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鋼のこころ(2)

 久しぶりに、エロオヤジ薪さんが出てます。
 なんて愛しいんでしょう(笑)




鋼のこころ(2)





 食事の後は場所を居間に移して、和気藹々と酒を飲む。
 薪の好みは日本酒で、この季節は冷蔵庫で冷たく冷やした吟醸酒が定番である。
 酒のつまみは、冷蔵庫の残り物を適当に持ってくる。今日はパンプキンサラダと冷奴。枝豆に柿の種。そして岡部の母親の唯一の得意料理、なすときゅうりの糠漬けである。

 めずらしく、テレビがついている。
 青木がレースの生中継を見たいと言い出して、スイッチを入れた。青木は車や乗り物が大好きで、航空機免許も持っている。ヘリやセスナも運転できるというから、この男の乗り物好きは相当なものだ。警察官にならなかったら、今ごろ旅客機のパイロットでもやっていたかもしれない。

 岡部はカーレースには興味がないが、なるほどすごい迫力だった。
 見ている分にはカッコイイが、あの車の中の人間はどういう神経をしているのだろう。スピードに対する恐怖感はないのだろうか。
「すげえな。事故が怖くないのか、こいつら」
「事故は怖いですけど。マシンと一体になる快感ていうか、そういうものがあって。一回乗っちゃうと、病み付きになるんですよね」
 青木がよく行くサーキットには、プロが運転するレーシングカーに同乗できるイベントがあるそうだ。青木はそれでハマったらしい。

「岡部さんも一回どうですか? 次回は10月の」
「岡部、止めとけ。死ぬ思いするぞ」
 青木の布教活動に薪が待ったを掛ける。顔をしかめているところを見ると、ただ意地悪を言っているわけでなくて、本当に怖い思いをしてきたらしい。
「薪さんも乗ってみたんですか?」
「こいつに無理矢理引っ張っていかれたんだ。マジで心臓止まりかけたぞ。だいたい、おかしいだろ。あんな鉄の塊が200キロ以上のスピードで走るなんて」
「新幹線は平気で乗ってるじゃないですか」
「乗り心地がぜんぜん違うだろ。僕はもう、二度と乗らないからな」
「怖いんですか?」
「怖がってなんか……あ。ちょっと待て」
 レース中継が終わったので青木がテレビを消そうとすると、薪がそれを止めた。
「ああ。この映画、明日からですよね」

 テレビに映っているのは、薪のごひいきの女優が主演する映画の番宣だ。映画のジャンルは、ラブコメディらしい。コミカルな映像が興味をそそるような順番で流れている。
 主演の女優は、胸が大きくてぽっちゃりしててかわいくて、背はそんなに高くない。なるほど、薪の好みど真ン中だ。
「薪さんて、この女優さん好きですよね」
「うん。彼女が一晩相手してくれたら、1ヶ月分の給料叩いてもいい」
「……そういうふうにしか女の人を見れないって、問題あると思いますけど」
 ニヤけた面でテレビを見ている上司に、青木はため息をついている。それは、男が好みの女性を見るときの普通の表情なのだが、青木には不愉快らしい。

「いいなあ。あの胸に挟んでもらったら、気持ちいいだろうなあ」
「窒息しちゃうんじゃないですか。薪さん、顔ちいさいから」
「ガキはこれだから。だれも顔を挟んでもらいたいなんて、言ってないだろ。×××が×××した状態で××××の間に挟んでもらって、×××を舐めてもらったら一発で天国に」
「……伏字使わないと出来ない会話は止めて下さい」
 この顔に似合わないセリフは、もちろんいつもの意地悪だ。薪がこういう話をするのを、青木はことさら嫌がる。その嫌がる顔が面白いと言って、わざと仕掛ける。
 
「悪い悪い。童貞には刺激が強すぎたか」
「だから違いますってば!」
 青木はたしかに純情そうな男だが、それでも恋愛経験は薪よりも多いのではないかと岡部は見ている。女性の気持ちがまるでわからない上司より、よっぽどスムーズに女性と話をしているし、女子職員の間でも徐々に人気も高まっているとかいないとか。薪のように観賞用の札を貼られているより、恋人ができる可能性は高いのではないかと思われる。

「見栄張らなくてもいいぞ。べつに笑ったりしないから」
 めいっぱい笑っている。
 このひとは青木を苛めているときは、心の底から楽しそうだ。
「でも知識はつけておいたほうがいいぞ。相手にバカにされるからな。僕の経験から言うと」
 それからは薪は女の話を始めて、いつものように『僕はすごいんだぞ』が出て、いつものように眠ってしまった。

「沈没しちゃいましたね」
「たいして強くもないくせに、張り合ってガバガバ飲むから」
「ベッドに寝せてきますね」
 青木は当然のように薪のからだを抱えあげて、寝室へ運ぶ。ベッドに寝せて、布団をかけてやるのだ。たいして時間がかかる作業とは思えないが、青木はなかなか帰ってこない。

 そっと寝室のドアから中を覗くと、思ったとおり薪に絡まれている。
 抱いていたときには眠っていた子供が、ベッドに寝せた途端起きてしまうように、薪もベッドに降ろした瞬間に目を覚ますことがある。子供はそこで再び泣き始めるわけだが、薪の場合は強烈に寝ぼける。相手かまわず、昔の恋人と間違えて抱きついてくるのだ。
 岡部もあの事件の直後は、何回かその被害に遭っている。あの頃の薪は錯乱状態だったから、泣きながら抱きついてくることが多かった。
 事件から2年が過ぎた今、薪の精神は落ち着きを取り戻して、例え寝起きでも岡部を鈴木と間違えたりはしない。しかし、青木のことは未だによく混同しているようだ。
 薪に言わせると、『青木は鈴木に瓜二つ』で『鈴木の生まれ変わり』なのだそうだ。
 岡部の目にも鈴木の婚約者だった三好雪子にも、2人の男がそれほど似ているとは思えないのだが、薪は自分の意見を頑として譲らない。薪は強情だ。

 首に絡みついた細い腕を振り払うこともできず、青木は困惑している。青木にしてみれば、複雑な気分だろう。
 青木の気持ちを考えると、薪がやっていることはひどく残酷だ。
 自分に惚れている男に、昔の恋人の影を重ねるなんて。それを何度されても薪から離れていかない青木も青木だが。
 青木が薪のことを特別な眼で見ていることに岡部が気付いたのは、去年の夏ごろだ。
 若いうちにはありがちな話だから、そのうち冷めるだろうと思い続けてきたのだが、すでに1年が経過している。
 薪の外見に惑わされて好意を寄せてくる男たちと違って、青木は薪の本当の姿を知っている。わがままで意地悪で皮肉屋で嫌味っぽくて、怒るとこの世のものとは思えないくらいに怖い。そんな性格まで承知しているのだ。それでもなお、気持ちが揺らがないとなると。

 認めたくないが、これは本物かもしれない。
 だとすれば、岡部も動かざるを得ない。できれば自然に青木の感情が消滅するのを待ちたかったが、最近の薪を見ているとそう呑気なことも言ってられない。
 ここは自分が鬼にならないといけない。これはふたりのためだ。

 岡部は足を忍ばせて、自分の席に戻った。頭の中で、青木の気持ちを挫くシナリオを組み立てながら。



*****


 薪さんのセリフの×××がすべて解った方。
 お友だちになりましょう。(笑)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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‥分かるでしょう‥普通‥えっ?‥だって‥

おはようございます、しづさん。

すでにヘン友なので今更お友達なっていただく必要は‥ないですよね(^v^)
‥私は平気ですが‥しづさん‥なんてことを‥\(◎o◎)/

おまけに生殺し持続中‥でも、もう慣れたかしら、青木くん。
それも快感になってしまっているのでしょうか‥あははは‥

しかし、岡部さん‥余計なお世話ですよ!
ほんとうに‥ほんとうに?!ふたりの為?
‥なんか‥ひっかかりますねぇ‥

まさか‥自分自身もまだ気付かない感情が‥?
そんなことないでしょうね…しづさん?‥考えすぎですか。

でも、この人が介入してくるとなると‥最強の壁になりそうです‥

‥えへへ‥楽しみ♡

それにしても薪さん‥お下品‥まっ、私に言う権利はございませんが‥(・・;)

伏字予想 ** ギャグが冷凍化した状態でオードリーの間に挟んでもらって、
傷あとを舐めてもらったら一発で天国に‥薪さんのギャグが滑った後、オードリーに
フォローしてもらって、お客様は天国へ‥
‥薪さんが「トゥース!」とか云っちゃって‥薪さんに謝っといて下さい、しづさん‥

(オードリー‥一文字多かった‥ぬかった‥くやしい<(`^´)>)

‥ということですね!‥ねっ?‥‥欺まんだ‥でも、ここに書ける訳ない‥
いや、私は書けますが、捕まりたくないので自粛。

しかし、こんなことで動揺はしませんよ。まだまだ恐ろしいことがてんこもり‥
そうでしょう?しづさん‥なにしろヘンタイですもの(笑)

まだリハビリ中ですのでパワー全開とはいかず‥申し訳ありません?‥(^_^;)

ruruでした(^^♪

普通ですか??(ruruさんへ)

いらっしゃいませ、ruruさん♪

> すでにヘン友なので今更お友達なっていただく必要は‥ないですよね(^v^)

はい!
みんなが裸足で逃げ出すようなヘンタイ小説にも、ruruさんだけは付いてきてくれると確信しております(←他人の迷惑を顧みないタイプ)

> おまけに生殺し持続中‥でも、もう慣れたかしら、青木くん。
> それも快感になってしまっているのでしょうか‥あははは‥

青木くん、すっかりMっ気出ちゃったみたいですね(笑)

> しかし、岡部さん‥余計なお世話ですよ!
> ほんとうに‥ほんとうに?!ふたりの為?
> ‥なんか‥ひっかかりますねぇ‥

本当ですよ。
岡部さんはいい人です(^^

> でも、この人が介入してくるとなると‥最強の壁になりそうです‥

ええ、岡部さんが本気になったら、大変ですよ~~!(←脅し!?)

> ‥えへへ‥楽しみ♡

でしょう!(笑笑)

> それにしても薪さん‥お下品‥まっ、私に言う権利はございませんが‥(・・;)

こんなこと言ってるの、絶対にうちの薪さんだけですよね・・・・・ああ、またクレームが来そうだ・・・・・♪♪(←期待してる)


> 伏字予想 ** ギャグが冷凍化した状態でオードリーの間に挟んでもらって、
> 傷あとを舐めてもらったら一発で天国に‥薪さんのギャグが滑った後、オードリーに
> フォローしてもらって、お客様は天国へ‥
> ‥薪さんが「トゥース!」とか云っちゃって‥薪さんに謝っといて下さい、しづさん‥

オードリー、好きなんですか?
ruruさん、これ、今度4コマで描いてください(笑)

> いや、私は書けますが、捕まりたくないので自粛。

いえ、書けないです。
コメント欄の禁止ワードで引っかかります(笑)

> しかし、こんなことで動揺はしませんよ。まだまだ恐ろしいことがてんこもり‥
> そうでしょう?しづさん‥なにしろヘンタイですもの(笑)

はいはい、現在書いてるお話も、飛ばしてますよ。
M字開脚とか出てきたときには、わたしは自分の精神を疑いましたよ。(だれか、止めて・・・・・)

うふふ。
楽しみにしててくださいね(^^

Aさまへ

Aさま。

そうです、このお話の鋼は青木さんの気持ちを指します。
岡部さんは青木さんのこともそれなりに心配してますけど、あの過去を見てきただけに、一番ヤバいのは薪さんだと思っているので、薪さんの精神的ケアを優先した考えになってます。

作戦は、単なるお説教です。 
本当の賢人は、策を弄したりしないものです。
そこ行くとうちの男爵は小細工ばかりして、結果自分の首を絞めることになってるんですね。 教訓☆

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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