岡部警部の憂鬱(11)

岡部警部の憂鬱(11)






 
 岡部が第九に残ることを決めてから、5日後。
 第九の新しいメンバーたちは、薪の真実の顔を知ることになった。

「なにをぐずぐずやってんだ!!」
 新しい事件が第九に回されてきた。
 明らかな連続殺人で、被害者は2人。犯人はまだ捕まっていない。新たな被害者が出る可能性が高く、捜査は火急を要した。
「いったいどこを見てたんだ!? おまえらの目は節穴か! 役に立たない穴なら泥でも詰めて塞いじまえ!!」
 穏やかで冷静な室長はどこへやら、部下のミスに怒鳴りまくるわ書類は投げつけるわ、まるで人が変わったようだ。
 
「し、室長。あの、もう12時過ぎてるんですけど」
 深夜の残業に、おそるおそる異議を申し立てようとした曽我は、薪に睨みつけられて途中で言葉を飲み込んだ。
「それがどうかしたのか」
 怒気を孕んだ低い声。背筋が寒くなるような迫力に、曽我は返事もできない。
 捜一の課長だって、こんなに怖くない。
 まったく、顔に似合わず剛毅な男だ。しかし岡部には、それが好ましく思えた。
「余裕だな、岡部」
 顔に出てしまっていたらしい。薪の目が岡部を見て、あの意地悪そうな笑みを浮かべる。
「2番目の被害者の半月分、全部見とけ。今夜中にだ」
「えっ! 今夜中ですか!?」
「この季節の夜明けは、4時半ごろだ。まだ4時間はあるぞ。それだけあれば十分だろう」

 画を見るのは可能だが、睡眠時間はない。
 まさか徹夜で仕事を命じられるとは。捜一ではなかったことだ。夜の張り込みは、交代で仮眠を取りながらするものだ。
 しかし第九では、これが当たり前のことらしい。その証拠に室長は元気一杯だ。

「いいか。僕たちの捜査が遅れれば、その分新しい被害者が出る可能性が高くなるんだ。事件が解決したら、20時間でも30時間でも眠らせてやる。それまでは寝るヒマなんかあると思うな!」
 第九の室長は鬼よりこわい―――― あの噂の真実はこれだったのか。

 岡部はあの時、薪の申し出を断ったことを心の底から後悔した……。


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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