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楽園にて(2)

楽園にて(2)






「オレ、上になりたいんだけど」
 起き上がって、華奢なからだを抱きしめる。上下を入れ替えて、薪の身体を草のベッドの上に仰向けにする。熱い目で鈴木を見つめる薪の貌が、この上なくきれいだ。
「すずき……大好き……」
 両の手を鈴木の肩にかけ、足を腰に絡めてくる。薪が自分を深く導こうとしているのは分かったが、あえて手で押さえつける。薪が本当に感じるのはここではない。もっと手前だ。

「やっ! だめだ、そこは……あひっ!」
 ほら、ここだ。
 浅く挿入して角度をつけ、薪のいちばん感じるところを突いてやる。
「やめっ、や、うふっ! ああああっ!!」
 ここを見つけたのも、あの青二才の手柄だ。しかも雪子の協力まで得て、まったくあなどれない若造だ。

「だめ、すずっ、きうっ!」
 薪の手が鈴木の腰をつかむ。どうやら鈴木の動きを止めようとしているらしい。
「なんで嫌がるんだよ。気持ちいいだろ」
「そこされると、僕、止まらなくなっちゃうから」
「知ってるよ。だからやってんじゃん」
「やだ。鈴木の前であんまりおかしくなっちゃうのはいやだ」
 まだ恥らう気持ちがあるのか。かわいいやつだ。
「いいじゃん。クリスマスなんだし」
 合言葉のようにそのセリフを使って、鈴木は薪の抵抗を一蹴した。今度はこっちの番だ。

 薪の腰をつかみ上げて浮かせ、そこの部分を責め立てる。薪の反応は敏感で、あっという間に乱れ始める。先刻にも増して激しい悶え方に、鈴木は満足だ。口ではいやだと言いながらも、からだに刻み込まれた肉の快感には勝てないらしい。
「あいいっ、くうっ!」
 両腕を頭の上に伸ばしてやわらかい草をつかむ。ぶちぶちと切れてしまう感覚にもっと確かなものを求めた手が、鈴木の背中を捕らえる。
「すっ、――きっ、きあああっ!」
 夢中で縋り付いてくる華奢な恋人がかわいくてたまらない。こういう薪が、ずっと見たかったのだ。
 こんなにも激しい愉悦を、薪に与えてやれることがうれしい。自分の愛戯に応えてくれる薪が愛おしい。

「薪、愛してるよ、愛してる」
「ぼっ……もっ、きいいっ!!」
 僕も大好きだ、と言ったのだと思う。薪の声は乱れに乱れて、日本語になっていない。だからここは都合のいいように翻訳しておこう。
 鈴木の逞しい背中に細い指を食い込ませて、薪は絶頂を迎えた。痙攣するように震える肉壁が鈴木を締め付ける。いつもここでイかされてしまうのだ。今日は何とかもたせないと。
 奥歯を食いしばってこらえる。あんな若造に負けていられるか。

 ゆっくりと弛緩していく細いうでが鈴木から離れ、草の上に両手を投げ出して、薪は満足げなため息をつく。
「鈴木……愛してる」
「知ってるよ」

 自分の中の鈴木が未だ固さを保っているのに気付くと、薪は一瞬驚いた顔をするが、すぐにまた足を絡めて腰を動かし始める。自分が達したばかりでしばらくは休みたいだろうに、薪はいつも鈴木の悦びを最優先に考えてくれる。
「無理すんなよ」
「平気。気持ちいいよ」
 鈴木の大好きな亜麻色の大きな目は、とろりと蕩けて鈴木を誘う。なんでこいつはこうも可愛いんだろう。
 
 鈴木はそっと自分を薪から引き抜くと、華奢な身体を裏返した。
 薪は背後位はとても嫌がるのだが、実はいちばん感じるらしい。好きなのは向き合った座位だそうだが、それは鈴木に密着したままイクことができるからだと言っていた。薪はあの体位だと、言葉が聞き取れなくなるほど乱れたりはしない。それがバックからだと狂ったように激しく悶える。今日はそっちの薪を見たい気分なのだ。
「あっ、だめだ、後ろからはいやだ!」
 どうせこいつのは口だけだ。言ってることとやってることが極端に違うのは昔からのことで、鈴木にはとっくにお見通しだ。
「恥ずかし――― あっ、ひゃっ!」
 前の部分と一緒に責めてやると、すぐに夢中になって腰を使ってくる。鈴木を自分の奥へ奥へと導くその動作は、ひどく淫らで美しく、男を捉えて離さない。
「い、いあ、あうっ! ひっ、ひああっ!」
 しかもすごい声だ。周囲50mにはKEEPOUTのテープを張らなくては。まあ、ここでは周りに見られる心配もないが。
「す、ずきっ! もっと、強くっ、奥までっ!」
 要求どおり、激しく突き上げてやる。薪はとても悦んで、白い背中をくねらせながら鈴木をぎゅうっと締め付けてくる。ぬめった肉襞のたまらない快感。今度は鈴木も我慢できそうにない。

「すずきっ、すずっ、きっ!」
「薪、イキそう?」
「い、いいっ、いくっ、いっ、ああああ!!」
 悲鳴のような歓喜の声を立て続けに上げて、薪は背中を大きく仰け反らせた。瞬間、鈴木は手の中に薪の暖かい迸りを感じる。それを確認してから痙攣する薪の内部に鈴木も自身を解き放った。
 身体を丸めてうつ伏せにうずくまり、薪は荒い呼吸を繰り返している。その表情に昔のような苦痛はない。ただうっとりと情交の余波に酔いしれている顔だ。

「気持ちよかった?」
「うん、すごかった……サイコー……」
 まったく、20歳の頃の薪とは別人だ。鈴木にとってはうれしい限りだが、できればこんなふうに感じられるようになるまで、自分の手で仕込んでやりたかった。そんな後悔が、鈴木に心にもないことを言わせてしまった。
「あーあ。清純だったオレの薪を返して欲しいよ」
 その言葉に一瞬だが、薪の表情が凍りついた。
 鈴木に嫌われることを何よりも恐れている――― 薪の心は変わっていない。
 鈴木だって、もちろん本気で言ったわけではない。一途な恋人を安心させるようににっこりと笑って、鈴木は自分の本音を白状することにした。

「ってか、あの頃のおまえが今みたいにセックスが上手だったら、オレ、おまえと別れられたかどうか自信ない」
「鈴木。それってけっこう最低じゃ」
「そうかあ? オレにとっちゃ、かなり重要なファクターなんだけどな」
 鈴木は薪の傍に、はだかのままうつ伏せになって寝転んだ。薪がうれしそうな眼でこちらを見ている。鈴木への好意を隠そうともしない。こいつは本当にオレのことが好きなんだな、と自惚れてしまう鈴木である。
「悪かったね。清純じゃなくなっちゃって」
 そのくせ皮肉屋の性格は直らない。こういうところのギャップが、また魅力なのだが。

「文句ならあいつに言ってくれ。僕にヘンなこと教え込んだのは、あいつなんだから」
 誰かに責任を転嫁しながら、薪はゆるゆると身を起こす。ぼうっと青い空を見上げて、その誰かを思い出しているようだ。
 少しさびしげな横顔は、鈴木を複雑な気持ちにさせる。薪が下の世界にいたときには逆の立場だったが、あいつもこんな気分だったのか、と恋敵に妙な親近感を抱いてしまう。鈴木は基本的にお人好しだ。
 いま、薪は鈴木の傍にいる。あの男に会えるのはずっと先のはずだ。

 ここは天国。
 薪がようやく辿りついた幸せな世界である。



*****

 

 私信です。

 Kさま。
「アオカン」って、このふたりがしてることです。(青空の下の姦淫行為で、アオカン)
 ひとつ新しい知識が増えちゃいましたねっ。(←清純なKさまを穢す悪いトモダチ)



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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