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ロジックゲーム(4)

 こんにちは~。

 前回の記事に、たくさんのお祝いコメントありがとうございましたっ!(嬉)
 また、初めてコメをくださった方々、過去作から読んできてくださったとのお話、とっても嬉しかったです!
 なのに、コメレス遅れててすみません。(←罰当たり(><)

 12月9日及び10日に下水道の検査がありまして、その準備に入ってます。 
 なので、こちらの記事以降、10日まではブログはお休みということで、
 誠に申し訳ありませんが、コメレスも、それまでお待ちいただけると、
 すいませんっ、不義理ですみません、どうか見放さないでください。(平謝)






ロジックゲーム(4)





「なんだ、その行き当たりばったりな捜査計画は。そんなんでホシが挙がるか、バカ」
 日曜日の昼。昼食のオムライスを作りながら、薪は厳しく言った。

「何故犯人は、この廃屋に被害者を呼び出したんだ? なにか所縁があったのかもしれないし、土地勘があったのかもしれない。建物のことも調べるよう、指示をしないと」
 軽快な音を立てて玉ねぎを刻みながら、薪は青木の解答の不備項目をチェックする。喋りながらも手は止まらず、料理はスムーズに進む。
「この日は午後から雨が降り出したんだったな? 犯行時刻が夕方なら、犯人が雨具を途中で調達した可能性も考えられる。犯人にしてみれば不本意だったろうけど、ずぶ濡れで歩いていたらよけい人目につくから――――― 付近のコンビニや商店の聞き込みで、雨具を買った人物をチェックする。雨が絡む現場では当たり前のことだ。
 それと、遺体の近くに被害者以外の血液がついていないか、調べるように指示したか? 何故って、犯人の血液が残ってるかもしれないだろ。初めは殺す気がなかったとするおまえの推理が正しいなら、切断には廃屋にあった刃物を使用したかもしれない。何年も放置されて錆付いた刃物で、慣れない作業を異常な精神状態で行ったんだぞ。怪我のひとつもしそうなものじゃないか。
 現実の捜査では鑑識の仕事かもしれないが、これは試験だぞ。及第点を狙うなら、そういうところにも言及しなきゃ駄目だ」

 フライパンが器用に返されて、チキンライスが宙を舞う。カラリと仕上がったチキンライスを周りに寄せて中心にケチャップを入れる。こうしてケチャップの水分を飛ばすのが薪流だ。
「被害者の身元だが、手術痕と骨折痕は調べたのか? 身体的な特徴についての調査の指示は? それから」
 薪の指摘事項が増えるにつれ、青木は目の前が真っ暗になってきた。いくつもの捜査項目について確認されたが、その殆どが不完全だった。自分のミスにも気付かない、一番ダメなパターンだ。
 
 チキンライスを皿に盛り付けて形を整え、薪はにこりと笑った。
「結果が楽しみだな? 青木」

 人からすべての希望を奪っておいて、この嬉しそうな表情。意地悪の試験があったら、間違いなく薪はトップで……いや、他の試験でも同じか。警視長の昇格試験も当たり前みたいにトップ通過だったし。
「いい経験になっただろ。選抜は毎年やってるから、また来年頑張れ」
 再びフライパンを加熱して、青木が溶いておいた卵を入れると、プロ顔負けの手つきで手早く丸め、薪はこともなげに言った。

 合否通知も来ていないのに来年の話をされて、さすがの青木も腹を立てる。薪の眼からすれば落第かもしれないが、試験官の所見は異なるかもしれない。
「まだ落ちたって決まったわけじゃないでしょう」
「ムリムリ。僕が試験官なら絶対に落としてる」
「じゃあ、もしも合格してたらどうします?」
 薪はちょっと考えて、
「人参抜きのオムライスを作ってやる」

 フライパンを軽く揺すり、チキンライスの上にトロトロのオムレツを載せて、薪は意地悪そうに笑う。
「その代わり、落ちたら別れるからな」
 それから青木の方に向き直り、下方から上目遣いにめちゃめちゃ可愛い顔で彼を覗き込んで、
「僕を抱けるのも、あと何回かな?」
「もう! なんでそんなに意地悪なんですかっ」
 薪の冗談はシュールすぎて、青木には笑えない。青木が怒ると、薪はアハハと声を立てて笑った。

 その晩は意地悪のお返しに、薪が泣くまで攻め立ててやったが、青木の気は晴れなかった。
 薪といると、自分の能力の低さをまざまざと実感させられる。身長以外で薪より上回るものなんか、自分には何もない。あの薪がこんな自分と1年以上も恋人関係でいてくれる、そのことが不思議に思えてきた。
 せめて幹部候補生選抜に残ることができたら、薪の恋人として胸を張れるのに。たとえ秘密の恋人でも、彼に相応しい男に一歩近付けたと思えるのに。
 
 そんな理由から、薪にダメ出しをされても、青木は一縷の希望にすがりたかった。青木を担当した試験官は薪ほど点が辛くないかも、という何とも情けない望みだったが、結果待ちの身として、他にどんな時間の過ごし方があっただろうか。
 ずっと頭の隅にあった不安の種、その結果が今判明する。果たして、タネは花開くのか、それとも芽吹くことなく朽ちてしまったのか。
 ゆっくり瞬きした後、薪は大きなため息をついた。

「まったく、嘆かわしい限りだ」
 ――――― ああ、やっぱりダメだったか。

 薪の憤懣たる態度に青木は肩を落とし、すみませんと頭を下げた。
「薪さんの期待に応えられず、申し訳ありません。また来年頑張りますから、どうか今回だけは」
 すっと目の前に突き出されたA4サイズの事務用箋、そこに記された文字に青木の言葉が止まる。受験者欄に自分の名前と、合格の文字。順位欄には2という数字が書いてあった。
「どうなってんだ、あの程度の解答で合格なんて。しかも次席? 今年の受験者は、よほど程度が低いのか? こんな連中が幹部になったら警察の未来は真っ暗、うおっ!?」
 きれいな顔で毒のある言葉を吐く可憐な生き物を、青木は思わず抱きしめていた。

「こ、こら! 職場だぞ、誰か来たらどうするんだっ」
 小さいながらも鋭い薪の叱責が終わらぬうちに、
「何やってんだ、青木」
 後ろから声をかけられて、ふたりは飛び上がった。
「あ、宇野さん。おはようございます、ステキな朝ですねっ!」
 青木はパッと薪から離れると、今度は宇野に抱きついた。

「ななな、なんだ!?」
「通りました、二次試験!」
「おお、そうか。良かったな!」
 ぽんぽんと青木の大きな背中を叩き、宇野は素直に後輩の快挙を喜ぶ。けっこう皮肉屋で毒舌家の宇野だが、薪に比べればまだまだ甘い。
 ありがとうございます、と礼を言いながら、青木は薪から受け取った合格通知を大事に胸ポケットにしまいこんだ。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Cさまへ

Cさま、こんにちは~。

表現の仕方を褒めていただいて、恐縮です(〃∇〃)
どんな言葉も薪さんの魅力を表すには足りなくて、いつも言葉を探しています。

『泣くまで』 は、
そうですね(^^;
すごいことなのに、いつの間にか当たり前になっちゃってて(笑)

まあ、人間てのはもともと幸せに鈍感で、特別なことにもすぐに慣れちゃう生物なんですけどね。 
そのときはありがたくて、この感激を一生忘れない、と思っても、2,3ヶ月も経てば薄れちゃったりしてね★
だから時々は、ふたりの間に波風を立てて、互いの大切さを再認識する必要があるんですよ! (←むりくり自己正当化)

鋭い突っ込みありがとうございました(笑)
またお越しくださいませ(^^
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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