ロジックゲーム(12)

ロジックゲーム(12)





『そうですね』

 青木がそんな素っ気無い文章を選んだのは、1週間前に薪に送ったメールのことを思い出したからだ。
 そのときに知り合った、ハルという名の少年の顔が脳裏を過ぎる。あの時、自分が彼にどんな風に接したか、間違ったことをしたとは思っていないが、彼には酷い仕打ちだったかもしれない。

「そういうことは、よくない。知り合って間もない人と関係するなんて、それも一晩だけでいいなんて。もっと自分を大事にしなさい」
 青木はハルの肩を掴み、真剣に諭した。未成年を導くのは大人の役目。しかも自分は警察官だ。彼に人の道を教えてやらなくては。
 
 ハルは尚も青木に迫ってきたが、青木は懇々と説教を続けた。ついにはハルが折れて、疲れ切った様子で肩を落とし、すみませんでした、と謝った。
 青木は笑顔で少年の反省を受け入れ、ぽんと彼の肩を叩いた。
「きみにも早くいいひとが見つかるといいね」

 ハルの部屋から出て道を歩き、角をひとつ曲がったところで、青木はやれやれと肩を開いた。ふと空を見上げると、小さくて丸い月が、都会の空には珍しく見事に輝いていた。
 きりりと潔いその姿に思い起こされたひとの、指が覚えたそのひとのアドレスを、青木は月を見ながら打ち込む。

『お月さまがすごくきれいです』

 舞い上がってるな、と自覚しながら、送信ボタンを押す。
 フラップを閉じ、本当なら送信相手にしたかったキスを、自分と恋人をつなぐ小さな機械に施す。その瞬間、青木のキスに反応したように、携帯が振動した。
 再びフラップを開くと、画面にはありえないくらい簡潔な文章。

『そうだな』

 青木は声を殺して笑う。
 らしい。らしすぎる。

 あのとき青木は、ポケットに携帯を落とし込み、友人たちの後を追いながら、あの月が早く欠けるといい、と思っていた。そして今、半分に欠けた月を見ながら、この月がもっと細くなったときのことを想像する。

 三日月は、薪と一緒に見よう。

 1週間前と同じように、青木は携帯のフラップを閉じると、薄っぺらい金属面にキスをした。



*****

 うちの青木くんだもん、こんなもんですよ☆ (つまんない男ですみません)
 相手が好きなひとじゃないと、役に立たないしね。(笑)
 世の中が青木くんみたいな男ばっかりだったら、あっと言う間に人類滅びちゃいますねっ☆★☆ 


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: