モンスター(12)

 こんにちは。
 
 先日の薪さん生誕祭、盛り上がってましたね!
 久しぶりにブログさん巡りして、みなさんの薪さんを堪能させていただきました♪ 楽しかった、本当に楽しかった!
 やっぱり薪さんはわたしの生きる糧です。早起きして時間作ろう。(ブログのために早起きとか、なんてダメ嫁)

 え、おまえは何もしないのかって?
 Nさんのとこで公開されてた感涙ものの「白百合と薪さん」のイラストから、コラボが生まれそうですね、てTさんがおっしゃってくださったんですけど、わたしの頭の中にはすでに、
 百合の花背負った薪さんに警視総監がドン引くギャグ絵しかない(・∀・) それでよければ書きますけどw
 ギャグに縛られるやつですみません。お二方はじめ、イラストの美しさに感動したすべての人にお詫び申し上げます。



 さて、お話の続きです。
 てか、前回の章ヒドイよね(^^;) あの先、読んでくれる人いるのかしら……。





モンスター(12)






 翌日の第九は喧騒に満たされていた。
 研究室に残された薪の私物や、届けられた手紙から犯人の手掛かりを探すため、幾人もの鑑識や捜査員が立ち入り調査にやって来たのだ。

 当然、MRIによる捜査は差し止めとなった。視覚者のプライバシー保護のため、部外者がいるときは捜査ができない。代わりに職員たちに割り振られたのは、過去の捜査資料の検分であった。
 モンスターと名乗る人物は、これまでに第九で扱った事件の関係者である可能性が高い。しかし捜査資料は、第九職員以外には見せられない。よってその洗い出し作業が彼らに回ってきたのだ。
「第九創業時からとなると、膨大な数だな」
「もう10年だからな」
 電子ファイル化されたそれらの資料をPC画面に出力しながら、小池と曽我が囁き合う。その隣では今井と山本が、知人から送られてくる情報を携帯で確認しつつ、古い事件を紐解いていた。

「薪さんを逆恨みしそうな奴と言えば、MRI捜査で捕まった犯人の身内とか友人とか」
「全部合わせたら1000人くらいになるぜ。そんなに見きれるかよ」
「仕事しすぎなんだよ、あのひと。犯人捕まえすぎ」
「仕事の虫もこういう時は困りものですねえ」
 ぶつくさと文句を言いながら、しかし彼らの眼は真剣そのものであった。今朝、彼らが出勤して来たのは6時前。薪の捜索は警視庁に預けて自宅に引き取ったものの、まんじりともせず夜が明けてそのまま、始発に乗って職場に帰ってきてしまったのだ。

 薪の行方は杳として知れなかった。
 山本から連絡を受けた中園はすぐさま行動を起こし、警視庁に捜査本部を設置した。
 警視庁及び都内の所轄では可能な限りの人員を割いて捜索に当たったが、何処を探して良いのか見当も付かない状態では思うような成果は上がらない。姿を消したと言う銀座駅近くのパーキング近辺から虱潰しに聞き込みを掛けたが、誰も薪を見た者はいなかった。あれだけ目立つ人物なのだから、もっと人の記憶に残っても良さそうなものだ。もしかしたら脅されて、帽子やマスクなど特徴を隠すものを付けさせられたのかもしれない。
 もちろん、中園独自のルートでも捜索は行われていた。組対五課の面々は、自発的に暴力団関係を洗っていた。雪子や竹内、昔の同僚など、友人たちはそれぞれに自分の知り合いに連絡をし、薪の行方を探していた。が、誰一人として有力な情報を得ることはできなかった。

「こっちも思わしくないけど、あっちも混乱してるみたいだぜ」
 小池の示す方向を見て、曽我は耳を欹てる。室長室からは薪の私物を調べる捜査員と、それに立ち会っている副室長の会話が聞こえてきた。
『あっ、室長のシークレットボックスが壊されている! 犯人め、こんなところまで!』
『いや。これを壊したのはおれだ』
『なんと。ではあなたが犯人だったのですね、岡部警視!』
『なんでそうなる!』
 4人は思わず机上に突っ伏した。捜査ミスにも限度がある。
「一課の連中も相当テンパってるな」
「無理ないよ。岡部さんは捜一では伝説の人だから。シャーロックホームズの前で捜査してるようなもんだよ」
「そりゃ緊張するわな」
「でもなんか、鑑識の人もちょっと変ですよ」
 山本の言葉に他の3人が再び耳を澄ますと、薪の私物を検める鑑識課の声が。

『こ、これが薪室長のロッカー』
『なんていい匂いだ』
『まったくだ』
 曽我の手からばさりと資料が落ちた。しかしそれを拾うものは誰もいなかった。
「そう言えば、鑑識にもあったよな。薪さんのファンクラブ」
 遠い眼をして今井が呟く。皆なぜか一様に俯いていた。

『この扉に薪室長の手が。この鏡に薪室長の顔が』
『中にヘアブラシが置いてあるぞ。残念ながら髪の毛は付いてないが』
 噂では鑑識課では、現場に落ちた薪の髪の毛などを採取してDNA鑑定をし、その鑑定書を会員証の代わりにしているとか、会員になるには試験があって、それは薪のDNAの塩基配列から導き出される彼の美しさについての論文を提出することだとか――あくまでも噂である。
『見ろ、替えのワイシャツがある』
『使用済みの衣類はないのか? できれば靴下とか』
 自分たちが使用するわけではなく、警察犬に嗅がせると信じたい。
『残念ながら靴下はないが、靴べらはあるぞ』
『ああ、これで室長に叩かれたい……!』
 ファンクラブと言うより単なる変態集団のような気もする。

「おまえら、みんな出てけぇっ!!」
 とうとう岡部の雷が落ちて、室長室から蜘蛛の子を散らすように捜査員たちが飛び出してきた。
「だれだ、こんな連中を現場検証に寄越したのはっ!」
 岡部は怒り心頭に発していたが、それでも彼らは手紙の束とノートパソコン、第九職員が見つけられなかった薪のスケジュール表、書き損じてゴミ箱に捨てたメモなどを持って帰った。一応はプロの捜査官らしく、ちゃんと自分の仕事はして行ったようだ。

 室長室から出て来た岡部は、モニタールームをさっと見回すと、青木と一緒にモニターを覗き込んでいる新人の机に近付いた。
「荒木。犯人に心当たりはないか」
 荒木は慣れない現場検証に緊張していたのか、ビクッと肩を跳ね上げ、不安そうな眼で岡部を見上げた。
「ここ最近、薪さんのお世話をしてたのはおまえだ。なにか変ったことはなかったか」
「……思い当たりません」
 しばしの熟考の後、荒木は言った。いつもとは打って変わって重い口調だった。
 荒木なりに責任を感じているのだろう。命令に背いての尾行とは言え、荒木が薪を見失わなければ薪は無事だったかもしれないのだ。しかし、それだけの技術を警大を出たてのキャリアに求めるのは無謀だ。尾行は体で覚えるものだ。現場経験を積まなければスキルは身に付かない。

「後を尾けたのは今回が初めてじゃないと言ってたな。薪さんは、おまえを待たせていつも何処へ行ってたんだ?」
「それは」
 答えるべきか否か、荒木は判断に迷うようだった。どうやら相手は薪のプライベートな人物らしい。
「プライバシーを守ってる場合じゃない。今はどんな情報でもいいから必要なんだ」
 岡部に説得されて、荒木が重い口を開く。出てきた証言は意外なものだった。
「室長は女性と会ってました」
「オンナ?」
 薪は春に青木と暮らし始めたばかり、その真実を第九の仲間たちは知っている。とはいえ薪が同性愛者ではないことも分かっているから、薪にそういう相手がいないと断定はできないが、さて。
「青木、ちょっと落ち着け。気持ちは分かるが、てかマウス割れてるし!」
 一人だけ、薪の『そういう相手』を認めることができない職員が大きな手でPCマウスを握り潰すのを横目に、岡部は質問を続けた。

「どういう場所で、どんな女だった?」
「場所はカフェとか、ホテルのラウンジとか。相手の女性はつばの大きな帽子を被って、顔が半分くらい隠れるサングラスをして」
 明らかに素顔を隠している様子だ。何か事情があるに違いない。
「背は室長と同じくらい。髪は肩までで、黒かったです」
「いつも同じ女だったか」
「毎回尾行が成功したわけじゃないですけど。おれが見た限りでは、同じ女でした」
 荒木が薪の行先を突き止めたのは、滝沢のいる東京拘置所を合わせて4回。置いてきぼりをくらった回数はそれと同じくらいだと言うから、週に1度の頻度でその女性と会っていたことになる。

「もしかしたらその女が」
「モンスターか、そうじゃなくても何か知っている可能性が高いな」
 最近になって薪が会い始めた謎の女。この女の正体が分かれば、薪の居所が掴めるかもしれない。

「よし、荒木。室長と女が会っていた場所におれを案内してくれ」
 岡部は上着を肩に掛けて颯爽と立ち上がり、荒木に車のキィを投げた。それから青木に向かって、
「青木、おまえも来い。おまえの鼻なら薪さんを追えるかもしれん」
 青木を警察犬扱いする、岡部に青木は気弱に微笑み返す。
「それが、見当も付かなくて。家でも何も見つけられなかったし」
 昨夜青木は、今は自分の家となった薪のマンションに帰り、事件について何か手がかりがないか、薪の私物を探ってみた。薪が青木に見せないようにしている鈴木の写真を入れた箱の中も調べてみたが、『モンスター』に関係していそうなものは何も出てこなかった。青木が偶然見つけてしまうことの無いように、自宅へは持ちこまなかったのだろう。いつものように、青木を巻き込むことを避けたのだ。その点では、室長室の机の中が一番安全だ。部下である青木は、職務に関しては決して出過ぎないからだ。

「春の事件のときも最初はそんなことを言ってたが、見事薪さんの居場所を探り当てたじゃないか。今度も大丈夫だ。そのうち薪さんの声が聞こえてくるさ」
 今まで何度も見せつけられた、青木と薪の不思議な絆。今回もそれに期待していると、岡部は青木の肩を軽く叩く。ついでに荒木の肩も、ごく軽く叩いた。
「道案内、よろしく頼むぞ、荒木」
「はいいい痛ったあっ!!」
「えっ。荒木、どこか怪我してたのか?」
「い、いいえ。大丈夫です」
「だから岡部さんの軽くは普通の人の目いっぱいなんですよ……」
 青木は岡部の特訓を受けて長いから慣れてしまったが、身体を鍛える必要のないキャリア組の荒木には堪えたらしい。荒木は叩かれた肩を擦りつつ、引き攣った笑いを浮かべた。

 後のことを今井に託し、3人は執務室を出た。
 エントランスまでの長い廊下を二人の後に着いて歩きながら、青木は心の中で薪に呼びかける。

 薪さん。
 オレを呼んでください。
 呼んでくだされば、オレはすぐに飛んで行きます。水の中でも土の中でも――何度でも見つけるって、約束したでしょう?

「青木。早く乗れ」
 いつの間にか車の前に立っていた。後ろの窓が開いて、中から岡部が青木を急かす。
「薪さん――」
 口中で小さく呟き、その人の面影を胸にしまって、青木は荒木の運転する車に乗り込んだ。



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Sさまへ

Sさま。

>朝から脳内妄想炸裂。

ありがとうございます。
あれこれ想像していただけるの、嬉しいです(^^)

お話の方は、そろそろ折り返し地点です。
この先は事件収束に向けてとっとと話が進みますので、もうちょっとイタイの我慢してくださいね☆

Cさまへ

Cさま。


「また来た」なんて、そんなあ。思いませんよおw


>ハードSMにはびっくりしましたが、薪さんがやられなくてよかったです。

ごめん! ごめんね!!(何度目の謝罪だろう)
本来はレイプされないとおかしいんですけどね、犯人にも事情があるから。


>モンスターは

そうですね。
今回、犯人が誰かは、そんなに隠してはいないつもりです。
あんまりあからさまに書いちゃってもつまらないと思うので、多少のフェイクは混ぜてますが。


>「人間の糧とは愛情、友情、希望、使命、生きたいという願いだと思う。」

まあ、素敵な言葉。
何かの有名な言葉なのでしょうか?

どれも、人が生きていくためには必要なことですね。特に最後の願い。
うちの薪さん、鈴木さんを喪ってからはこの最後の願いが持てなくて、そこに青木さんが愛情や希望を注いでくれて、今ようやく「死にたくない」って思ってくれたの。この話の核はそこで、本音を言えばもう少し先に進んで欲しかったんですけど、うちの薪さんヘタレで中途半端な所で終わってます。残念なやつですみません。

Aさまへ

Aさま。


>薪さんの私物、何か欲しいですね。

ねえ! 欲しいですよね!
てか、この調査団の人たち、絶対に何か持って帰ってますよね(笑)


>薪さんが防犯カメラとかにも映ってなかったとしたら

色々推理していただいて、ありがとうございます。筆者冥利に尽きます(^^)
犯人の性別も、わざと分からないように書いてますので。迷っていただいて光栄です。
裏事情も犯人も、段々に分かってきますので、もう少しお待ちくださいね~。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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