スロースロースロー(1)

 こんにちはっ!
 
 先日、こちらに来ていただいたお客さまの数が、なんと20000を超えたのですっ!
 すごーい!!(←自分で言う)
 いや、だって、うちのコンセプトひどいし。(秘密で薪さんでR系ギャグって(^^;))

 開設当初は、作品を全部公開し終わるまでに、1000人くらい来てくれたらいいなあ~、なんて思ってたんです。書いてるものがモノだけに、不愉快に思われる方の方が多いだろうなあ、って解ってましたから。
 それなのに、こんなに沢山のお客さまが、ってちょっと信じられないです、てか嬉しいです!!

 みなさま、本当に足繁く通っていただいて、いつも励ましてくださって、ありがとうございます!!
 やさしい方々ばっかりで、毎日うれしい気持ちでこのブログを続けていられます。天使さまと女神さまの集合体のような秘密コミュに、こうして関わることができて幸せです。



 なので、こちら、感謝の気持ちを込めまして~。
 『地獄の初夜パート2』でございます。(←ふざけてんのか、しづ)
 最初から終わりまで、まるっとそのお話です。
 でも、そんなにRは強くないと思います。薪さんがまだ未熟なので。

 それと、中学生のお子さまをお持ちのお母さまは読まないでください。とってもオマセな中学生が出てくるので~、嫌な気分になってしまわれるかもしれません、読まれる方はお含みおきください。


 よろしくお願い致します(^^







スロースロースロー(1)






 科学警察研究所管理棟の1階には、広いティーラウンジがある。
 当然だが、科警研の仕事はそのすべてが対外秘である。関係者以外は立ち入り禁止という部署ばかりだ。よって外部から職員を訪ねてきたものの殆どは、ここで話をすることになる。おかげでこのラウンジは、いつも賑わっている。

 新宿北署の少年課に勤務する北村敬一は、人ごみの中に知り合いの姿を探していた。
 どうやらまだ来ていないらしい。いればすぐに分かる。
 北村の待ち合わせの相手が、群を抜いて背が高いとか、身体が大きいということではない。むしろ男としては小さいほうの部類に入る。だから北村が彼の存在を認識する術は本人を視認することではなく、周囲の状況によるものだ。

 彼はとびきり目立つ容姿をしている。
 彼の姿を見た人間は思わず動きを止めるし、それが周囲の人々にも伝播して、彼の周りは自然に人波が分かれる。彼の静謐な雰囲気にざわざわとさざめく声が止み、ほうっという微かなため息たちに取って代わる。
 北村はその感覚を知っている。彼とは大学時代からの古い付き合いだ。
 大学の頃から、彼の美貌は他の人間の追随を許さなかった。40年の人生の中で、彼以上の美人には未だにお目にかからない。

 適当な席に腰掛けて、コーヒーを二つ持ってきてくれるように頼む。彼に会うのは2年ぶりくらいだが、確かコーヒーが好きだったはずだ。
 待ち合わせの時間まで後5分。彼は時間に正確な男だ。ほどなく姿を見せるだろう。

 果たして、注文を済ませるか否かのうちに、西の入り口のざわめきが止んだ。
 北村がそちらに目を向けると、思ったとおり彼だ。
 チャコールグレイのスーツに細いエンジ色のネクタイ。すらりとした体躯にこの上なく整った顔。警察官らしからぬ優雅な身のこなし。
 亜麻色の短い髪を揺らして、きょろきょろと辺りを見回している。髪と同じ色の大きな目を瞬かせて、北村の姿を探しているのだろう。

「薪。こっち」
 北村が声をかけると、薪はにこりと微笑んでこちらにやってきた。その姿にまといつく、周囲の夢見るような視線をきれいに無視している。多分、本人はもう慣れっこになっていて気にもならないのだろう。
「ご無沙汰してます。北村先輩」
 敬礼の角度に頭を下げて、薪はきちんと北村に挨拶した。
 「やめてくれよ。おまえの方が階級上なんだから」
 薪は警視正。しかも今年は警視長の昇格試験を受けたそうだ。
 警察庁始まって以来の天才と称されるこの男なら、おそらく現役合格を果たすだろう、ともっぱらの噂だ。来年には警視長。所轄で警部の北村には、口もきけない相手になるのだ。

 北村が右手で向かいの席に座るように示すと、「失礼します」と言ってから薪は腰を下ろした。タイミングよくコーヒーが運ばれてくる。
 自分の前に置かれたコーヒーを見て、薪は少し戸惑った表情を見せた。取り澄ましているときは近寄りがたいような美人だが、何らかの表情が加わると急に可愛らしくなるから不思議だ。
「それ、俺の奢り。おまえコーヒー好きだったろ?」
「ありがとうございます」
 にっこりと笑ってカップを取り上げる。魂を抜かれそうな笑顔だ。
 きれいな顔も華奢な身体も、2年前に会ったときと変わっていない。というか、大学の頃とぜんぜん変わらない。この男は年を取らないのだろうか。

「ごめんな、忙しいのに」
「いいえ。僕にお話というのは?」
「実は、俺がいま担当してる事件のことなんだけど」
 北村が抱えている案件は、担当区域の中学校で起きた自殺未遂事件だった。
 中学2年生の桧山徹(14)が屋上から飛び降りて自殺を図った。彼には、同じクラスの男子生徒、田辺修一(13)をレイプしたとの噂があった。その噂を苦にしての自殺らしい、とこれまた出所も不確かなウワサだ。
 まさか、と思いつつも田辺に事情を聞いてみると、果たして噂は本当だと言う。「ぼくは桧山くんにレイプされました」と、田辺は泣きながら訴えた。

「中学生のレイプ事件ですか? 僕も長年捜査官やってますけど、中学生同士っていうのは初めてですね」
 北村の話に薪は眉をひそめ、左側に首を傾けて細い肩を軽くすくめた。事件の概要書を捲りつつ、軽くくちびるを尖らせる。
 俄かには信じられない、といった表情だ。たしかに、中学生同士というのは常識から考えるとありえないかも知れないが、北村の経験では初めてではない。表面に出てこないだけで、陰ではイジメの一部として行われていたりする。それで妊娠させられた女子中学生を、北村は知っている。

「桧山くんは俺と同じマンションの階に住んでてさ。もっと小さいガキの頃から知ってるんだけど、そんなことする子じゃないんだよ。決して優等生じゃないけど、優しい子なんだ。嫌がる相手を暴力で、なんて絶対にしないと思うんだよ」
 証拠はないんだけど、と課長に話して怒鳴りつけられた意見を繰り返す。物証も証言も本人の供述もないのに、捜査官にあるまじき色眼鏡で事件を見ている、と叱られた。
 数々の難事件を解決に導き、『推理の神様』となどと一部で囁かれている自慢の後輩は、それを聞いて北村の上司とは別のことを言った。

「屋上から飛び降りたのに、足の骨折くらいで済んで良かったですね」
 桧山少年は途中の木の枝に引っ掛かり、植え込みの中に落ちた。彼は運が良かったのだ。
「本人から話は聞けたんですか」
「うん。聞くには聞けたんだけど。『全部僕が悪いんだ』って」
「罪を認めているようにも聞こえますが」
「そうなんだ。そっちの方向でカタがつきそうでさ。病院から院少に直行かも」
「犯行が4月8日。自殺未遂が6月23日。3ヶ月近くも経ってから、どうして?」
「わからない。何を聞いても答えないんだ」
 薪は右手を口元に持って行き、口から下を覆った。考えるときのそのクセは、大学時代から変わっていない。

「迷惑だとは思ったんだけど。話だけでも聞いてもらって、意見をもらえればと思ってさ」
「詳しい資料をいただけますか? 被害者の少年の供述書と、捜査資料。それと学校の見取り図もあればお願いします」
 その要請に、北村は驚いた。
 薪は第九研究室の室長という役職に身を置いている。第九は研究所一残業が多い部署だと聞く。忙しさは半端ではないはずだ。

「いいのか?」
「北村先輩には、ゼミでお世話になりましたから」
 薪はほんの少し頬を染め、視線をコーヒーカップに落とした。
「あのことも、誰にも喋らないでくれたでしょう?」
「何のことだっけ?」
 忘れたフリをしてやると、薪は照れたように笑った。
 義理堅い男だ。20年近くも前の話なのに。

 大学時代の薪の秘密。薪の親友だった男との秘密の関係を、北村は知っていた。
 誰もいない教室で、ふたりがキスをしているところを偶然見てしまった。薪はうっとりと潤んだ瞳をしていた。身も心も相手に奪われているのが明らかだった。
 薪の親友は北村の存在に気付いていなかったが、薪は気が付いた。ひどく困った顔をしたので、見なかったフリをした。そのことは誰にも話さなかった。

「あれ? コーヒー、嫌いになったのか?」
「え? いえ、あの……いただきます」
 薪はコーヒーに、一度口をつけたきりだった。2年前に会ったときは、きれいに飲み干していたはずだ。好みが変わったのだろうか。

「資料はいつ用意できますか?」
「今日の夕方には。5時ごろでどうだ?」
「わかりました。僕はその時間は会議中なので、代わりに部下を寄越します」
 それはちょっと困る。
 捜査資料を持ち出すのは違反行為だし、他の部署の人間に見せるのもまずい。薪以外の人間の手に触れるのは、できれば避けたいのだが。
「大丈夫です。口の堅いやつですから」
 北村の心配を見抜いたように、薪は太鼓判を押した。こいつがこう言うのだから、さぞ信用できる男なのだろう。

「でも、その部下が可哀想じゃないか? おまえの会議が終わるのを、ずっと待ってなきゃいけなくなる」
「平気ですよ。青木はどうせ今夜うちへ」
 そこまで言いかけて、薪はばっと右手で口元を覆った。白い頬に朱が上っている。亜麻色の瞳が情を含み、かすかな色香を発している。

 既視感。
 教室でキスを交わしていた薪の姿を思い出す。

「では、5時にここで」
 一瞬のうちに冷静な表情を取り戻すと、薪は席を立って一礼した。
「部下の名前は青木といいます。とても背の高い男ですから、すぐにわかると思います」
 北村の側を通ったとき、ふわりといい匂いがした。百合の花の香り。香水の好みも変わっていない。
 ほっそりした後姿を見送り、北村はコーヒーを飲み干した。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Mさまへ

こんにちは!
ええ~~、大変だったんですね!
こういうときは、本当にお嫁さんが頼りですものね。し、しかし3つも重なるとは(@@)
わたしだったら一人くらい、落としてそうだ・・・・(^^;


> しづさん、20000ヒットおめでとうございます♪♪♪

ありがとうございますっ。(//∇//)
Mさまを初め、みなさまのおかげです~。


> これからもしづさんの書かれる小説、楽しみにしてますね!

はい、期待を裏切らないようにがんばります!(←すでに手遅れのような・・・・)


> こちらのお話は・・・
> え?R祭り参加作品なんですか?(笑)
> 楽しみですね~♪

あははは!
そのために書いたわけじゃないんですけど~、(書いたのは1年前) モロそういうお話です。
ここでやっとかないと8月に間に合わなくなるので、てへへ。


> 学生時代の薪さん・・・教室でチュウ~!か~わいい~!
> 人が見てないと思ってしちゃうところはこの前の「執行猶予」の時とおんなじですね!(笑)

ほんとだ、成長してないよっ!!(@@;)
そして誰かに見られるところも一緒(笑)


> やっぱりこのときも薪さんからチュウしたのかしらん・・・?
> ・・・なんて思っちゃいました♪

このときは~、鈴木さんにせがまれて、ですね(^^
昔の薪さんはかわいかったんですよ。うふふ。


「ところで」

わたしもMさまと同じ気持ちです。
後ほど、そちらに伺いますね。

ありがとうございました(^^
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
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