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トライアングル(3)

 (1)もそうだったんですけど、こちらもRなので隠します。
 この話って、序盤がずーっとこの調子なんですよね。(^^;
 R嫌いの方、ごめんなさい。

 





トライアングル(3)





 バイオリズムというものがある。
 人間の身体は周期的な変動を繰り返していて、一定の期間で好不調の波をつくる。体力、感情、知性など、その波が重なるときには不安定な状態になるので注意が必要だ、という説もある。

 それは仮説に過ぎないが、人間の体が周期的に変化するのは事実だ。
 細胞の新陳代謝は、血液などの分泌物が10日、筋肉などの組織が30日、骨は200日ほどで行われる。もっと明確なものには、女性の生理がある。新たな生命を作り出すためのこの神秘的な現象は、28日周期で繰り返される。その前後は気分が不安定になって、身体の不調を訴える女性も数多く存在する。

 男の薪には生理はないが、不安定になる時期というのはある。
 妙に落ち着かなくて、イライラした気分。周囲の人間に当り散らしたくなる不快さ。色々なことがヘンに気に掛かって、ちょっとしたことにも腹を立てて。そのくせとても淋しくて、ひとりでいるのが耐えられない。
 薪のこの不安定な状態は、だいたい3ヶ月にいっぺんくらいの周期で訪れる。強いときもあれば、弱いときもある。一晩寝れば直ってしまうこともあるし、3日くらい続くこともある。

 自分の身体とも長い付き合いになるから、薪はこの解決法を知っている。これは身体の中に、余計なものが溜まっている証拠だ。それを抜けば直る。つまり、欲求不満だ。

 こういうときには、濃度の濃いものが欲しくなる。いつもの排泄行為のような自慰ではなく、ちゃんと相手がいる本当のセックスがしたくなる。
 男の本能に従って、その手の店を利用して思い切り羽目を外したいところだが、あるトラウマのせいで薪にはそれができない。行きずりの女とそういう関係を結びたい欲求に駆られたりもするが、警察官という立場を考えるとそれも躊躇われる。
 結局、自分で処理をすることになる。

 もともと薪は、そちらの方の欲求が極端に薄い。こんなふうに発情しているときですら自慰で満足してしまうなんて、ほとほと色事には向かない男である。結婚しても妻を満足させることができず、情夫を作られるのがオチだ。
 そもそも30代の男性が、3ヶ月に1度くらいしか女を抱きたい欲求が起きないこと自体がおかしい。一般的に見ればどこかに欠陥があるとしか思えない回数だ。が、本人はまったく気にしていないばかりか、生命の証ともいえるその現象を面倒がっているきらいすらある。

 かように、欲求はあるものの、それをもてあますことなどなかった薪だが、今回ばかりは腑に落ちない現象が起きている。
 最近薪には新しい恋人ができて、夜の生活の方も以前に比べたらびっくりするくらい充実した。
 だいたい週に二度くらいは肌を合わせているし、仕事の都合で間が空くことはあっても、次の時には会えなかった時間の分だけ密度を増す恋人の愛技が薪を満たしてくれる。
 生理的な現象、つまり射精の回数も以前に比べたら10倍くらいになっている。よく考えたら恐ろしい倍率だ。というか、前が少なすぎたのか。いくらなんでも3ヶ月に1、2回という数字は、限りなく不能者に近い。

 あれだけしているのだから、こんな欲求が起こるのはおかしいと薪は思っている。定期的に出しておけば、男の生理は満足するはずだ。それなのに、やっぱり欲しくなるなんて。濃密なものがしたくなるなんて。僕はどうしてしまったのだろう。
 強くなる衝動に、薪は戸惑いを覚えている。
 経験の少ない薪には理解できないが、人間の体とはそういうものだ。すればするほど、欲しくなる。より強い刺激を、激しい快楽を自然に求めるようになる。筋肉を鍛えれば太く強い筋繊維が生まれるように、性感も成長するのだ。

 そんなことは思いつきもしない薪は、恥ずかしさに身を捩りながら、ひとり寝のベッドの中で自分自身に手を伸ばす。ズボンのゴムに手を掛けて、少しためらう。
 昨夜もしたばかりだ。連日なんて、これまで一度もなかったのに。
 マスターベーション覚えたての高校生じゃあるまいし。こんな、盛りのついたオス犬みたいに。
 自制心が欲求に歯止めを掛ける。その夜は欲望を抑え込んで、無理矢理眠った。
 ところが、翌朝になって薪はそれを後悔した。

 下腹部に厭な感触があって、薪はこわごわと下着の中を覗いてみる。思ったとおり下着は汚れていて、それは薪にとって20年近くもなかった失敗だ。
「うそだろ」
 こんなバカな……僕は中学生か!?
 しかも、若者特有の朝の現象が起きているし。
「なんで?」
 薪の意向に逆らいだした自身を両手で押さえて、薪は思わずベッドに突っ伏した。
「どうなっちゃったんだよ、僕のカラダ……」

 冷たいシャワーを頭から浴びて劣情を払おうとするが、下腹の辺りが燃えるように熱くて。
 結局、シャワーの下で行為に耽った。肌を打つ水の刺激にさえ、身体の中心が疼く。抑えようがなかった。

「あ、……んっ」

 自慰の仕方も変わった。
 以前なら、扱いて出すだけの単純なものだった。それは正常で健康的で、いわば明るい性だった。仲のいい男友達にならあっけらかんと、「朝っぱらからヌイてきちゃった」などと言える類のものだ。
 でも、今していることは、絶対に他人には知られたくない。
 左手で前を慰めながら、薪の意識は別の場所に向けられている。自分の右手の人差し指を飲み込んで蠢いている後ろの部分。そこは普通の男性の自慰行為では使わない場所だ。

 薪の現在の恋人は、若い男性だ。それもなんと、12歳も年下だ。
 彼は薪と愛し合いたいがために、ずっと使われていなかった薪のその部分を開発することに力を注いだ。ベッドの中で薪自身を愛してくれるとき、必ず一緒にそこを攻めるようにしたのだ。結果、薪は自慰のときにもバックがないと物足りなくなった。
 遥か昔のことだが、薪には男の恋人がいた。彼のことを思い出して、ここを自分の指で慰めることもなかったわけではないが、それは本当に稀なことだった。

 以前は薪の細い指が1本しか入らなかったはずのその部分は、若い恋人の努力によっていくらかずつ広がってきた。入り口の部分は狭くても、通ってしまえば奥には余裕がある。その余裕を埋めるには、1本では足りない。
 もっと欲しい。
 高まる欲求に従って、指を増やす。2本目……もう1本。
 薪の恋人は、とても身体が大きな男だ。手も大きくて指も太い。いつも薪を悦ばせてくれる彼の2本の指は、薪の3本分に匹敵する。

「くあっ」
 3本目の指が入り口を通るとき、薪は思わず声をあげた。奥へ入れ易いように背中を丸めた体勢を取り、指の位置を調整する。
 指を重ねるようにして内部に入れると、3本の指を動かして目的の場所を探った。
 新しい恋人が薪に教え込んだ新しい性感。入り口から少し奥の、上側。男の性を直撃するその部分。

「ふあ! あっ、ああっ!」
 自分でもびっくりするくらいに派手な声が出る。が、ここを攻められると、どうしても抑えきれない。
 3本の指でその部分を擦り、左手で激しく前を弄る。目の前で火花が散り始め、意識が真っ白な闇に飲まれていき。
「あああっ!」
 叫び声とともに、薪は自分を解放する。
 以前なら浴室の床を汚したどろりとした白濁は、薪の胸に飛び散っている。それはバックに指を入れるために取った体勢のせいばかりではなく、興奮の度合いによるものだ。

 鏡面に映る自分の姿を、薪は信じられない思いで見つめる。
 官能に酔った顔つき。胸から腹にかけて伝い落ちる欲望の残滓。
 我に返って、薪は真っ赤になった。慌てて指を抜き、シャワーのコックを捻る。

 自分が恥ずかしい行為に夢中になった証拠を、今度こそシャワーで洗い流して。
 それでもなお、身体の奥に残る火照り。

 それには気付かない振りをして、薪は身支度を整えた。ランニングシャツに短パン。日課のトレーニングのための服装だ。首にスポーツタオルを掛けて、何気にカレンダーを確認する。

 明日は土曜日だ。
 あいつが来る日だ。この際、夜まで待たなくても。昼間でも、僕が誘えばあいつは喜んで来るだろう。そうしたら……。

 自分の思考にびっくりして、薪は強く首を振る。頭の中から薄汚い考えを追い払って、外に出る。
 7月の朝の爽やかな青空は眩しくて、薪は自分の身に起きた変化がますます恥ずかしくなる。
「よし。今日は10キロだ」
 いつもの倍の距離を自分に課して、薪は走り出した。



*****


 うちの薪さん、若返ってる……?


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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