理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(2)

 こんにちは。

 今日はデートなのですよ。
 初めての二人きり。 ドキドキします~~!!!
 ケダモノにならないように気をつけnk。


 しづの理性が持つように祈っててください★



理想自己と現実自己の齟齬解消に関する一考察(2)











 最近、青木は薪を抱くのが楽しくてたまらない。

 以前からそれは青木の中で、最高級の楽しみにランク付けされていたが、近頃では病気に近いのではないかと心配になるくらい抑えが効かなくなる時がある。その瞬間の訪れは実に突発的で、何の前触れもないから青木自身にも予想がつかない。
 でも、原因はだいたい、薪の方にある。
 いつも冷静な亜麻色の瞳が熱っぽく潤んでいたり、端然と食事をするくちびるが妙に艶めいていたり、テレビを見ながら自然に握りあった手が、青木の手のひらを無意識にくすぐったり。本人には自覚のない、でも青木にとっては明確なラブサイン。

 今日だって、誘われてるとしか思えなかった。
 薬缶のお湯を慎重にフィルターに注いでいた彼の、白鳥のように優雅な白い首筋。貝殻みたいなかわいい耳。思うような味が出せず、青木にアドバイスを求めてきた彼の、不満げな、それでいて多分に甘えを含んだ声音。ちらりと青木を見上げた、流し目としか思えない目線。
 フェロモン出しまくりの薪と部屋にふたりきりで、その上、先刻のように彼が常になく可愛らしいことをしてくれたりすると、もう歯止めが効かない。ましてや、あんなに善がり狂われたら。殴られても蹴られても、抑えなど効くものか。

 温かいお湯に浸かって、大人しく青木に抱かれている恋人の、今はすっかり落ち着いた様子の肩を撫でながら、青木は男としての喜びを噛み締める。
 薪がこんなに悦んでくれるようになるなんて、最初の頃は想像もつかなかった。痛がってばっかりで、全然先に進まなかったあの頃が嘘みたいだ。
 悦びを覚えると同時に、異様なまでに薄かった彼の性も変化してきた。まだ自分から求めてきたことはないが、青木に付き合ってくれる回数は確実に増えた。何かと理由をつけてベッドを避けようとしていた淡白な恋人はどこかに雲隠れして、その代わり、不承不承を装いつつも、青木の愛撫を素直に受け入れる従順な恋人が姿を現すようになった。

 始まりはそんな調子でも、中盤に入ると薪はまた変化する。押し殺した吐息が悲鳴みたいな喘ぎに変わったら、スイッチが入った証拠だ。青木がびっくりするくらい淫らに、貪欲に、他の追随を許さない美貌を惜しみなく注ぎ込んだ痴態は、青木の理性を狂わせ、否応なく快楽の海に溺れさせる。引き込まれ、もみくちゃにされて、息も止まるような失墜感と信じがたい絶頂感が繰り返される。
 さっきだって。

 思い出した途端、青木の若い身体は疼きを覚える。それでなくとも狭いバスタブの中、しかも裸で密着していれば、それは自然の摂理と言うものだ。
 青木は自分の昂ぶりを薪の背中に押し付け、その熱を確認させた。自分の疼きを彼にも分け与えようと、右手を彼の足の間に差し込む。
「あっ」
 可愛らしい声を上げて、薪の肩がびくりと縮こまる。困ったように青木を振り返る、その目線はやっぱり誘われているようにしか見えない。

「じっとして。ここ、きれいにしてあげますから」
 んん、と鼻に抜ける湿った呼気を耳孔から吹き込まれ、そこに含まれる抗いがたい誘惑に身を任せる。右の肩にくちびるを押し付けるようにして声を殺す薪の、長い睫毛が震えている。
 酔い痴れる、彼の蠱惑に。翻弄される、その罪なまでの媚態に。

「あ、あ、いや」
 はあっ、と首を仰け反らせてかぶりを振るが、青木の指を飲み込んだ粘膜はゆるりとうねり、ぴっちりと侵入者を包む。今宵すでに1度青木を受け入れたそこは、熱っぽく緩んでいる。軽く刺激してやるだけで、すぐにも蕩けだしそうだ。
 ふっ、と息を詰め、ぎゅっと締め付ける。その部分への刺激を強めようと、自然に動き始める彼の腰から、湯船に小さく波が立つ。

「ああ、もう……いやだ……」
 拒絶の言葉を紡ぐ彼のくちびるは、言葉とは裏腹に熱い息を吐く。その淫蕩な甘さ。
 いやだいやだと繰り返しつつも、局部のうねりは止まらない。きゅん、と締められてざわざわと奥に運ばれる。そんな動きをされたら、誰だってたまらなくなる。
 さっきはいささか強引にしてしまったし、後戯代わりのボディタッチで許してやろうと思っていたけれど。こんな薪を指だけで味わうなんて、もったいないことはできない。

 青木が次の行為に移る為、彼の中から指を引き出そうとすると、追いすがるように薪が腰を押し付けてきた。逃がさないように入口を締めて、自ら内部を擦り付けてくる。
 ちゃぷちゃぷと波打つお湯の中、屹立した自身を見せ付けるように足を開き、薪は青木の左手を取り下方へと導く。薪が望む所作を青木が行うと、薪はひくんと背中を仰け反らせ、後ろ手に青木の分身を摑んだ。
 細い指が軽快に青木をなぞり、擦りあげ、自分がして欲しいことを教えてくる。青木は無造作に指を引き抜くと、薪の身体を抱えて湯船から上がった。

 洗い場のタイルの上に彼を立たせ、肩をつかんで壁に向かわせる。両手を前に出させて、湿ったタイルに押し付けるようにした。
「な、なに?」
 このままベッドに連れて行ってもらえると、薪はそう思っていたのだろう。浴室で軽く前戯をして、本番はベッドで、というのがいつものスタイルだからだ。
 しかし、青木の方にも事情がある。それもかなり深刻な事情が。

「すみません、ベッドまでもちません」
「……なにが?」

 普段はとてもカンのいい薪だが、こういうことは鈍い。自分が何をされるのか、よく分かっていない様子で、きょとんと青木を見ている。その顔のかわいいこと。
 こんな幼い顔をして、でも身体の方はすっかり熟成されて。そのギャップに眩暈がしそうだ。

 青木の両手が薪の腰に掛かり、薪ははっと息を飲んだ。
「やめろ、バカ! や、あああ!」
 抗議の叫びなど気にもならない。だって薪ときたら、初めての立位だというのに楽々と青木を飲み込んで、爪先立ちで腰を捻る仕草までしてみせたのだから。
「薪さんが誘ったんですよ?」
「何言ってんだ、僕がいつそんな、あっ、あぅ!」
 身長差を利用して深く押し込むと、薪は悲鳴を上げて仰け反った。様子を見ようと前に手を回すと、先端から溢れ出した汁がタイルに滴り落ちそうなほどだった。

「やっ、無理! こんな体勢でそんなに入れたら、あっ、ああ!」
 こんなに感じているくせに、彼の口から出てくるのは青木を退けようとする言葉ばかり。その矛盾が男の征服欲に火を点けることを、このひとは知っているのだろうか。
 欲しい、と強烈に頭の中で叫ぶケモノを抑えて、青木はゆっくりと抽挿を開始する。青木の動きに合わせて声を上げ、不慣れな体勢を何とか克服しようとぎこちなく腰を使う恋人の、素直な懸命さが愛しかった。

「許して、もう……」
 目の縁に涙を浮かべて、青木を振り返る。細い眉は垂れ下がり、頬は上気して眼は熱っぽく、くちびるの端からは唾液が一筋流れている。
 しおらしく哀願しつつも、薪の中心はますます濡れて、青木とつながった部分は蠕動を繰り返し――。
 そういうのを誘ってるって言うんですよ?

 彼のお願いには一言も返さず、青木は強く薪の腰を摑むと宙に浮かさんばかりに持ち上げた。ひい、と痛ましい声が上がるのを無視して、激しく揺すりあげる。自由自在のストロークに、思わず我を忘れた。
 
 彼の中に埋没する、自我と理性。
 どこからが自分で何処からが彼なのか。この快感は自分のものなのか彼のものなのか。目蓋の裏にスパークする光を見ているのは、自分の眼なのか彼の眼なのか。
 青木の右手は前方に廻りこみ、薪の快楽を速いテンポで追い詰める。その刺激すらもどちらのものか分からなくなるくらいの、それは幸せな一体感。
 
 そうしてしばらく夢中になっていた青木が、薪の異変に気付いたのは、彼の声がひゅーひゅーという掠れ声に変わっているのを耳にしたからだ。
 そっと薪の様子を伺えば、目の縁に浮かんでいた涙は筋になって流れ、不規則に動く背中は快楽のためというよりは乱れた呼吸のせい。快楽は強いものの、彼がそれを上手に消化しきれないのだ、と気付いた。
 そういえば、薪がこの体位は初めてで、どういう具合に受ければ自分の負担が軽くて済むのか分からない状態だということも忘れていた。最初なのだから、やさしく導いてやればよかった。

「辛いですか?」
 律動を緩やかなものに変え、腰に添えた手を緩める。自分の腰を落として、薪が爪先立ちしなくてもいい高さに合わせてやると、薪はほっと息を洩らした。
「このままじゃ無理だ。身長差が」
「そうですね。じゃ、こっち向いてください。オレに摑まって」
「そこまでしてやらなくてもいいだろ?!」
「したいです」
「いやだ、ちゃんとベッドで、ああんっ!」
「いいですよ。これが済んだら、ベッドで仕切り直しましょうね」
「いい! 直さなくていい!」
「それじゃここでもう一度。次はぜひお湯の中で」
「そうじゃなくてっ、あっ、あっ、~~~~~~!!!」

 向かい合わせの立位になって、薪の片足を持ち上げ、両手は自分の首に掴まらせて彼の中に入る。これだと相手は自立する必要がなくなるから、いくらかは楽なはずだ。
 それに、薪は向かい合わせの座位が大好きだ。立ったままでも抱きしめあえることに変わりはないから、きっと気に入ってくれるはず。
 
 青木の目論見どおり、薪はすぐに青木の背中をぎゅっと抱き、夢中になって腰を使ってきた。青木の下腹に薪のものが当たって、突き上げるたびに擦れ、青木の皮膚を濡らす。二箇所から与えられる強烈な刺激を、今度は上手に快楽に変換して、薪は何度も絶頂を極めた。

 結局、風呂の中でもう1戦交えて、のぼせと疲労で失神寸前の薪をベッドに連れて行き、支度を整えて彼を眠りに就かせてやれたのは、深夜過ぎ。
 パジャマを着てベッドに突っ伏すと同時に寝息を立て始めた彼を見て、青木は自省する。
「またやり過ぎちゃった……」
 明日、薪はきっと口をきいてくれない。身体中に残る倦怠感も疲労も、青木がつけたキスマークすらも、彼の機嫌を悪くする。

 薪の機嫌を取る方法をあれこれ考えながら、青木はキッチンを片付けた。
 とりあえずは朝、室長室にコーヒーを持っていって、マッサージは無理だから肩を揉んであげて、それから薪が大好きな温泉スパに誘って、そうだ、バレンタインのお返しには吟醸酒を贈るって言おう。温泉と日本酒、それでもダメなら動物園だ。平日、こんな無理をさせてしまったのだから、今週の土日はベッドを諦めて彼のご機嫌取りに専念しないと。

 プンプン怒った恋人の可愛らしい顔を思い浮かべながら、青木は楽しそうに週末の予定を立て始めた。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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