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土曜の夜に花束を(5)

 前回の記事を読めなかった方へ、あらすじです。

 大事な初夜でしたが、お互いの経験不足から上手にできず、かなり気まずい状態でふたりは別れてしまいました。
 薪さんは身体も心も傷ついて、という状況です。 S展開ですみません。







土曜の夜に花束を(5)






 先週と打って変わって落ち込みムードの青木に、第九の職員たちは彼に訪れた春が早くも散ったことを悟っていた。
「短かったなあ、青木の春」
「1週間しか持たなかったな」
「最初のデートでがっついて振られたんだろ」
 鋭い観察眼である。エリート集団の名は伊達ではない。
「これだから童貞は」
 それは誤解である。

「そういや、薪さんもちょっとヘンじゃないか?」
「どこが」
「なんか……座り方とか」
 たしかに、今日の薪は妙にゆっくりと動いているような気がする。特に歩くときや椅子に座るときは慎重で、腰痛持ちの動き方のようだ。しかし、薪は柔道二段の猛者だ。柔道は足腰の強さが決め手だ。投げ技を得意とする薪に、腰痛の持病があるはずがない。となると、考えられる病気はひとつしかない。

「まさかあ」
「だって、今日は前傾姿勢だぜ。いつもは深く椅子に座ってるのに。俺の叔父さんが同じ病気でさ、よくあんな格好で座ってたんだよ」
「あれは辛いらしいぜ。可哀相に室長」
 ものすごい誤解を受けている。青木の童貞説のほうがまだマシだ。
 季節は春だというのに、突然の不幸に見舞われた哀れな同僚と上司のため、やさしい第九のメンバーたちは心ばかりのプレゼントを用意することにした。

「なんでオレの机にAV置いてあるんですか」
「それ見て元気出せよ。5課から借りてきたやつだぞ」
「要りませんよ」
「無理すんな。おまえにはもう、それしかないだろう」
「どーゆー意味ですか!?」
 せっかく小池が5課から借りてきた押収品の無修正AVのコピーは、ゴミ箱に捨てられてしまった。喜んでもらえなかったようだ。青木も難しい年頃らしい。
 青木の方は失敗してしまったが、室長に用意したプレゼントはきっと喜んでもらえるに違いない。実用的で即効的で、この瞬間から役に立つアイテムだ。

「僕の椅子にこのクッション置いたの誰だ?」
 ドーナツ型のクッションを片手に、薪が室長室から出てくる。きっと礼を言いに来たのだ。
「室長。この薬よく効くって叔父さんに聞いたんです。あと、これは病院のリストです。評判の良い順に並べてありますから」
「この薬って」
「恥ずかしくても、早く病院に行ったほうが良いですよ。あれはひどくなると手術しなきゃならなくなるそうですから」
「ひとをおかしな病気にするなっ!!」
 薪はクッションの輪の部分を猛烈な勢いで小池の頭に通し、真っ赤になってリストを破り、軟膏と一緒にゴミ箱の中に叩き込んだ。これも失敗だったらしい。

「なんか、ふたりとも難しい年頃みたいだな」
「そうだな」
 気難しい上司と反抗的な後輩の態度に、頭を悩ませる第九の面々であった。






*****

 
 どんなにシリアスな状況でも、ギャグは欠かせません。
 だって、ギャグ小説だもん!


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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