サインβ(3)

 こんにちは。

 今日は人間ドックなのですよ。
 イヤだなあ、バリウム嫌いなんですよね。(^^;

 
 え、胃を診てもらうより頭の中を診てもらえ?
 ……ごもっとも。




 ここからRです~。
 申し訳ありませんが、18歳未満の方はご遠慮くださいm(_ _)m




サインβ(3)








 バスタブにゆっくりと浸かって、青木は洗い場にいる恋人の姿を見ている。彼は青木の視線に萎縮しつつも、豊かに泡立ったボディタオルで身体中をくまなく洗っている。すごくいい眺めだ。
 と、白く滑らかな胸を擦っていた手が止まり、薪の顔がゆっくりと青木のほうを向いた。少し困ったような、このひとにしてはひどく珍しい表情。

「青木。3分でいいから、あっち向いててくれないか」
「どうしてですか?」
 青木が首を傾げるのに薪は答えず、頬を赤くして浴室のタイルに目を落とした。その様子にピンと来るものがあった青木は、薪らしい気遣いと恥じらいに、一層彼を愛おしいと思い、この可憐な生き物の一番かわいい姿を見たいという欲求を抑えられなくなる。

「オレがキレイにしてあげますよ」
「いい! 自分でやる!」
 最後まで言い終わらぬうちに語尾に被せられた薪の拒絶は、その早さと強さでもって青木の推測が当たっていたことを証明する。人前で局部を洗う行為は、羞恥心の強い薪にはかなり恥ずかしいのだ。

 青木は湯船から上がると、薪の後ろに片膝をついた。泡だらけの細い肩を両手で拘束し、やはり泡のついた耳元で、そうっと囁いた。
「遠慮しないで」
「遠慮なんかしてない、純粋に嫌がって、は、放せっ!」
 バスチェアに座った薪を後ろから抱き、足の間に手を伸ばす。腹や内股についている泡を集めて、その部分に揉みこんだ。
 放せ、と叫ぶが、薪の抵抗は本気じゃない。その証拠に、青木の手を払おうとしない。ここにふたりで入った時点で、こうなることは薪だって承知していたはずだ。だからあんなに赤い顔をしていたのだ。あのお堅い薪が、浴室での前戯を許してくれるなんて。やっぱりたまにはケンカも必要だな、などと不届きなことを考えてしまう。

 青木の手が薪の分身をまさぐりだすと、薪の本体は青木の腕の中で身を固くした。洗浄にかこつけた執拗な手に反応し始めている自分を自覚して、ぎゅっと目をつむる。
「薪さん。もうちょっと足を広げてもらわないと、よく洗えないんですけど」
 正面の鏡に、男の愛撫を受ける自分の姿が映っている。それを見たくないという気持ちも働いているのだろう。顔を横に背け、眼は固く閉じたまま、それでも薪は素直に足を開いた。

 曇り止め加工が施された鏡面に、刺激的な画像が映る。泡だらけの白い肢体が、後ろから男の腕に抱かれている。男の片手は胸の辺りに、もう片方は足の間に差し込まれ、もぞもぞと動いている。
 男の手がリズミカルに動くたびに、薪の身体はぴくりと跳ねる。くちびるを噛み締めて横を向いているせいで、首筋から鎖骨に伸びる筋がぴんと張って、ゾクゾクするほど色っぽい。はしたなく広げられた太ももと、男の指に弄られて色づいた欲望が、白い泡の間から薄紅色を覗かせている。

 鏡に映る恋人の痴態は、青木の雄を一気に張り詰めさせる。こんなものを見せられたら、それだけで達してしまいそうだ。
 男は視覚刺激に弱い生き物だ。その気がなくても、女性の裸を見せられれば瞬時に欲求が沸き起こる。愛してもいない女性や初対面の風俗嬢と簡単にセックスできるのは、この単純なシステムのおかげだ。
 ムードや心のつながりを重視したがる女性には理解しがたい現象だが、これは男性が女性より道徳的に低俗だとか動物に近いというわけではなく、脳細胞の違いによるものだ。男性の視床下部に詰め込まれた異性に対する欲望を喚起する細胞は、女性の倍もある。異性を見た瞬間に性的な欲望を感じる力は、男のほうが格段に強いのだ。

「薪さん、すっごく綺麗です……色っぽい……」
 殴られるのを覚悟で青木がそう呟き、自分の昂ぶりを薪の背中に押し付けると、亜麻色の前髪の下で長い睫毛がほんの少し、動いた。刹那、青木の左手の下で薪の心臓が鼓動を強め、右の手のひらの中の薪がぐんと硬さを増した。
「ん……あ、あ、やあ、っ……」 

 薪は急に善がり始めた。
 与えられる刺激は先ほどまでと変わらないはずなのに、それは快感の蓄積によるものか、それとも。
 鏡を見て、青木と同じように興奮したのか。

 薪は恥ずかしがり屋だから、明かりの下での行為を嫌がる。部屋を暗くすれば比較的素直に応じてくれるし、薪も感じやすくなるみたいだから、彼がわずかな苦痛で青木を受け入れられるようになってからは、ずっとそうしてきたけれど。
 実際はどうなのだろう? 薪は明るいところでは羞恥心に邪魔されて、快楽に耽ることができないと思っていたが、果たしてその見解は正しかったのだろうか。
 
 なおもチラチラと鏡を盗み見ている薪に気付いて、青木はこれまでの閨の習慣に疑問を持った。
 薪だって、男だ。視覚刺激に敏感な男の特性を持っているはず。
「薪さん。目を開けて。ちゃんと見てください」
 愛撫の手を止めずに青木が促すと、薪は夢中でかぶりを振った。予想通りの反応だが、青木の手を振り払うことはしない。ならばもう少し、推してみようか。

「どうしてですか?」
「そんなもの、平気で見られるおまえの方がおかしい」
「そんなものって言い方はないんじゃないですか? オレが世界一きれいだと思ってるオブジェなのに」
 自信を持って世界一の評価を下した美しい肢体を、青木はやさしく撫でる。きめ細かな泡に包まれた、真珠のような肌の輝き。これを美しいと思わない人間なんか、いるわけがない。もちろん、他人に見せる気はないが。

「オレの腕の中で乱れるあなたは、最高にきれい」
「前々から言おうと思ってたんだけど。おまえ、美的感覚おかしい。キレイなわけないだろ、男同士の絡みなんて」
 吐き捨てる口調で薪は言い、何事か想像したらしく、吐き気がすると言いたげに口元を押さえた。
「見もしないで、決め付けないでくださいよ」
「見なくたってわかる。てか、ネットで見たことあるし。グロくて、気持ち悪くなった」
「オレもあります。マジで吐きました、胃が空になるまで。もう二度と見たくないです」
「それを知ってて僕に見ろって言うのか」
 
 脇の下に手を入れて、薪の身体を椅子から浮かせ、自分の膝の上に座らせる。華奢な背中にぴったりと自分の前半身を押し付けると、青木の熱を感じた薪の四肢が強張った。反射的に閉じようとする細い膝を、内股に掛けた両手で防ぐ。青木が軽く外側に向かって力を込めると、薪は観念したように足を開いた。

「ええ。薪さんは、あんなのとはまるで違いますから」
「同じだ。おまえの目がおかしいんだ。惚れた欲目ってやつだ」
「薪さんの方が色眼鏡で見てるんだと思いますけど」
「のぼせ上がってるうちは、わからな、っ……」
 尚も反論しようとした薪の言葉は、途中で途切れた。再び足の付け根で遊びだした青木の手が、薪の呼吸を乱したせいだ。
 敏感な部分を集中的に弄る狡猾な指先に、抵抗する手立てもなく薪は翻弄される。唯一彼に許された反抗は、くちびるを噛んで声を殺すことだけだった。




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
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60Pを超えました(笑)
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7/20 推敲の結果、70Pになりました。←バカじゃないの。
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