ヒカリアレ(12)

 おはようございます。

 今年も入札の時期になりまして、金曜日に、2件ほどお仕事いただきました(^^♪
 1億2千万の道路工事と2千8百万の水道工事 ( ゚Д゚)
 だ、大丈夫か、しづ! やり切れるのか!?
 とりあえず、お盆は書類に埋もれます。
 あ、実家のお祖母ちゃん、新盆だった……お手伝い行かなきゃ……が、がんばれ、しづ!

 というわけで、ブログは予約投稿で行きます、ごめんなさい。(;^ω^)




ヒカリアレ(12)










 児玉と須田のMRIは、まるで犯罪の倉庫だった。
 早い段階で複数の犯罪が見つかった。ストーンヘンジの新しい根城としてつばき園を入手した際の公文書偽造に始まり、活動資金を得るための欺罔行為、児童(信者)を集めるための拉致・誘拐。多くは離れた都市の養護施設から親のいない子供を拐かすなどして、肉親から捜索の手が伸びないよう注意を払っていた。
 子供相手の簡単な犯罪とて何十件も重ねれば、時にはアクシデントも起きる。教団の将来のためにできるだけ質の良い信者を選別するなら、玩具や菓子に釣られてついてくる単純な子供ばかりではなくなる。中には彼らの口車に乗らない賢い子供も存在して、そういった時には子供の死体が用水路に浮くことになる。下層市民の境遇に耐えかね、つばき園から逃げ出そうとした子供たちも同様。そんな残酷極まりない場面も数多くあった。

 事故という名目で葬られた子供たち、それに疑いを抱いた養護施設の大人たち。併せて12件の殺人と、40件余りの誘拐事件。
 ほかにも、恐喝、詐欺、薬物の違法売買、果ては株のインサイダー取引まで、よくもまあこれだけ悪事を重ねられたものだと、最初こそ憤りも激しく画面を睨んでいた捜査員たちは、捜査開始から1週間を過ぎる頃にはいっそ呆れ果てて、児玉を射殺した捜査官に拍手を送りたい気分になっていた。

「ったく。こんなやつ、死んで正解……おっと」
 須田洋子のMRIを視ていた三船太一捜査官は、画面に美しい少年の画が映った所で手を止めた。卓上の受話器を取り上げ、室長室の内線電話を鳴らす。
「岡部室長、例の少年の画が出ました。こちらF-6の三船です」
『了解。――よし、いいぞ。流せ』
 画面左下の共有ランプが点灯し、室長室のモニターとこのモニターに同じ画が映るようになったことを知らせる。合図を受けて、三船の手がマウスをクリックした。
 所長からの命令で、この少年に関する画はその都度報告を上げることになっている。公式発表はされていないが、この少年は児玉と須田の子供だ。犯罪者の子供が必ずしも犯罪を犯すわけではないが、彼は特殊な環境で育てられた。一般の子供より注意を払って然るべきだという所長の考えにも頷ける。

「……うわあ……」
 やなもん見つけちゃったよ。

 マイクが室長室とつながっていなかったら、三船は間違いなくそう呟いていた。画面には、徐々に服を脱がされていく少年の姿が映っていた。少年は無抵抗のまま無気力に横たわり、全裸のまましばし放置された。
 少年の肌を撫でさする女の指。飾り気のない爪は短く切られていたが、手の甲は薬品で荒れ、年齢による皮膚のたるみも目立つ。少年のきめ細かい雪のような肌とは、対照的であった。
 50を過ぎた女性と、その子供との母子相姦の画。母子の一線を越えた画は、これまでに見たことがないわけではないが、少年が際立って美しい分、不快感は強かった。導かれた幼い手が、母親の爛れた女性器をまさぐる様子には吐き気を覚えた。
 少年が泣いて嫌がるわけでもなく、ただ諾々と母親の愛撫を受け入れているのが余計に哀れだった。三船の目に光少年は虐待の被害者にしか見えず、彼は、少年に対する憐憫の情を禁じ得なかった。

『子供相手に。正気の沙汰とは思えんな』
「父親も外道なら母親も畜生っすね。可哀想に」
 岡部が漏らした率直な感想が、三船に胸のムカつきを吐き出させた。岡部はノンキャリアのせいか、室長職にあっても気さくで偉ぶった所がない。仕事には厳しいが、叩き上げならではの目線で自分たち現場の捜査官の苦労をとてもよく理解してくれる。
 以前の第九は地獄だったと聞いた。あの顔だけは綺麗な所長に脅されドヤされ追い詰められ、奴隷のごとくに働かされた。自分は所長職に納まってからも部下を苛める快感が忘れられず、事あるごとに第九にやって来るのはそのせいだと第四管区の小池室長が言っていた。
 自分は今の時代でよかった。そんな思いが三船の口を軽くさせる。肘を机に付き、手のひらに顎を載せて、三船は唾棄せんばかりに言った。
「こんな親なら居ない方がマシでしょ。この子にしてみたら、死んでよかったんじゃ」

「死んでよかったなどと、警察官が口にするものじゃない」
 厳しい言葉が直接耳に入って、三船は肩を竦める。テノールの美しい響き。岡部室長のダミ声とは正反対だが、三船にとっては後者のほうが遥かに好ましい。
「彼の立場になってみなければ、彼の気持ちは分からない。軽々しく語るな」
「す、すひません……」
 驚きで、顎を支えていた肘が外れたものだから、思い切り舌を噛んでしまった。恐怖で口がこわばったせいもあり、上手く発音できなかった。

 重大事件が起きた時しか所長はここに姿を現さないが、相変わらず物凄い威圧感だ。旧第九のメンバー、現在の室長たちは、この恐怖を日常的に味わっていたのだ。精神的に鍛わっているはずだ。
 あの気弱そうに見える第八管区の室長でさえ。山城の病院から帰ってきた直後、所長のヒステリーで引っぱたかれて、でもそのあと直ぐに所長に微笑みかけてた。あのときは全員引いた。自分を引っぱたいた人間にその場で笑いかけるなんて、並みの神経じゃない。異常に肝が据わっているのか、それともただのドMか。

 恐怖の大王と称される薪所長は、じりじりと後退する三船をフォローするなんてことは当然せず、モニターに映った画をじっと見つめた。眼球の自動補正を振り切るくらい画面がブレまくっていることから、被害者が少年の上でどんな動きをしていたか察しが付く。画面にはかなり際どいシーンも映り込んでいたが、所長は眉ひとつ動かさず、三船のように不快感を表に出すこともしなかった。

 画面のブレが止まり、須田の動きが止まったことを教える。所長は黙ってその場を離れた。三船は慌てて席を立つ。
「も、申し訳ありませんでしたっ」
 低く頭を下げつつ三船は、辛そうに寄せた光少年の細い眉を目の端に見ていた。



*****

 うちの男爵の声はアルトですが、原作薪さんのイメージは、もう少し低いテノールです。
 他にもちょこちょこ設定が違いますが、単に管理人のイメージなので、あまり気にしないで読んでくださいね。(*'▽')/


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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