ジンクス(10)

ジンクス(10)





 薪が帰った後には、第九の新人と捜一のエースが残された。

「さて。どうする?」
 憤懣やるかたない様子の青木を見て、竹内は言った。
 こいつはこの程度でこの2人を許す気はさらさら無いらしい。
 先刻、薪に言ったことはまんざら嘘でもない。竹内は青木を気に入った。大人しそうに見えてとんでもないことをする。竹内の周りにはいないタイプだ。

「竹内さん。これ、見てください」
 青木は部屋の隅に積まれた座布団に目をつけた。布団の敷いてある方向に向かって、小さなレンズが覗いている。座布団を取ると、果たしてビデオカメラが出てきた。
 ビデオモードに切り替えると、薪の可憐な姿が映っている。
 布団の上に座って、後ろから工藤に抱きつかれ、ワイシャツのボタンを外されるまでは大人しくしていたようだが、服の中に工藤の手が入ってきた途端、見事な背負落しが決まっていた。
 しまった、という顔で工藤を見るが、早々に諦めてメモリーを探し始める。切り替えの早さはさすがである。そこに青木が飛び込んで来た、という一部始終が映し出されていた。
「これで室長を撮る気だったんですよ。汚い真似を!」
 もしも薪が素直に要求を呑んでしまっていたら、ここにはその様子が映ったことになる。そんなものが公表されたら、薪はおしまいだ。

「やっぱりな。やりかねないと思ったよ」
「室長を潰す気だったんですね」
「それか、一生脅す気だったんだろ」
 眼鏡の奥の切れ長の目が、危険なものを孕む。こいつは怒ったほうが男前だ、と竹内は思う。

「どっちにせよ、許せないです。薪さんはああ言ったけど、オレは絶対にこいつらを許せません」
 ビデオの映像を消去して、青木は静かだが怒りのこもった声で言った。
「じゃあ、どうする?」
「もちろんリベンジです。薪さんの恥ずかしい姿を撮る気だったんですから、目には目を、です」
「面白い男だな、おまえ。手伝ってやるよ」
「ありがとうございます」

 竹内も三田村のことは、本当は大嫌いだった。薪のことはもっと嫌いだが、この男は気に入った。坊主が憎くても袈裟に罪はない。第九にも面白いやつがいるのだ。
 捜一と第九。本来なら相容れない二人の男は、共通の目的のために今だけは相棒になった。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
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