夢のあとさき(8)

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夢のあとさき(8)












「いいから来い。思い出させてやるから」

 青木の手を強引に引っ張って、ベッドに組み伏せた。この体格差だ、青木がその気になれば薪の体重ごとき簡単に跳ね除けられる。でも彼はそうしないと分かっていた。
 邪魔な眼鏡を取ってサイドボードに置き、上から覆いかぶさって濃厚なキスをした。彼にしてみれば初めてのキスなのだから軽くフレンチにしてやるのがやさしさというもの、だけどそんな気はさらさらなかった。わざと音を立てて舌を絡ませ、唾液ごと啜り上げてやった。自分の舌を相手の口にぐいぐい突っ込んで、強制的に吸わせた。

 互いの下着の上から触れ合わせると、青木は短い呻き声を洩らした。布を引き下ろして直接擦り合わせてやったら、もっといい声で鳴いた。
「我慢しなくていいぞ」
 指を絡めて擦り上げ、腰を使ってやったら呆気なく果てた。息を荒くして、涙目になってるのが可愛いと思った。
 虚脱したように動けないでいる彼の、たったいま吐き出したばかりで強く匂うその部分に顔を寄せる。下腹や内股に付着した液体を舐める。間違いなく青木の味だ。て、他の男なんか知らないけどな。

 萎えた彼を口に含んだら、彼がびっくりして起き上がった。
「ま、薪さん。汚いですよ、そんな」
「汚い?」
 最初の時、汚いからヤメロって騒いだ僕を抑えつけて無理矢理やったのはどこの誰だ。
「僕のも?」
「え。いや、薪さんのは……きれい、ですけど」
「近眼のくせに。見えないだろ、そんな離れてちゃ」
 ベッドに座って脚を開いた。青木が躊躇う素振りを見せたので、彼の髪の毛を掴んで強引に引き寄せた。青木は薪の股間にひれ伏すような姿勢を強いられ、完全にフリーズした。かと思いきや。

「どうしたい?」
 そう尋ねたら、ごくん、と唾を飲み込む音が聞こえて吹き出しそうになった。彼の髪を掴んだ指を拘束から愛撫の形に変え、薪は含み笑いで言った。
「おまえの好きにしていいぞ」
「で、でもっ。オレ、やり方分からないです」
 だから僕に色んなこと教え込んだのは何処のだれ、ああもういちいち突っ込むのメンドクサイ。
「そんなもの。咥えりゃ思い出す」
 ハードワックスで固められた髪を撫でながら、後頭部を抱き込むようにして近付ける。青木の唇が先端に触れ、薪は軽く息を漏らした。
「ほら。口開け」
 耳の後ろをくすぐると、そこに開閉スイッチが付いてたみたいに青木は口を開いた。濡れた口腔内に遠慮なく差し込む。途端に吸い付かれて薪は息を詰めた。「やり方が分からない」などとほざいた口とは思えない巧みな舌遣い。いつもなら快楽に身を任せてしまうところだが、今日は自分が彼を導いてやらないといけない。

「それだけ出来れば充分だ」
 褒め言葉をくれてやって、適当な所で切り上げさせようとした、その矢先。青木の手が後ろに回り込んできた。
「ちょっ、待て、そっちは」
 慌てて止めようとしたけど遅かった。制止しようとする薪の手を簡単に避けて、青木の指は薪の中に入り込んだ。そこに力を入れて侵入を拒もうとしたが、青木の舌の動きがそれを困難にした。そんな風に啜られたら力が抜けてしまう。後ろと同時に責められたら上体を起こしていることも辛くなってしまって、いつものようにベッドに仰向けになった。
 薪のスポットを的確に突いてくる彼の指に、踊らされるように四肢が動く。自然に口から溢れる甘い声は止めようもなくて、結局薪は冷静でいることを諦めた。下方から背中を這い上がる電気刺激にも似た感覚。追い落とされそうになるのを必死で堪える、その努力は長くは続かない。彼は薪の身体を知り尽くしている。

「な。僕が言った通りだったろ?」
 先刻のお返しとばかりに薪が零した露を熱心に舐めとっている彼の、興奮に湿った髪の感触を楽しみながら、薪は彼に言い聞かせた。
「おまえの指も舌もちゃんと覚えてる」
 すごく気持ちよかった、と白状すると、青木は薪に抱きついてきた。「薪さん、薪さん」と飼い主に捨てられそうな子犬みたいに必死になって、だから薪はやさしく彼の背中を撫でてやる。
「おまえには僕を自由にする権利がある。何故か分かるか?」
 不思議そうに小首を傾げる、純朴な恋人に薪は軽くキスをする。
「僕がそれを認めたからだ」

 覆いかぶさってくる青木を、行為に慣れた身体が受け止める。最初に感じたぎこちなさは互いの興奮に溶け去り、二人を陶酔が包んでいく。いつにも増して激しい青木の愛撫と律動に薪は悲鳴に近い声を上げ、彼の動きに応じて二人の快感がより深くなるよう、彼を包む己が肉襞を自在に操った。
 我を忘れる瞬間が幾度となく訪れて、最後に来た一番大きな昂まりに攫われるように薪は自分を解放した。青木は未だ達していなかったが、その時の爆発的な力でもって締め上げると、否も応もなく薪の中に吐精した。彼の証を身体の奥に感じて、薪は繰り返される波のようなオーガズムを味わった。

 身体を離して息を整える。仰向けになった青木の横に同じ姿勢で横たわり、薪は右手を伸ばした。指に触れた大きな手を握る。青木は直ぐに握り返してきた。自然に指と指とが絡み合う。天井を向いたまま、薪は言った。
「青木、焦らなくていい。そのうち――いや」
 はあっと息を吐き出して、そうしたら気分が軽くなった。何も心配はいらないと思えた。
「思い出さなくてもいい。これから積み重ねていけばいいんだ」
「何をですか?」
「色んなこと。おまえとなら何度だってやり直せる気がする」
「え。また初夜のやり直しですか? 薪さん、拘りますねえ」
 青木はひょいと身体を起こし、呆れたような視線を薪に寄越した。それから苦笑混じりにベッドを降りて、床に脱ぎ散らかしたジャケットを取り上げる。
「とりあえずメールからですよね? 待ってくださいね、いま携帯を」
 それは以前、薪が青木のために初夜のリベンジを目論んだときのアイテムで、つまりこの青木は薪の恋人の記憶を持っているということだ。

「思い出したのか?」
「何をです?」
「だから、おまえが僕の恋人だってこと」
「思い出すも何も。忘れるはずないじゃないですか」
 今の今まで忘れてたんだ、だからこんなところでこんなことする羽目になったんじゃないかアホバカマヌケ。
「この場合、3ヵ月前に僕と結婚した深田○子ちゃんはどうなるんだろう」
「……よかったですね、いい夢見れて」
 なるほど。こうなるのか。
「あー、失敗した。夢になっちゃう前に一発やっときゃよかっ、……はっ」
 ジメッとした空気を感じ取って、薪は背筋を凍らせた。青木の記憶が戻ったということは自動的に彼の異常な嫉妬深さも復活するということで、ベッドの中でのこの発言は非常にまずい。

「冗談、冗談だってば」
「いいえ、眼が本気でした。薪さんの悪い虫が騒がないように、然るべき処置を取らせていただきます」
「たかが夢の話だろ?」
「夢だったとしても浮気は浮気です」
 そんな無茶な、と憤る権利は薪にはない。夢の中の出来事の責任を青木に取らせるのは薪の十八番、それが百回に一回返ってきたからとて文句が言える立場ではない。
「ちょ、待て、いま終わったばかりで、あんっ、僕には、あふんっ、だから無理だって、あっ、あっ、そんなに何度も入れちゃダメっ、うぎゃー!」
 ……今度東照宮に行ったら鳴竜に火つけてやる。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
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