You my Daddy(2)

 こんにちは~。
 
 先週、連休を利用して那須の動物王国に行ってきました♪ (お義母さんは義妹にお願いしました)
 ここはしづイチオシの動物園で、法十の青薪さん定番のデートコースなんですが、
 動物王国と名の付くだけあって、動物たちがみんなふくふくしてるんですよ。平たく言えば太ってる。逆に、スタッフさんたちはみんな細くてよく動くんです。せっせと餌を運び、掃除をし、手入れをする。動物の方がご主人様なんだな~、と実感しました。

 アルパカの子供、可愛かった~。真っ白できれいな顔立ちでした。
 カピバラは安定の愛らしさ。そうそう、カピバラ湯、入ってみましたが、カピバラが岩の向こうで眠ってて。途中起きたんですがまた寝ちゃって、お湯に入ってきませんでした。残念。オットがいなけりゃ閉園までねばったのに。
 レッサーパンダが部屋の中で見られるようになってました。アクリルボード越しではなく、直接。午後だったので、お昼寝中でしたが。今度は朝一に行こう。きっと動いてる。(余談ですが、動物園は朝一ですよ! 動物たち、意外なくらいよく動いてます!)
 あと、ビーバー! 初めて見た!
 ビーバーは夕方以降が活動時間だから、昼間はいっつも巣の中で寝てるんですが、ここのビーバーは巣穴がないんです。(ビーバーにしてみたら落ち着かないと思いますが) 二人でくっついて向き合って丸まって眠ってました。(青薪さんみたい♡)
 カワウソはどこでも目まぐるしく動きますね。見てると目が回りそう(笑)
 あと、ペンギンそっくりのニシツノメドリという鳥がいて、これがめっちゃ可愛かっ……キリがないのでこの辺で。
 動物好きには天国です。みなさんもぜひ。

 一つだけ注意事項。
 高原なんで寒くてねー。ビール飲んでハンモックで寝てたら風邪ひきました。気を付けてくださいね☆





You my Daddy(2)




 4月の人事異動で警視正に昇格した岡部靖文は、この春、第九の室長に就任した。

 官房室との兼任で忙しい薪に代わって、これまでも実質室長の仕事をこなしてきた岡部だが、副室長の立場で室長の仕事を代行するのと、自分が室長になって業務を遂行するのとではまったく違う、という事実を連日のように思い知らされていた。
 例えば、他部署との調整会議。室長の意向を相手に伝えて交渉を進める限り、どうしても合意が得られない場合は「持ち帰って室長と協議します」と言う逃げ道がある。だが、自分が全責任を負う立場になってしまうと、その手は使えない。他のこともそうだ。よくよく困った時は、薪に相談して指示を仰げばよかった。それが今は、全ての決断を自分で下さなければならなくなった。ただでさえ怖い岡部の顔つきが最近ますます怖くなったのは、その重責が彼に圧し掛かっているからだ。

 なにかあれば遠慮なく相談しろと、前任者には言われている。だが。
 長い間この重圧に耐えてきた薪は、4月から田城の後を継いで科警研の所長になった。9つある研究室を統括管理する立場になったのだ。いくら古巣とは言え、否、だからこそ、彼の手を煩わすことは避けたかった。

 そして今日もまた一つ、第九に厄介な問題が起きる。それはやわらかな春風と共に、無邪気な使者によってもたらされた。
「ダイク。パパ」
「えっ」
 思いがけない言葉に岡部はモニターから目を離した。頭を巡らすが、そこには誰もいない。空耳かと机に向き直ると、再び「ダイク。パパ」という声が聞こえてくる。
 どうやら子供の声だと気付いて下を見れば、椅子の肘掛け隙間から小さな女の子がひょっこりと顔を出していた。
「わあ!」
 驚いた岡部が髪を逆立てて飛び退くと、その様子がおかしかったのか、女の子はきゃらきゃらと笑った。
 見たところ3歳くらいの女の子で、少しクセのある黒髪をツインテールにしている。服装は、薄いピンク色のチュニックに濃紺のスキニージーンズ、赤い紐を蝶結びにした黒のスニーカー。今どきの子供らしく、なかなかにお洒落だ。

「なんで子供がここに」
「ダイク。パパ」
「え、え? 父親が第九にいるってことか? そんな訳があるか」
『ダイク』と言うからには少女の訪問先はここで間違いないのだろうが、『パパ』は何かの間違いだ。第九に妻帯者は山本だけ。その山本は、今日は親戚の法事に家族で出席するために休暇を取っている。第一、山本の娘は中学生だったはずだ。

「おーい。この子、誰かの親戚か?」
 岡部の呼びかけに、モニタールームに散らばっていた職員たちがわらわらと寄ってくる。今井、小池、曽我、宇野の4人は、研究室に迷い込んだ少女を見て首を傾げた。
「お嬢ちゃん。お名前は?」
「いくつ?」
「ママはどこ?」
 4人は少女から情報を引き出そうと、代わる代わる質問をした。その質問に、少女はかろうじて「ミハル」と言う自分の名前だけを答えた。
「ミハルちゃんね。苗字は?」
「ダイク。パパ」
「ママのお名前は?」
「ダイク。パパ」
「だれと一緒にここに来たの?」
「ダイク。パパ」
「だめだ、会話にならん。だれか心当たりはないのか」
 4人はそろって首を振る。少女の様子からも、この中に父親はいないらしい。この場にいない第九職員は青木と山本だけだが、はてさて。

「もしかして、山本の2番目の子供とか」
「だとしても中には入れないだろ。モニタールームは関係者以外立ち入り禁止だ」
 もう一人の不在職員の青木は、ある特殊な事情により父親候補から除外されている。彼のパートナーは皆がよく知る人物。その人物との間に子供が望めない以上、彼がパパになることはあり得ないのだ。
 何を隠そうその相手とは、今年の3月までこの研究室の室長だった人物で、名前を薪剛という。下の名前から分かるように、薪は男性だ。青木がパパになれないと言うのはそういう意味だ。
 ごく普通の男性である岡部たちには、正直、男に恋をする彼の気持ちは分からない。分からないが、青木がどれだけ薪に夢中かは知っている。事あるごとにその気持ちの強さを見せつけられている彼らには、薪に隠れて青木が女と深い仲になるとは考えられないのだ。

「そもそもこの子、どうやって中に入ったんだ」
「誰かと一緒に自動ドアを抜けてきたんだろ。ほら、こないだ猫が紛れ込んだみたいに」
「さっき庶務課から荷物が届いたけど、さてはあれか」
 やいのやいのと部下たちが騒ぐ間、岡部はじっと少女の様子を観察していた。その鋭い眼が、少女の衣服の不自然な膨らみを捉える。チュニックの胸ポケットだ。
「この子、ポケットに何か」
 手掛かりを求めて手に取った、一枚のポートレート写真を見て岡部の顔色が変わる。真夏の炎天下のようにだらだらと汗をかいて、ココココ、と鶏の鳴き真似でもあるまいに、まったく岡部は見かけによらず神経が細い。
「まさか、これが父親だってんじゃないだろうな!」
 激しい詰問口調は、写真の主を心配するが故。恫喝すれすれの岡部の声に、4人は彼の手元を覗き込む。彼らとて、これを見れば岡部と同じ気持ちになるはずだ。写真の主に対する彼らの気持ちは、岡部となんら変わらないのだから。

 擦り切れた古い写真。
 そこに写っているのは間違いなく、科学警察研究所現所長、薪剛その人だった。

「「「「隠せ! 青木に見られたらその子の命が危ない!」」」」
 心配、そこ?!
「青木は何処行った?」
「さっき給湯室に、あれっ。あの子もいないぞ」
「急いで探せ! 手遅れになる前に!」
「第九職員が幼児殺害とか、冗談じゃないぞ!」
 岡部が室長になった途端にこの騒ぎ。勘弁してくれと喚きたいのを堪えて、岡部室長は迷子の探索を部下に命じる。
「おーい、ミハルちゃーん!」
「出ておいでー! お菓子あるよー!」

「ミハルちゃんならここにいますけど」
 少女の居場所をみなに知らせたのは、幼児殺害の最重要容疑者の青木だった。
 ミハルはすっかり青木になついた様子で、彼の大きな手にぶら下がるように戯れていた。年端もいかない子供と一瞬で仲良くなれるのはさすがだ。第九で一番女性にモテるのは今井だが、子供に好かれるのは青木なのだ。ちなみに、老人に一番人気があるのは曽我だ。信心深い彼女たちには、曽我のえびす顔がありがたく感じられるらしい。
 満足に言葉が通じない相手と友好的な関係を築く最も簡単で効果的な方法は、食べ物をふるまうことだ。それを証明するように、青木は自分の非常食代わりのビスケットの箱をミハルに差し出し、彼女は嬉しそうに中から一枚取って、
「「「食べちゃダメだ! それには毒が!!」」」
「はあ?」
 どうやら青木は給湯室にいて、ミハルの身元を知らなかったらしい。命拾いした。

 曽我をミハルのお守に付けて青木から引き離し、安全な距離が確保されたところで、岡部が問題の写真を青木に見せる。青木はハッと息を飲み、ほんの少しだけ他の職員を焦らせたが、すぐにうっとりとした目つきになって愛おしそうに写真を撫でた。素直と言うかダダ漏れにも程があると言うか、とにかく嘘の吐けない男なのだ。
「若い頃の薪さんですね。20年、いや、25年くらい前かな」
「今とどこか違うのか?」
「ぜんぜん違うじゃないですか。薪さんは年を追うごとにきれいになって行きますからね。髪の毛も睫毛も首筋も肩のラインも、今の方が数段キレイ、痛い!」
「あ、室長。じゃなかった、所長」
 まるで写真から抜け出したように、薪がそこに立っていた。きりっと眉を吊り上げ、瞳だけを右に動かして自分が蹴り倒した部下を見下す。小さく開いたくちびるから転がり出たのは、いつも通りの厳しいお小言。

「仕事中に何を騒いでいる! おまえらも、さっさと席に戻って報告書を上げろ!」
「き、昨日の事件の報告書は室長に提出済みでして」
 小池が控え目に抗議する。自分の仕事はちゃんと終わらせて、その上でのコミュニケーションだと言いたいのだ。
 全体を見渡していた薪の視線が小池を捉え、すると薪はふんわりと、まるで春の陽光が冬の旅人を照らすような暖かい笑みを浮かべた。瞬間、彼をよく知る部下たちの背筋を冷たいものが駆け下りる。小池以外の全員が思った、キジも鳴かずば撃たれまい。

「さすがだな小池。おまえの手際の良さには感心する。だが」
 途中までは女神のように、しかし最後の言葉で薪は表情を魔物に変える。その落差が小池を恐怖に叩き込む。
 全員が思った。絶対に計算してるよね、このひと。
「仕事は自分で見つけるものだ。資料整理でも捜査データのバックアップでも、なんなら掃除だっていい。こんなところで油を売ってるよりは、ずっと給料に見合った仕事だと思うが?」
 正論。
 薪の矛先を書類を滞らせている岡部に向ける作戦だったらしいが、完全に逆効果だ。薪は岡部には少しだけ甘い、のではなく。室長業務の大変さを誰よりも知っているのだ。
「分かったら、散れ!!」
「「「「はいいい!」」」」
 春の暖かな空気は一転、執務室は真冬の冷気に逆戻り。聞けば気の毒なことに薪は、所長になってから大好きな現場には出してもらえず、嫌いな書類仕事は倍になったそうな。そのストレスが溜まっているに違いない。薪の暴走を戒めるための上層部の苦肉の策らしいが、部下にとっては迷惑な話だ。

「岡部、もうすぐ定例報告の時間だろう。――うん?」
 第九はその特殊性から官房室直轄の部署で、週に一度の定例報告が義務付けられている。これまでは薪が毎週金曜日、官房長の小野田に直接報告をしていた。警視正の特別承認から始まって、過去には娘婿の話も持ち上がったほど彼に気に入られている薪とは違い、岡部にとっての小野田は雲上人。緊張を隠せない岡部に、最初の定例報告には付き合ってやると、薪の方から声を掛けてくれていた。今日は金曜日。約束の日だ。

「そそそそうでした! さあ、参りましょう!」
「あの子供は」
 曽我の、ややふくよかなお腹の横からちょこんと顔を出した少女を見て、薪が尋ねる。
 曽我は身体を張って少女を匿おうとしていたが、モルモットのようにちょこまかと動く子供を押さえきれるはずもなく。また薪の昆虫並みの動体視力が、それを見逃しくれるはずもなかった。
「この写真は」
 青木が蹴られながらも隠した写真を薪は、難なく彼の懐から抜き取って、不思議そうに小首を傾げた。その仕草の愛らしさといい先ほどの微笑みといい、年々青木の病気が悪化していくのも無理はない、と第九メンズは病に侵された後輩を哀れに思う。残念ながら、恋の病に効く薬はない。

「岡部。説明しろ」
「なななな何でもありません!」
 声は大きいが、その口調は乱れに乱れ。年齢を重ねるほどに階級と凄味を増していく上司が、岡部のネクタイをぐいと引く。
「どういうことだ、岡部」
「い、いやあのその」
 身体の大きさは自分の半分ほどしかない上司から受けたパワハラに、岡部は滝のような汗をかく。だが次の瞬間、その汗はキーンと音を立てて凍りついた。
「パパ!」


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

通りすがりさんへ

通りすがりさん。

>高校生の女の子が出てくるのかな?と思ったら幼女が出て来ましたね~!?

はい、幼女です。
1章目の女の子とは別人です。


>それにしても 皆からの青木の言われ様に笑いました!

青木さんの天使設定(うちのは外面だけですが)は原作と変わらないんですが、この一点だけは真っ黒という。
恋は人を狂わせますからw
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
メロディ6月号、読みました。
一言感想 「どひゃー……」
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: