きみのふるさと(13)

 すみません!!
 1月に入ってからのコメレス、まだ1個もお返しできてなくて。 今日からお返事させていただきますので、どうかもうしばらくお待ちください。 
 更新も、1週間も空いてしまって誠に申し訳ありませんでした。


 レスも更新も放置して何をしていたかと言うとですね、オットと二人だけの世界に浸っておりました。
 1月8日の夜から。
 二人とも、熱に浮かされたように、ええ、本当に二人っきりで部屋にこもりきりで。

 カンのいい方はお分かりですね?


 はい、正解です。
 インフルエンザで隔離されてましたー(^^;

 いやー、参りましたー、二人で同時発症ですよー。 お義母さんに伝染ったら大変なんで、なるべく部屋から出ないようにしてたんですけど。
 なかなか熱が下がらなくてねー、普通の風邪なら気力で治すんですけど、さすがインフルっすね。 熱が下がったと思ってちょっと動くと、またすぐに上がってくるんですよね。 医者の言うことは正しいわ。←当たり前。
 

 みなさんもインフル、気を付けてくださいねっ!
 外から帰ったら必ず手洗いとうがい、面倒がらずに実行してくださいね!



 ではでは、お話の続きです。

 
  




きみのふるさと(13)





「真美デース。後片付け手伝いに来ましたー」

 本当に手が必要なときに現れてくれる、頼りになるお隣さんだ。彼女の親切が押し付けにならないのは、この土地柄と、彼女の明るいキャラクターのおかげだ。昨日、薪は彼女に厳しいことを言われたけれど、それは純粋に彼女が青木家のことを心配しているからこそ出た苦言で……。
「あら、和歌ちゃん。早速嫁イビリ?」
 この女、やっぱりキライだっ。

 薪が引き攣った顔で真美を睨むと、真美はひょいと台所に上がり、「久しぶり、元気だった?」などと言いながら和歌子の傍に寄って来た。和歌子は年長者の余裕でそれに応え、にこやかに笑いながらも小さな棘の含まれた言い回しで、彼女に牽制球を放った。
「薪さんの様子がおかしいから予想はしてたけど。やっぱり真美ちゃんにはバレちゃったのね。あなた昔っから、一行の恋の相手には敏感だったものね」
「あたし、鼻が利くの。べつに行ちゃんだけじゃないわ」
「ま、そういうことにしておきましょ」
 自分よりも若干小さい真美を睥睨し、顎を上げる。やっぱりこの人には逆らわないほうがよさそうだ、と薪は思った。

「そういうことも何も、本当だもん。ところで、草太くんは?」
「草太ならここに、あらっ?」
 てっきり床で大人しくしていると思っていた息子は、いつの間にか消えていた。
「いやだ、どこ行っちゃったのかしら。いい子にしててって言ったのに。ちょっと探してくるわ」
 和歌子は慌てて台所を出て行き、ダイニングテーブルの前には薪と真美だけが残された。気まずい空気が流れる。昨日、あんな会話を交わしたばかりだ。真美も、薪の顔など見たくないに違いない。

「和歌ちゃんが嫁イビリに夢中になってる隙に、逃げちゃったのね。赤ちゃんだもの、じっとしてないわよね」
「その言い方、止めてもらえますか」
 捜査会議で反対意見を封じ込めるときの厳しい口調で、薪は言い放った。青木家の人間にしてみれば、薪の存在は他人に触れられたくないことのはずだ。それを考えなしに口にする、彼女の無神経さが許せなかった。
「いいじゃない。行ちゃんのお嫁さんなんでしょう?」
「少しは考えてください。あなたの不用意な発言が、この家の人たちを窮地に追いやることに」
「他人に言うわけないでしょ、こんなこと」
 嘲笑うように言われて、薪の神経が室長モードに切り替わった。平たく言うと、キレた、ということだ。

「まあ、あなたのやり切れ無い気持ちも解りますよ。僕だって、初恋の人が同性の恋人を連れて帰ってきたら、それなりにショックを受けると思います。ましてや、肝心の彼が」
 周囲の空気を凍てつかせながら横柄に腕を組み、せせら笑う口調で挑発し、薪は見下した眼で真美を見た。
 一度目は不覚を取ったが、今度はそうは行かない。売られたケンカは借金してでも買うのが薪のポリシーだし、やられたことは倍にして返すのが第九の社訓だ。こちらは毎日、生き馬の目を抜く勢いのマスコミ相手に答弁をしているのだ。田舎娘なんかに口で負けてたまるか。
「青木の方がだいぶ年下ですし、住んでる家も僕の名義です。稼ぎも僕の方が断然良い。あなたがどうしても僕たちの関係を夫と妻の立場に準えたいなら、妻になるのは青木のほうですからね。ご心痛、お察しします」

 捲くし立てられて、真美はぽかんと口を開けたまま固まった。
 泣き出されたら厄介だと、多少の不安はあったものの、自分は絶対に退くべきではないと薪は思った。青木の母と姉が薪の立場を認めてくれる以上、卑屈になったら彼女たちに申し訳が立たない。
 何より、青木の覚悟に報いるために。臆病な自分に負けたくなかった。

 やがて真美は自分を取り戻し、怒るでもなく泣くでもなく、何かに会得したときのように両手を胸の前で合わせた。
「行ちゃんて、昔から気の強い年上のひとが好きだったのよね。人間の好みって、びっくりするくらい変わらないのね」
 それから、少しだけ寂しそうに、
「あたし、もうちょっと早く生まれてきたかったな」
 俯き加減の彼女の睫毛は微かに震えていて、薪は些少の罪悪感を味わった。正当性とは関係なく、女の子に悲しい思いをさせるのは気分が悪い。薪は男で、男は女性を守るものだと父親に教えられて大きくなった。幼少期の刷り込みは、そう簡単には消えないのだ。

「昨日は、酷いこと言ってごめんなさい」
 真っ直ぐでつやつやした黒髪を下方に垂らして、真美は薪に頭を下げた。すらっと言葉が出てきたのは、もしかすると彼女が、今日は最初から薪に謝るつもりでここを訪れたことの証拠かもしれなかった。
「あたし、結婚失敗したなあって思ってて。うちの旦那ね、結婚する前はあんなに優しかったのに、結婚して半年もしないで女作ってさ。それから2年の間に4人よ、4人。もう、やんなっちゃった」
 真美が既婚者であるという事実は、薪の自己正当性を強くした一因だったが、結婚生活が幸せなものであるとは限らない。薪自身、青木が他所の女との間に子供をもうけたと誤解して、足元が消えてなくなるような崩落感を味わったばかりだ。でも。

 あの時、薪は青木がこれまでに自分にしてくれた数々のこと、今現在してくれていることを思い起こした。結果、一つの結論に達した。
 彼が何処で誰と何をしていても。彼が一番愛しているのはこの僕だ。

 青木がどんなに薪のことを大切にしてくれたか、薪のためにどれだけの努力をしたか、数え上げたらキリがない。それは昔から連綿と続いており、現在も絶えることはない。なのに、どうやって彼の愛情を疑えと言うのか。
 青木も普通の男だ。欲求もあるし気分の浮き沈みもある。何かのはずみでちょっと揺らいだだけのこと、たったそれだけのことで彼がくれたものすべてを否定するなんて、薪にはできない。今現在ここにはいない彼の、でも確かに感じる愛情を、認めずにはいられない。
 しかし、真美には夫のそれを感じることができないのだ。実際に受け取っていないのかもしれないし、彼女が気付かないだけかもしれない。部外者の薪に言えることはないが、彼女の辛い気持ちだけはよく分かった。

「行ちゃんは昔から背が高くてカッコよくて優しくて、この辺の女の子、みんな行ちゃんが好きだったの。でも行ちゃんは、女の子の中ではあたしと一番仲が良くて。あたし、それが自慢だった」
 そんなにモテてたのか、と薪は昔の青木に嫉妬したが、男の価値は成人してから決まるんだ、今は僕の方が上だ、と自分を慰めた。これは男のプライドの問題で、彼に対する恋愛感情とは関係ない。薪が女性なら、モテ男を手に入れたことに優越感を抱くかもしれないが、男同士ではそうもいかない。
「昔の行ちゃんは、みんなに優しかったの。気配り上手でね、皆に平等に眼を配ってた」
 真美が語る青木少年の姿は、薪にも簡単に想像がついた。青木は今でも気配り上手だ。それが興を奏して先輩からも可愛がられているし、友人も多い。
「でも、今の行ちゃんは違う。あなたの事しか見てないし、あなたのことだけ気に掛けてる。他の人はどうでもいいみたい」
 そんなことは、と薪は言いかけて、でも思い留まった。昔の青木を知らない自分が、彼の変化について論じる資格はない。
「だから僻んじゃった」
 前に縛ったエプロンの紐を弄りながら、真美は照れ臭そうに言った。
「あんなこと、本気で言ったんじゃないの。ごめんなさい」
 うん、と薪は頷いた。素直に謝ってこられれば、快く受け入れてやる。薪はもともと女性には寛容なのだ。

「男の眼を自分に向けるのなんて、簡単だ。自分は彼だけのものじゃない、と危機感を抱かせればいい」
 男性の立場から、薪は真美にアドバイスした。と言っても、恋愛経験の少ない薪にそんな気の利いたことが言えるわけがない。実は、昔の親友からの受け売りだ。彼の口調と仕草を真似て、薪は真美の肩に手を置き、首を傾けて彼女の顔を覗き込んだ。
「大丈夫。君はそんなに可愛いんだから」
 そして薪は、かつての親友のその言葉と仕草が、自分に恋愛相談をしてきた女の子を落とすための手管だったことを知らない。
 思わず顔を赤らめる真美を、可愛いと薪は思った。彼女の旦那は女を見る眼がない。いや、失ってしまったというべきか。

「ありがと。薪さん、ひとつ聞いていい?」
 なに? と微笑んで、薪は彼女の言葉を待った。
「年、いくつなの? てっきりわたしより年下だと思ってたんだけど」
 待たんかい、こら。
 真美は青木より5つ年下、ということは薪より17歳も下ということだ。それで年下ってどういうことだ!!

「だから余計に腹立っちゃったのよね。年下はダメとか言ったくせに、って」
「僕は警視長だって言ったでしょう。青木は警視ですよ」
「警察の階級なんか分かんないもん」
 当然かもしれない。一般人が知っている階級といえば、テレビによく出てくる巡査、警部、警視、この3つくらいだ。警視正や警視長ともなると現場には出ないから、視聴者が喜ぶドラマが作れない。だから認知度が低いのだ。

 薪が自分の本当の年を教えてやると、真美は息を飲んで、
「うそぉ! 美魔女ってやつ? あ、男の人だから美魔男?」
 薪は激しく舌打ちし、やっぱりこの娘は苦手だ、と思った。




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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とってもうれしい(*^-^*)

しづさま

はじめまして。昨年、秘密のファンになり、しづさまのご作品もようやくほとんどみせていただき、すっかり、ファンになりました。

しづさまの、ジェネシス編も楽しみにしています。v-290

きみのふるさとも続編を楽しみにして、お待ちしていましたが、お忙しいのだろうな~v-356 と、いい子にしておりましたが、ご病気とは・・・

お大事にして、お身体の復調を心からお祈りしています。

こんかいのふるさとは、強気な薪さんが復活して、うれしいです。

また、続きを楽しみにおまちしています。

過去のご作品を、拍手を少しずつ、入れさせていただきますねv-290 

セッキュリティソフトの関係か、一読目では、入らなかったりしたので、すみません。


言えない理由のAが辛くてBを読めなかったり、間をおいて読ませていただいたB、

聖夜、ラストカット、とつづく、鈴木さんバージョンもとっても素敵でした。


鈴木さんのラストカットは、やはり、薪さんの笑顔だと思います。


恥ずかしいので、初コメント、で、なかなか、コメント入れられないかも、ですが、

ときどき拝見する、しづさまの近況も大好きです。

ご作品とともに、楽しみに見せていただきたいです。これからもよろしくおねがいします。




Sさまへ

Sさま。

お見舞い、ありがとうございますー。

Sさまのご主人さまも、大変だったのですね。
今はお元気になられましたでしょうか?

病気はどんなものでも、イヤですよねえ。
害がないのは薪さん病くらいのものですよねえ。(ある意味、致命傷では?)
予防接種もそうですけど、毎年の健診とか、面倒でもしっかりと受けて、元気に日々の生活を楽しみたいですね。(^^

じゅんさんへ

じゅんさん、はじめまして!
コメントありがとうございます!

昨年から秘密ファンになられたのですね。
それでは、ファンになったと思ったら連載終了のお知らせがあって、そんなー(><) と思われたのではないでしょうか。 
ジェネシスが始まって、よかったですね!(^^


拙作を読んでくださって、ありがとうございます!
いっぱいあって、大変でしたでしょう。 テキスト量、多過ぎですよね、すみません。 お疲れさまでしたっ!
原作からかなーり遠いですが、じゅんさんには寛大にお許しくださって、助かります~。 これからもよろしくお願いします。

お話の続き、遅くなってしまってすみませんでしたっ。
インフルエンザなんて、生まれて初めて罹りましたよ~。 
じゅんさんは大丈夫ですか?
面倒でも、うがいと手洗い、してくださいねっ。



うちのジェネシス編、楽しみとおっしゃってくださって嬉しいです♪
ただ、その、
あまりにも好き勝手に設定しちゃったものだから、もう全然原作に合わなくなっちゃって。(^^;) 今、すごい勢いで自分の首が締まってます。 捏造は、ほどほどにしておいた方が身のためですね☆

拍手は、ありがとうございます、お気持ち嬉しいです。
でも、気になさらなくてけっこうですよ~ww。



ええと、鈴木さん、お好きなんですか?
うちの鈴木さんはちょっと軽薄で、来るもの拒まずで普通に三股とか掛けてたりしますが、大丈夫でしょうか? ←いいわけない。
次のジェネシス編で、イメージぶち壊したらすみません。(^^;



> 鈴木さんのラストカットは、やはり、薪さんの笑顔だと思います。

わたしも~。
これだけは、そうだと思います~。(^^



わたしの近況報告は、
いつもアホなことばかり書いてますが、現実はもっとアホみたいです。(笑)
最近やったドジは、
病み上がりだから浴室を温めようと思って、シャワーでお湯を溜めていたら、ちょっとネットしてるうちに湯船から溢れてしまいまして。 やっちまったものは仕方ないので、オットと二人で、「源泉かけ流しっ」とかはしゃぎながら湯船に飛び込んだんですよ。 かけ流し温泉の感覚で、ザバーってお湯を溢れさせて。 そしたらね、エコキュートの野郎が「給湯器のお湯が空になりました」って言ったきり、沈黙しやがりまして。 
「ヌルイよー、寒いよー、お湯出ないー」(@@) 
でも、浴室は温かかったです。 
……水資源は大切にねっ!


訳の分からん話ですみません。
コメントありがとうございました。
じゅんさんの、またのお越しをお待ちしております。(^^

Rさまへ

Rさま。

楽しんでいただけてるみたいで嬉しいです~。 ありがとうございます~。(^^


鈴木さん論、
ねえ、やっぱりそうですよねえ! 青薪さんを書いてても、自然に出てきちゃいますよね、鈴木さん。
実際、第九編では鈴木さんはそれほど出番多くなかったし、現在の二次創作に於ける彼の人となりは読者が想像した部分が殆どだと思うんですよ。 薪さんの親友だった、薪さんのために命を懸けた、という事実が、彼を神格化させているのでしょうね。

Rさんは、青木さんが出てこない話は書けないんですね。
Rさんにとっては、青木さんと薪さん、揃って初めて「秘密」なんですね。 お気持ち、分かりますよ~。
わたしは薪さんさえいればお話は作れますが、それとは別に、第九編が終わった時、同じような気持ちになりましたから。


ネタがループするの、分かります。
結局、言いたいことって一つなんですよね。 青薪さんの絆は永遠、ていう。
わたしもそれを主張したいがために、別れ話になったり危ない目に遭ったり死にかけたり……Sですみません……。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
毎日たくさんの拍手をありがとうございます。励まされてます。
おかげさまで、しづは元気で仕事してます。(10/28)
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