天国と地獄2 (2)

 みなさん、連休いかがおすごしですか? 楽しまれてますか?
 
 昨日は、16回目の結婚記念日でして。
 連休中はそのお祝いも兼ねて、毎年オットと小旅行に出かけていたのですけど、今年は余震が続いているので、家に一人お義母さんを残すのが怖くて、旅行はやめました。

 その代わり、一昨日、サファリパークに行って来ました♪ 
 自分のペースで動ける動物園と違って、あまり長く同じ場所に留まれないのが難点ですが、(←ひとつの柵の前に20分は居座るやつ)
 動物達が自由に動き回っているところがいいですね~。 
 水鳥と鹿が仲良く遊んでいたり、ラマとアルパカが並んで歩いていたり。 動物の種類ごとに柵を区切ってしまう園では見られない光景に、癒されまくりました。

 朝早く出かけたので、かなり時間が余りまして、それから牧場を回ったんですけど。
 馬に乗りまして、(←周りが子供ばっかりでかなり恥ずかしいのを我慢すれば楽しい、てか乗ったらやみつき)
 ロバと戯れまして、(←なつこい。 岩になった気分でじっとしてると肩に頭を付けてくる)
 ヤギと羊にもみくちゃにされました。(←エサに突進してくる)

 動物系のテーマパークは、うちのあおまきさんの定番デートコースなので、きっとこんな感じなんだろうなー、と微妙にずれたことを考えつつ、お休みを満喫してきました。
 気持ちが残っているうちに、あおまきさんの楽しいデートの様子でも書こうかな。

 でも、公開中のお話はこんなん↓(笑)




天国と地獄2 (2)




「聞いてくださいよ、岡部さん。薪さんたらヒドイんです」

 週の最初のアフターから後輩の愚痴に付き合わされて、岡部はげんなりしていた。
 後輩が持ち込んでくる相談といえば、仕事のことか職場の人間関係についての悩みと相場が決まっているのだが、この後輩に関しては、ほぼ100%特定の人物との人間関係だ。それは確かに彼らの共通の上司のことだったが、仕事とも職場とも、何の関係もない。実にプライベートなことだった。

「オレ、すっごく楽しみにしてたんですよ、昨日のデート。それなのに」
 上司と二人で出かけることを『デート』と表現していることからも解るように、青木は何年も前から薪に惚れている。仕事上の悩みなら一緒に解決策を模索することもできるが、恋愛問題、しかも成功確率マイナス値の恋となれば、これはもう、どうやって諦めさせるかに尽きる。

「電車の中では前の席に座った女の子の胸元、じーっと見てるし、モーターショーの会場ではコンパニオンの生足に釘付けだし」
「だから前にも言っただろ? 薪さんは見てくれはああだけど、中身は普通の男だって」
 何度も諦めろと忠告したのだが、この男は見かけによらず頑固者で、一向に岡部の忠告に耳を貸さない。男同士ということもあるが、それ以上に薪という男には、色々と問題があるのだ。

「わかってます、それだけならオレだって泣き言は言いませんよ。でも薪さんたら、イベントコンパニオンのコスチュームに刺激されたみたいで、帰りにイメクラ寄って行こうって……あんまりです!!」
 薪の性格を知っている岡部には、それが純情な年若い部下を揶揄しての冗談だと分かったが、青木にしてみれば恋をしている相手に風俗店に誘われるなんて、大きなショックだろう。しかも自分とのデート中に。
「どーしてホテルじゃなくてイメクラなんですか!?」
「いや、そこでホテルもおかしいだろ」
「おかしくないです。ホテルによってはサービスで、色んな制服を置いてるところも」
「……おまえが着るのか、それ」
 外見と中身の離反が激しい薪が、女物の衣装に身を包むことなどあるはずがない。それくらいは心得ていたのか、青木はウィスキーのグラスを持ったまま固まった。

 肘をついて掲げたグラスより下に頭を下げて、青木はテーブルの上にため息を落とした。青木の息が掛かった場所から、どろどろと淀んだ空気が漂ってくる。
「だから、あのひとは止めとけって言っただろうが」
「そんなこと言われたって……好きなんですよぉ。自分でも、どうにもならないんです、薪さんは男のひとだって分かってても、諦めきれないんですぅ……」
「問題はそこじゃないだろ、あのひとの場合」
 相手が同性だという理由だけで、青木の恋にストップをかけてきたわけではない。岡部は、そんな了見の狭い男ではない。
 時代が進み、同性間の恋愛についても理解が増して、その感情を昔ほどひた隠しにしなくても良くなっている現代、薪のように「普通の男は男に恋なんかしない」と思っている方が時代遅れなのだ。

「あのひとの頭の中に、おまえが恋愛の対象として自分を見ているっていう意識がカケラもないのが一番のネックなんじゃないか。まずはそこからだろ。もっと、恋愛感情を表に出してだな」
「これ以上、どうやって表現しろって言うんですか? オレ、あのひとに好きだって何回も言いましたよ。でも軽く受け流されるばかりで、しかもそのたびに仕事が増えていくし」
 自分を好きだと言う部下に対して、「そうか。じゃ、これ頼む」と書類を押し付ける薪の姿が簡単に想像できて、岡部は引き攣り笑いを浮かべた。
 薪らしい、らしすぎる。上司として尊敬されていると信じて疑っていないのだ。

「言葉がダメなら、行動で表したらどうだ。デートに誘うとか」
「その結果がイメクラでした」
 そうだ、青木はちゃんと行動もしているのだ。
「じゃあ、もう一押し。抱きしめてみるとか」
「やりました。2秒で投げ飛ばされました」
 薪は柔道の有段者だ。素人の青木を投げ飛ばすくらい朝飯前だ。柔よく剛を制す、この武術に体格差は関係ない。

「『柔道の稽古をつけて欲しいのか』とか言われて、その後、道場で1時間もしばき倒されて」
「ああ、面倒臭えなあ。いっそのこと、唇でも奪っちまえば」
「それはイヤです。気持ちも伝わっていないうちに、そういうことはしたくないです」
 それぐらいやらないと、薪には伝わらないのに。薪も薪だが、青木も青木だ。ふたりとも、自分のポリシーに執着するタイプなのだ。

 青木はしばらく考え込んでいたが、やがて意を決したように、岡部を真剣な眼で見た。
「岡部さんから、言ってもらえないですか?」
「俺が?」
「はっきり伝えなくていいんです、匂わせてくれるだけで。岡部さんに言われれば、薪さんだって真面目に考えてくれると思うし、そうなればオレの言葉も正確に伝わるはずです」
「どうだかなあ」
 正直、あまり自信がない。どんなに複雑に絡み合った人間関係でも、それが事件の背後にある限り、瞬く間に看破してみせる薪だが、我が身に降りかかると途端に鈍くなるのが彼の特徴だ。相手が女性ですら中々気付いてもらえないのに、同性ともなれば言わずもがな。

「お願いします。岡部さんが最後の希望なんです」
 それでも、こうして頭を下げられれば嫌とも言えない。あんまり期待するなよ、と渋く承諾してやると、青木は頭を上げて、その日初めての笑顔を見せた。




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Mさまへ

Mさま、こんにちは。

> 前回はコメントのお返事を丁寧に答えてくださってありがとうございます。嬉しかったです(^^)

こちらこそ、コメントいただいて嬉しかったです。
うちはもともと薪さんについて語れる相手が欲しくて立ち上げたブログですから、こちらがメインなんです。 妄想も含めて、語りだしたら止まりません。
創作は、おまけです。(おまけ率、多い! 凝ったフィギュアにラムネが付いてる子供向けの菓子みたい★)


> 薪さんが鈴木さんと青木を好きになる。
> この感情は一言で簡単には言い表せるものでは無いですよね。

清水先生がどこまでの設定で描かれているのかは分かりませんが、単純に同性愛者だから、という理由付けではないような気がします。 
秘密と言う作品の根底に流れる矛盾とかやりきれなさとか、避けることのできない悲劇とか運命とか、そんな深いものを感じるたびに、薪さんの愛も普通の恋愛感情ではなく、魂の相手を求めるような切なるものではないかと・・・・・・・なーんて、すべてはわたしの妄想の産物かもしれませんが。(^^;
でも、Mさまに賛同していただけて、とっても嬉しいですっ!!


> そもそも、人間って複雑なものだから単純じゃないよね……「秘密」という作品は清水先生もそういう複雑な感情や、人間って…という事を描きたいと思っているのでは?と考えています。

そうですね、読後感が他の作品とは違いますものね。
完全懲悪ですっきりさっぱり、ではなくて、犯人側の事情にも共感するところが多かったりして、色々と考えさせられます。


> ああ…青木ってこういう人だよね…と。
> とても人間らしい、というか体張って相手を守るところがありますよね。
> 薪さんもこういう所が好きなんだと思う(笑)

そうそう! わたしもそう思います!!
とてもフクザツな人間を描いている秘密の世界で、青木さんはすごく単純明快に描かれていると思うんです。 その単純さに、薪さんは救われているのだと思います。
常に他人の言動の裏側を読むような人生を送ってきた薪さんにとって、(←すみません、これもわたしの妄想ですが)
彼のシンプルな精神構造は、どんなにか美しく映ったことかと。



> 小説の方では薪さんの言動に思わず笑ってしまいます(*^_^*)
> そうそう、薪さんは見目麗しくても男性です…ってね。

わはは、こちらは男爵なので、本編よりも本能に忠実というか(^^;
外見と中身のギャップが激しいのが、うちの薪さんのウリです。(笑)


> 青木はヘタレ感が本当に年下ワンコ攻で楽しいです(^o^)

青木くんはヘタレてなんぼだと思います。(←・・・・・・・)


> 岡部さんの「無理やりキス」に結構注目…岡部さんは自分の恋愛では結構無理やりキスしちゃう派ですか? それもいい感じですね!!(≧∀≦)

そ、それがその・・・・・うちはですね、
人には言えるけど自分のことになるとてんでダメってひとばっかりで~~、
実は次の『天国と地獄3』は岡部さんのお話だったりするんですけど、そこでは根性無しの岡部さんがオロオロしてたりして(^^;


> また長々と、すみません。小説続き楽しみにしてます。

ありがとうございます!
とっても励みになります!

原作を読んで感じたこと等、これからも話しかけてくださると嬉しいです(^^

Mさまへ

Mさま、こんにちは!

偶然、教えていただいてありがとうございました! びっくりしました!
やっぱりMさまとは、なんやかやと繋がってる気がしてなりません・・・・!!


>薪さんに夢中な青木君の姿を見るのが楽しい♪やっぱりこうでなくっちゃ☆

ですよね~!
青木くんは、薪さんを追っかけてればいいの、ワンコなんだから!
原作の青木さんも、薪さんに認められることだけが生きがいと言う、以前のスタンスを取り戻したみたいだし。
互いがあれだけ思い合っていれば、何が起きても越えていけると、今は疑いなく信じています。

青木さんのモノローグはとっても不吉です。
誰かが傷つくことは避けられない、でも、これ以上取り返しのつかない犠牲は出ないと思います。 
ふたりの絆が確認できたからかもしれませんが、わたし、今回はやたらとポジティブな予想しか浮かんでこないんです。 現金ですね。(笑)


>サファリパークの様子も楽しそうでした~!
>ぜひぜひあおまきさんの素敵なデートのお話も書いてくださいね♪楽しみにしています!

楽しかったです(^^
でも、オットに不審がられちゃいまして。
「昔は動物、嫌いだったよね?臭いとか言って。どうしてこの2年くらいで急に好きになったの?」
「薪さんが動物好きだから(←妄想)」
と、本当のことは言えず・・・・・・なんて答えたらいいんですかね?!(←なぜMさまに訊く?)

あおまきさんの素敵デートは、
あー、なんか上手く行かなくて~、と言うのも、震災からこっち、しばらく書かなかったら書けなくなっちゃって(^^;
まだリハビリ中なんです。


コメントありがとうございました。
Mさまのブログにも、後ほどお邪魔しますね(^^

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Sさまへ

Sさま、こんにちは!

そうなんですよ、結婚記念日だったんです。
お祝い、ありがとうございます!

はい、Sさまご指摘の通り、車の運転をしているときの彼は、3割増してようやく人並みに、
普段はおバカ一直線でございます。(^^;
妻が好きな漫画の主人公の真似をする旦那って、日本にそういないような気がします・・・・・・バカ過ぎる・・・・・・。 


Sさまの浮気相手(←ちがう)のお話は、
M野解説委員さん、て、原発の説明とかされてた方ですか?
ググりまして、お顔も拝見しました。
理知的な方ですね(^^
で、結局このお話のオチは、Sさまは旦那さまが大好きと。 そういうことで理解してよろしいのでしょうか?
・・・・・・・こちそうさまっす!!!


>それはともかく、Y嬢のセリフ、例の「腹が立つほど云々」ですが、アレちゃんと声に出して言ってるんですかね?
>それなのに青木は自分の気持ちに気付かないんですかね?

はい、ちゃんとふきだしになってますから、声に出してると思いますよ。
それでも気付かないのが、青木さんの青木さんたる所以と言うか、薪さんが青木さんを愛してやまない特徴と言うか。
そんな青木さんだから、薪さんは何をおいても守ってあげたくなっちゃうんですよ、きっと。(^^


>現実にこんなに悲しいことがあるのだから、お話(原作も含め)だけでもハッピーでいて欲しいと思うんですが・・・。 

本当に。
今もなお、避難所生活を送っておられる方は大勢いらっしゃるし、
原発は2ヶ月も経つのに落ち着く様子もないし・・・・・・
わたしも今は、
こんな現実を一時でも忘れて、みなさんに和んでもらえるような楽しいお話を公開していきたいと、そう思ってます。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: