秘密の森のアリス(7)

 こんにちはっ。

 毎度バカバカしいお話にお付き合いくださいまして、真にありがとうございます!
 この章が、このお話のアホMAXでございます。
   
 銀河系より広いお心でお願いしますっ。





秘密の森のアリス(7)





 大上段に振りかぶった木刀が、ビュッと空を切る。しかし、相手の動きは人間を遥かに超えて素早く、青木は太刀筋を左に流したが、それも避けられてしまった。
 直ぐに体勢を立て直し、乱取りの要領で次々と剣を打ち込むが、一太刀として相手に当てる事ができない。
「ぐはっ!」
 剣を振り切ったところに逆に懐に飛び込まれ、拳を入れられる。咄嗟に組み手で防御したが、その固さときたら尋常ではない。
 岡部からでさえ3本に1本は奪う事ができる得意の剣を軽々とかわされて、青木は焦る。こいつ、まるで次の剣筋が分かるみたいだ。

「アリスちゃん。今のうちに逃げるよ」
 青木の険しい表情に戦況を察しつつも、薪は少女の保護を優先する。自分も青木も警察官だ。私情は許されない。
 しかしアリスは薪に従おうとはせず、細い眉をぎゅっとしかめて言った。
「まずい。妹の方が青木さんの心を読んでる。これじゃ青木さんの攻撃は、全部避けられちゃう」
「えっ、青木と戦ってるのは兄のほうじゃ?」
「兄妹間で、感応能力みたいなものがあるのかもしれない。妹の方が、何かブツブツ言ってるから。まずは妹のほうを何とかしないと」
 自分が妹のほうを攻撃すれば、青木は有利になるかもしれない。しかしそれは、少女の安全を確保してからだ。彼女をどこかに匿って、それから引き返してくれば。

「アリスちゃん。ここはひとまず青木に任せて、きみは避難を」
「その選択は間違ってる。このままじゃ青木さん、5分も保たないわ。そしたらすぐに追いつかれて、2人ともオダブツよ」
 彼女の言うことは正しい。青木には一刻の猶予も無いように見えるし、見えない敵を2人も相手取って少女を守り抜く自信はない。

「わかった。それじゃ、三郎のときみたく僕に指示を出して」
「無理よ、妹はあなたの心が読めるんだもの。わたしの声を聞いてから動くんじゃ、遅すぎるわ」
「じゃあどうすれば」
 自分の不甲斐なさに、薪は歯噛みする思いで少女に尋ねる。せめて敵の姿を見る事ができれば、自分にも勝機はあるかもしれないのに。こんな局面が来ると分かっていたら、菅井さんに無理矢理貸されたBL小説、全部読んでおくんだった!

「いいわ、必殺のアイテムを貸してあげる」
 少女に何かができるわけではないと、思いつつも発してしまった問いに頼もしい答えが返ってきて、薪は眼を瞠る。
 この状況で『必殺のアイテム』を出せる、オタクとは何と有能な人種だろう。今まで社会不適格者とか現実逃避主義者とか、そんな言い方をして悪かった。ここから無事に帰れたら、菅井が貸してくれた本をちゃんと読もう。それがどんなに精神的苦痛を伴う行為でも、これは彼らに対する自分の罪滅ぼしだ。

 アリスは白いエプロンドレスのポケットを探り、サッとそれを取り出した。明るい笑顔で薪の前に差し出したのは、カチューシャに白い3角形の毛皮がついたいわゆるひとつの―――― ネコミミ?

「これを装着すれば、あなたにも彼らの姿が見えるように」
「きみの頭は春爛漫のお花畑かっっ!!!」
 社会不適格どころじゃない、社会のゴミだ、こいつら!! こんな奴らを野放しにしておいたら、そのうち日本は沈むぞ! オタク禁止条例を出すべきだ、ビシビシ取り締まるべきだ! 手始めに、ここから無事に帰れたら、菅井が置いていった本はすべて焼き払ってやるっ!

「どうしてそんなに頭が固いのよ。騙されたと思って、付けてみなさいよ」
「あのねえ!」
「わたしだって必死なの! 早く付けなさい!!」
 薪はびくっと身を引いた。
 一瞬だったが、彼女の口が耳まで裂けたように見えた。眼鏡の奥の眼が、鬼女のように凄まじい光を宿したような気がした。
 女の人は怒ると怖い。雪子も普段はやさしいのに、怒ったらものすごく怖いのだ。柔道の試合の時彼女に睨まれると、薪は上手く身体が動かせなくなる。

「わ、わかりました」
 妖怪よりも彼女に殺されそうな気分になって、薪は素直に『必殺のアイテム』を受け取る。カチューシャを頭につけて、恐る恐る彼女を見た。

「これでいい?」
「薪さん、ずるーい。わたしよりかわいい」
「はは……ありが、と、えっ!?」
 見える!
 青木と戦っている妖怪の姿が見える。

 生まれて初めて見る妖怪の姿は、サルと人間の合の子のような容貌だった。とても恐ろしい顔をしているが、あのくらいだったら立ち向かえないほどではない。角度によっては、岡部にちょっと似てるし。
 青木は苦戦していた。アリスの言った通り、完璧に攻撃を読まれている。敵は、青木の鋭い太刀を悉く避けて常に反対の方向に動き、剣が空振りに終わった後には必ず訪れる隙をついて強烈な反撃を繰り出している。
 妖怪の毛深い足が青木の腹にめり込み、薪は思わず声を上げた。
「あおきっ!!」

 薪の叫びに反応して、青木がこちらを振り返る。
 その黒い瞳は薪を捕らえ、次いで驚愕に見開かれ、男らしい口元は息を呑んだ。青木は左手で鼻から下を覆い隠し、するとその指の隙間から大量の血液が。

「ま、薪さん、ネコミっ、ぐふうっ……!!」
 アリスちゃん連れて、ここから逃げたくなってきた。

「大変! 青木さん、吐血したわ! もしかしたら内臓にダメージを?!」
「うん、心配しなくて大丈夫。あれ、鼻血だから」
 庇う気力もない。恋人がケモノの耳を頭につけただけで鼻血を噴くような男を庇えるほど、薪はヘンタイという生き物に寛容ではない。
「鼻血? ああ、なるほど……はーん」
 そこで納得しないで! 「青木さんが今何を考えたのか、手に取るように分かるわ」って、男の願望を見透かしたような顔するのやめて!

 アリスが予想する青木の想像の中で、自分が服を着ているのかどうか怖くて訊けない薪をよそに、少女はぽんと手を打った。
「そっか。青木さん、妄想癖があるのね。道理で彼らの姿が見えたはずだわ」
 そんな馬鹿な、と反論しかけて、薪は否と思い直す。
 言われてみれば、青木は筋金入りのドリーマーだ。でなければ12歳も年上の男を美しいだのかわいいだのと、何年も誤解できるわけがない。

「薪さん、協力して。この『必殺アイテム』で、青木さんの戦闘能力を上げることができるわ」
 いや、なんかもう腰砕けになってるみたいだけど。てか、そのまま砕けちまえよ、おまえ。
「スキルアップの方法は、こうよ」
 果てしなく冷たい瞳で青木が妖怪に痛めつけられる様子を見ている薪を尻目に、アリスは両手を口の横につけて大きな声で、

「青木さん! そいつを倒したら、薪さんが猫耳プレイしてあげるって!!」

 どんなスキルの上げ方だ!!
「どういうプレイだ、それはっ」
「猫耳つけて『にゃーん』て鳴いて、大事なトコにすりすりしてあげるって! ほら、薪さん、鳴いて!」
「だれが鳴くかっっ!」
「早く鳴かないと、青木さん死んじゃうわよ」
「ぐっ」
 少女の言葉は脅しではなく、妖怪の攻撃は確実に青木を弱らせている。固い拳は青木の皮膚を破って、彼の顔には幾筋もの血が流れていた。
 冗談では済まされない状況になっている。ていうか、こんなアホみたいな死に方をされたら寝覚めが悪すぎる。

「…………にゃ、にゃ~ん」
「!! せや――――っ!!」
 薪が小さくネコの鳴き真似をすると、途端に青木の剣がひらめいた。鋭く突き出された剣先に、毛深い妖怪の身体が吹き飛ばされる。

「上がったね」
「そうだね。僕のテンションは下がったけどね」
 
 ふたりとも置いて、逃げちゃおうかな。



*****


 アホMAX=薪さんのネコミミっ!
 もー、これが書きたくて、50Pも書いたんですねー。←アホMAXはおまえじゃ。

 どうしてネコミミ薪さんを書きたくなったのかというとですね、うちで相互リンクを張らせていただいてる「擒」というブログ様(URLはこちら )に感化されまして。

 管理人のえあこさんの描かれるネコミミ薪さんが、ヤバイくらいかわいくて!!
 えあこさんはすずまきすとさんでいらっしゃるので、らぶい鈴薪さんを中心に描かれているのですけど、こちらの薪さんが、うちの薪さんに負けないくらい鈴木さん激らぶ!! でして。 
 しづはえあこさんのブログを拝見する度に、「そーよ、そうなのよ、薪さんは鈴木さんのこと、死ぬほど好きだったのよ~!」と萌え萌えしている次第です。(あおまきすと??)

 しかーし、
 えあこさんちの薪さんの可愛いらしさに、うちのオヤジ薪さんが追いつけるはずもなく~~、
 しかもギャグ展開で痛ーいネコミミオヤジになってしまいまして、(←キャサリンとか言わないで←知らない人は『銀魂 キャサリン』でググってみよう)
 えあこさんファンの方々には、心よりお詫び申し上げます、ごめんなさい。

 えあこさんのブログ「擒」には、リンクの欄からも飛べますので、まだチェックがお済みでない方は、ぽちっと飛んでくださいねっ♪


テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Aさまへ

Aさま、こんにちは。


>わ~い、ネコミミ薪さん(>▽<)

とうとうやっちまいました。 イタイですー。
でも、書けて満足www。
普通に第九で事件の捜査してたら絶対に無理でしょうね。(^^;
いや、待てよ、メイド喫茶に潜入捜査で 蹴られないうちにやめよう。


>そうか、青木は妄想癖で妖怪が見えたのか!幽霊とかオカルトに興味あるから(3巻特別編)だと思ってました(^^)

あのときの青木さん、楽しそうに(?)幽霊の話をしてましたねえ。 
科学的に解明されてしまって、がっかりしてましたものね。(笑) 
もしかしたら、天地さんの影響で興味を持ち始めたとか。 彼女を理解してあげられなかったことを後悔して、彼女亡き後その系統の本を読んでハマっちゃったとかだったら、青木さんらしいですよね。


>スガちゃんは腐女子!?

違います。(笑)
でも、薪さんが女の人とくっつくくらいなら、竹内や間宮とくっついて欲しい、と発言してましたから、薪さんが絡んだときだけ、にわか腐女子になるみたいですね。
わたしもそうなんです~。 薪さん以外のキャラを男性と恋に落とそうなんて思わないんです。 薪さんがわたしを狂わせるの~~。


>岡部さんが妖怪に似てるなんて薪さんヒドい(;;)

ひどいっすね。(笑笑) ←フォローは・・・・?


えあこさんのブログさんは、すずまきオンリーです。 かわいいです。 ぜひどうぞ。(^^
個人的に、えあこさんの描かれる超キモイ青木さんがお気に入りです~。

Cさまへ

Cさま。

>ネコミミ薪さん=しづさんちの薪にゃん??

言われてみればw
そうですね、この頃はまだ薪にゃんとか生まれてなかったですが。

わたしが覚えている限りで、一番最初のネコ薪さんと言えば、
「晴れ ときどき秘密」のみひろさんが創った、
『薪にゃんこちゃん』です。
すっごく可愛いのでね、ぜひリンクから飛んでご覧になってください(^^)
(カテゴリ 「秘密外伝」 の中に入ってるので、遡って探してくださいね~)


>青木さん・・・

変態ですみません(笑)
読み返してみたら、好き勝手書いてますねえ、わたし。青木さんのファンに刺されそうだわ☆


プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

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おかげさまで8歳になりました(^^♪
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