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運命のひと(3)

運命のひと(3)







 シュッと軽い音を立てて、モニタールームの自動ドアが開いた。
 入ってきたのは二人の男性。室長の薪と、白衣姿のひょろ長い男だった。
「みんな。ちょっと注目してくれ」
 検証中の画にストッパーを挟み、全員が薪の方を見る。薪の隣で物珍しそうに周囲を見ている男に、みんなの視線が集まった。

「かれは」
 薪が口を開きかけたとき、電話が鳴った。近くにいた宇野が受話器を取って、薪に声をかける。
「室長。一課の竹内さんからですけど」
「……今忙しいと言え」
 不機嫌な顔で吐き捨てて、電話に出ようともしない。口もききたくないらしい。相変わらず竹内のことは、蛇蝎のように嫌っている。
「すいません、竹内さん。室長は今ちょっと手が放せなくて、え? 室長の携帯電話を?」
 携帯電話と聞いて、薪はジャケットのポケットを探る。
 ない。あの場に落としたのか。気が付かなかった。

「これから届けてくださるんですか? ありがとうござ」
「いま! そちらに伺いますからっ! ここへは来ないでください!」
 宇野から受話器をひったくって、大慌てで喚く。
 冗談じゃない。ここに竹内が来たら、この男と朝の話になってしまう。この男にくちびるを奪われたことが、みんなに知れ渡ってしまうではないか。
 それだけじゃない、携帯には青木からのメールも入ってるし。ふたりで撮った他人には見せられない写真も……。
 あああ!
 ふたりして裸でベッドにいるところなんか、撮らせるんじゃなかった!
 いくら青木が警視の昇格試験に受かったお祝いだからって、甘い顔した僕がバカだった! それを携帯にわざわざ保存しておくなんて、おまえは世界一のアホかって、ほっといてくれ!!

 ポーカーフェイスの裏側で絶叫しつつ、薪は二階堂に声を掛けた。
「二階堂先生。先にみんなに自己紹介をしておいてください」
 皆には聞こえないように小さな声で、しかもスウェーデン語で、鋭く囁く。
「今朝のこと、誰かに喋ったら……今度は鉛玉を口に突っ込みますからね」
 ギロッと凶悪な目つきで男を睨むと、薪はモニタールームを出て行った。

 残された第九の職員たちは、呆気に取られた顔で白衣姿の男を見る。優秀な捜査官でもある彼らのこと、その視線は自然と観察者のそれになる。
 この男は何者だろう。
 白衣を着ている。よって、新しい捜査官ではない。首からプレートを下げていないところを見ると、特別許可を受けた一般人でもない。しかし、部外者でもない。薪が部外者をモニタールームに入れるはずがない。

「白衣ってことは、監察医かな」
「違います。彼、少し爪が伸びてます。あれじゃあ、手術用の手袋が破れてしまう」
 曽我が示唆した可能性を、青木が否定する。こいつも少しはやるようになった。
 ほんとだ。よく気が付いたな。ま、法一の彼女を持ってりゃ当たり前か」
「だから、オレは三好先生とは何も」
 私語に発展しそうな二人の会話を一瞥で止めて、副室長の岡部が前に出る。
 
「初めまして、二階堂先生。副室長の岡部です」
「あなたが岡部さんですか。セイジから聞いてます」
 セイジ、というのは官房長の下の名だ。さっき、薪は小野田に呼び出されていた。ということは、この男は小野田の関係者か。
 
「二階堂です。よろしく」
 にっこり笑うと目じりが下がって、なるほど小野田に似ている。感じのいい笑顔だ。無邪気で、まるで子供のようだ。
 しかし、彼の次の言葉に、第九の全員はフリーズすることになる。
「僕のツヨシがお世話になってます」






***

 とうとう世界一のアホになってしまいました。
 なにやってんの、このひとは。(笑)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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二階堂先生‥おいしそう(笑)

しづさん、色々お世話になってます(笑)

きゃはははははは‥
やっちゃった、言っちゃった‥
薪さんの写真のことは置いといて‥(笑)
二階堂先生‥こういう正直な人‥すきだなぁ‥

間宮様はもう出ていらっしゃらないでしょうから、
わたくし、二階堂先生に乗り換えますね。
‥うそです‥いや、半分ほんとかな‥

いやーー、しづさん、楽しみです。
二階堂先生をもっと暴走させて下さい(^^♪

ところで‥男爵のプロフィールって‥いつからっ?!
気がつかなかった‥

(全く関係ないことですが)
しづさんのおっしゃったようにしてみます。
それで送れれば‥いいんですが‥待ってて下さい(苦笑)

ありがとうございました。

(@口@

しづさん、こんばんは。

青木、昇進おめでとう! あ、試験に受かっただけかな? でも、おめでとう!!

そして二階堂、君は、フォスターとファビオの次に、部下Yの蹴りと鉄拳を喰らうのだ。
覚悟しておけよ。

竹内は、・・・他人様のケータイなんか、見ちゃだめだよ(@@;
いくら大好きな薪さんのだからって、見たら、ショックで寝込んじゃうよ。
いや、青木がいいなら俺だってとか言って燃え上がっちゃうのかな? 
(てゆーか、そんな写真、よく撮らせたな、薪さん)

でも、竹内は人格者だから、「俺にキスしてくれたら、全部黙ってますよ」とか言うんですね(それのどこが人格者だ)

あああ、卒倒する竹内が見たいんですがっっっ。

よし、竹内、二階堂から薪さんを守るのだ!!!
がんばれ! (報われないけど)


お邪魔しました。

ruruさんへ

こんにちは、ruruさん。(^^


> 二階堂先生‥こういう正直な人‥すきだなぁ‥

正直?
いや、これ、大嘘つきでしょう!
あ、そっか。自分の気持ちに正直ってことですね。ある意味、間宮に通じるものがありますね(笑)


> 間宮様はもう出ていらっしゃらないでしょうから、
> わたくし、二階堂先生に乗り換えますね。

賢明だと思います。(笑)
あ、でも、どうだろう。ううーん、やっぱりそのまま間宮に乗ってたほうがいいかも・・・。


> いやーー、しづさん、楽しみです。
> 二階堂先生をもっと暴走させて下さい(^^♪

はいっ。
押せ押せ押せ押せーーっ、てカンジでいきますね(^^


> ところで‥男爵のプロフィールって‥いつからっ?!
> 気がつかなかった‥

ああっ、これはひと様に見せようと作ったものではなく!
ただのお遊びなので、気にしないでください。意味不明のこともいっぱい書いてあるし(^^;

新しいSSを書くたびに、ちょこっとずつ修正したりしてるんですよ。
「ここだけの話」で「竹内にちょっとだけ感謝してる」とかね(^^
命の恩人相手に「ちょっとだけ」なんですね。男爵だなあ(笑)

イプさまへ

こんばんは、イプさま。


> 青木、昇進おめでとう! あ、試験に受かっただけかな? でも、おめでとう!!

ありがとうございます(^^) 辞令はまだですが、試験には受かりました。


> そして二階堂、君は、フォスターとファビオの次に、部下Yの蹴りと鉄拳を喰らうのだ。
> 覚悟しておけよ。

あははは!!
でも、イプさまなら多分、かれを殴らないと思います。フォスターさんやファビオくんとは、立ち位置が違うので。(それがリクエストから逸脱してしまった理由でもあるのですが(^^;)


> 竹内は、・・・他人様のケータイなんか、見ちゃだめだよ(@@;

そんなことしませんよー(^^;
竹内はそんなにコスイ男じゃないです。


> いくら大好きな薪さんのだからって、見たら、ショックで寝込んじゃうよ。

そしてまたもや、大量の調味料が必要に(笑)


> いや、青木がいいなら俺だってとか言って燃え上がっちゃうのかな? 

上がりません(笑)
竹内はプラトニックのはずなんですけど・・・うーん、書いてみないと分からないですね。


> (てゆーか、そんな写真、よく撮らせたな、薪さん)

うちの薪さんは、口ではなんのかんのと言ってますけど、結局押し切られちゃうんですよ。メロメロなんで(笑)


> でも、竹内は人格者だから、「俺にキスしてくれたら、全部黙ってますよ」とか言うんですね(それのどこが人格者だ)

あ、言いそうですね。
でもって、今度はどこかのオカマさんとかとキスさせられるんですね!(ひどい)


> あああ、卒倒する竹内が見たいんですがっっっ。

ふたりのことを竹内が知ったときのエピソードですね。春になったら書いて見ますね。(^^


> よし、竹内、二階堂から薪さんを守るのだ!!!
> がんばれ! (報われないけど)

あの~、イプさま。
青木くんは?なんか、ひとっことも彼に触れてないんですけど。(笑)
イプさま、さりげに竹内派なんですよね(^^;

ありがとうございました。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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10万拍手ありがとうございます!
いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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