スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ソング(1)

 こんにちは。

 昨日、過去作にたくさん拍手くださった方、ありがとうございました。
 最初の頃の話は今よりもっと下手くそで、読んでいただくの申し訳ないくらいなんですけど、警察機構の階級制度や組織の仕組みなどを一生懸命に調べて、細部まで拘って書いてた記憶があります。
 今は年取ったせいもあって、いろいろ調べるのメンドクサ……いやその(^^;

 そして改めまして、7万拍手ありがとうございました。こちら、拍手のお礼SS、
「楽しい第九 in カラオケボックス」でございます。
 以前、にゃんたろーさんとお約束したものです。(いつの話) にゃんたろーさん、お待たせしました~。
(文脈的にこれが7万のお礼みたいになってるけど、6万5千のお礼がまだだったこと、だれか気付いたかしら。このままごまかせるかしら。←サボってないで書け)

 お話の時期は、モンスター事件より7年ほど遡りまして、2061年の春です。(青薪さんは、まだ恋人同士ではありません)
 カテゴリは雑文、カラーはギャグ、男爵は全開になっております。

 以上、お含みおきの上、本日も広いお心でお願いします。 
 




ソング(1)





 スパコンのファンが回る音とプリンターが紙を吐き出す音、カチカチと忙しなく響くマウスのクリック音。ポーンと弾むような電子音はメールの到着を知らせる音、ガーッという騒音はシュレッダーが廃棄書類を細断する音だ。

 室長室のドアに張り付くようにしてそれらの音を聞いていた岡部は、上司に呼ばれてドアの前から離れた。薪が不思議そうな顔で自分を見ている。首を傾げて瞬きをする、声には出ないけれどそれは「どうした?」という彼の懸念のポーズ。
「あいつら、この頃ヘンじゃないですか」
「なにが」
「いつもこそこそ話してるし。それも、おれや薪さんが部屋にいないときに限ってですよ」
 岡部よりも勘の鋭い薪のこと、それはとっくに気付いていたらしい。書類をめくる指先には露ほどの驚きもなく、文字を追う亜麻色の瞳には微塵の揺らぎもなかった。

「上司ってのは煙たがられるもんだ。おまえもどちらかと言うと、僕と同じ管理職だろ」
「それならいいですけど」
「なにを心配している?」
「第九には重要機密が満載ですから」
「岡部。自分の部下だぞ。もっと信頼しろ」
 書類に目を落としたまま薪は、ふっと鼻で笑った。
「大丈夫だ。そんなことをしたら死んだ方がマシだって目に遭わせてやるって、最初にたっぷり脅してあるから」
 それは信頼してるって言いませんよね。

「おれは言われてませんけど」
 差し出されたファイルを阿吽の呼吸で受け取って、岡部はわざとらしく言い返す。先刻の言葉は天邪鬼な彼の、シュールな冗談だと分かっていた。
「おまえには必要ないだろ」
 それが信頼の証なのか、或いは嘘が不得手な岡部に対する皮肉なのか、本当のところは不明だが、部下としては前者の解釈しか許されない。

「岡部。週末のことなんだけど」
 週末と言われて岡部は頭の中でスケジュール表をめくり、いくつかの予定をピックアップした。その中のどれだろうと思いながら薪を見ると、彼はやや俯き加減になって右手を口元に宛てていた。この人がこういう仕草をするときはアレだ、プライベートだ。薪と自分のプライベートの接点と言えば金曜の定例会くらいだが、なにか予定が入ってそれをキャンセルしたい、と言うことだろうか。
「定例会のことですか?」
「うん、そう。お、岡部は……夕飯、なに、食べたい?」
 夕飯の献立を尋ねるからにはキャンセルではないのだろうが、だったらどうしてこんなに言い淀むのだろう。不思議に思いながらも岡部はにこりと笑って、
「余りものでいいですよ。気を使わんでください。こっちが押し掛けて行くんですから」
 薪さんの作るものはなんでも美味いですけど、とさりげなくリクエストしてみる。コンビニの総菜でも文句は言わないが、できれば薪の手料理が食べたい。岡部はある特別な事情から、美味しい家庭料理に飢えているのだ。

「リクエストがなければロールキャベツでいいか? トマトケチャップで味つけたやつ」
 いいですね、と頷きながら岡部は気付く。ケチャップ味は薪の好みではない。
「薪さん、ケチャップよりコンソメ味が好きじゃなかったですか?」
「そうだけど、次はケチャップ味がいいって青木が」
 言い掛けて、ぱっと手で口を押さえる。青木が薪の家に、週末の定例会以外にもかなりの頻度で顔を出していることはとっくに知っていたが、薪の中ではまだ極秘事項らしい。

「ああ、青木のやつ、ケチャップ好きですよね。スパゲティも、ミートソースよりナポリタン派だって言ってましたし。味覚がまだ子供なんでしょうね」
「そうなんだ。こないだも、オムライスのごはんをチキンライスじゃなくてケチャップごはんにしてくれとか言われてさ。ケチャップごはんに卵載っけて、その上にケチャップ掛けたらケチャップの味しかしないと思うんだけど。それが美味いんだって」
「じゃあ、青木の皿にはケチャップだけ載せといたらいいんじゃないですか」
 岡部が冗談を言うと薪は目を丸くして、長い睫毛をゆっくりと瞬かせた。それから何かを想像してニヤリと笑う。きっと薪の頭の中では、ケチャップ好きの誰かさんが情けない顔をしているのだろう。
「金曜日が楽しみだ」
 薪は皮肉に笑い、精査済みの書類を机の上で揃えると、それを岡部に差し出した。



*****



 昼休憩で閑散とした廊下を、曽我は身をかがめ、足音を立てないように注意して歩いている。明らかに周囲を警戒した歩き方だ。もともと短い首を竦めて、そうすると坊主頭との相乗効果でずんぐりとした陸ガメのようにも見える。

 彼は、現在使用されていない特捜用の第4モニター室の扉の前に立ち、サッと辺りを見回すと1度だけ、それも大層控え目にノックをした。ごくごく小さな音だったにも関わらず、中からはすぐに反応があった。誰かがドアの側にいて、外の様子を伺っていたに違いなかった。
「合言葉を言え」
「『薪さんだって人間だ』」
 曽我が低い声で告げると、果たして扉は開かれた。曽我の身体を素早く取り込んで、サッとドアが閉まる。まるで人喰いハウスのようだ。

 中にいたのは3人の同志。その中の糸目の男が真剣な表情で曽我に尋ねた。
「室長と岡部さんに見つからなかったか」
「大丈夫だ。室長は昼寝、岡部さんは竹内さんに呼び出されて捜一に出向いたところだ」
「青木は?」
「三好先生に拉致られた。今日は天楼閣だって」
「可哀想に、青木。給料前なのに」
「なんだってあんなに集中的にカモられてるわけ?」
「さあ」
「なんか弱みでも握られてるのかな」
 後輩の不遇に胸を痛めたものの、それは神のお導きかもしれない、とその場にいた誰もが思った。何故なら青木は薪に憧れて第九に来たと言う変わり種。そういう人間にこの秘密の集会を知られるのはまずい。青木は仲間を売るような卑劣な男ではないが、若いだけに純真で、思ったことがすぐに顔に出るのだ。

「青木のことは今は置いとこうぜ。問題は薪さんだ」
 メガネを掛けたインテリ風の男が、話し合いのテーマを提示する。応じて他の3人が頷きを返し、極秘会議の幕は切って落とされた。




*****


 私事ですが、明日、お義母さんが二度目の手術をすることになりまして。
 先週はその準備と術前の検査等で忙しかったです~。
 また1週間ほど入院なんで、出入りが忙しくなるかも。更新、空いちゃったらすみません。今回の話は雑文だし、なるべくお待たせしないように頑張ります。



 

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

呼ばれた!

呼ばれた!ヽ(•̀ω•́ )ゝ✧

いろいろとお忙しい時期にありがとうございます……!!嬉しい……!!

無理なさない範囲で、更新どうぞよろしくお願いいたします!

おめでとうございます!

70000拍手おめでとうございます!
そこまで積み重ねてきた数がすごくて、輝かしいですね!

楽しい第九、楽しみです!
薪さんinカラオケ、でしょうか。
面白くなりそうでわくわくしています!

これからも面白いお話楽しみにしています^^*

にゃんたろーさんへ

にゃんたろーさん。

場内アナウンス、聞こえました?(笑)


早く更新します、とか言っておいて、やっぱりこの始末か。更新するする詐欺だな、こいつw
金曜日にお義母さんがしたので、今日からは大丈夫、かなあ?←もう自分が信用できない。

この頃、なかなかブログさん巡りできなくて~。
今日は土曜日でも役所の立会があるので(役所の人も忙しくて平日現場に来れないんだって)、日曜日にはにゃんたろーさんのところへもお邪魔できると思います。よろしくです。

杏桜さんへ

杏桜さん。

ありがとうございます。
ブログも長いですが、それに根気よくお付き合いくださってる方がすごいですよね。
それもこれも、みんな薪さんの魅力によるもの。薪さんがみんなを惹きつけて離さないから。
結局すごいのは薪さんなんですね~。


> 薪さんinカラオケ、でしょうか。

そうです。
これほど似合わない取り合わせもないと思うんですけど、現実は絶対にやってる、てか、やらされてるはず。
ボックスじゃなくてスナックとか飲み屋系だと思いますけど、上司に付き合わされる形で確実にマイク持たされてます。多分、にっこり笑って断ってたのが8割だと思いますけど、それでも10回に1回くらいは引っ張って行かれたに違いない。でなきゃ、重役連中とあんなに親し気に会話ができるわけがない。(エピローグ参照)
あれ見て、薪さん、意外と上司との付き合いも上手くこなしてたんだな~、て思いました。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。