モンスター(2)

 こんにちはー!
 仕事にかまけてブログほったらかしてすみません。下水の書類と道路の現場、思いっきりブッキングしちゃいましたー(@@;)
 まだ書類終わってないんですけど、とりあえず、続きをどうぞ! (コメントのお返事はもう少し待ってくださいね(^^;)


 最初に説明するの、いっつも忘れちゃうんですけど、
 この話の時期は2068年の10月です。「青木警視の殺人」の後ですね。よって宇野さんは入院中です。彼がいればもっと違う展開になってたはずなんですけどね、そこはそれ、ご都合主義ってやつでww


 それと、
 連日、たくさんの拍手をありがとうございます。過去作を読んでくださってる方、どうもありがとう。10日連続で3ケタとか多分初めて、あ、1日に300超えの拍手も初めてです。ありがとうございます。
 拍手していただいた話、どんなんだっけ、と開いてみるたびにヘンな汗いっぱいかいてます、いろいろな意味ですみませんです、でもうれしいです。これからもよろしくお願いします。




モンスター(2)





 来週のシフトについて薪と話しながら、岡部は部長会議の資料を整理していた。普通の会議資料なら荒木に任せるのだが、部長会議ともなると機密もAランクだ。新人には見せられない部分も出てくる。
「じゃあ、来週のメンテナンス当番は予定通り荒木と今井で」
 MRIのメンテは概ね宇野が受け持っていたのだが、彼は8月の事件で重傷を負い、入院中である。これをスキルアップするチャンスだと考えた室長の独断で、その間のメンテは全員でローテーションすることになった。

「それにしても、荒木は掘り出しものでしたね」
「そうだな。警大卒業したばかりの新人はこりごりだと思ってたけど、あいつは使える方だな」
 薪の言葉に頷いた拍子に、びり、と音がして手元の紙が斜めにずれた。広げて見れば綴じ穴が破れて、仕方なく岡部は補強シートを取出すが、これが小さくて薄くて、剥がすのにもコツがいる。イライラが顔に出て、何処から見ても凶悪犯の顔つきになっている岡部を見かねたらしい、薪が岡部の手からシートを取り上げた。
「岡部は日曜大工は得意なのにな」
 岡部の太い指先で二つ穴ファイルに書類を綴じるのは、結構な苦行だ。紙類は簡単に破れすぎる。引き替え、荒木はこういう作業がとても上手い。

 科警研内の通達類の回覧及び回答書の取りまとめ、庶務課に上げる伝票の作成等は、もうすっかり荒木の仕事になっている。それでいて、定時には机の上はきれいに片付いているから驚きだ。新人の仕事と言うのはとにかく時間を喰うものだ。昔の青木などはその典型だった。だから青木はいつも最後まで職場に残っていた。まあ彼の場合は、別の目的もあったのかもしれないが。
 荒木の仕事は時間が短い分、青木に比べるとやや荒いが、新人に任される仕事にそれほどの精度を求められるものはない。作業内容に相応しい時間配分と言えた。

 やがて岡部の前に差し出されたファイルは、シート補強が為され、きれいに綴じ直されていた。荒木より素早く、青木より丁寧な仕事。薪のオールマイティには脱帽だ。
「すいません」
「謝らなくていいから、うちのクローゼット直してくれ。青木がぶつかって、折れ戸のレールを曲げちゃったんだ」
「レールを曲げたって。家の中でなにやってんですか」
「だってあいつが悪いんだ。姿見があるからってクローゼットの中で――、ななな何でもないなんでも、あ」
 びりりっ、と派手な音がして薪の持っていた報告書が破れた。慌ててセロファンテープを貼るが、ワタワタしながら貼っ付けるもんだからあちこち重なっちゃって、3枚くらい完全にくっついちゃってますけど報告書の役割果たしてますか、それ。
 薪は失言に頬を赤くして、しわくちゃになった報告書に青くなって、頭を抱えてぐしゃりと髪の毛を掴み、靴先で机の脚をガンと蹴り飛ばして、
「くそ! 青木のやつ!!」
 最終的にはそれですか。

 少々懸念していたこともあったのだが、この様子なら問題ないと岡部は判断した。心配なのは青木の方だ。他人のプライベートに口出しするのは岡部の主義ではないが、この二人は特別だ。特に薪の方は、時々とんでもないことを考えていたりするから油断がならないのだ。
「薪さん。ちゃんと青木をフォローしてますか」
「青木がどうかしたか?」
「……なんでそう」
 心底不思議そうな薪の顔に、岡部はまるで頭痛に苦しむ人のように額を押さえる。わざとらしく溜息を吐くと、薪はますます怪訝な顔になった。
「ご自分のことになるといきなり鈍くなっちゃうんですよね。分かってましたけどね」
 事件のことなら一を聞いて十どころか百を知る薪だが、こういうことはハッキリ言わないと通じない。恋愛センサーが鈍感、と言うより欠落しているのではないかと、岡部は密かに疑っている。

「荒木に薪さんを盗られて青木が凹んでる、て噂になってますよ」
「なんだそれ」
 途端に険しく眉を顰めた薪に、岡部は焦る。みんなが二人の関係を知っていることは、薪には秘密なのだ。
「まあそれは言葉のあやですけど。今まで青木に向けられていたみんなの関心が、より手の掛かる荒木に移って、青木が精神的に不安定になってるってことですよ。要はあれです、弟ができた兄貴の心境」
「バカバカしい。いつまでも新人でいられるわけがないだろう」
 岡部だって、これが職場だけの事なら切り捨ててしまえる。男がケチな考えを持つんじゃないと、青木を叱責するだろう。しかし青木の心を乱しているのは今まで彼を可愛がっていた先輩たちではなく、たった一人の人物だ。
 そのたった一人の人物だけが実情を理解していないと言う、青木にとっては誠に残念な状況になっている。世界中の人間が青木より荒木を好ましいと思っても、薪さえ自分を選んでくれれば青木は幸せなのだ。反対に、世界中の人間が青木を好きだと言っても、薪の好意が他の人間に向けられたら青木は生ける屍になる。それなのに。

「大丈夫だ。青木はそんなに子供じゃない」
 分かってない。全然、わかってない。
 ここはきつく言っておかないと、こじれて泣きを見るのは薪だ。そうなれば自分にもとばっちりが来る。何度かそんな目に遭ってきて、先の展開が見えるようになった。

「いいですか、薪さん。思ったことは言葉にしないと、相手に伝わらないんですよ」
 薪が目を落としていた報告書に自分の右手を被せ、薪の視線を強引にこちらに向けさせる。仕事の邪魔をされるのが嫌いな薪が不機嫌に寄せた眉の下、険を含んだ亜麻色の瞳に向けて、岡部は精一杯の真心で訴えた。
「苦手なのは分かります。でも伝えることは大事です。そのために人間は言葉を持っているんです」
「よく言った、岡部」
 称賛と同時に、岡部の右手が薪の両手に包み込まれた。三白眼をぱちくりと瞬かせて見れば、宝石のようにキラキラと輝く亜麻色の瞳。

「雛子さんに気持ちを打ち明ける気になったんだな。心から応援するぞ。僕は何をすればいい?」
 そっちに飛ぶか、この男爵は。
「夜景のきれいなレストランを予約してやろうか。それともホテル? いっそ、部屋取っちゃうか?」
 母親相手にホテルの部屋で何をしろと。
「そうだな、普通に告白したんじゃ笑われてお終いだよな。じゃ、こういうのどうだ。岡部が事故に遭って死にそうだって僕が彼女に電話して、駆けつけてきた彼女はそこでやっと自分にとって誰が一番大切か気付いて」
 青木ー。だからこの人に昼ドラと韓流ドラマは見せるなって言っただろー。

「どうだ岡部、僕の計画は完璧だろう。善は急げだ。さっそく電話を」
「頼みますから何もせんでください!」
 叫んで椅子から立ち上がり、岡部は脱兎のごとく部屋を出る。唐突に開いたドアにぶつかって山本が吹っ飛んだらしく、モニタールームはちょっとした騒ぎになった。
 扉のこちら側では薪が、頬杖にくだけた表情で、
「照れちゃって。岡部は奥手だな」などと見当違いのことを呟いていた。



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Aさまへ

Aさま。

>今回は男爵薪さんの登場でホッと一息な感じですね^0^

今回の話で笑えるの、ここだけかもしれません。後はシャレにならない感じが(^^;


>原作の岡部さんは手紙をまだ持ってるんでしょうか?

返した話はないですよね。
こんなに日にちが経ってしまうと、もはや言い出せない状態じゃないかと思うんですけど……岡部さん、大丈夫なんでしょうか。

岡部さん役の方は、
ワイルドな感じで、いいんじゃないでしょうか。トレンチコートとタバコが似合いそうです(^^

松坂くんの鈴木さん、確かに若い感じですね。
もしかすると時期設定が、鈴木さんが亡くなってから何年か後なのかな。
松坂くんなら、素で大学時代の鈴木さん、演れそうですよねww

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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