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QED(7)

 ここはRかな? ギャグかな?
 じゃあ、大人のギャグってことで。 18歳未満の方はご遠慮ください☆





QED(7)









「大好きです。信じてください。オレのすべてはあなたのものです。他の誰ともそんなことは……ちょっと、薪さん?」
 ズボンの前を撫でられて、青木はびっくりした。
 今まで薪の方から触れてくれたことなどない。いや、最初に1度だけ。でも、あれは青木の中ではノーカウントだ。

「これも僕のものなんだろ」
 ベルトが外されてジッパーが降ろされる。下着の中に小さな手が滑り込んでくる。
「そうですけど、あっ、ダメですよ」
「僕のものをどうしようと、僕の自由だ」
 薪は床に膝をついて、膝立ちの姿勢になった。下着を下ろして中のものを出す。両手で持ってしばらく躊躇い、ぎゅっと目をつむって先端にくちづけた。

 ものすごくびっくりした。
 薪がこんなことをしてくれるなんて、夢にも思わなかった。初めて身体を重ねてから1年になるが、薪は終始受け身で、自分から動いてくれることはあまりない。セックス自体が好きではないようだし、というか、男の身体がダメなのだ。だから正直に言って、青木は薪にこちらの方面の期待はしていなかった。

 つやつやしたくちびるが、青木のものを咥え込んでいる。頭を動かすたびに長い睫毛が揺れ、くぐもった声が洩れる。目眩がしそうなほどエロティックだ。
 何度この光景を夢に見ただろう。
 やわらかい亜麻色の髪を撫でながら、青木は嬉しくてたまらない。もちろん快楽もある、でもこの行為は特別な相手にしかしないものだ。特に薪のようなノーマルな男がこれをするのは、よっぽど相手に対しての気持ちがないとできないはずだ。青木だって同じだ。薪以外の男のものなんか、吐き気がする。

 薪の口の中は濡れて温かく、女性器を思わせる。小さな舌がちろちろと動いて、下擦りの部分を舐め上げていく。経験が浅いせいかサイズが合わないのか、あまり上手ではないのだが、やっぱり薪にしてもらっていると思うと、むちゃくちゃ気持ちいい。
「薪さん、すっごく気持ちいいです。も、限界です」
 青木が降参すると、薪はそこから口を離して、濡れたくちびるから行儀悪く舌を出し、赤黒く張り詰めた先端を舐めた。
「出していいぞ」
 エロい。たまんない。顔に掛けちゃいそ……いや、そんなことをしたら後が怖い。ここは我慢だ、青木一行。
「そんなことできません」
 初めてなのに、飲ませるのはさすがに可哀相だと思った。薪は元々匂いの強いものが苦手だし。あんなものを口に含ませたら、吐き気を催すかも。
 しかし。

「いいから出せ。ここから出るものも、僕のものだ」
「あっ、あっ!」
 ちゅうっと先端を吸われて、我慢しきれなくなった。深く咥え込まれた瞬間、放っていた。
 たまらない解放感。断続的な射精の間、思わず薪の頭を押さえつけてしまった。
 荒い息をつきながら薪の様子をうかがうと、薪は両手で口を押さえていた。飲み込もうとしてくれているようだが、明らかに顔色がやばい。蒼白になっている上、額には冷や汗が浮いて……。
 猛ダッシュでトイレに駆け込む。ドアを閉める間もなく「ゲ――ッ!」という嘔吐の音が聞こえてきた。

 ……何も本当に吐かなくたって。
 泣きたくなるのをぐっとこらえて、青木はトイレにうずくまっている薪の背中を撫でてやる。
 ずっと昔、青木がまだMRIの画に慣れないころ、第九のトイレで吐いていた時に、薪がこうやって背中をさすってくれたことがあった。あの時はまさか、このひととこんな関係になるなんて思いもしなかった。
 トイレットペーパーで口を拭き、薪は青木の方を振り向いた。よほど苦しかったらしく、涙目になっている。顔色も悪い。そして口はもっと悪い。

「なんだ、おまえのアレ。なんであんなにドロドロしてんだ。ものすごい匂いだし。身体の中で腐ってんじゃないのか」
「だからダメだって言ったじゃないですか。もう2週間も出してないんですから。濃くなって当たり前ですよ」
「だっておまえ、今さっきあの娘と」
 きょとんとした顔になっている。何度も説明したのに、ぜんぜん信じていなかったらしい。
「だから何もしてませんてば。今のが証拠じゃないですか」

 青木の弁明に腕を組み、わざとらしく首を傾げる。さっきほんの一瞬、嬉しそうな顔になったのに、それをコンマ1秒で掻き消すところはさすがだ。
「今のが標準かもしれないだろ。もう一度検証してみないと」
 なんて疑り深いひとだろう。人を疑うのが捜査官の仕事とはいえ、恋人の貞節くらい信用してくれても良さそうなものだ。

 ……それはもちろん、薪特有の健気な憎まれ口で。
 本当は今の失敗を悔やみ、再チャレンジしてくれるつもりでいるのだ。

「どうぞ。オレはやましいことはしてませんから」
「そこまで言うなら、服も脱いでもらおうか。口紅の痕とか、香水とか、状況証拠も調べないと」
 そんなものはホテルでシャワーを使えば消えてしまう。そのくらい薪にも解っているはずだし、なにも検証する側の薪が服を脱ぐことはない。ましてや、場所を寝室に移す必要性はどこにもないはずだ。
「いいか、そこで待ってろよ。証拠隠滅しようとしたら承知しないぞ」
 ビシッと青木を指差して、自分は慌ててシャワーを浴びに行くあたり。もう笑うしかない。
 このひとはとても照れ屋で、甘いムードや浮いた言葉が苦手だから、こういう誘い方しかできないのだ。
 そういうところも大好きだ。不器用で可愛くて。恋愛慣れしていないところが、逆に男心をくすぐる。

 3分で風呂から上がってきた薪は、バスローブ姿だった。身体を洗ってすぐに出てきたのだろう。少し寒そうだ。
 2度目の行為に、先刻のためらいはなかった。
 ベッドに浅く腰掛けた青木の足の間に、薪が顔を埋めてくる。亜麻色の小さな頭が上下に動いて、青木に強烈な快感をくれる。
 たぶん、薪はこの行為は初めてではない。でなければ、口中でそれを受け止めることをもっと躊躇うはずだ。おそらく、昔の恋人にしてやっていたのだろう。薪は鈴木のことが大好きだったから、付き合い始めて1年なんて言わず、もっと最初の頃から。
 でも今はこうして、一生懸命に青木のことを喜ばそうとしてくれている。この行為に薪の快楽はない、ただ純粋に青木のため。
 薪に愛されている、と思える。

「ちょっと、タイム」
 はあ、と息を吐き、顎の下を指で揉んでいる。薪の口はとても小さいから、頬張るのにも無理があって、それで疲れてしまったのだろう。
 よし、と小さな声で気合を入れて、再び口を開いた薪に、青木は彼の負担を軽くすべく、ひとつのテクニックを伝授した。
「薪さん。ムリして口の中に入れなくてもいいですから。先の方を舐めてもらえます? オレ、そこ弱いんです」
 浅く咥えて、舌を動かしてもらう。手を使って扱いてもらう。
 薪のあの可愛らしいくちびるで吸い上げられると、もうたまらない。何度も何度も空想してきたことを現実にしてもらっているという感動とあいまって、青木は激しい昂ぶりを感じた。

「薪さん、も、出ます」
「うん。いいぞ」
「洗面器、用意しましょうか?」
「大丈夫だ。今度はちゃんと、むごッ!」
「すいません。ちょっとガマンしてくださいね」
 薪の頭を押さえつけて、腰を使う。実際こうしないと男はなかなか達かない。さっきは溜まってたから時間も短くて済んだけど、2回目はそうはいかない。
 窒息と嘔吐感から、薪は青くなっている。可哀相だがここまできたら、青木のほうも止まらない。
 射精の瞬間、手を放す。
 あんなものを飲ますのは忍びない。薪のものは平気で飲む青木だが、それだって美味いものではない。
 
 青木の手から解放されても、薪はそこから動かなかった。飲み込もうとしてくれているらしい。多分、それは彼の愛情の証。しかし、今度は派手に咳き込んだ。結局は大半が手のひらに出てしまって、目の当たりにしてしまったら、汚くてとても口にはできない。
「ありがとうございました。すごく気持ちよかったです」
 青木がティッシュを差し出すと、薪はぎゅっと目をつむって、自分の手のひらを舐めた。苦い粉薬を水なしで飲んでいるような顔をして、ううう、と呻く。青い顔をして、やっぱり洗面器が必要かもしれない。

「ムリしなくていいです。オレだって自分のは飲めません」
 小さな手のひらに残った自分の白濁を、ティッシュで拭ってやる。立ち上がってそれをゴミ箱に捨てた。
「最初のよりも薄かったでしょう? これでオレの無実は証明されましたよね」
 振り返ると、薪は未だ青い顔で床に座っている。気持ちを落ち着けようとしてか、何度か深呼吸をしている。
 ティッシュで口元を拭いて立ち上がる。それから昂然と頭を上げた。

「証拠はもうない」
「はい?」
「最初のは僕のゲロと一緒に下水道に流れてしまったし、2回目のは僕の胃袋の中だ。つまり、物証を提示するのは不可能だ」
「薪さん自身が証人じゃないですか」
「男なら、自分の無実を他人に証明してもらおうなんて思うな」
 また薪が勝手なことを言っている。青木の言い分を認めてくれる気など、最初からなかったのかもしれない。

 青木が困った顔をしていると、薪はクスリと笑ってバスローブを床に落とした。
 眩しいくらいの白い裸体が現れる。薪のこの姿を見るのは1月ぶりだ。視覚だけでも、いま放ったばかりの下腹部がずくりと熱を持つのが分かる。
 薪はベッドに座って足を組んだ。優雅に両手を広げて、青木に妖艶な笑みを送る。

「僕のことがどれだけ欲しかったか、僕をどれだけ愛しているか。おまえの身をもって証明してみろ」
 上から目線の高飛車な口調。果てしなく高慢で、限りなく生意気だ。
 こんなふうに恋人をベッドに誘えるのは、世の中広しと雖もこのひとだけだ。ましてや、こんなセリフを可愛らしいと思わせることができるのは。

「了解です」
 身の潔白を証明するため、青木は張り切って検察側に挑んだ。



*****



 2時間後。
 掠れたアルトの声が、何度目かの悲鳴を上げていた。
「わ、わかった! もう充分わかったから、やめてくれ!」
「オレの愛はこんなもんじゃないです」
「カンベンしてくれ! 僕が悪かった!」
「ダメです。今日は朝まで寝かせません」
「ムリ! もう、○×△~~~!!」(←言葉にならない)
 3度目の絶頂を迎えたあと、薪は意識を失った。
 いつもの墜落睡眠だ。疲れたらしい。

 死んだように眠る美貌にそっとくちづけて、青木は笑みを洩らす。そして、どこかで聞いた有名な探偵の決め台詞をひと言。
「―――― QED」


 ―了―


(2009.7) また1年も前か~。(^^;



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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No title

しづ様

こんにちは

タイトルを見たとき、何の証明をするのかしらと思ったのですが、浮気をしていない証明でしたか。
アレの濃度でなんて、すごい証明の仕方ですね。おそれ入りました。
片思いのうちは薪さんの睫でヌイていた青木クンも、本番を経験したら1か月と辛抱ならないんですね。
薪さんの都合に振り回されておあずけを喰わされてばかりの青木クンも気の毒ですが…女性と結婚したら、奥さんが妊娠中、ピンクのお風呂屋さんに走るんじゃ…。(コラコラ)

しづ様の事業所の飲み会のお話もウケました。
なぜか、むかーし、建築業を営む同窓生が、トラックからは車の中でエッチしているのが丸見え~なんて話していたのを思い出してしまいました。
このコメント、カギにしたほうがいいかしら…Aサイトだそうですから大丈夫ですよね。(笑)

次のお話も、謎めいたタイトルですね。
何のサインかしら。楽しみです。

また現場に出られるそうですね。
門外漢が言うことじゃないかもしれませんが、熱中症とか酸欠とか、気をつけてくださいね。
昨日ほんの数分バス待ちをしていただけで干上がりそうになったサンショウウオでした。

サンショウウオさんへ

サンショウウオさん、いらっしゃいませ♪


> タイトルを見たとき、何の証明をするのかしらと思ったのですが、浮気をしていない証明でしたか。
> アレの濃度でなんて、すごい証明の仕方ですね。おそれ入りました。

ふふふ、警察官ですから、物的証拠がないと身内ですら信じられない人種ですから(←偏見)


> 片思いのうちは薪さんの睫でヌイていた青木クンも、本番を経験したら1か月と辛抱ならないんですね。
> 薪さんの都合に振り回されておあずけを喰わされてばかりの青木クンも気の毒ですが…女性と結婚したら、奥さんが妊娠中、ピンクのお風呂屋さんに走るんじゃ…。(コラコラ)

知らないうちは良くても、知ってしまったら、という感じでしょうか?

うちの青木くんはケダモノなので、いかにもソッコーで走りそうですが(笑)
それはありえません、何故かというと、好きな人以外には役に立たない設定ですから☆

彼は精神的なつながりも大事にする人なので、多分、普段から最後までできなくても甘い言葉やキスやそこそこのふれあいがあれば大丈夫だと思います。
でも、うちの薪さんの場合はそのカケラもないので~、きっと寂しくって我慢できなくなっちゃったんですよ(^^;

> しづ様の事業所の飲み会のお話もウケました。

お恥ずかしい・・・・・・・ほんっと、うちの会社ってバカばっかで・・・・・


> なぜか、むかーし、建築業を営む同窓生が、トラックからは車の中でエッチしているのが丸見え~なんて話していたのを思い出してしまいました。
> このコメント、カギにしたほうがいいかしら…Aサイトだそうですから大丈夫ですよね。(笑)

トラックは運転席が高いところにあるので、普通車の車内が見えるんでしょうね(笑)
10t車の助手席の眺めはいいですよ! 観光バスみたいです。


> 次のお話も、謎めいたタイトルですね。
> 何のサインかしら。楽しみです。

コテコテのRになるはずだったんですけど、書いてみたらギャグになっちゃいました。
予定通りに書けた試しがありません☆


> また現場に出られるそうですね。
> 門外漢が言うことじゃないかもしれませんが、熱中症とか酸欠とか、気をつけてくださいね。
> 昨日ほんの数分バス待ちをしていただけで干上がりそうになったサンショウウオでした。

ありがとうございます~。
夏の現場はあまり慣れていないので、自分でも不安ですが、熱中症には気をつけます。
残暑厳しいですからね、サンショウウオさんもご自愛くださいね~(^^
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

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10万拍手ありがとうございます!
いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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