子の話を聞いて、薪は強い衝撃を受けた。自分たちのせいで、青木の母親が苦労をしている。これは自分の選択の結果だ、原因は自分にあるのだ。

「すみません。僕のせいですね」
 謝ってもどうにもならないと思ったけれど、謝らずにはいられなかった。自分の気持ちを変えることはできない、青木と別れることはできない、母親を助けることもできない。何一つできない自分の力不足が、泣きたいくらい悔しかった。
「なんで薪さんが謝るの?」
「弟さんが道を誤ったのは僕のせいです。彼は悪くない、僕が」
「なるほどね。あなたがそんなだから、一行があんな態度に出るのね」
 和歌子は謎のような言葉を呟くと、カレー鍋に蓋をして火を止めた。それから、薪の腕に抱かれてご満悦だった草太を取り上げ、有無を言わさずに床に下ろした。「いい子にしててね」と母親の威厳を持って息子に命じると、立ち上がってにこりと笑い、
「ねえ薪さん。ちょっと失礼なこと言っていい?」
「はい」
 ある種の覚悟を決めて、薪は和歌子の言葉を待った。心が折れないよう、腹の底に力を入れる。

「あんたなあ、何かっちゅうと自分のせい自分のせい言うて、被害者ぶるのもええ加減にせんね。わたしの弟、小バカにしちょると?」
 和歌子が突然異国の言葉を喋り始めたので、薪はその言葉がどの国のものか判断するのにコンマ3秒ほどの時間を要した。きょとりと眼を丸くして、長い睫毛を3度ほど瞬き、それが青木家のお国言葉だと理解する。理解して、震え上がった。激したときには人間の本性が露わになると言うが、雪子が怒ったときと同じくらい迫力がある。青木が決して姉に逆らわない理由はこれだったのか。
 彼女のおっとりとした外見からは想像もつかない変貌だったが、考えてみたら当然かもしれない。彼女は九州の女、幼い頃から日本一勇ましい九州男児と対等に渡り合っているのだ。

「恋愛は同等やろ。お互い、同じ責任と幸せ負っちょるもんやろ。なんであんた一人で被ると。どうしてあの子に分けてやらんの」
 僕は、青木を守るとお母さんに約束しました。だからこの責は僕が負うべきもので、一欠けらたりとも彼に背負わせて良いものではないんです。責任を取るのは上の仕事、年長者の僕の仕事です。
 薪はそう返そうとした。しかし。
「一行はわたしの弟ったい。そんくらい背負えんほど、ケツの穴の小さか男じゃなかよ」
 彼女の口調の激しさと独特のイントネーションが、薪の反論を封じた。弟を馬鹿にするなと姉に言われれば、薪に返す言葉はなかった。

 唇を噛んで俯く薪に、和歌子はふっと肩の力を抜き、お国言葉はそのままに、口調だけをやわらかく変えて、
「薪さんのことねえ、わたし、一行から直接聞いたんよ」
「青木が?」
 薪は驚いて眼を瞠り、鸚鵡返しに訊いた。
 てっきり、母親から伝わったのだと思っていた。いくら青木が能天気でも、同性を伴侶にすることを家族に賛同してもらえるなどとは考えまい。隠し通せるものでもないが、できれば隠しておきたかったはず。身内には余計に言い難かろうと、そう思ったから自分の口から姉に打ち明ける決意を固めてきたのだ。そんな薪の覚悟を無駄にして、青木が姉にどんな風に自分とのことを話したのか、聞いて薪は卒倒しそうになった。

『認めてくれなんて言えないけど。薪さんに悲しい思いをさせるくらいなら、オレはこの家と縁を切る』
「お姉さんに向かってそんなことを?! あのバカ」
 咄嗟に、姉の前で弟をバカ呼ばわりしてしまって、慌てて薪は自分の口を塞ぐ。つい、口から出てしまった。だってバカとしか言いようがない。以前、薪は青木に「僕のために親も未来も捨ててみろ」と詰め寄ったことがある。提示されたのは究極の選択、でも青木は呆れるくらいアッサリと薪を選んだ。だけど、それをそのまま身内に言うなんて。それはバカのすることだ。

 ――どうしてそのひとなの?
 と、和歌子は訊いたそうだ。それに対する青木の答えがまた、バカにバカを掛け合わせてバカバカバカバカ……なにがなんだか解らなくなってきた。

『薪さんが笑ってくれると嬉しいんだ。オレが持ってるもの、全部使っても惜しくない』
 ――全部? 命懸けてるとか言いたいの?
『オレ、あの人のために生まれてきたんだ』

 バカをどれだけ乗じたら青木に近付くのか、薪の天才的な頭脳を持ってしても、その答えは出せなかった。脳がスパークして何も考えられない。自然に涙が浮かんだ。
「あれだけキッパリ言われたら、なんも言えんねえ」
 失笑とも苦笑とも付かぬ表情で、和歌子は言った。我が弟ながら呆れたわ、と肩を竦めて見せた。
 すみません、と薪は謝った。それ以外の言葉が見つからなかった。和歌子は、自分といくらも変わらぬ背丈の、俯いた薪の顔を下から覗きこんで、
「一行に、生きる目的を与えてくれてありがとう」

 いいえ、僕の方が。
 僕が彼に救われたんです、僕に未来を与えてくれたのは彼なんです。

 そう言おうとしたが、声にならなかった。込み上げてきた嗚咽を止めるのが精一杯で、口を開いたら泣き出してしまいそうだった。
 ぎゅ、と両手を握って懸命に涙を押し留めていると、ノックもなしに勝手口のドアが開き、青木の幼馴染が顔を出した。
「真美デース。後片付け手伝いに来ましたー」




*****

 私信です。

 Aさま。
 ずっと心配されていた「お姉さんが薪さんを泣かすシーン」、こちらでございます。 この先は安心して読んでください。
 ちなみに次章は、
 薪さんVS真美の第2ラウンドです。 ←安心できるか。
 お楽しみにっ♪


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Sさまへ

1月5日に拍手コメントいただきました Sさま。


お返事遅くなってスミマセン。
改めまして、
新年おめでとうございます。(^^


>夫に独占されちゃってるお正月って・・・しづ様ったららヴらヴですねえ。いいですねえ。

ていうか、普通にストーカーだと思うんですけど、うちのオット。(--;
オフ会のときとか、説き伏せるのが大変なんですよー。 
何週間も前からご機嫌取りしてね。 オフ会が終わったら知ったこっちゃ無いですけど。←あざとい。

独占と言っても、一緒にテレビを見てるだけですよ~。 
今回も一緒にインフルエンザになってしまったものですから、ずーっと二人でテレビ見てました。 長いお正月休みになっちゃいました。(^^;
明日からやっと仕事に復帰できるので、頑張って仕事します!

Sさまへ

1月6日に拍手コメントいただきました Sさま。
お返事遅くなって申し訳ありません。


> 和歌子さん、漢です。

ありがとうございますっ。 最高の褒め言葉です。
わたし、少年漫画に出てくるオトコマエな女の人が大好きなんです。 「鋼の錬金術師」のリザ・ホークアイとか、「20世紀少年」のユキジとか、大好き。 オヤジはもっと好きですけど♪


1日に何度も覗きに、なんて、
うれしいです~~。
こんなトーシロの書いた穴だらけのお話、気に入ってくださったなら光栄です。(^^
Sさんのお気持ち、充分に伝わってますよ!
わざわざコメント入れてくれるの、心を動かしていただけた証拠だと思ってますので!


これからもうちの未熟なあおまきさんは、あっちで躓きこっちで転びすると思いますが、どうかよろしくお付き合いください。(^^

Nさまへ

1月6日に拍手コメントいただきました Nさまへ


あははは!!!
毎年っすか!? 
いや、そこは「行く年来る年」で越そうよ!!(>▽<)

見始めたのは一昨年からなんですよ。 ほら、ロケが茨城空港だったでしょう? 近所でロケをやったと聞いたので、それで見てみたら病みつきになったと☆
あんなに問答無用で笑える番組、貴重ですよね♪
笑う門には、と申しますので、Nさまもぜひ大声で笑っていただいて。 今年の福を呼び込んでくださいね。(^^

Rさまへ

Rさま。

「笑ってはいけない」のこと、
ねえ! やっぱりそう思いますよね! 絶望的にイメージが合いませんもん。

でも世の中広くって、Rさまの他にもお一方、毎年これを見て年越ししてます、って方がいらして。
さすがにわたしもビデオです。 上には上がいるということで!(^▽^)/


Rさまのツボは、田中さんの奥さんなんですね。 鉄仮面の下のアレですね。 
あの瞬間の田中さんの顔、可笑しかったですね。(>m<)

わたしは、万田さんの「久子です」がイチオシです。
「年末に仕事を取ってきたと思ったら、とんだ汚れ仕事だったとです」て、
あんな大女優さんが真面目にやってるの、笑い転げました。
スゴイと思ったのが、万田さん、あのハマちゃんの姿を見ても笑わないんですよね。 役になりきってるの。
プロ根性だなあ、と感心しました。



Mさまへ

1月9日にコメントいただきました Mさま、て、
きゃー!!
Mさま、お久しぶりですっ!
お元気でいらっしゃいましたか?


出しちゃいましたよ、「ケツの穴」 ←久し振りの会話がこれ?
この言い回しをMさまに教えていただいてから、ずーっと機会を狙っておりましたのよ。 ほほ。



> コメントするの 久しぶりですが、ちゃんと読みにきてましたよ~(^^=)

ありがとうございますっ。
とってもうれしいですっ!


> ええ 期間限定掲載のRも 2本共読んじゃいました。エロかったです!!!!!(//∀//)

ありがとうございま、ぎゃー!
そっちは読まなくていいですーっ!!(><)

ええ、Rはね、慣れるんですよ、本当に。
最初はキスさせるのだって大変な騒ぎだったのに、今じゃ、ねえ。(遠い目)


青木さんの故郷は、Mさまお勧めの筑豊でございます。
ネットで調べたら、位置によってはものっすごいド田舎なんですよね。 大らかな青木さんにピッタリだ~。

そうか、米どころ=日本酒の名産地なんですね。
ああー、飲ませてやればよかったな~。 次回は必ず!



近況報告、ありがとうございました。(^^
とりあえず、ほっ。
しかし、6か月ぶりって……しかも内容がドラマ真っ青の展開で(@@) 
言いたいことたくさんあるけど表に出すわけにはいかないので、詳しいことは控えますが、とにかく、結果的に、
Mさまのオトシ勝ち お見事!!

厭なこと怖いこと、全部全部早く片付いて、Mさまたちに祝福が訪れますように。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

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毎日たくさんの拍手をありがとうございます。励まされてます。
おかげさまで、しづは元気で仕事してます。(10/28)
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