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 すみませんすみませんっ、最後ですからっ。

 Rです、きついです。
 18歳未満の方と苦手な方はご遠慮願います。





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「薪さん、見て。見たら、もっとよくなるから」

 そんな誘惑を彼の耳に吹き込むと、薪は素直に目を開けた。熱に浮かされたような、いっそ薬物患者のような虚ろな瞳で、鏡面に映る自分の姿を見つめる。
「見えます?」
 表情はそのままだったが、薪のからだの反応は笑ってしまうくらい正直だった。見る見るうちに張り詰めた矛先は上方を指し、その身を薄紅色から濃いピンク色に染め替えた。後方に加えられる刺激以外は何もない状態で、それでも先端から溢れてくる快楽の証。

「オレたち、ちゃんとつながってるでしょう?」
 こくり、と細い首が縦に振られる。頭に血が昇っているのか、顔も首も真っ赤だ。
「恥ずかしい? でも、興奮するでしょう?」
 こくこくと頷きを返す薪のくちびるから、赤い舌先が覗いている。くうんと子犬が鳴くような、鼻にかかった甘ったるい響きが、口端から唾液と一緒に零れ落ちてくる。
「愛してますよ、薪さん」
 熱い息と共に彼の耳に愛の言葉を吹き込めば、はあん、とAV女優顔負けのはしたない嬌声を洩らす。理性も羞恥心も失くしたらしい。

 そんな恋人の姿に含み笑いをし、現実の薪から鏡面の彼へと視線を移して、青木はぎょっとする。
 薪の首に顔を埋めるようにして舌を這わせる青木の顔は、自分で見ても薪の昔の恋人に瓜二つだ。こんなふうに、前髪が額を覆った髪形で眼鏡を外してしまうと、切れ長の目といい頬のラインといい、本当に良く似ている。
薪もきっと同じことを考えている、と青木は思い、ひやりと心の底が冷えるのを感じるが、自分はもう逃げないと決めた。

「……す……きぃっ」

 途切れ途切れに繰り返される男の名前を予感して、それはとても悲しいことだったが、大丈夫、覚悟はできている。薪が自分の中にかれを見ているなら、かれになって薪を愛してやるまでだ。それが自分の愛し方だ。
 青木は腰を動かして薪の中を探り、彼が一番感じる場所を見つける。先端の膨らみがそこに当たるように角度を合わせ、やさしく擦りあげる。薪の声がますます高くなり、びくんびくんと下肢が引き攣る。堪らずかぶりを振る薪の顔から、流れた汗が空に散った。

 うわ言に混ざる名前が誰だろうと、薪が悦んでくれるならそれでいい。大事なのは薪の悦び、この際他のことはどうでもいい。
 まだ自分に言い聞かせている部分は大きいが、そのうち心からそう思えるように―――――。

「あおきっ……!」
 はい?
 あれ、今、鈴木さんの名前呼んでませんでした?

「青木、あお、あああっ!」
 薪の脳内で、今の状況はどうなっているのだろう。まさか3P!?
「薪さん?」

「す、すきっ、青木が好き、大好き、だいすっ、あ、あ、あ!」
 ……まぎらわしい!!!

 心の中で突っ込むと同時に、またもや理性が飛んだ。即座に青木をのっとったのは、もちろん例の野獣だ。
 青木の足の間で身悶える恋人の腰を摑み、前方へ倒す。前につんのめりそうになって、薪は慌てて両手を床についた。彼の背後から被さる形になって、両手で捕らえた薪の腰を大きく前後に動かす。
「ひ! あ、あああっ!!」
 薪の悲鳴が聞こえるが、一旦、暴走し始めたかれを止めるのは至難の業だ。だって、薪の口から「好きだ」なんて言われたら。青木の中はもう、ケダモノ君一色だ。

 青木の心の片隅で、ごめんなさい、少し我慢してください、と理性が詫びを入れるが、それが言葉になることはなく。青木の口から洩れるのは、押し殺した呻きと荒い息遣い、そして。
「薪さんっ、オレもです、大好きですっ!」
「うんっ、うん、僕もっ、ああああ!!」
 激しさを増す抽挿音と肉を打つ音が狭い浴室の壁に反響して、ふたりを追い詰める。おかしくなりそうだ、と青木は思い、きっとこんな快楽はこの世のどこにもないと確信する。このひと以外では味わえない、貴重な秘密の果実。

 渾身の力で薪の身体を抱きしめて、青木は解放のときを迎える。思い切り深く打ち込んで、イク、と思った瞬間、信じられない強さで薪のそこが締まった。
「―――っ、痛ったい!!」
 根元をぎりぎりと締められて、射精ができない。締め付けもここまでくると、快楽よりも痛みの方が強い。
「ちょっ、薪さん、緩めてくださ、いたたた!!」
「ああああ―――――ッ!!」
 青木の抗議を掻き消して、浴室に大きく響いた薪の声。ひくん、と身体が反り返ったかと思うと、青木を包んでいた肉が激しく痙攣した。この内壁の動きと薪の反応は知っている。青木の指をバックに受けて、青木の口中に熱を吐くときの彼だ。
 
 薪の痙攣に引き摺られるように、青木は彼の中に精を放つ。断続的な解放の間にも薪の腰はびくびくと動き、内部はうねるような収縮を繰り返す。根こそぎ吸い取られそうだ。
 気が遠くなりそうな快感の中、青木の理性が疑問符を浮かべる。今青木は薪の雄には触らなかった。薪の手も、ずっと床で自分の身体を支えていたはずだ。薪はバックだけでイッたことはない、じゃあ、やっぱり鈴木さんが出てきて3P、ってそんな馬鹿な。

「初めてですね、薪さん」
 そっと薪の中から自分を引き抜き、床に突っ伏すように四つん這いになっている彼の後姿に声を掛ける。今の今まで青木に激しく貫かれていたそこは、入っていたものの質量を物語るカタチに緩んで、とろりとした白濁を滴らせている。
 薪のこんなしどけない姿を見るのは初めてかもしれない。匂いに敏感な薪は、男の汗も精液の臭いも大嫌いだ。情事の後はきっちりとシーツを身体に巻いて、即行でシャワーを浴びに行くのがいつもの彼だ。
 でも今日は、乱れたままの姿で。きっと快楽の余韻が強すぎて、正気に返ってこれないのだろう。

「後ろだけでイッたの、初めてですよね」
 薪が呆然としているのをいいことに、青木は普段は許してもらえない奉仕を始める。弱めのシャワーを割れ目に当てて、中に指を入れ、自分が注ぎ込んだ愛情の結露を洗い流す。薪が元気なときにこれをすると100%蹴り飛ばされるのだが、今日は大丈夫のようだ。
「オレ、すっごくうれしいです」
 後ろから抱き上げ、身体をこちらに向かせる。胡坐の上に横抱きにして、ぎゅ、と彼を抱きしめた。30分ほど前に洗ったばかりの薪の身体からは、ボディーソープの匂いではなく、彼の清冽な体臭が香る。

 青木の腕に抱かれたまま、薪は身動き一つしない。そんなに善かったのか、と蕩けた表情を期待して薪の顔を覗き込むと、薪は何やら思い詰めたような表情をしている。快感の余韻に浸っている顔ではない。

「なんでそんな絶望的な顔になってるんですか?」
「……普通の男の子に戻れなくなったような気がする」
「はあ?」
 薪の考えることは、相変わらずよく分からない青木だった。



*****

 やっと終わった~、恥ずかしかったです~~。(//_//)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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