FC2ブログ

スキャンダル(4)

 こ、ここは~~~、
 追記で!
 絶対に追記で!
 お子様は読んではいけません。
 大人の方も、人前で読んではいけません。


 すみません~~~~!!





スキャンダル(4)






「あっ、あっ! あおきっ、んんああっ!!」
 仕事中は寡黙なくちびるが荒い呼吸とともに迸らせるのは、青木にしか聞かせたことのないとっておきの音楽。が、いささかボリュームが高すぎる。

「は、ああっ、そっ、むぐっ?!」
「すみません。警備員さんが来ちゃったらタイヘンですから」
 大きな手で口をふさがれて、薪は青木の懸念を理解したらしい。自分が脱ぎ捨てたワイシャツを拾い、袖の部分を噛んで洩れる声を殺した。
 第九のモニタールームには防音設備があるが、仮眠室はその対象外だ。廊下側に洩れることはなくとも、薪の声量だと屋外に聞こえてしまう可能性がある。薪の悲鳴のような嬌声は青木を煽り立ててくれるが、こういうときは少しだけ困りものだ。
 
 声が出せなくなった薪は、体外に逃がせなくなった快感で身体中を満たしていくようだった。狂おしい腕の動きに、青木を責め立てるくちびるの吸い付き方に、絶妙のタイミングで攀じられる腰に、青木は幾度も押し流される感覚を覚えた。
 三年目に入ったあたりから、薪のからだはその行為に歓びを覚えるようになった。コツをつかんだと言うか、タイミングの合わせ方を覚えたと言うか。まるで初めの痛がり方が嘘のように、易々と青木を受け入れて共に絶頂を極められるようになった。
 手技も上手くなった。唇や舌も、青木の快感を高めるように動く術を覚えた。昔はまったくの受身しかとれなかった薪だが、今の薪は青木に負けないくらいベッドの中でよく動く。

 青木の上になって彼をからだの奥深く収め、腰をひねるようにして上下に動く様子は、薪の快楽を証明する。  彼の悦びがうれしくて、それが自分よってもたらされていることが誇らしくて、青木は好戦的な気分を味わう。
 そんなふうに互いの快感を高めることに夢中になりながら、その愛技に溺れながら、いざ抱き合えば、薪の口から出てくるのは。
 逢いたかった、顔が見たかった。理性を失うこんなときでもなければ聞けない、彼の本当の気持ち。

「オレもです。すごく逢いたかったです」
 自分の方が想いは大きいと証明するかのように、青木は薪のからだに深く自分を埋め込み、彼と少しでも多くの接触面を共有しようと努力する。応じつつ、しかし想いは負けないと主張する薪のからだは、もう二度と離れないというように手足を青木に絡みつかせる。
 そうしてふたりで高まって、落ちた深海の底は、暗くとも穏やかなふたりだけの楽園。水圧に押しつぶされるようにゼイゼイと息をする薪は、グロテスクな魚のように青木の上に這いあがる。

「薪さん?」
 いつも「2度目はできない」と青木にストップをかける薪から伸ばされた手の動きに気付いて、青木は驚く。昔から薄い人だったが、年を経るにつれてますます薄くなって、薪の方から求めてきたのなんか年単位で記憶にない。

「……また、いつ逢えるかわからないから」

 だから、どうしてそんなにかわいいんだっ!
 普段は憎まれ口ばかり叩くくせに、二言目にはいつでも別れてやるって脅すくせに、こんなときばっかり!

 青木の中で爆発するみたいな勢いで膨れ上がった愛しさは、青木のからだを突き動かし、恋人との位置関係をひと息に逆転させる。
 こんな爆弾みたいな愛らしさを落としておいて、無傷で済むと思ったら大間違いだ。威力が大きすぎる爆弾の被害は、投下した機にも及ぶのだと諦めてほしい。

「すごく、淋しかったんだ。もう末期状態で」
 自分の下になってからだを開き、足を青木の腰に絡めて背中を反り返らせながら、青木の耳元でうわ言のように薪は繰り返した。
「目を閉じたらすぐにおまえの顔が浮かんできて、会いたくて会いたくて」
 つながったまま、薪の背中を持ち上げて自分の腿の上に彼のからだを載せる。ぎゅ、と抱きついてくる細い肢体は、汗に濡れている。
「我慢できなくて、何度も自分で……うっ、ああ!」
 薪の腰をつかみ、彼のからだを深く沈める。相対的に奥に差し込まれた自身が、彼の最奥の部分でぎゅぎゅっと締め付けられる。
 むちゃくちゃに突きまくりたい衝動をやり過ごして、ハアハアと喘ぐ薪のくちびるからその吐息を盗む。下と同じように深く重ね合わせて、互いの粘膜を擦り付けあい、奪い合う。
 
 どんなに微細なものでもいい、相手の一部を自分に取り込みたい。一部でいいから重なりたい、ひとつになりたい。
 薪がこんなに欲しいのは、性的な欲望だけではなく。
 一緒にいたい、傍にいたい、片時も離れたくない。だけどそれは無理だと解っているから、今度またいつ会えるかわからない、それが現実だと解っているから。だから少しでいい、薪が欲しい。こうして愛し合うことで、記憶に肌に、彼を刻み込みたい。

「そのときに、オレのこと考えてくれたんですか?」
「うん……うん、青木のこと、考えてた。ずっと」
 熱に浮かされたような薪の懺悔を聞けば、彼もまた自分と同じ気持ちでいてくれたのだと分かって、それがうれしくて、青木は薪に向かう激情を止められなくなる。週初めの日からこんなに飛ばしてしまっては、この1週間、薪は地獄を見ることになるとちらりと頭を掠めたが、
「おまえが欲しかった」
 ストレートに告白されて、理性が焼き切れた。
 ひたすら薪を欲しがる青木の中の駄々っ子が目を覚まし、子供らしい身勝手さで薪のからだを組み敷いた。薪は抱きしめられる形が好きなのに、強い刺激を欲しがる彼は、薪に後ろを向かせてベッドに押さえつけた。そのまま覆いかぶさって、深く埋める。急激に開かれた秘部に痛みを訴えるでもなく、薪は青木の動きに応じて腰を揺すり始めた。

 それから、何度繰り返しただろう。
 逢えなかった今までを埋めるため、逢えない明日からの日々を乗り切るため、何度も何度も互いを求めて。
 
 ふたりとも夢中だった。相手のことしか見えなかった。
 部屋の隅にきらりと光った硬質なガラスのことなど、目に入るはずもなかった。
 それはずっと以前から、彼らがここに来るのを待っていた。ここで彼らが過ちを犯すのを、待ち構えていた。
 
 第九の仮眠室に仕掛けられた悪意を薪が知ったのは、それから4日後のことだった。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Wさまへ

Wさま、初めまして!
コメントありがとうございます!


> この章の薪さん&青木君に負けないくらい、いつもむさぼるように読ませていただいています。
> 作品UPされないと、一日中モヤモヤと・・・(重症)
> ビバ しずさん!ビバ 「法医第十研究室」!

きゃー、うれしいですー!!
『ビバ』なんて冠を付けていただいたのは初めてですっ!
感激です!

お話の途中は、なるべく毎日アップできるように頑張ります。
仕事が詰まってくると難しいのですが、今の工事は3月15日が工期なので、2月いっぱいは大丈夫だと思います。


> 最近、原作「秘密」を読み始め、薪さんの魅力に取り憑かれたところです(・・・おそい)

最近、原作を読まれたのですね。
じゃあ、現在は原作薪さんの美しさと気高さにどっぷりと・・・・・・
すーみーまーせーんー!! オヤジの薪さんでイメージ壊してすみませんっ!!


> 掲載紙発売までの2ヶ月のなんと長いこと・・・
> その落ち着かない寂しい気持ちを埋めるため、いろいろ探してこちらにおじゃましたのに
> また、ハラハラドキドキ・・・安息の日々は何処?!

うちに安息の日々を求めるなんて、無謀な(笑)
秘密界一のドSが書いてるのに~(少しは反省しろ)

えへへ、たまには平和な話も書いてるんですよ。 男爵カテゴリの『天国と地獄』シリーズとか。
重い話が続くときは、間に公開しますね(^^


> そのくらい、しずさんワールドの青薪さんに取り憑かれています。

ありがとうございます!!
原作との乖離が甚だしいうちの青薪さんを、こんなに好意的に解釈してくださって、とってもありがたいです!!


> ああん、どうか二人とも幸せになってください!

もちろん、最後はハッピーエンドで!
わたし、ハッピーエンド主義者ですから(^^) ただ、その過程がドS。


> しずさん、原作がラストを迎えて(か、考えたくない)も、ずーっと書き続けてください。
> どうかどうか、お願いします!

げ、原作のラスト・・・・・わたしも考えたくないです(><)
刻一刻と、迫ってきている感はありますが。
でも、原作の方、ものすごーく風呂敷広がっちゃってますよね? だから、畳むのに相当の時間がかかるんじゃないかなって。 きっと年単位で。

こんな邪道なあおまき小説の続きを望んでくださって、本当にありがとうございます!!
わたし自身、書くのはとっても楽しいので、妄想が浮かぶ限りは続けたいと思っています。
Wさまに読んでいただければ、幸甚です。


ありがとうございました!

Sさまへ

Sさま、こんにちは~!
コメントありがとうございます、てか、これ、すみません、見た瞬間爆笑しました。
だって、

>時間がないのでこれだけ言います。
>ぎゃ~!やめてえええええ!!!

あははははっ!!(←ひとでなし)
大丈夫、大丈夫ですからっ!

甘いあおまきさんがお好きなSさまに、いつも心痛をかけてしまってすみません(^^;

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
10万拍手ありがとうございます!
いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: