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モンスター(15)

 こちら、可哀想な薪さん苦手な方はご遠慮ください、て、何度めの避難勧告だか(^^;

 やっぱり短いんで、次の章も一緒に上げます。
 姑息に、痛い薪さんがトップに来るのを防いでいるわけではありません(笑)






モンスター(15)





 思ったよりも長く眠っていたらしい。頭に水を掛けられて目が覚めた。薄目を開けるとランタンの灯りで錆びたバケツが転がっているのが見えた。薪の記憶に間違いがなければ庭に放置されていたものだ。
 水は、吐き気を催す臭いがした。バケツに溜まった雨水の上に落ち葉が降り積もって、それを食べる虫が湧いていた。それをそのまま掛けられたのだろう。

 できるだけ平静な眼で、薪は来訪者を見上げた。
 床から見上げるアングルだと、相手の帽子のつばが殊更大きく見える。サングラスはこの薄暗さの中では視界を悪くするだけだろうと思うが、相手は頑なにそのスタイルを貫いた。昨夜もその格好で薪を苛んだのだ。

 おまえのせいで私の家族はめちゃめちゃになったのだ、とその人物は言った。言いながら、昨夜刻まれたばかりでまだ薄皮もできない薪の腕の傷を爪で抉った。
 歯を食いしばる薪に、相手は、苦しいか、と訊いた。
 薪は返事をしなかった。ただ黙って痛みに耐えた。すると、傷を抉る力は倍になった。薪は歯を食いしばる力を2倍にし、それを堪えた。
 身体に掛けられていた上着が外されると、夜気の冷たさが骨身に染みた。食事を与えられていないから、細胞が熱を生み出すことができない。冷えきった身体に鞭は堪えた。いくら音消しの布を食まされても、呻き声が漏れてしまう。
 振り下ろされた正確な回数は分からない。しかしそれは昨日よりも短く感じた。打たれる間にも意識が途切れることが増えてきたから、そのせいかもしれないが。

 焼き鏝を当てられたような背中の痛みに耐えていると、相手は床に転がっていた責め具の中から一つを選び、それを手に取った。細い手に握られたグロテスクな物体に気付き、薪は身を固くする。羞恥心の強い薪にとって、それは純粋な苦痛より如何ほども耐え難かった。
 それは勘弁してくれないか、と薪は控え目に言った。開かれようとした太腿には、無意識に力が入っていた。
 薪の弱々しい抵抗に、相手は口角を吊り上げた。三日月形の唇から薪の心を砕く言葉が放たれる。

 おまえが絶望の中でのたうち回るのが見たいのだ。寒さに震えるのではなく、屈辱に震えるおまえをこそ見たいのだ。
 痛みと恥辱にまみれて死んでいった、私の兄のように。

 薪は身体の力を抜いた。すべてを諦めて眼を閉じた。
 長い夜は始まったばかりだった。



テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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