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土曜の夜に花束を(10)

 ここからは~、Rと言うよりはハウツー? というカンジなので~。
 露骨な表現が苦手な方はご遠慮ください。







土曜の夜に花束を(10)








 窓際のサイドボードの上に百合の花を飾って、青木は薪のことを手招きした。
「百合って本当にいい匂いですよね」
 百合は香りのきつい花だ。生命力も相当なもので、清楚で可憐な印象とは裏腹に、実はしたたかで強い。
「白い百合は、薪さんのイメージにぴったりなんですよね。オレ、この花見るたびにあなたのことを思い出しちゃって、ついつい買ってきちゃうんですよ」
 花は買ってくるな、と薪が何度注意しても一向に改めない部下は自分の行動にそんな理屈をつけて、照れたように笑った。
 目が合ったら肩を抱かれた。大きな手は、温かくて心地よい。

「こないだはオレ、勉強不足ですみませんでした。あなたに痛い思いをさせてしまって。今日はやさしくしますから」
 いくらやさしくしても、痛いものは痛いのだ。
 鈴木もどうにかして痛みを和らげてくれようとしたけれど、終いにはやっぱりあの苦しみを味あわないと、男同士はひとつになれない。神様は男と女で自然にひとつになれるように、その行為に快楽というおまけをつけた。その意向に逆らおうって言うんだから、痛くて当たり前だ。
 でも。
 僕はこいつを受け入れると約束したから。こいつの恋人になってやると心に決めたから。
 僕はこいつとひとつになりたい。

「オレのこと、受け入れてくれるんですよね」
「うん」
「今日はオレの好きなようにさせてもらえます?」
「うん」
「じゃ、頑張ってくださいね」
「……うん」
 最後のセリフに、薪は神妙に頷いた。
 上手くできる自信はないけれど、今日は絶対にあんな悲鳴は上げない。口に猿ぐつわをかませてでも我慢してみせる。
 自分からパジャマを脱ごうとして、手を止められた。
「オレにさせてください」

 大きな手がパジャマのボタンを外す。肩口を出されて、薪はときめいている自分に気づく。
 他人に服を脱がされる、というのはなんだか妙に恥ずかしい。自分の意志で裸になるのと他人のペースで裸にさせられるのとでは、大分違う。脱ぐことに変わりはないのだが、気持ち的に受身になるというか。
 そういえば、鈴木に服を脱がせてもらったときは嬉しかったっけ。自分のことを求めてくれているのがわかって、幸せな気分だった。

 やさしい唇が首筋に下りてくる。舌を這わされて、ぞくぞくと背筋が粟立つ。
 パジャマのズボンに手が掛かって、薪は慌てて青木の手を押さえる。部屋の照明が点いたままだ。
「明かり、消さないと」
「このままでお願いします」
「え!?」
 明るいところでなんかできない。
 というか、暗くても気持ち悪いのに、明るいところで男のハダカなんか見たら・・・・幻滅どころか、たぶん吐く。

「それはダメ――んっ!」
 パジャマの上着がぱさりと落ちて、露わになった乳首に唇が吸い付いてくる。ズボンの中に潜り込んだ手が、そうっと太ももを撫でる。
 きっと女の子としていたときには、こんなカンジで相手を悦ばせていたのだろう。でも自分は女の子じゃない。こんなことをしてもらっても、濡れたりしない。セックスの助けになるような興奮は得られない。今は確かに気持ちいいけれど、この熱はバックにそれが入ってきたら途端に失せる。あの激痛に耐える術は、ひたすら相手への愛情だけだ。
「そんなことしたって無駄だって、あっ」
 青木の手が前に回ってきて、下着の上からそこに触れてくる。優しく撫でられて、薪の腰に震えがはしる。
「や、やめ……んふっ!」
 自分のそこが反応しかけていることに、羞恥心が沸き起こる。下着ごとズボンを下ろされて、耳まで真っ赤になった。

 自分がリードをとっているときには裸になっても平気だったのに、いまはすごく恥ずかしい。自分だけが裸でいることも、部屋が明るいことも、薪の恥じらいを煽っている。
 相手の胸に顔を伏せて、頬の赤みを隠す。目をぎゅっとつむって、かぶりを振った。
「い、いやだっ」
 いやだ、と言いながらどこか甘えたような声。自分の声じゃないみたいだ。
 恥ずかしいのに、身体の反応は止まらなくて。足がガクガク震え出して、立っていられなくなる。

 青木の肩に縋るように手を回す。青木は薪の状態を察してくれて、ひょいと抱えあげ、ベッドに寝せてくれた。途端、天井の照明器具が目に飛び込んできて、薪は慌ててシーツを身にまとう。自分では見えない自分の姿に、10年以上昔にネットで見た汚らしい映像が重なる。背中に冷水を浴びせられたように、薪の身体から熱が引いた。
「やっぱり明かりは消してくれ」
「イヤです」
 きっぱりと拒絶された。
 青木は男同士のセックスがどんなに汚いものか、解ってない。ここはやはり経験者として、初心者に教えてやらなくては。

「女の子とするなら明るいところのほうが視覚的に楽しいかもしれないけれど、男の場合は事情が違う。女の子みたいにキレイなもんじゃないし」
「今日はオレの好きにさせてくる約束だったじゃないですか。薪さんの意見は、すべて却下です」
 強気に言い放って、ベッドに乗ってくる。青木はワイシャツとズボンは脱いでいるけど、何故か下着は付けたままだ。
 ずるい。自分だけが恥ずかしい思いをするなんて、不公平だ。

 そのとき薪はそう思っていたが、青木には青木の事情があった。
 青木の目的のためには服も脱がないほうがよかったのだが、それではあまりに薪が可哀相なので、せめて下着だけは残しておいた、というのが本当のところだ。今日はセックスをしにきたのではなく、あるひとから教えてもらったことを実践するために来たのだ。
 シーツにくるまってしまった恥ずかしがり屋の恋人にキスをしながら、青木は先日の授業を頭の中で浚い始めた。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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