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室長の災難(11)

室長の災難(11)





 口から零れた水が首筋を伝う感触に、薪は目を覚ました。
 後頭部が痛む。かなり強く殴られている。

「お目覚め? 刑事さん」
 やはり、田崎だった。
「よく警察関係者だと判ったな」
「2つも発信機付けてればね。おとりだってすぐにわかるよ」
「やっぱりばれてたのか」
「ま、コンビニに停まってた軽トラックの荷台に放り込んどいたけど」
 捜一はそっちに行くのだろうな、と薪は心の中で呟いた。
 後ろ手に手錠を掛けられていて、身動きができない。とりあえず付け爪に仕込んだ発信機のスイッチを入れたら、後は待つしかなかった。
 時間を稼がなくては。
 
「どうして囮だと分かっていて、のってきた?」
「俺が気が付いたわけじゃないよ。こんな美人が警察官だなんて、思わなかったもん。気づいたのは、こっち。こいつ、そういうのやたら詳しいから」
 警官の格好をした共犯者。薪を昏倒させた張本人である。
 にせ警官かと思ったが、制服は本物そっくりだ。バッジから襟章まで、偽物とは思えない。
 
「本物の警察官だよ、こいつ。あんたのご同業」
「なっ……!」
「警官にも色々いるんだよ」
「ふざけるな! いやしくも公僕の身でっ!」
 薪の中の正義感に火が点る。薪は自分にも厳しい分、他人にも厳しい。自分には厳しく他人には優しいのが美徳かもしれないが、薪はそういう性格ではなかった。

「なんか男みたいな喋り方だね。女刑事なんかやってると、そうなっちゃうの?」
 しまった、自分の今の格好を忘れていた。
 はっとして見直すと、スカートがめくれあがっていて、みっともない。自然に開いていた膝を閉じ、頭をめぐらせる。
 敵は2人。なんとかなる。

「警察官にこんなことしたら、ただじゃ済まないわよ」
「刑事だって、一皮剥けばただの女じゃん。楽しまない手はないでしょ」
「か弱い女に2人がかりね……わかったわ、降参するから手錠を外して」
「ずいぶん素直だね」
「刑事だって女よ。男2人にかなうわけないでしょ。余計な怪我はしたくないの」
「2人じゃ足りないでしょ。刑事さん、オトコ好きそうだから」
 心の中の罵詈雑言が表に出ないように、薪は唇を噛んだ。
「もうちょっと待ってよ。ああ、来た来た」

 入り口のドアから、いかにもまともな職業ではなさそうな連中がやってくる。
 5人、6人……全部で8人。さすがにこれは。
 
「いつもはさ、かわりばんこに3人くらいで犯ってたんだ。でも、今回とびっきりの上玉だからってみんな呼んじゃった。俺たちケーサツ大ッ嫌いだしね」
「おー、すげー。今迄で一番じゃね?」
「こんな刑事いるのかよ。俺が知ってる刑事なんて、ブスばっかだぜ」
「御託はいいから早く始めようぜ。誰から犯る?」
 これは、自分の性別がばれたら速攻で殺されるな……薪は天を仰いだ。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Author:しづ
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2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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