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トライアングル(1)

 こんにちは。

 うちのあおまきさんは、お付き合いを始めてから磐石の関係を築くまでに、3回くらい爆弾落ちるんですけど。
 こちらその1発目、ファーストインパクトでございます。
 

 ということで、すみません。
 下記の方は立ち入り禁止区域になっております。(^^;


 ○ 18歳未満の方
 ○ イタイ薪さんの苦手な方
 ○ 幸せなあおまきさんがお好みの方
 ○ キツイRの苦手な方



 さー、何人残るかなっ。(いや、だれもおらんやろ)





トライアングル(1)


 





 真夜中。
 薪は暗闇の中で目を覚ました。

 頬に涙が流れている。しゃくりあげる声が、誰もいない寝室に響いている。
 ……また、あの夢。
 腕を上げて涙をぬぐう。何も変わらない現実に、絶望的な気分になる。
「最後の手段だったんだけどな」
 嘲笑うような泣きたいような、乱れた感情の渦の中で、薪は小さく呟いた。

 地獄のような痛みに耐えて、ようやく青木のことを受け入れたのに。
 中学生にライバル意識を燃やして、焦ったわけじゃない。5%くらいはそんな気持ちもあったかもしれないけれど、本音は……早く楽になりたかったから。

 青木が鈴木の本当の気持ちを教えてくれて、あいつを恋人として受け入れる決心をして。身も心も一つになって、ようやく過去の呪縛から逃れられると思ったのに。 
 相も変わらず、悪夢は薪を襲う。青木との距離が近付けば近付くほど、陰惨に残酷に、夢の内容はエスカレートしていく。

 鈴木は僕のことを恨んでいない。それどころか、僕を愛してくれてた。
 それを知って、鈴木に殺される夢こそ見なくなったものの、貝沼が少年たちを、自分を殺す夢は止まらなかった。鈴木の心情にひとつの答えを見出したからと言って、薪の罪が消えたわけではない。この悪夢は薪に自分の罪の深さを思い知らせる、警鐘のようなものだ。

 忘れるな。
 おまえは罪人だ。許されざる殺人者だ。

 暗い闇を見つめて、薪はその言葉を胸に刻む。
 僕は殺人者だ。

「鈴木。出て来いよ。そこにいるんだろ」
 薪が呼びかけると、鈴木はいつものやさしい笑顔で闇の中に現れた。
 大きな手が薪の髪を撫でてくれる。辛い現実に打ちのめされた薪を慰めるのは、この親友の十八番だった。薪の気持ちを落ち着かせ、慰撫して、立ち直らせてくれた。厳しさに立ち向かう勇気をくれた。明日を生きるための元気をくれた。

「僕はいつになったら、許されるんだ?」
『それはちょっとムリだよ、薪。40人も殺したら、普通は死刑だろ』
 当然だ。薪が検察でも死刑を求刑するだろう。
 が、今の薪にはその刑に従う意志はない。

「そうだな。でも、僕は生きる決心をしてしまった」
 以前なら衝撃に俯くしかなかった鈴木の非難に、薪は微笑を返した。このくらいで泣いたりするほど、僕はもう弱くない。
「今の僕の身体は、僕一人の意志で滅することはできない。僕には、僕を愛してくれる恋人がいる」
 闇に浮かぶ鈴木の顔をじっと見て、薪はきっぱりと言った。
「おまえがさっさと迎えに来ないから悪いんだ。今更言い寄っても無駄だ」
『無駄? 本気でそう思ってるの?』

 鈴木が近付いてくる。
 その眼には、薪に対する特別な感情が含まれている。

『薪。本当はわかってるんだろ? おまえ、オレのことまだ好きだよな』
「おまえのことは忘れた。今はあいつのことだけ……」
『声が震えてる』

 ぎしっとベッドが軋む。
 鈴木はもう実体を持っていないのだから、これは自分が身動きをしたせいだ。夢の続きを見ているだけだ。
 頬に触れている大きな手も、目の前にある鈴木の笑顔も、ぜんぶ夢だ。

『愛してるよ、薪』
「やめろよ。僕は今日、あいつのものになったんだから。ちゃんとあいつを受け止めてやったんだから」
『3ヶ月もかかって? それはからだの方が慣れただけだろ』
 やさしい手が、薪の頬を撫でる。その手を払うことは、薪にはできない。
『オレのときには、おまえは最初からあの痛みに耐えた。オレだって途中で止めようとしたのに、おまえがどうしてもって言い張って。でも、あいつのときにはそれが出来なかった。この差はなんなんだろうな?』
 身体に掛かったシーツがゆっくりと外される。闇の中に白い肌が浮かぶ。

「あのころは若かったからできたんだよ。今は仕事もあるし」
『それだけじゃないだろ?』
 鈴木の手が、首筋から胸に滑り降りていく。つつ、と指先で敏感な部分をなぞっていく。からだの奥に何かが灯るのがわかる。
 
『おまえ、あの男の身体に触れるの、気持ち悪いと思ってるだろ』
 何時間か前まで恋人の舌に弄られていた胸の突起が、鈴木の指の下で硬く膨らんでいく。舌先でつつかれて、薪は思わず息を詰める。
『オレのものは喜んでしゃぶっただろ? でも、あいつのは手で触るのもためらってる。おまえがあの男を愛してない証拠だよ』

 ぎくりと薪の身体が強張った。
 核心に斬り込まれた気がした。鈴木は僕のすべてを見通している。

 正直、自分でもおかしいと思っていた。
 どうしてこんなに上手く行かないんだろうって。いくらブランクが長いからって、この痛みは異常だ。
 彼を受け入れることを断固として拒否する気持ちが僕の中にあって、そいつが僕の身体を固くし、行為を困難なものにさせている。それは男としてのプライドとか、本能に基づく嫌悪感とか、そういうものだろうと察していた。
 僕はゲイじゃないから。生理的な嫌悪を伴うことなく、男のからだに触れることはできない。明るいところでのセックスを嫌がるのは、自分が恥ずかしいのもあるが、相手を見たくないから。男に抱かれる自分を見たくないから。

 でも、鈴木だけは平気だった。彼は特別だった。
 固い胸もゴツゴツとした腕も、鈴木の身体だ、と思うと愛しくなった。鈴木のものだ、と思えば、それを口に含むこともできた。あの青臭くてエグい液体を飲むことも、それを舐め取って鈴木をきれいにすることも、喜びをもって行うことができた。それは鈴木に恋焦がれる僕の、激しすぎる恋情の発露だった。

 青木には、それはできない。

 それは僕が、鈴木ほど青木のことを好きじゃないから?
 生理的な嫌悪感を超えるほどの愛情を、相手に対して持てないから?

『薪。おまえが愛せる男は、オレだけなんだよ』
 むかしの男が都合のいいことを言ってる。
 僕を捨てたくせに。今になってのこのこ出てきて、勝手なことをほざくな。
『来いよ。思い出させてやるから』
 いやだ。
 青木に抱かれたすぐ後で、こんな。
 ……でも。

 それが鈴木のからだだと思うだけで、薪の中心は昂ぶってくる。鈴木の硬くなったそれが腰に押し付けられると、自然に足が開く。
 キスも愛の言葉もいらない。局部をほぐす行為も、滑りを良くするためのローションも要らない。
 先端で軽くノックされるだけで、薪のそこはぱっくりと口を開ける。

「あ! あっ……」
 すんなりと入ってくる。薪の中が鈴木で満たされていく。
『ほら。気持ちいいだろ? おまえ、こうされるの好きだったもんな』
 腰をつかまれて、激しく突き上げられる。薪の中を鈴木のものが強く掻き回す。
 そこには痛みなどない。純粋な快楽だけが薪のからだを燃え立たせ、熱い肉壁が鈴木の欲望に絡みつく。
「す……」
 たまらない愉悦を与えてくれる男のからだに、薪は渾身の力でしがみついた。
「すずきっ!」

 ――― 結局、僕は帰っていく。

 どれだけ遠くに飛んだつもりでも、僕の背中には細い糸がついていて、鈴木がそれを軽く引くだけで僕は鈴木のところへ戻ってくる。
 切ろうと思えば簡単に切れそうな細い細い、糸。
 でも、僕はその糸を決して切ろうとはしない。
 心の底で、僕は鈴木のところへ還りたがっているから。

『薪。かわいい。大好きだよ』
「僕も、僕も大好き!」
『薪は誰のもの?』
「鈴木のっ、鈴木のものだよ。僕は全部鈴木のもの」
『じゃ、他のやつには触らせないで』
「ごめんなさい、もう二度としない。だから、だからもっと……!」
 16年前と同じ気持ちで、16年前と同じ言葉を、つややかなくちびるが叫ぶ。

「もっと僕のこと愛してっ!」




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Mさまへ

鍵のお返事、ありがとうございました!
とってもうれしかったですっっ!


>『トライアングル』は・・・うう・・・やっぱりあおまき的にはキツイかもしれませんが、ここを乗り越えないとっていう感じなのですね。

そうなんです、どうしてもここを越えてもらわないと、うちのふたりに未来はないんです。決してしづのS心を満たすために書いているのではありません!(うひゃー、白々しい!!)
・・・・・・でもまあ、2割くらいはS心が・・・・・・比率反対だろうって? ううーん・・・・・。


>でも薪さんっ!あんなに青木君に愛されてるのに~~~(泣)

ですよねーーー!!!<無責任。
今回は青木くんの味方になってやってください!


>「愛されても愛されても不安が募るのは、実は自分自身が自分のことを愛せていないからだ」と思います・・・・・・・

ずばり、その通りですね。
うちの薪さん、自分のこと大っ嫌いですから(^^;

実は、こないだ書いたあおまき入れ替わりのお話のテーマがこれです。
ちょっとだけ、薪さんが自分の価値を認められるお話にしました。だんだんに、幸せのスキルを身につけていく薪さんを書くのがうちのやり方なので~、ゆっくり見守ってやってください。(^^

Mさまへ

いらっしゃいませ、Mさま。 お待ちしておりました(笑)

>さー、何人残るかなっ。 残りました!

Mさまだけは残ってくださると思ってました!(笑)

ご期待に副える内容になってるかどうかは自信ないですけど、広いお心でお付き合いください。よろしくお願いします(^^


Sさまへ

ご連絡、ありがとうございました!!
Sさまのお言葉、とってもうれしく賜りました!!!

>アカウント取り消し+データ全削除・・・・・・・

ひえー!!??
そ、そうなんですか??
じゃあ、良かった。わたしのは寛大な措置だったのかもしれませんね。

事前に連絡くれればいいのに、とか愚痴って悪いことしたな・・・・・(^^;

とにかく、ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします!!

Sさまへ

いらっしゃいませ、Sさま~(^^

いつもありがとうございますっ。
Sさまが押してくださる『ぽちっとな』はわたしの栄養剤でございます。感謝してます!(←じゃあ、この話はなんだ?)

>続きを読むのが恐ろしい。

だ~か~ら~、避難勧告出してるじゃないですかあ(笑)

>でも読まずにはおれない。

てへっ、ありがとうございます、でもって、すみませんっ。
もう、これはSさまの中の薪さん愛がそうさせるんですね。さすが生粋のあおまきすと!

わかってます、Sさまは甘~いあおまきさんがお好みなんですよね。
ゴメンナサイ!!(><)
しばらくしんどいですっ!!(断言)
それでも、最終的にはあおまきすと寄りのラストにしますから~、なんとかお目こぼしを(^^;
(なるかなあ、なるといいなあ・・・・・)
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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