ラブレター(12)

 おかげさまで、無事に新盆が終わりました。
 お礼状が6枚しか残ってないから、少なくとも94人の方が、お義父さんの為に家まで来てくれたんだ、と改めて故人の偉大さを知りました。
 ありがたかったです。

 今日は棚と提灯の片付けのために、葬儀屋さんが来ます。
 それが終わったら……寝るぞ(笑)
 で、目が覚めたら腰を据えてブログ様めぐりを。
 みなさん、オフ会のレポート、書かれるかしら。楽しみです。





ラブレター(12)






 横川みどりが間宮に近付いてきたのは、3月の半ばだった。
 若いうちから審美眼を養ってきた間宮には、彼女の美しさが神の御手によるものではないと、すぐに解った。
 間宮はべつに、整形手術を否定しているわけではない。女性が美しさを求めるのは自然なことだし、いいことだとも思う。ただ、自分のベッドの相手にはしたくないだけだ。
 彼女を傷つけないようにさりげなく断ると、彼女もそんなつもりではないと言った。
『わたし、間宮部長と薪室長は、とってもお似合いだと思うんです』
 今いちばん執心している相手の名前を出されて、間宮は有頂天になった。
 自分と薪のことを、そんな風に見てくれている人もいるのだ。交通課の一部の女子の間にそういう噂があるのは知っていたが、現実に自分の耳で聞くと感動もひとしおだ。

『わたしを第九に入れてくれれば、薪室長との仲を取り持って差し上げます』
 第九からは、ずっと女子職員の要請が来ていた。
 しかし、あそこは女子職員が行きたくない部署№1の座を6年間守り続けている、強烈な研究室だ。その理由は、女子がひとりもいないことと、脳を見るというMRI捜査の評判の悪さのせいである。
 署内でも1,2を争うほど女性に人気のある薪が室長を務める部署なのに、このアンケート結果は意外な気もする。しかし女性たちの本音を探ると、薪のことは恋人になりたいというよりも、遠くから見ていたいらしい。
 つまりは観賞用というかお飾り人形というか、彼女たちにとっては薪の外見が全てで、人柄や能力はまるで評価していないのだ。薪の本性を知ったら、どんな女性も裸足で逃げ出すだろうから、結果は同じことかもしれないが。

 女子職員を送ってやれば、薪は自分に感謝するだろう。
 4月の人事異動で要請を叶えてやろうと思ったのに、小野田に邪魔されて書類が間に合わなかった。それから色々あって、薪に会えない日が1ヶ月ほど続いて―――― それは岡部に殴られた顔が腫れあがっていて、薪に見られたくなかったということなのだが―――― ようやく薪の願いを叶えてやれたのが、今月の頭。そのことを薪に告げたときのかれの嬉しそうな笑顔は、間宮の劣情を燃え上がらせるのに充分な美しさだった。

 着任から約2週間。
 横川みどりは、思った以上の働きをしてくれた。みごと薪を口説き落として、間宮の前に差し出してきたのだ。
『Mホテルの1122号室で8時に。薪室長が待っています』
 言われた通りに、間宮はMホテルにやって来た。

 フロントでは見覚えのある男女が何事か騒いでいる様子だったが、間宮は彼らを無視して通り過ぎた。部屋の予約を間違えたか、ダブルブッキングになってしまったのかは不明だが、きっと金曜の夜で他に空いている部屋がなく、それで揉めていたのだろう。そんなドジなカップルに構うほど、ヒマではない。
 腕時計は7時を示している。約束の時間にはまだ早かったが、待ち切れない。
 間宮はみどりに預かったカードキーをドアノブの下部に差し込んで、部屋の鍵を開けた。
 みどりの話では、薪も今夜の逢瀬をとても楽しみにしていると言っていた。ならばすでにここに来ている可能性が高い。これから過ごす夢のような一夜のために、シャワーを浴びている最中かもしれない。

 バスローブ姿でバスルームから出てきた薪は、自分の姿を部屋の中に見つけて、嬉しそうに駆け寄ってくるだろう。濡れた髪を乾かす間も惜しんで、自分に抱かれたがるに違いない。
 きっと自分から服を脱いで、桜色に染まったあのなまめかしい肌を晒して、亜麻色の瞳を情欲に潤ませて。
 薪の望むとおり、今日は朝まで可愛がってやる。この腕の中でよがり泣きさせてやる。二度と自分から離れられない身体にしてやる。

 そっとドアを押す。果たして部屋の中には、間宮が欲しくてたまらなかった美しい青年が、緊張した顔つきでソファに腰掛けていた。
「間宮部長?」
 自分で呼び出しておいて、薪は何故かとても不思議そうな顔をした。それはひどく幼くて可愛らしい顔だったが、間宮にある危惧を抱かせた。
「どうして部長がここに?」
 わけがわからないという顔だ。少なくとも、薪は間宮を待っていたわけではない。想像とまるで違う薪の反応に、間宮は自分の不安が的中したことを悟った。

「やれやれ。俺もヤキが回ったな。あんな小娘に騙されるなんて」
「どういうことですか。説明してください」
 ソファから立ち上がって、薪は低く構えを取る。間宮に隙を見せまいとしているのだ。
 どうやらみどりが言ったことは、一から十まで嘘ッぱちだったらしい。

 薪は、柔道と空手の黒帯保持者だ。間宮が力づくでどうにかできる相手ではない。
 もっとも、間宮は誰かを無理矢理抱いたことなどない。巷では色々な噂が飛び交っているようだが、あれは間宮に相手にされなかったり、飽きて捨てられたりした愛人たちによる流言卑語の類だ。
 拘束具やクスリを使ってまで関係を持とうとしたのは、薪だけだ。そこまでしなくても、間宮が何度かモーションを掛ければ、みんなそれほど抵抗はなく身体を開いてくれた。

「君は誰を待ってるの? 官房長?」
 彼と薪の間には何もないことは解っているが、小野田はそれを間宮に信じさせたがっている。ここはこう訊いておいたほうが良い。
「違います。僕は……横川さんを」
 なんと。薪まで彼女に騙されている。
 しかし、ここで彼女を待っていたということは、薪は彼女と寝るつもりだったのか。それは間宮には、甚だ不愉快な予定だ。

「君のとこの女子職員が言ったんだよ。君が俺と、一夜を過ごしたがってるって。ここで俺を待ってるって」
 間宮は吐き捨てるように言った。
 薪のような男に愛される側の人間が女を抱くことを、間宮は快く思わない。薪に女は似合わない。だったら小野田のほうがまだマシだ。

「彼女がそう言ったんですか? 僕があなたに抱かれたがってるって。それでここにあなたを呼んだと?」
 みどりは自分のからだをエサに、薪をここに呼び出したのだろう。
 なんて浅知恵だ。そこに間宮が来れば、自然にうまくいくとでも思ったのか。恋愛経験の少ない夢見がちなバカ娘の考えそうなことだ。
 間宮は、薪が今まで座っていたソファに腰を下ろした。
 今日は酒でも飲んで帰るしかない。一杯だけでも、薪に付き合ってもらえないだろうか。
 
「道理で話がうますぎると思っ……」
 シュッという衣擦れの音がして、間宮は顔を上げた。
 淡い紫色のネクタイが、ローテーブルの上に落とされる。
 次に白いワイシャツが、防弾チョッキが、青灰色のズボンとベルトが、乱雑に積み重なっていく。

「薪くん?」
「その通りです」
 下着まで全部脱いで、薪はベッドに仰向けになった。
「彼女の言う通り、僕はあなたに抱かれたかったんです」





*****


 ああ、きっとまた、嵐のような非難コメが♪ ←期待してる(笑)




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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復活!めでたい!

間宮の事はこの際もういいです。(薪さん裸になるの早すぎ!間宮に嫌々脱がされるという過程が大事、、、ごほごほ)
いえ、わたし、しづさんを信じてますから!!!(これはもはや脅し?)

それより(それよりって!)ファイヤーオールのあとがきのしづさんの萌えポイントが
『青木の為に身を引く薪さん』とあったので、え?それがかわいそうで、嫌で幸せな薪さんのSSを書かれたのでは、、、??と、意外でしたので。
というより、そこにぐっと来てこういうSSを書かれたのでしょうか。
では、、、、原作で青木とラブラブハッピーエンドは実は望んでおられな
い?そうなるともう萌えない?お時間のある時にお答え頂ければ、、、

あそこで裸になった薪さんは、、今度は雪子に迄その現場を目撃されてしまうのでしょうか、、、、





°( Д ) °

こんにちは 復活おめでとうございます

 
ひでぶっ   ° ° Д (   )))))))=3=3=3  ぱーんっ



° (   ) ° ヾ ひゅう~~
    Д
  



。(  )Д。   =3 ぽとっ


。(  )Д。   ああああああ・・・・やっぱり「自分に罰を与えて”くれる”人」がいたら・・・薪さんは・・・・。

。(  )Д。   薪さんのばか・・・。・・・・・ところで全裸ってある意味、間抜けのような気がしてしまうのは私だけでしょうか・・・・・。


>フロントでは見覚えのある男女が何事か騒いでいる様子だったが

。(  )Д。    平均身長を優に飛び越えた二人組ですね?分かります。


>薪のような、男に愛される側の人間が

。(  )Д。     ・・・・・・・・・・なんでやねん・・・。(←関西人の性)


。(  )Д。     ところで薪さんは、青木と雪子さんどっちに目撃されるのがよりダメージでかいんでしょうね・・・・・。
そういえば結局青木は、前の一件の真相は知らなかったような・・・。
それも伏線だったということですか・・・・?

し・・失礼しました。ちょっと一度帰って冷静になります・・・。

。(  )Д。ヾ =3=3    よいしょ  よいしょ

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シーラカンスさんへ♪

いらっしゃいませ、シーラカンスさん!
わーい、表コメ、久しぶりです♪

> 間宮の事はこの際もういいです。(薪さん裸になるの早すぎ!間宮に嫌々脱がされるという過程が大事、、、ごほごほ)

え!?
いいの!!??
ってか、シーラカンスさん、(  )の中の本音が!(爆笑)
嫌々がいいのか、そうか・・・・・奥が深いです(笑)

> いえ、わたし、しづさんを信じてますから!!!(これはもはや脅し?)

うふふ。
大丈夫ですよ、信じてください。わたし、ドSですから!(←ダメじゃん(^^;)

> それより(それよりって!)ファイヤーオールのあとがきのしづさんの萌えポイントが
> 『青木の為に身を引く薪さん』とあったので、え?それがかわいそうで、嫌で幸せな薪さんのSSを書かれたのでは、、、??と、意外でしたので。
> というより、そこにぐっと来てこういうSSを書かれたのでしょうか。

はい、そうです。
4巻で、青木くんと雪子さんが会っているのを窓から見て、こころの中は千々に乱れていただろうに、それをこらえて、岡部さんの手からプリントを取ってみんなに配った薪さんに惚れました。
会議を抜け出した青木くんを責めもせず、逆にそのことを庇うようにして・・・・・そのケナゲさに、完全にやられました。わたし、健気なひとが好きなんです。

あんな過去を背負いながらも、こんな健気な気持ちを忘れない人が、報われないなんておかしい!と思って、このSSを書き始めたんです。

> では、、、、原作で青木とラブラブハッピーエンドは実は望んでおられな
> い?そうなるともう萌えない?お時間のある時にお答え頂ければ、、、

あ、それはですね。
萌えと願望は、また別物ということで。

今はもう、薪さんには、ひたすら幸せになってほしいと思ってます。青木くんとのラブが原作で見られれば、うれしいですよ。こんなん書いてますけど、わたしだって、あおまきすとの端くれですもの。(^^
(ただ、からだの関係はちょっと・・・・ううん、精神的、というか、魂でつながって欲しいです)


> あそこで裸になった薪さんは、、今度は雪子に迄その現場を目撃されてしまうのでしょうか、、、、

はい。
こちらについては、つづきをどうぞ♪

またのお越しをお待ちしております!

わんすけさんへ

こんにちは、わんすけさん!

> こんにちは 復活おめでとうございます

・・・・・復活って、なんですか?シーラカンスさんにも言われたけど、あれって、間宮の復活のこと?と思ってたんですけど・・・・・???違ってた・・・?
 
> ひでぶっ   ° ° Д (   )))))))=3=3=3  ぱーんっ
>
>
>
> ° (   ) ° ヾ ひゅう~~
>     Д
>   
>
>
>
> 。(  )Д。   =3 ぽとっ

あああ!
またもや、わんすけさんのお顔が!美人さんが!!


> 。(  )Д。   ああああああ・・・・やっぱり「自分に罰を与えて”くれる”人」がいたら・・・薪さんは・・・・。

はい。そのとおりです。
薪さんは、心のどこかで、それを歓迎してるんです。
自分が傷つくことで、償いができたような錯覚を覚える。・・・・・バカです・・・・・。

> 。(  )Д。   薪さんのばか・・・。・・・・・ところで全裸ってある意味、間抜けのような気がしてしまうのは私だけでしょうか・・・・・。

・・・・・すいません。想像したら、わたしも笑えました(^^

> >フロントでは見覚えのある男女が何事か騒いでいる様子だったが
>
> 。(  )Д。    平均身長を優に飛び越えた二人組ですね?分かります。

あのふたりには、隠密行動はムリでしょうね(笑)


> >薪のような、男に愛される側の人間が
>
> 。(  )Д。     ・・・・・・・・・・なんでやねん・・・。(←関西人の性)

あの、さっきからわんすけさんの顔が、元に戻らないんですけど!!(笑笑)

> 。(  )Д。     ところで薪さんは、青木と雪子さんどっちに目撃されるのがよりダメージでかいんでしょうね・・・・・。

きっと、わんすけさんに見られるのが、一番ショックだと思いますよ(笑)

> そういえば結局青木は、前の一件の真相は知らなかったような・・・。
> それも伏線だったということですか・・・・?

はい、青木は蚊帳の外です。
ずーっと知らないまんまですね、彼は。知らない方がいいことも、世の中にはありますよ(^^

> し・・失礼しました。ちょっと一度帰って冷静になります・・・。
>
> 。(  )Д。ヾ =3=3    よいしょ  よいしょ

あ、あ、わんすけさん!
お帰りの前に、お顔を戻した方が・・・!(笑)

ありがとうございました!

Rさまへ

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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