ロジックゲーム(2)

 最近、過去作品に拍手をありがとうございました。
 バラバラの作品だったので複数の方だと思うのですが、どうもありがとうございます。
 拍手とコメントは、ブロガーの栄養剤でございます。 特にコメントはうれしいです、お喋り大好きなので。 そのくせ、絡みづらいお話ばっかりで~~、すみません。(^^;







ロジックゲーム(2)






 郵便物を満載したワゴンを押して、今年の庶務課の新人が朝の第九を訪れた。
 彼と二言三言、朝の挨拶とおまけの会話を交わし、青木は受け取った封書の束を確認する。その中の一つ、室長宛に届いた人事部からの親展の文字に、どきりと心臓を竦み上がらせた。

 今日は9月の第一月曜日。
 そろそろ来る頃だと思っていた。自分の努力に対する結果が、ここには記載されているのだ。それは二つに一つ。努力賞はない。つまり、試験の合否通知だ。

 試験の結果を一番最初に知るのは、受験者ではなく、彼らの直属の上司だ。結果通知はまとめて部署の責任者に届き、当該者に通知されることになる。
 人事部は、どうして本人に結果通知を送ってくれないのだろう。室長に知られる前に、心の準備をしたいのに。
 咄嗟に内容を確認したい欲求と、そっとシュレッター行の箱に紛れさせたい誘惑に駆られて、青木の動きが止まる。
 他人宛の郵便物を覗くなんてさもしい真似はしたことがないが、今回ばかりは宛名の人物よりも先に内容を知りたい。そんな思いから、青木は蛍光灯の明かりに封書をかざしてみた。

「人事部の封筒は二重だって、前にも言っただろ。学習しないやつだな」
 ぎくっと190センチの長身が強張る。恐る恐る振り向いて、青木は執務室の入り口に涼やかに佇んでいる人影に気付いた。
「おはようございます、室長」
「おはよう」
 平静を装って挨拶を交わしつつも、青木の胸は高鳴っている。それは自分が手紙の中身を透かして見ようとしていたところを上司に見つかってしまったという焦りからではなく、今日も彼の元気な姿を目にすることができたことの喜び。毎朝こうして彼に会うたびに、心が騒ぐのを止められない。

 不思議なものだと青木は思う。
 彼は自分の上司で、職場で毎日顔を合わせている。しかもプライベイトでは自分の恋人。他の誰よりも長い時間を彼と共有しているはずなのに、一日の始まりに彼の顔を見る、ただそれだけのことに、こんなにときめくなんて。薪の言うとおり、自分には学習機能がないのかもしれない。

 薪は青木の手からさっと封書を掠め取り、躊躇なく封を切ろうとした。慌てて青木は、一時の猶予を申し出る。
「待ってください、室長。心の準備をさせてください」
「そんなもの、してもしなくても通知結果は変わらないぞ」
「1分でいいですから。お願いします」
「じゃあ、これは室長室で開けることにする。昼飯の直前に結果を教えてやるから、3時間ばかり神さまに祈ってろ」
「……それって生殺しじゃ」
 相変わらず、薪は意地悪だ。

「それが嫌なら覚悟決めろ。男だろ」
 下方から上方にいる相手を見下す、という器用な目線を青木にくれる上司の姿に、青木は困り果てる。
 薪がニヤニヤと意地悪そうに笑う、それは彼の心が元気な証拠だから青木にとっては歓迎すべきことなのだが、今回はさすがにその余裕がない。青木には後がないのだ。

「分かりました。結果を教えてください」
 細い首が縦に振られ、優雅な指先がペーパーナイフで封を切った。中の紙が取り出され、それを見た亜麻色の瞳が、ゆっくりと瞬いた。


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Mさまへ

Mさま、いらっしゃいませ~!

>こんばんは!相変わらず意地悪な薪さんが素敵です♪(笑)

意地悪は、薪さんの魅力のひとつですよね(^^
昔の薪さんが、物分りのよい上司(愛想笑いつき)でストレスを溜めまくってたことを思うと、彼の意地悪は彼が心のままに生きていることの現れのような気がして。 
だから、意地悪な薪さんを書くのは楽しいんです。


>でも本当に合格の見込みがないんだったらこんな意地悪はしないだろうから、きっと心の中では「よく頑張ったな」って思ってるんでしょうね☆

あ、バレてる。
もう心の中では、さすが僕の青木、と世界中に向かって自慢したい状態でして。
もう少し先に、そんなシーンもあったりします。 てへ。


>気のおけない間柄だからこそできる、そういう日常的な優しい時間が流れてる雰囲気にホッとします。(原作が今アレなだけに・・・悲)

あー、よかった、根底の部分を分かっていただけて。
うちのふたり、表面上は辛口もいいとこなので~、「既に冷めている」なんて報告されちゃうくらいですから★

原作は本当にねえ・・・・・・
あ、だけど、たしかに起きている事件は惨いんですけど、だからこそ、ふたりの絆はしっかりとそこにある、と浮き彫りにされていくようで。
それだけが救いです。


>朝、薪さんの姿を見てときめく青木君にきゅんとしちゃいました♪(いいねいいね~恋してるって感じで☆)

でしょでしょ(>∇<)
恋って、時間が経つにしたがって落ち着いていくものだと思うのですが。
このふたりに関しては、落ち着く気配も見せず・・・・だって、薪さんだもんっ! 相手が薪さんだったら、何年経っても落ち着かないよね!


わたしの仕事と、体調も気遣ってくださって、ありがとうございます(^^
それと、
きゃー、覚えててくださったんですね! 感動です! うれしい♪♪♪

ふふ、実は今日、恋人(女)(親友とも言う)とお義母さんとオットからプレゼントをもらいまして~。 明日はちょっとその記事を上げようかな、と思ってます。
Mさまも、あと××日ですよね。 ちゃんと覚えてますよ~。
間近になったら、ブログへお祝いに伺いますね。

ありがとうございました(^^
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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
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