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ランクS(8)

 一昨日からたくさん拍手送ってくださってる方、どうもありがとうございますー。 更新、がんばりますです。(^^


 ところで、メロディ発売まで1週間になりましたね。 今度の話は特別編なんですよね。
 これまでの傾向を見ると、特別編は事件よりもキャラの心情に迫る話が多い気がするので、次の話はズバリ、
「すずまきさん心情編」
 だと思うの!!

 できれば舞台は旧第九希望。(←オヤジ好き♪)
 そして内容は隠蔽工作を強要されて苦悩する薪さんを抱きしめて慰める鈴木さん希望。

 最近、鈴薪さんの妄想ばっかりしてたせいか、超楽しみです。(〃▽〃)


 






ランクS(8)







 青木が帰った後、捜査1課は2人目の、それも同じ第九からの来客を迎えた。

「室長。どうしました?」
「箱に1冊入れ忘れまして。紛失したら大変なので、お持ちしました」
 驚いて駆け寄ってきた竹内に、薪は相変わらずの冷淡さで答えた。口振りはともかく、彼が竹内の仕事に協力してくれたことに変わりはない。竹内は素直に礼を言い、薪が差し出したファイルを受け取った。

「……なんか、眼、赤くないですか?」
 その理由はプライベートなことかもしれない。そう考えると聞くのも躊躇われたのだが、澄みきった彼の瞳が見られないのはとても残念で、ついつい竹内は要らぬお節介を焼く。予想通り彼からは、木で鼻を括ったような答えが返ってきた。
「あなたには関係ありません」
 不機嫌を露わにしたところを見ると触れて欲しくなかったらしいが、さすがにそれも大人げないと思ったのか、薪は小さな声で付け足した。
「昨夜、ちょっと寝不足で」
 どこかで聞いたような答えだ。

「あの、ちょっと訊きたいことがあるんですけど。いいですか?」
 それでは、と踵を返す薪を、ふと思いついて竹内は呼び止めた。薪なら知っているかもしれない、と考えたのだ。
「青木のことで」
 聞こえない振りで遠ざかろうとした薪の足が止まった。相変わらず、青木の名前には顕著に反応する。青木は薪のお気に入り、眼を掛けている部下の情報は公私に渡って仕入れておきたいのが上司の心情だ。竹内はそこに付け込むことにした。
「青木が交際してる人って、三好先生ですか?」
 そんな内容だとは予測しなかったのだろう、薪はやや充血した亜麻色の眼を丸くして、竹内の質問に答えをくれた。
「違う、ます、と思われますです」
 よほど動揺したのか、文法がとっちらかっている。珍しいこともあるものだ。
「そうですか」
 二人の共通の友人である薪が知らないのなら、やはり違ったのだろう。竹内はホッと胸を撫で下ろした。

 実は今年の春から、竹内は雪子と交際を始めた。が、いま一つ進展が思わしくない。今迄とは勝手が違うと言うか、雪子の反応が普通じゃないと言うか、平たく言えば、付き合って半年にもなるのにまだ男女の関係になれないでいる。これまでの竹内の歴史には無かったことだ。
 そんな折、青木から恋愛相談を受けた。青木の周りにいる女性で、「基本床に胡坐で家飲み、仕事ができて美人で年上」とくれば雪子以外に思いつかない。あの二人は友人だと思っていたが、違ったのかもしれない。一向に自分の前で女になってくれない雪子の態度を考え合わせると、竹内の疑いは無理からぬことであった。

「どうして青木の相手が雪子さんだと?」
「青木が言ったんですよ。オヤジ系女子と付き合ってるって」
「あのやろー……」
 薪は低い声で凶悪に呟き、一瞬竹内は彼の不機嫌の理由を友人である雪子をオヤジ系と称されたことに対する怒りかと思いかけた。が、薪は竹内の疑惑を力強く否定した。
「絶対に違います。だいたい雪子さんはオヤジ系女子じゃありません。やさしくて思いやりがあって一途で奥床しくて、日本撫子の鑑みたいな人です。オヤジだなんてとんでもない」
 それは俺が知ってる三好先生とは微妙に違う気がしますけど、と竹内は心の中で呟く。雪子は美人だがカラッとし過ぎていて、ロマンチックなムードに持っていくのが難しい。さらには竹内の心に、彼女のことだけは失いたくないと言う追い詰められるような感覚があって、それが彼女をベッドに誘えなくしているのも事実だ。

「いや、すみませんでした。美人で仕事ができて年上だって言うから、てっきり三好先生のことかと」
「他に何か言ってましたか? その、付き合っている女性について」
「相手があまりにもハイレベルだから、引け目を感じてるみたいでしたね」
「僕はどうしたらいいと思いますか?」
 は? と竹内が聞き返すと、薪はしどろもどろになって、
「いやあの、あくまで一般論で。恋人がそういうことを言ってきた場合、こちらはどう対処すべきかという意味で」
「引け目を感じることなんて無い、と言ってあげればいいんじゃないですか?」
「ちゃんと言いまし、あ、いや、言ってもダメなときは?」
「相手の長所を教えてあげるとか」
「言おうとしま、あ、えっと、言おうとしても聞いてもらえなくて、それでちょっとケンカになってしまっ……たと仮定した場合ですね」
 薪は言葉を切り、すっと息を吸い込んだ。一瞬だけ睫毛を伏せて呼吸を落ち着けると、ぱっと眼を開いて真剣な顔で竹内を見つめた。
「この後、どうするべきですか?」

 つっかえつっかえ話す薪の姿は、淀みなく話す彼しか見たことが無かった竹内にとってはひどく新鮮だった。彼の言う仮定上の恋人の眼には、こんな彼の姿も親しいのだろうと思うと、僅かばかりのジェラシーを感じる。男というのは身勝手な生き物だ。

「そんなの簡単ですよ」
 にこやかに笑って、竹内は言った。
「押し倒しちゃえばいいんですよ」
「……なるほど」
 相手が押し倒せるような相手ならね、と心の中で付け加える。
 納得したようなしないような顔で薪が帰って行った後、竹内は自分のデスクに戻って椅子を引き、机の下に潜り込んだ。大友が「なにやってんですか、竹内さん。一人防災訓練ですか」と声を掛けてきたから、椅子を蹴って彼の脚にぶつけてやった。
 大ショックだった。あの二人のことはずっと見てきたのに。

「ああ~、なんで今まで気が付かなかったんだろ……」
 同じ日に、二人から聞いた話があれだけ被ってて、しかも場所は捜一の資料倉庫に程近い横浜のホテル。これで気付かなかったら阿呆だ。
 薪が関心を示すのは青木の話題が出たときだけで、青木がムキになるのは薪が絡んだときだけ。思い起こしてみれば、あの時もあの時もあの時も。明々白々じゃないか。
 はあーっと大きくため息を吐いたら、猛烈に雪子に会いたくなった。
「もしもし先生。今夜、会えます?」
 携帯電話に左耳を預けながら、今のこの気持ちを受け止めてくれる相手がいることを、竹内はとても嬉しく思った。





*****

 バレたwww。

テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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非公開コメント

Sさまへ

Sさま、こちらにもコメントをありがとうございます。

竹内は福山さんですか?
わたしも福山さんはカッコいいと思うー!

最近は「ガリレオ」の影響で理知的なイメージが強いですね。 
もっとも、湯川先生は原作ではあそこまで変人じゃないですけど。 あんな風に、いきなり数式書き出して他人に迷惑かけたりしないーww。

Aさまへ

Aさま。

話の流れから言っても、特別編は鈴薪さんだと思います。
一期一会みたいな感じで、本編を補う形の特別編じゃないかと予想するのですけど、わたし的にはオヤジが好きなので、第九に入ってからの話がいいなー。

次号はどうなるんだろうって、初め意味が分からなかったんですけど、
もしかして連載終わっちゃうかもってことですか?!
なんでだろう、なんか普通に続くと思ってました! Aさまの仰るように、本格的な事件で。

なんでそう思い込んでたのかしら……、
メロディ買うの、怖くなっちゃいました。 次号予告見るの怖い(><)

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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