手紙3(3)

 見ました!
 オンデマンドでじっくりと。たきぎさんのおかげです。ありがとう(^^


 画面の薪さんがとても美しかったです。コミックスが映ってるだけなんですけどね、こんなにきれいだったんだなあって。薪さんがそこにいるような感じがして、ドキドキしました。カメラワークってすごいですね。
 先生も出演されてましたね。
 先生の手から薪さんが生み出されるその瞬間を見ることができて、その精緻な技に感動いたしました。神様ってこの世にいるんだなあ、と思ったのはわたしだけではないはず。
 驚いたのは、MRI画像はコピーで作ってたこと。うちのコピーでもやってみよう。みなさんもぜひ会社のコピーで(←え)

 ただこの番組、
 日本語の字幕スーパーが必要だと思うの! みんなそう言うと思うの!
 だれかわたしに翻訳コンニャクをください。(英会話を習え)
 そんなわたしでも、
 薪さんが美しい、女性のような外見をしているけど非常に優秀、みたいな言葉だけは聞き取れました。青木さんのことも何か言ってたんだろうけどさっぱり。主人公が薪さんになってた気がするのですけど、わたしの気のせいかしら……(第九編の主人公は青木さんだよね?)


 さて。
 明後日はメロディで薪さんに会えますね(〃▽〃) (出なかったらどうしよう)
 ネタバレ防止のため、それまでネオチします。よろしくです。



 3通目の手紙、これでおしまいです。
 読んでくださってありがとうございました。





手紙3(3)





 雪子に仕掛けられた焼きトウモロコシの誘惑を断って、薪は波打ち際に戻った。
 パーカーを着たまま、波を蹴りながら歩く。実は、できれば上着を脱ぎたくない。小麦色の肌が幅を利かせる海岸で、自分の肌は生白くてみっともない。手首に透ける静脈の青黒さが、自信の無さに拍車をかけた。

 自分の手首を見て薪は、鈴木の手の感触を思い出す。
 暖かい手にすっぽりと包まれた。鈴木の大きな手。
 あのときだけ。
 自分の手が小さくてよかったと思った。身体が小さくてよかったと思った。そうでなきゃ、鈴木は手なんか引いてくれなかっただろうから。
 人より劣っていることをよかったなんて、情けないことを考えた自分を恥じて、薪はフードの下でくちびるを噛んだ。

 ふと砂浜を見ると、二人の友人はレジャーシートの上に並んで座って、仲良くトウモロコシを齧っていた。鈴木も雪子も室内の仕事だから肌は白いが、身体が大きいから薪よりずっと健康的に見える。
 眩しい太陽と、海がよく似合っている。
 雪子が、食べかけのトウモロコシを頭上でぶんぶん振るのに軽く手を上げて応え、そのトウモロコシから飛んだ醤油を避ける鈴木の格好にぷっと吹き出す。鈴木の髪に付いた醤油に雪子が大笑いして、そんな雪子に鈴木が苦笑いする。微笑ましい恋人同士の姿。
 明るい太陽の下が、あの二人には本当によく似合ってる。

 薪は、ずっと昔の夏を思い出す。
 夏の最中、僕は鈴木を、部屋の中に引き入れることしかできなかった。あの夏もこんな風に、外にはさんさんと日の光が降り注いでいたのに。
 自分が彼に与えられなかったものを、彼女は彼に与えてくれる。いずれにせよ、僕たちに未来はなかった。雪子のおかげで救われたのだと思う。彼も自分も。
 だからもう未練などない。あってはいけない。
 そう何度も思っても、同じ職場だ。毎日顔を合わせる中でその決心も数えきれないほど崩れて、最近では諦めの境地に入ってきた。自分と言う人間は体格も情けないけれど、心も情けない。何年も前のとうに終わった恋が、未だに消せないなんて。

 ――例え消しきれなくても。
 鈴木に気付かれてはいけない。

 薪は、ひょいと波の間にしゃがんだ。足の下の砂を波がさらっていく。波を見送って、人差し指を砂に付けた。
 砂に、す、と書いた。
 波がそれを消す。
 ず、と書いた。
 また波が消す。

 太陽の光を乱反射する波が、絶えることなく砂浜を洗い流す。人々の足跡と、薪の文字を消していく。
 この文字のように僕の気持ちも。簡単に消せたなら。



*****



 かように、自分の気持ちを消すのは難しいものだ。特にそれが膨らむか萎むか、相手に委ねられる要素が多く、かつ、その相手と頻繁に顔を合わせている状況下では。
「10年前と同じ石に躓いてる気がする……」
 波に足を洗わせながら、薪は呟いた。
 ふと思いついて、あの日と同じように波間にしゃがんだ。パーカーの袖から腕を伸ばし、砂の上に人差し指を置く。

 あ、と書く。
 波が来て去る。
 お、と書く。
 また波が来る。

 3文字目を書きかけた時、背後に人影が差した。
「ビキニ観賞の最中に申し訳ありません」
 女の子のビキニ姿を間近で観賞する、という名目で一人になった。青木は薪の言葉を素直に信じていたわけだ。相変わらずバカだ。
 今日は第九のレクリエーションで海に来た。2週間ぶりに彼女とデートの今井を除いて、全員が参加している。ヒマなやつらだ。
「なにか用か」
「薪さん、こっちのチームに入っていただけませんか」
 海辺でチーム、つまりビーチバレーだ。岡部、小池、曽我のチームと、宇野、青木、山本のチームでワイワイやっていたはずだが。
「今井がいないからメンバーはちょうどの筈だろ?」
「山本さんが開始5分で熱中症になりまして」
 軟弱なやつだ。山本にはもっと身体を鍛えさせないと。
「でも僕、メガネかけてないし」
「いや、メガネ有とメガネ無で分けたわけじゃないですから。身長順に割り振ったら偶然そうなっただけですから」
 いちいち真面目に捉えて言い返してくる部下が面白い。これだから青木を構うのは止められない。

「正式な試合じゃないんだから。2対3でも」
「負けたチームが勝ったチームにかき氷おごることになってるんです」
「そういうことなら話は別だ」
 次の波を待たず、薪は立ち上がった。バシャバシャと波を蹴り飛ばすように、砂浜へと駆けていく。
「見てろ。得意のジャンピングサーブをお見舞いしてやる」
「ビーチバレーはアンダーサーブです。フローターサーブは反則ですよ」
「そうなのか? それじゃ特技のネットインサーブ(ボールがネットにぶつかってネット際に落ちるサーブ)を」
「ネット際はサーブの有効範囲外です。サービス側の失点になります」
「それもダメなのか? それなら最後の手段だ。砂を相手コートに蹴り上げて眼つぶしを」
「普通に反則です。てか、人としてどうなんですか、それ」

 闘志を燃やす薪の声と困惑に曇る青木の声が波打ち際から遠ざかり、やがて消える。波に洗われたその場所には、もはや二人がそこにいたことの痕跡の何物をも見つけることはできない。
 波間に書いた手紙の一文字すら、しかしそれを淋しがることはない。
 消したいと願って消し去ったと見せて、海の底に沈めようとした想い。でも波はまた生まれてくる、海の底から生まれてくる。沈んだものを掘り起こし、巻き上げ、長い時間を掛けて、やがて。

 きみの元へと帰りゆく。



(おしまい)


(2015.8)


 鈴薪さんに花言葉のようなものがあるとしたら、それはきっと「秘めたる想い」


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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せつない……

やっぱり鈴薪はせつない……うう(T0T)

それにしても砂に名前をかいちゃうなんて乙女な薪さん……!!かわゆい。
青木くんのは消さなくていいですから!

しかしちょっと雪子さんが気の毒です。最近原作も読めば読むほど雪子さんが気の毒で……(笑)
でもどちらも今お幸せだからいっか!

それにしても青木 宇野 山本のビーチバレーチームって弱そう……!!

砂に書いたラブレタああああっ

薪さんが乙女で乙女で。
そうか、波に洗われたと見せかけて波は返すんだ。秘めても秘めても想いは残って、大切なものは出来てしまうんですね息をするように!!
↑一人で興奮

鈴薪シリーズ、お疲れさまでした。
切ない鈴薪のラストに、未来に繋がる青木が登場してくれてほっとしました~( ;∀;)
そしてMelodyですね。またなにか爆弾にやられるんでしょうか。いい加減に幸せになろうよ薪さん(´;ω;`)

ところで不謹慎ですが、最近第九が担当しそうな事件がありましたね。実際に科警研が証拠品の鑑定を行っているようです。
薪さんだったらきっと見事に解決してみせて、被害者のために人知れず涙を流すんでしょうか。誰にも見せずに全て背負ってしまうあの人が痛々しくて愛しいです。ううーん。

Eさまへ

Eさま。

お返事放置してすみませんー。
ネタバレ防止の為、ネットから遠ざかっておりました。

メロディで新連載始まって、青薪さんきゃわきゃわしてるところへ鈴薪さんのお返事返すの手遅れ感がハンパないのですけど、お許しください(^^;


>最終話は波打ち際の薪さんが目に浮かぶようでした。

Eさんの豊かなイマジネーションの賜物ですね~。
コメディティストでも美しい薪さん、といただきました。ありがとうございます。


>薪さんはもともと清水先生がマックスに美しく描かれているのでしょうが、内に秘めた想いが更に美しさに磨きをかけているように思います。

ええ! その通りだと思います!
や、それ普通に公式ですよねっ。片思いだからあの儚さなんだと思います。
青雪さん婚約したての7巻の薪さんの美しさって、凄絶じゃなかったですか? あれはやっぱり恋に悩んでたからですよ~。最終回で憑き物落ちたようなさっぱりした顔になってたもん。


>鈴薪さんの関係はベールに包まれて、でもそこはかとなくピュアな香りが漂う感じに惹かれます。

うちの場合はジェネシス読む前にいろいろ作り過ぎちゃって、原作に合わせられなくなっちゃったんです。
鈴薪さんの流れで青薪さんを書いてるので、青薪さんの話に鈴木さんとの過去がバンバン出てきてて、直そうと思うと全部書き直さなきゃいけなくなる。
……ムリ!!


>あと、個人的に自分の細さとか白さとか可憐さを厭う薪さんが大好きです(笑)それすらもパーカーで隠してしまうのが(笑)←失礼^^;

わたしも好きです~。
他人から見たら羨望の的なのに、自分ではみっともないと思ってる。
自分の美しさを自覚していて効果的に使う薪さんより、無自覚な色気を振りまいて「えっ、なんで?!」てなってる天然薪さんが好きw 
うちの薪さんがあざとくなるのは対青木さんだけですね。それも大抵は仕事がらみ(笑)


>波打ち際に書いた名前にこめた心の恋文、証拠隠滅の確信がないと素直に気持ちの片鱗すら出せない辺りが薪さんらしい…。

この辺はやっぱりアレですよ、サイレント告白!(家族なんて認めん←え)
相手が眠っててもサイレント! の薪さんがラブレターを書くとしたら、こうかなって。

青薪さんの行方、気になりますねえ。
新連載で新しい関係に進むのでしょうか?


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にゃんたろーさんへ

にゃんたろーさん

お返事遅くなってごめんなさい。入札出ちゃって、わたわたしてました。


>やっぱり鈴薪はせつない……うう(T0T)

そうですねえ。
鈴薪さんと切なさは、切っても切れないですねえ。

まあ、
青薪さんも充分切ないですけどね。いっそ生きてる分、生々しくてイタイ。


>それにしても砂に名前をかいちゃうなんて乙女な薪さん……!!かわゆい。

鈴木さん相手だと、薪さんの乙女化にためらいがないんですよ。
なんでかな?
そして青木さんが相手だと薪さんのオヤジ化がMAXにww


>しかしちょっと雪子さんが気の毒です。最近原作も読めば読むほど雪子さんが気の毒で……(笑)
>でもどちらも今お幸せだからいっか!

ねえ(苦笑)
本当、黒田さん、でかした! て感じですね(^^


>それにしても青木 宇野 山本のビーチバレーチームって弱そう……!!

青木さんはともかく、宇野さんと山本さんは戦力外でしょうね(^^;
完全にかき氷奢らされるところを山本さんと薪さんが交代したおかげで逆転する、という結末まで書こうかと思ったんですけど、
書き始めたら男爵が暴走して岡部さんと男の真剣勝負始めちゃって、収拾つかなくなったのでやめました(笑)

なみたろうさんへ

なみたろうさん。


>砂に書いたラブレタああああっ

どっかにそんな歌がありましたよね(笑)


>薪さんが乙女で乙女で。

鈴木さんが出てくると、薪さんが途端に乙女になって困ります(^^;
やっぱり初恋の人なんで。初々しさが出ちゃいますね~。


>またなにか爆弾にやられるんでしょうか。

や、ていうか、今回の桜木さんの境遇って、
薪さんにクリソツ! じゃないですか?
レイプで生まれた犯罪者の息子が警察官僚になって、自分の愛する人を撃ち殺してしまうと言う、
なにその薪さんのトラウマを抉るためだけに出てきたような男は!
いやだわもう、ヨダレとまんない。←え。

なーんて、脅かしちゃいましたけど、
先生はそういうの、あんまり引き摺らないと思います。
原作薪さんは雪子さんに遠慮してなかったし(エレベーターの中で雪子さんに言われてからは気を使ってましたけど、それまでは、ねえ(^^;)
拳銃も抵抗なく使ってたしね。

手紙の件が完全スルーなのが一番の爆弾のような気がします。

Rさまへ

Rさま。

お久しぶりです! 
お元気でいらっしゃいましたか?

そうそう、今年は天候不順もいいところで。
目が回るほど暑いかと思えば、今度は雨ばかり。
まだわたしが現場に出なきゃいけないほど仕事がない時期なんで、それだけが救いです。忙しい時期にこれだったらぐるぐるしちゃう(@@)


>メロディ10月号表紙+カラー表紙でもうノックアウトでした、鼻●が。

薪さん、きれいでしたね! 特に中表紙!
リアルタッチの薪さんでしたね。わたし的には、喉仏が衝撃でした。あったんや。←失礼過ぎ。
付録はもう、
あれは使うものじゃないの! 飾っておくもの!
日に当てると色褪せちゃうから、飾るのはカラーコーピーをお勧めします。


4日発売のコミックスは、
セブンネットで特典ありって言うから頼んだんだけど、発売日になっても音沙汰ないんですよ(^^;
入手は少し遅れそうです。


>桜木部長は被害者のお子さんなのでしょうか。

はい、冒頭の被害者、そして死刑囚の子供なんでしょうね。
「その年の暮れにわたしが生まれた」 だと、仕込みの時期が若干早いような気がしますが、
顔立ちが物語っちゃってますものね。

んー、でも、
家族はいい人たちで、桜木さんはちゃんと愛されて育ったんじゃないかな。
でなかったら、職場に家族写真を飾らないでしょう?

苦労したのは「妖怪の徴」である視覚の方でしょうね。
人の表情が分からないの、それでキャリア試験に合格するってすごいですよ。二次試験には面接がありますから。
それから出世コースに乗るのだって、相当苦労したはずですよ。警備部の警務部長って言ったら、(現在は)科警研の所長なんか比べ物にならないくらいのエリートですもの。桜木さん、すごい!!
わたし、この人好きです。由花里さんに対する態度もいいし。(女性に弱い男性が好き♪)
薪さんに嫉妬して色々陰でやってるみたいだけど、それを当の薪さんが屁とも思ってないあたりがww そもそも薪さんみたいに出世に興味の無い人相手に階級で勝とうとしているのが愚かしくて可愛いです。
ただ、お嬢様の秘書らしき人が言ってた、「薪さの役職が飼い殺し」と言うのは当たってると思います。第九が全国展開していることから科警研の地位は現在よりも相当上がっていると思われますが、それでも警察の体制から言って、研究所が本庁より上に行くことはないでしょうねえ……。
でも本人、現場に出られてすごく楽しそうだからね。下手に出世なんかしたくないと思ってるんじゃないかな。


拙作への励ましもありがとうございます。
新しいお話は、明日から公開予定です。
お暇がありましたらお付き合いくださいませ(^^

Sさまへ

Sさま。

お久しぶりです! 
相変わらず、会社でご苦労されてるみたいですね……心配です。
ブログでコンサートの記事を拝読しましたが、そのときを思い出しても無理ですか? 困ったなー。


>ある程度の凹みなら、

わかりますよ!
癒しになりますとも!
わたしも凹んだ時、薪さん見て元気出したりしてますもの!

早くSさんのお気持ちが和らいで、
彼の人に癒されますように。
陰ながら、わたしも応援してます。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
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