ロジックゲーム(9)

 お知らせです。

 新しいサイトさまをリンクさせていただきました。
『擒』(とりこ)という素敵なイラストサイトです。
『秘密』世界のメインはアツアツのすずまきさんです。
 ぜひ、リンクからどうぞ(^^

 
 うちのブログがAサイトになってから、リンクは遠慮してたんですけど~、(相手のブログさまに申し訳ないので)
えあこ様が快く承諾してくださいまして、相互リンクを張らせていただきました。

 えあこ様、ありがとうございました。(^^


 えあこ様の絵柄はキレイ系だと思うのですけど、わたしの目にはえあこ様の描かれる薪さんも鈴木さんも、非常に可愛らしく映ります。 
 なんかね、お互い一生懸命に相手のことが好きなんだな~、って。 
 そして、ギャグがドツボです(笑)
 みぎゃー!(笑笑)
 R系のギャグって楽しいですよね~~♪






ロジックゲーム(9)





 青木がその少年と知り合ったのは、10月も半ばを過ぎた肌寒い夜のことだった。
 
 スケジュール表の空白がやるせない土曜の夜、久しぶりに大学時代の悪友たちと飲んで、二次会のカラオケボックスに行く途中、青木の警察官の耳が本能的にその叫びを捉えた。
「泥棒っ!」
 声がした方向を振り向くと、まだ高校生くらいの少年から、リュックをひったくって逃げる男の姿が見えた。男はこちらに走ってくる。咄嗟のことに周りの友人たちが呆気に取られる中、訓練を積んだ青木の身体は自然に動き、盗品を抱えた男の身体を路上に押さえつけていた。

 腕をねじり上げ、リュックを取り上げる。男はどうやら浮浪者のようで、薄汚れた衣服と、ぼうぼうに伸びた埃まみれの髪と髭が見苦しかった。
 こちらに走ってきた被害者の男の子にリュックを返し、さて、どうしたものかと押さえつけた窃盗犯を見やる。ちょうどそこにパトロール中の巡査が通りかかり、渡りに船とばかりに青木は彼に犯人を引き渡した。
「ご協力、ありがとうございました」と敬礼する巡査に自分の身分は明かさず、あくまで一市民として対応する。巡査が差し出した手帳に書いたのは住所と名前のみ。ここで身分証を提示して、彼に余計な気を使わせるのは可哀相だと思った。

「あの、ありがとうございました」
 リュックを抱いた少年が、ぺこりと頭を下げた。色白で、とても綺麗な子だった。
 少し垂れ気味の、潤んだような瞳が印象的だった。周りを縁取る睫毛は濃く、女のように美しくカーブしていた。形の良い鼻と、ふっくらした唇。幼い顔立ちは、夜の華やかな明かりの中では妙にコケティッシュに見える。
「きみ、いくつ? 高校生じゃないの?こんな時間にこんな場所で何をしてるの。ご両親、心配してるよ」
 ついついお節介を焼いてしまうのは、職業病か、生まれ持った性格か。
 青木が尋ねると、少年は決まり悪そうに俯き、小さく唇を突き出した。前髪に隠れた細い眉毛が下がり、長い睫毛が伏せられる。11時過ぎに繁華街を歩いていても、不良少年というわけではないらしい。反抗的でもないし、乱暴な言葉を吐くでもない。

「早く家に帰りなさ、痛ってっ!!」
 いきなり後ろから背中を叩かれて、青木は振り返った。遅れて追いついてきた悪友たちの仕業だった。
「おお~! やるじゃん、青木」
「へえ。あのトロかったおまえがねえ」
「そうそう、テニスの試合のときにさ、おまえってば器用にもネットに絡まって」
 それを皮切りに、友人たちは大学時代の青木の失敗を次々と喋りだした。昔は武道の心得もなく、なまった身体のせいでスポーツは全般的に不得手だった。
「昔のことはいいだろ」
 彼らの話を聞いて、少年がクスッと笑ったのを見て、青木は悪友たちのお喋りを止めた。引ったくりからバックを取り返してやって、せっかく尊敬されていたのに。これ以上ボロが出ると、お説教の効き目が悪くなる。

「じゃあ、オレはこの子を家まで送っていくから」
「え? カラオケは?」
「仕方ないだろ。高校生をこんなところに置いていけないよ。おまえらみたいなタチの悪い酔っ払いに絡まれないとも限らないし。後で合流するから、先に行っててくれよ」
 悪友たちを追いやると、青木は少年の方へ向き直った。

「さて、送っていくよ。家はどこだい?」
 それには答えず、少年はじいっと青木を見つめていた。
「大丈夫。怪しいもんじゃないから」
「……警察のひと?」
 青木が内ポケットから身分証を出すと、少年は目を丸くした。素直な驚き方が愛らしかった。
「さ、行こう」
 促すも、少年の足は動かなかった。リュックを抱きしめ、青木を見つめ、ただそこに佇んでいた。

「きみ?」
「足が動かない。びっくりしちゃって……今ごろ怖くなってきて」
 恐怖で動悸がするのか、少年はシャツのボタンを1つ外した。胸元から、細い金色のネックレスが見えた。その肌はびっくりするくらい白かった。
「大丈夫?」
 無理もない。青木だって初心な高校生の頃、こんな目に遭ったら足が竦んで動けなくなるに違いない。

「きみ、家は遠いの?」
「いいえ。ここから10分くらい歩いたところです。すみません、腕を貸してもらえますか」
 昔の彼女がしてきたように、親しげに自分の右腕に回された彼の手をやさしく解き、青木は彼の前に背中を見せて膝をついた。
「いいよ、乗って」
「え。いや、おんぶはちょっと、絵的に色気がないっていうか、その」
 イロケ?
 おかしな表現をする子だ。背負われるのは恥ずかしいのかもしれないが、正直言うと、こちらも急ぎたい。未成年が外出するにはかなり遅い時間だし、悪友たちも青木を待っていることだろう。

「大丈夫だよ。周りは酔っ払いばっかりだ。こっちを見ているひとなんか、だれもいないよ」
 ほらほら、と催促すると、少年はおずおずと青木の首に腕を回し、背中に乗った。ひょい、と揺すりあげて、さっさと歩き出す。道すがら、青木は少年がどうしてこんな時間に独りで街をうろついていたのか、事情を訊いた。
「さしずめ、お父さんかお母さんとケンカでもした?」
「いいえ、両親はいません。小さい頃に亡くなって。ぼく、ひとり暮らしなんです」
 意外だった。そんなに寂しい人生を送っている子には見えなかった。

「友だちはいるけど、一晩中一緒にいてくれるわけじゃないし。だからぼく、寂しくなるとああやって夜の街に出るんです。その、話し相手を探して」
 右背後から聞こえる少年の声は、とても悲しげだった。
 彼には彼なりの事情があって、街をうろついていたわけだ。それは確かに同情すべき身の上だが、警察官としては未成年の夜歩きに賛同するわけには行かない。
「気持ちは分かるけど、夜の街はやっぱり危ないから。なるべく家にいたほうがいいよ」
「でも、独りでいると寂しくて……今夜はなんだか、死んじゃいたいくらい寂しかったんです。助けてもらった上に送ってもらってるのに、こんなこと言って申し訳ないんですけど、これからあの暗い部屋に帰るのかと思うと……」

 独り暮らしの侘しさを一番に感じるのは、真っ暗な部屋に帰った瞬間だ。青木もその気持ちは理解できる。自分の家に誰かがいて、「おかえり」と声をかけてくれる。それはとても幸せなことだったのだと、東京に出てきたばかりのころ痛切に思った。
 だから青木は、お茶を一杯だけ、と懇願する少年を退けることができなかった。

「ぼく、上条ハルって言います」




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

Cさまへ

Cさま、こんにちは。

はい、そうですね。
もうこの時点で、モーションかけられてますね。
青木くんが鈍くて気づかないだけです(笑)
原作の青木さんもそうですけど、彼は大分に鈍いですよね(^^;

気付いてくださって、ありがとうございました。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: