ラブレター(14)

 早朝より、みなさまのオフ会のレポートを読ませていただき、その状況を目に浮かべてます。
 特に、1次会のカラオケボックスは楽しそうでしたね。
 カラオケボックスなら、『薪さん大好きー!』と思いっきり叫んでも、部外者に迷惑をかけずに済むし。(周り方の迷惑は……?) わたしも叫びたかった~~!
 薪さんドールもご一緒だったみたいで、羨ましいです。
 あーんなことやこーんなことをさせられてた、という所で吹きました。現場にいたらガン見してたな(^▽^;)




ラブレター(14)






 白いシーツがかかったダブルサイズのベッドに、神話から抜け出たような清廉な美貌が横たわっている。
 やわらかな亜麻色の髪。雪のように白い肌。天使もかくやといった、その優美なからだ。
 間宮がずっと自分のものにしたかった、美しい生き物。

「いいのかい?」
「どうぞ」
 今夜のことは、薪も了承の上。
 しかし、と間宮は腕を組む。

 限りなく整ったきれいな顔の、その表情はどうだろう。
 疲れきった老人のように虚ろな瞳。笑ったことも泣いたこともないような、硬い頬。呼吸を繰り返す機能しか持たない唇。秀麗な額も小さな鼻も、女のように細い顎も、形だけは見事だが、そこには血が通っていないかのようだ。
 間宮が手に入れたかったのは、こんな壊れた人形のような生き物ではない。

「どうしました? 手錠がないと、その気になりませんか」
 ソファに座ったまま動こうとしない間宮に痺れを切らしたのか、薪は天井を見つめたまま皮肉な口調で言った。それはいくらか間宮の食指を動かしたが―――― やはりダメだ。
「人形なんか要らないよ。どうせ大した性能もないんだろ」
 今日の薪は、ぜんぜんそそらない。
 はっきり言って、勃たない。
「こないだ俺の下で悪態ついてたきみのほうが、100倍魅力的だよ」
 ぺニンシラホテルで、手錠で両手を拘束されながらも、間宮を射殺すような眼で睨みつけていた薪は、下半身を直撃するような色香を放っていた。あのキツイ瞳が徐々に肉欲に支配されて潤んでいく様子は、間宮にこれまでにない興奮を与えてくれた。

「身体を見ればわかるって言っただろ? きみは、俺に抱かれたがってるんじゃない。そうすることで、何かを果たそうとしてるんだ」
 ローテーブルの上からワイシャツを選んで、ベッドの麗人に放り投げる。
「俺は他人を利用するのは好きだけど、利用されるのは嫌いなんだ」 
 抱こうと思えばできないことはないが、それでは間宮の欲しい薪は永遠に失われてしまう。そんな気がする。

 薪は起き上がって、ワイシャツを肩にかけた。右手でシャツの前を合わせて、苦笑する。
「けっこう、勝手な人なんですね」
「きみに言われたくないよ」
 はだかの身体にワイシャツを羽織っただけの薪の姿は、間宮の男を刺激したが、今日は何もしなくていい。
 薪の瞳が、こんなにやさしい光を宿すのを初めて見た。これは大きな収穫だ。

 薪はベッドから降りて、こちらに近付いて来た。ローテーブルの上に置いてある防弾チョッキに、細い手が伸びる。
 そうか、ワイシャツよりこちらが先か。
 薪がワイシャツを脱いだところに、ドアを蹴破る音が響いた。

 ……なんだか、前にも同じようなことがあった気がする。この後の展開は確か――――。

「間宮! この野郎、性懲りもなく!」
 やっぱり岡部だ。
 彼の捜査能力には、本当に感服する。第九より捜一に相応しい男だ。捜一のほうが彼の真価を発揮できるだろう。多分、薪が手放さないだろうが。
「今度は顔の骨格が変わるまで殴ってやる!」
「ち、ちがうっ! 今回は俺は何も」
 この男を止められるのは薪だけだ。間宮の無実を証明してくれるのも、彼だ。
 ところが、薪はなにも言おうとしない。
 底意地の悪そうな眼でこちらを眺めつつ、わざとゆっくりと服を着る。その高飛車な視線が、間宮の欲望を掻き立てる。
 なんて征服欲をそそる表情だろう。やっぱり、薪は最高だ。

「岡部。その辺にしとけ」
 きっちりとネクタイまで結び終えてから、薪はやっと口を開いた。
「本当なんだ。部長は何もしてない。僕がここに彼を呼んで、自分から服を脱いだんだ。だから、彼は悪くない」
「……それ、殴る前に言ってくださいよ」
 間宮の両頬は腫れあがり、唇は切れて色男は台無しだ。これでまた、2週間は夜遊びができない。

「ひどいよ、薪くん」
「こないだの報復です」
「あの時のことは、水に流すって言ったじゃないか」
「その後の部長会議のことです。みんなの前で騒げないのをいいことに、あちこち触ったじゃないですか」
「あれは単なるスキンシップだよ」
「セクハラです」
「さっきは俺に抱かれる気だったくせに」
「岡部。もう一発殴っていいぞ」
「い、今のは取り消す!」
 バキボキと指を鳴らした獰猛な部下に向かって「やめとけ」と笑い、薪は冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。自分のハンカチに冷たい水を含ませて、それを広げて間宮の頬に当ててくれた。

「早く氷で冷やしたほうがいいですよ」
「きみ、氷の警視正なんだろ。氷くらい出してみせてくれよ」
 間宮の冗談に、薪はくすっと笑った。
 とても魅力的な微笑だった。
 本気になりそうだ、と間宮は思った。




*****



 みなさま、間宮の行動を見抜いていらっしゃいましたね。意外でした。
 ファイヤーウォールで間宮を暴走させたのは、このシーンのハラハラドキドキを高めるためだったのに~。
 修行が足りませんでした☆

テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Aさまへ

こちらに鍵拍手いただきました、Aさまへ

>「底意地の悪そうな眼でこちらを眺めつつ~」から後の部分は非常に共感出来ます。

ええ~~!
意地悪薪さん、お好みですか?

Aさまも、しづのお仲間ですね!(あ、すごくイヤそう・・・・・)

Aさまへ

Aさま、こんにちは。
コメントありがとうございます。(^^


> ああ~よかった!!薪さん・・(;;)

ご心配おかけしました~。
Aさんみたいに素直に読んでくださる方には申し訳ないような展開でしたね。(^^;
でもほら、わたしも一応 (一応?) 薪さんファンだし、彼が泣くようなことはしませ……(ここで先の展開を思い出した)
…………………ちょっと先が長いですけど、薪さんは必ず幸せになりますから!!! (もう必死)


> 私は薪さんを単なるセフレの一人にしようというのが気にいらないんですよ。薪さん以外はいらないというくらいの気持ちじゃないと!

みんながみんなそんな気持ちで薪さんを見ていたら、戦争になっちゃうじゃないですか~。(笑)
「薪さん以外は要らない」と思ってるのは、うちでは青木さんだけです。
うちの薪さんは、意外とモテないんですよね。 ファンクラブはあるけど女神に祭り上げられちゃってるし、会員は互いに牽制し合ってるし、何より、多くの人は観賞用に愛でるだけで彼の真実に踏み込もうとしないんです。 だから誰も寄ってこない。(・∀・)
近しい人々には大事にされてますけど、みんな、一番大事な人は他にいますしね。  


> それにしても、なんで岡部さん!?

なんでって、それは法十のナイトが岡部さんだからに決まってるじゃないですか。(笑)
岡部さん、カッコいい! ステキ! 秘密キャラで結婚したい男ナンバー1! という、筆者の極めて私的な感情の結果でございます。


> あの二人結局、今回は役に立たなかった?

いえ、あの二人の仕事はこれからです。
雪子さんにも青木さんにも、大事な役目を任せてありますので、先をお楽しみに。(^^



プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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