You my Daddy(3)

 暑くなってきましたね~。
 秘密ブロガーさんの中にも体調不良の方が多いみたいで、心配です。暑さ負けかなあ。秘密って繊細な作品だから、ファンもやっぱりデリケートなのかな。
 どうかみなさんのお身体が、早く良くなりますように。

 え、わたしですか?
 すみません、めっちゃ元気です。 
 夏、大好きなんです。ビールが美味い季節なんで (*≧∪≦)


 7月11日に、75000拍手、いただきました。ありがとうございました。 
 今、公開してるのが7万のお礼なんで、次のお話が7万5千のお礼ということで、
 薪さんがボケ老人になる話と、新しい室長候補に室長の座を奪われる話、どっちがいいですか? (あ、どっちもいらねーですか? そうですか……)
 もうちょっとマトモな話を考えますね。ていうか最近、拍手のお礼SSしか書いてないぞ。ペース落ちてるなー。
 身体は元気なんですけどね。頭の調子がどうもね……(。´・(ェ)・)

 とりあえず、お話の続きをどうぞ。 



You my Daddy(3)




「パパ!」

 小さな小さな手でこちらを指差す、その脅威の甚大なこと。男なら誰しも一つや二つは身に覚えがあって、だから薪も岡部も一瞬固まる。ミハルの含みの無い笑顔とは対照的に、二人が取り繕ったのは大人の表情。
「おまえの子供か、岡部」
「違います」
「なんで生まれたときに知らせてくれなかったんだ。お祝いしたのに」
「違いますって。実は薪さん、この子はあなたの写真を持って」
「それにしてもいつの間に。雛子さん、細身だから全然気付かなかった」
「だから違うっての! 聞けよ、人の話!!」
「隠さなきゃいけないおまえの立場も分かるけど、友だちじゃないか。僕にだけは本当のことを」
 とん、と太腿に軽い衝撃を受けて薪の言葉が止まる。ふと下を見れば、自分を見上げているツインテールの女の子。

「パパ」
「えっ?」
 女の子は薪の顔を指差して嬉しそうに笑い、つまりそれは彼女にパパと呼ばれたのが自分であるという逃れようのない事実。
「いや、僕は君のパパじゃ、――はっ」
 薪はやや強引に自分から子供を引き剥がし、向かいにいた岡部に預けると、パパと呼びかけられた時より遥かに焦った表情でその場にしゃがみ込んだ。そうすることで薪の目線は、床に座ったまま薪のことをぼーっと見つめていた男と同じ高さになる。展開を先読みした岡部が、薪の行動に待ったをかけた。
「薪さん、みんなの前です。余計なことは言わない方が」
「なにを呑気なことを。おまえは青木を殺人犯にしたいのか?」
 仲間にも恋人にも、どんだけ信用ないんだ、青木。
「青木、僕を信じろ」
「信じろと言われましても、子供というのは生きた証拠で。写真のこともありますし」
「何かの間違いだ。僕が最後に女とやったのは20年も前だぞ」
「だから薪さん、余計なこと言わないでっ」
「それだって風俗嬢だぞ。歌舞伎町の姫って店のヒトミちゃんて35歳の女の人で、得意技は高速回転ピーピーピーピー」
「子供の前でなに言ってんですかあんた!」

 あまり表情が変わらないから分かりにくいだけで、薪はとっくにパニック状態だった。ミハルに「パパ」と呼びかけられた時から、彼の男爵スイッチは入っていたのだ。
 恋人の青木にはそれが分かって、でも少しだけ意趣返しをしたかった。少し前の話になるが、薪は、夜中に自宅に電話を掛けてきた青木の姉を青木の浮気相手だと誤解し、子供までいるなら自分と別れて彼女と家庭を築くべきだと青木に説教したのだ。心から愛する恋人に浮気を疑われることがどんなに悔しいか、薪にも理解して欲しいと思った。
 その時青木が薪にフォローを入れなかったのはそういうわけで、だけど本気で薪を困らせるつもりはないから、周りの職員たちに目配せをして、そっと自分の席に戻るよう仕向けた。こうしておけば薪が正気に戻った時、自分が言ったことを誰にも聞かれていないと信じさせることができる。

「とにかく、僕には本当に身に憶えが――待てよ」
 我が身を切り裂くような自己弁護を中断し、薪は口元を右手で覆った。俯いて何かを思い出す様子に、俄然興味をそそられた第九メンズがレンゲに群がるミツバチのように舞い戻る。
「憶えがあるんですか?」
「やっぱり薪さんがこの子のパパ?」
「パパじゃない! ……けど」
「けど?」
 どうにも歯切れの悪い薪の口ぶりに、職員たちは、彼を取り囲む輪を一回り小さくする。人数で囲んでプレッシャーを掛ける作戦だ。仕事ではそのポーカーフェイスに無敵を誇る薪だが、プライベートになると意外なくらい押しに弱い。
 果たして薪は、躊躇いつつも口を開いた。

「もしかしたら、僕の孫かも」
「「「「孫お!?」」」」
 子供ならぬ孫疑惑。さすが薪だ、常識の遥か上を行く。

「この写真を撮ったのは大学生の時だ。その当時関係のあった女性が実は子供を産んでいて、その子が成人してこの子が生まれたとしたら、計算は合うだろ」
「「「まさかあ」」」
 全員が口を揃えたが、可能性がないとは言い切れないのが男の弱味。母子関係の明確さに比べ、父子関係の曖昧なこと。DNA鑑定でもしない限り、男は女の言葉を信じるしかない。
「この子と僕、よく見ると似てるような気もするし」
「「「どこが?」」」
「目は二つで鼻と口が一つずつある」
 それは全人類共通です。
「すまん、青木。おまえを裏切るつもりは」
 それが裏切りになるんだったら誠実な男はこの世にいません。てか、この子とあんた、全然似てないから。

 それは全員の総意だったが、男爵全開の薪に言葉での説得は通じない。後でDNA鑑定でもすることにして、この場は薪を宥めて官房室に向かわせないと。
「見損なわないでください。いくらオレでも、20年以上も前のことでヤキモチなんか妬きませんよ」
「そうか」
「とりあえず、この子はオレが預かりますから。定例報告に行って来て下さい」
 うん、と薪は頷いて、所長の顔になった。あれだけパニックになっていたのに、一瞬で仕事モードに切り替われるのはさすがだ。

「この子の名前は?」
「ミハルちゃんだそうです」
「じゃあ、ミハル。おじいちゃんはお仕事に行ってくるから。このおじさんと一緒に、ここでいい子にしてなさい」
 齢40にして孫を持つ人もいないわけではないが、この人ほど「おじいちゃん」という呼称が似合わない人はいない。見かけだけならここにいる大人の誰よりも若いのだ。
 しかし、子供にとっては遥か年上の男性に違いはない。うん、と嬉しそうに薪に抱きつき、感謝の印か親愛の情か、その頬にキスをした。自分の孫かもしれない女の子のキスに薪はまんざらでもない顔をして、早くも親バカ、否、爺バカ、て言うかただのバカだと全員が思った。ひとりを除いて。

「みんなの前で薪さんにキス……子供だから許されるとかそういう問題じゃないよな……」
「青木、どうした?」
「20年後、薪さんを誘惑するようなことが無いとも限らない……今のうちに潰しておくか……」
「なにをブツブツ言ってるんだ? この子の面倒、見てくれるだろ?」
「任せてください。子供の世話は姪っこと甥っこで慣れてますから」
 青木は力強く言い切って薪を安心させると、「さあ、小野田さんが待ってますよ」と二人を送り出した。時間に追われて薪は自分の失態に気付く余裕もなく第九を去り、後には第九の面々と所長の孫かもしれない少女が残された。

 薪に孫を託された青木は早速、ミハルのために給湯室へ行くと、
「ミハルちゃん、ビスケットだけじゃ喉が渇いたでしょう。これ飲んで」
 気配り上手は世話上手。さすが青木、と思いきや。
「にがいー!」
 飲ませたのはなんとブラックコーヒー。しかもこの色合いはトリプルエスプレッソだ。普通のエスプレッソの3倍も濃い、徹夜でMRIを見るときに飲むやつだ。
 案の定、うわーん、と泣き出す子供に青木はにっこり笑って、
「ごめんねえ。砂糖もミルクも切らしてて」
 ……大人げないぞ、青木。




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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薪さん薪さん!!(焦)

みんな聞いてますよ!!( ;∀;)
なんて面白い見せ物だ…第九で働きたい。
男爵化した薪さんとブラック青木って完全にバカップ……(笑)

失礼しました。なみたろうも薪さんに関しては青木並に盲目の愛を抱いておりますが、20年も前のことにヤキモチ焼くほどではありません。ちょっと舌打ちするぐらいです。
女性に隣に立たれるのも嫌、とまではいきませんが(笑)「可視光線」でお嬢様の肩に手を触れた時は軽く白目剥きました。

薪さんが今現在青木がそばにいて幸せならそれで大満足です( 〃▽〃)
とてもとても一途な人ですもんね、その点は心配いらないんですけどね!

しづさんがお元気そうで良かったです。
だってあんな頑張ってらっしゃるから( ;∀;)ほんと、すごいと思います。やっぱり健康て大事だなあ。見習わなければ!

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なみたろうさんへ

なみたろうさん。

>みんな聞いてますよ!!( ;∀;)

薪さん、ダダ漏れにもほどがあります(笑)


>なんて面白い見せ物だ…第九で働きたい。

いや、これ、うちの第九だから。
原作の第九、こんなにアホじゃないからww


>男爵化した薪さんとブラック青木って完全にバカップ……(笑)

途中で言葉止めなくても大丈夫です。
みんなそう思ってますから☆



>「可視光線」でお嬢様の肩に手を触れた時は軽く白目剥きました。

ダメじゃん!
もう死んでる人でもダメじゃん!!(@@)

いやあの、その辺、わたしも人のこと言えなくて。
薪さんが身体の関係まで持った女の人って、実はみんな死んじゃってて(←!!!) ……もうどんだけ狭量なんだ、自分。


>薪さんが今現在青木がそばにいて幸せならそれで大満足です( 〃▽〃)

そこはね!
外せないよね、あおまきすととして!!
でも結構ぐだぐだ悩むかも~。
いつものことなんで、まあ適当に流してください。

Hさまへ

Hさま。

あらー、Hさん、お久しぶりです。
お元気してました?


>私は原作の薪さんもしづ薪さんも基本はノーマルだったと思うので、女性とお付き合いしたことあると思います。

わたしも最初はそう思ってたんですが、(だからうちの薪さんはノーマル設定なんですが)
12巻の「僕の秘密を見ろ」のシーンで、例の目隠しプレイが出たとき、かなーり濃いグレーなんじゃないかと疑いました。
これが暴露されたら命にかかわる、薪さんにとってはそのくらい重要な秘密だから、カニバリズム事件と同列に並べられてるんじゃないかと。
あれ、女性が相手だったら、カニバリズムと同等級の秘密にならないと思うんですよね。でも実は同性愛者で、しかも自分の部下を肉欲込みで見てました、って言ったらそりゃもうバレたら死ぬしかない、てのも理解できる。
それに加えて、なんとなくですけど、第九編の薪さんて、女性に冷たくないですか? 生島先生は仕方ないとして、雪子さんも葵さんも、割と塩対応されちゃってますよね。
やっぱりゲイなんかな~、と思ってたんですけど、可視光線でお嬢様には優しかった!(嬉)
だから、どっちもイケルのかな、と今では思います(^^)


>薪さんと可愛い女性のデートとかもたのしそうで見てみたいです。

きゃー、いやですー!←書いたの誰だよ。
薪さんには青木さん、青木さんでお願いします!


>鈴木さんと青木くんが好きになったのは、性別を超えて魅力に惹かれたからだと思います。

うん、これは本当にそうだと思います。
鈴木さんも青木さんも、陽の人なんですよね。薪さんはどっちかっていうと、陰の人。月が太陽を追いかけるように、どうしようもなく惹かれてしまう。
でも結局は、太陽も月を追いかけてるわけで。惹かれあってるのも事実なんですよね。


>メロディ8月号とダヴィンチ8月号
>シーズン0の4巻とパーフェクトプロファイル

わたしも買いました~!
予約はセブンネットでしました。なんか、イラストみたいのがオマケで付くみたいですよ?



Hさん、お身体、大丈夫ですか?
きっと暑いのは苦手だろうなあと予想してました。どうかご自愛くださいね。

と思ったら、
お仕事、始められたんですか? それはよかったです!

わたしもそうなんですけど、人間、仕事してた方が元気なもんですよ。
仕事は疲れるし、嫌なこともあるし、逃げ出したくなる時もいっぱいあるけど(現場の人間関係や仕事のことで悩んで毎日泣きながら眠った時期もある~)、でも、
その中で色んなことを学び、スキルを上げ、成長することができる。もちろんお金も大事ですけど、将来的にはそっちの方が財産になります。
辛いことしんどいこと、たくさんあると思いますけど、せっかくだから、これは自分に養分をあげてるんだ、と考えて、できるだけがんばってください!


>しづ薪さんがこころのオアシスになっています。

ありがとうございます~!
はい、気分転換はとても大事です。
また遊びに来てくださいね(^^)

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Hさまへ

Hさま。


>さすがしづさん!

いえいえ、わたし、読解力無いんですよ。
予想は当たったことないし、いつもとんちんかんな解釈してて。だからこれも違うかも~。

読者の数だけ解釈があって、その人なりの薪さん像がある、と言うのが「秘密」最大の特徴だと思います。
ホント、こんな漫画どこにもないよね!

Hさんのおっしゃる通り、
「人を愛する気持ちに変わりはない。でも負い目になってしまうことがある」
きっとそうなんですね。
薪さん、ずっと辛かったんですよね……。


>でもシーズン0になって薪さんはどこか吹っ切れて、青木くんへの思いを以前のようには隠さなくなったようにみえます。(だだもれてるだけ??)

だだもれww
確かに、第九編の薪さんはもっと自分を律していたように思います。
色に出にけり我が・・・というやつですかね。
隠しきれないところが切なくもあり、愛しくもあると。


>鈴木さんとの日々を幸せな想い出としてふりかえるようになって、
>青木くんを大切に思っているようになった薪さんがみられて嬉しいです。

鈴木さんの回想と言えば血塗れが定番でしたよね。
それが警大時代のことや第九初期の頃のことを普通に思い出せるようになった。
やっぱり青木さんの「ご自分を赦してあげてください」が効いたんでしょうね。


>しっかりしてくれ!青木くん。

ハッパを掛けたくなるお気持ち、すっごく分かります。
わたし、第九編の頃、ずーっとそう思ってて、そしたらこんな青木さん(変態ストーカー)になっちゃったんです(笑)

ただ、原作の青木さんはあれでいいのかなって。
天然でお人好し。純真無垢で子供みたいに一途。
そういう人だからこそ、薪さんの光たり得るんじゃないのかな。

光はそこにあるだけで、周りを照らして暖めるでしょう?
青木さんて、そういう人なんだと思う~。


>岡部母さんにもふたりのことをよろしくお願いしたいです。

これは!
やっちゃん、手紙どうしたのよ! まだ持ってんの!?

あれはないよー!
青木さんが1年がかりで書いた手紙、青木さんの知らないところで薪さんから返されて最終的に岡部さんが持ってますってそんなオチ、おかしいでしょー!!
青木さんには割とシビアなしづですが、あれだけは可哀想だと思いました。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
メロディ6月号、読みました。
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