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トライアングル(18)

 やっとおしまいです~。
 あー、疲れたー。(^^;)(ドロドロの三角関係は苦手)
 これで心置きなく、メロディを買いに行けます。
 

 読んでくださって、ありがとうございました。
 一部の方々に多大なご心痛をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます。




トライアングル(18)








 久しぶりのピロートークは、二人の気持ちをほぐしてくれた。
 部屋を暗くして、互いの温もりだけを感じていると、薪のような筋金入りの天邪鬼でも素直な気持ちになってくるから不思議だ。暗がりは表情を隠してくれるし、青木の体温は薪を安心させてくれる。

「僕、おまえにひどいことしてたんだな。傷つけて悪かった」
「いいです。謝らなくて」
 背中に回された手の温もりが心地よい。たった1ヶ月、この手に触れなかっただけなのに、それをこんなにも懐かしいものに感じるなんて。
「オレの方こそ、すみませんでした。最初、オレはそれでもいいって、そう言って薪さんを抱かせてもらったんですから、薪さんは悪くないです。
 人間て、いつの間にか思い上がっちゃうもんなんですね。前はあんなに謙虚な気持ちであなたに接していたのに。あなたと一緒にいられるだけで、最高に幸せだったのに。
 でも」

 大きな手が、愛しげに薪の頭を撫でる。いつも薪を元気にしてくれる、やさしい手。
 子供のように扱われることに反発してきた薪だが、今日だけはそれもいいか、と思う。

「抱いてしまったら、薪さんのことを前よりもっともっと好きになっちゃって。そうしたら、欲が出て。身体だけじゃなくて全部欲しいって。薪さんのこころも愛情もみんな欲しくなって。薪さんが鈴木さんのこと好きなのも忘れられないのも分かってるのに、それが許せなくなって」
 穏やかでやさしい声音。本心を語っていると信じるに足る、誠実な声。
 この声はいつも、薪を落ち着かせてくれる。

「鈴木さんみたいな大きな男になろうとしたのに、鈴木さんごと薪さんを包んであげられるような、そんな男になろうと頑張ったのに。オレ、やっぱりヘタレなんですね」
「おまえは悪くない。いつまでもおまえに甘えてた僕が悪いんだ。努力するとか言っておいて、あんな……」
「薪さんはそのままでいいです。ていうか、もっとオレに甘えてください」

 どこまでもやさしい恋人。
 こんな残酷なことをした自分が、許されていいのだろうか。

「本当に、僕でいいのか? 世の中には、僕よりいい人はたくさんいるぞ。きっとおまえにぴったりの娘も」
「当たり前ですよ。薪さんよりいい人はたくさんいます。てか、薪さんよりヒドイ恋人を見つけるほうが難しいです」
「……なんか、そう言われると腹立つ」
「冷たいし、二言目には『別れる』って脅すし、デートはしょっちゅうキャンセルするし。年上のクセにエッチは下手だし」
「悪かったな!」
 最後の一言に、薪は過敏な反応を見せる。
 それだけは本当に自信がない。自分の苦手科目を指摘されるのは、誰だって面白くないものだ。

 青木の文句はまだ続いている。
「意地悪だし、高飛車だし、自分の都合しか考えないし。薪さんみたいな人、世の中に野放しにしておいたら、どれだけのひとが迷惑するかわかんないです。もはや公害です」
「そこまで言われなきゃいけないのか、僕は」
「言いますよ。言いたいことも言えないような関係は、長続きしませんから」
 長続き、というキーワードに、薪の胸がとくりと高鳴る。薄い闇の中に、黒い瞳が情熱を湛えて潤んでいる。
「警察官として、公害は世に放つわけにはいきません。対策としてはオレが薪さんの行動を事前に抑制するか、後から回って尻拭いをするか。どっちがいいですか? どちらにせよ、薪さんの傍を離れるわけにはいきませんけど」

 ―――――だから、ずっとあなたの傍にいます。

 薪の心を読んだように、欲しがっていた言葉をくれた恋人に、薪はくるりと背中を向けた。うれしくて、涙が出そうだ。それはかなりカッコ悪い。
「勝手にしろ」
「はい。勝手にします」
 温かい腕が背後から回されて、薪のからだを抱きしめてくる。これでは自分の方が抱き枕になったような気がするが、体格差から生じる状況では仕方がないかもしれない。

 程なく、青木は寝息を立て始めた。
 昨夜もその前の夜も、眠れなかったに違いない。あのクマは、1日や2日でできるものではない。青木にとってはそれだけ重要なことだったのだ。
 
 自分の右肩から左肩にかけて回された青木の腕を抱いて、薪は切なく思う。
 あとどのくらい、こうしていられるのだろう。
『ずっと傍にいます』と青木は言ったが、それはどれぐらいの時間を示しているのだろう。

 半年? 1年? それとも3ヶ月?
 男同士に一生はありえない。薪は経験からそのことを知っている。
 永遠なんか望まない。それを望むほど、愚かでも子供でもない。僕たちはふたりとも大人で、この世にそんなものが存在しないことは、お互いに分かっている。

 だからそれまでに、たくさん思い出を作っておこう。
 泣いて笑って、怒ってケンカして。触ってキスして、セックスもいっぱいして。
 いろんな処に出かけよう。いろんな青木を見ておこう。
 目を閉じればいつでもおまえに会えるくらい、僕の中をおまえの姿で満たしておこう。思い出だけ食べて生きていけるように、一生かかっても食べきれないくらい、たくさんの青木を覚えておこう。
 例え独りになっても、今度はその淋しさに負けないように。誰にも頼らずに、残りの人生をしっかりと歩いていけるように。

 僕は強くなる。

 自分を包む腕にそっと額を押し当てて、薪は目を閉じた。


 ―了―



(2009.5)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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死ぬまで一緒にいなさいって!

しづさん、お疲れ様でした~。

雨降って地固まると申しますが‥‥ああ、それはもういいからっ!と外野から
野次が飛びましたのでこのくらいにして‥(笑)

しづ薪さんは相変わらずの‥勝手な御方。
それが可愛いと言えば可愛いのでしょう‥青木くんは。

泣いて、笑って‥ケンカ‥キス‥セッ〇〇←今更‥
その中で一番カウンターが動くのは‥
やはりケンカでしょう!
ケンカなくしてこのふたりはないっ!ってくらいもめてますね。

でも、ほんとに世の中にはいい言葉がございます。
ケンカするほど仲がいい‥
いやよ、いやよも好きの内‥
らしいなぁ‥ほんとこんなに存在感のあるお二人を
作り出したしづさんは‥素晴らしい!
尊敬いたします。

爪の垢でも送って下さい(笑)
それくらいすんばらしいと言うことです(*^_^*)
あまりにもビビってラスト近くにまとめ読みいたしました私を
お許しください。

次回の薪さんがやじろべえ‥それも怖いですねぇ‥
あっち傾いたりこっち傾いたりしそうで‥
もう慣れましたけど(笑)
それでも怖い。
でも、それだけのめり込んで読ませていただいている―
と言うことですのでひらに御容赦いただけると‥幸いです。

しかし‥最後の「たとえ独りになっても‥」は‥こらーーっ!!
相変わらずの薪節ですね♪

ruruさんへ

こんにちは、ruruさん。
お返事、遅くなってしまってすみません。 ちょっと8月号のショックが尾を引いてまして・・・・・(^^;



> 雨降って地固まると申しますが‥‥ああ、それはもういいからっ!と外野から
> 野次が飛びましたのでこのくらいにして‥(笑)

はい~、文字通り、雨降って固まりましたね(^^


> しづ薪さんは相変わらずの‥勝手な御方。
> それが可愛いと言えば可愛いのでしょう‥青木くんは。

この薪さんを可愛いと思うのは、世界中探しても彼だけだと思います(汗)
恋は盲目とはよく言ったものですね<またこんな無責任な発言を。


> 泣いて、笑って‥ケンカ‥キス‥セッ〇〇←今更‥
> その中で一番カウンターが動くのは‥
> やはりケンカでしょう!
> ケンカなくしてこのふたりはないっ!ってくらいもめてますね。

だって楽しいんだもん、ケンカ。<こらこらこら!
ギスギスしててすみません~~(>_<;)


> でも、ほんとに世の中にはいい言葉がございます。
> ケンカするほど仲がいい‥
> いやよ、いやよも好きの内‥

そ、そうそうそう!!(←飛びついた)
そうなんですよ、ケンカするほど仲がいいのよ、うちは!(ええ~・・・・・)


えっと、ここから下は、ruruさんにそっくりお返ししますので~~、
ruruさんの方がずっと素晴らしく、みなさんに喜ばれるものを書いてると思います。 うちには非難コメがいっぱいで~~~(←自業自得) お褒めいただいくようなことは何もなく~(←カナシイ)
甘いあおまきさんが書きたくなったら、ruruさんの爪の垢もらいにいきますから、取っといてくださいねっ!



> 次回の薪さんがやじろべえ‥それも怖いですねぇ‥
> あっち傾いたりこっち傾いたりしそうで‥
> もう慣れましたけど(笑)
> それでも怖い。

これって、アレですよ、ruruさん。
ほら、今年の冬にruruさんが薪さんの揺れる心を書いてらしたときに、わたしも今ちょうど二心を抱く薪さんを書いてるんですよ~、ってコメを入れたことがあったでしょう?
大丈夫、怖くないですよっ。
ここから再スタートですから(^^


> でも、それだけのめり込んで読ませていただいている―
> と言うことですのでひらに御容赦いただけると‥幸いです。

ありがとうございます(;;)
のめり込んで、なんて、なんて嬉しいお言葉なんでしょう。
こちらこそ、ruruさんには不本意な点もたくさんあったお話のはずなのに、それでも読んでいただいて、ありがとうございました。


> しかし‥最後の「たとえ独りになっても‥」は‥こらーーっ!!
> 相変わらずの薪節ですね♪

あははは、これはわたしの薪さんだから~~。
それに、この後に『言えない理由』とかも入るから、ここではこんな風に思わせておかないと、薪さんの感情に辻褄が・・・・・(^^;

でも、何年後かには、ね(←意味深(笑))


ありがとうございました♪

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Nさまへ

Nさま、はじめまして。

拙作をお読みくださってありがとうございます。
読んでいたら朝になってしまった、とのこと、ありがとうございます。 時間を忘れるほどに没頭していただいて、筆者冥利につきます。
でもすみません、眠ってください!
お肌が~~、本当に40過ぎると大変なことに・・・・・!!(←体験中です・・・・・)

読み応えがあった、とのお言葉、大変うれしく思いました。
そうですね、2部までは、純粋に薪さんの幸せを願い、大切に大切に二人の絆を重ねて行ったつもりです。 基本はギャグですけど(^^;) 
長編ばかりで、
しかもうちの話は最初から全部つながってるから~、読むの大変なんですよね。 どうしてこんなに書いちゃったのかしら・・・・・。


> 初めて、2次創作小説を読んで本当に涙流しました。

きゃー、すみませんっ!
そうですよね、こんなドS話書いてる人、他にいませんもんね・・・・・
本当にすみません~~!!!
申し訳なく思いつつ、Nさまが拙作に対して心を動かしてくださったこと、とても光栄です。


> 原作で、青木くんが鈴木さんの事で苦悩する事、雪子さんや薪さんに鈴木さんを投影されてしまっている瞬間があるなどが、いつも苦しくって。こちらの作品でも、思わず青木くんと一緒に苦しんで泣いてしまいました。

Nさま、青木さんが好きなんですね。(^^
確かに、あれは可哀想ですよね。 雪子さんとのホテルデートのシーンで、鈴木さんと重ねられていると解って、眼を伏せる青木さんの横顔は、胸に残ってます。


> でも、最後には薪さんがあんなドラマティックに青木くんの名前を呼んで、求めて、以前より一層お互いの愛が深まってすごく嬉しくて、また涙が・・・。

あそこのシーンが書きたくて、このお話を書いたんです!
眼に留めていただいて嬉しいです! 


> よ・・よかった・・青木くんが捜一に異動しなくてよかった!(本当に異動したらどうしようかと)

あははは、途中で一行くんの『捜一新人物語』とか言ってましたからね。(笑)


> ずっとに対して、やっぱりすごく短い期間を覚悟している薪さんが切ない・・どうか青木くんが全てをひっくり返してくれますように。

ええ、ここは、非難コメの嵐でございました!!(笑)←笑っていいのか?
こらー! なんで今から最後の時を見据えてるのー! とか言われて、必死に謝った記憶があります。(^^;
えっと、
実は「トライアングル」は次の「斜塔の頂」とセットになっておりまして、そちらでフォロー済みですので、どうかご容赦ください。


> あと、このお話の雪子さんはすごく素敵なお姐さんで、とても好きです!

うちでカッコいいのは、岡部さんと雪子さんなんです~。(ヘンなあおまき小説・・・・)
でもねえ、薪さんを幸せにしようと思ったら、雪子さんをいい女にするのが一番手っ取り早いと思うんですよね。 4巻のままの雪子さんでいてくれたらなあ、って何度も思いましたもの。


うちのお話、本当に長編ばっかりで、メンドクサイと思うんですけど~、
眠れない夜の睡眠薬代わりに使っていただけたら幸いですっ!
丁寧なコメント、ありがとうございました。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
10万拍手ありがとうございます!
いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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