天国と地獄4 (1)

 こんにちは~。

 天国と地獄シリーズ4作目、しかし書いたのはつい最近で、何を隠そうリハビリ第1作目でございます。
 日本語に不自由な人が目的もなく文字を綴ったかのような駄文になってしまったのは、そのためだと信じたい。

 わははー、1ヶ月ちょい休んだだけで、こんなに書けなくなるもんかー。
 ホント、使わない機能はどんどん衰えるんだねー。 おばさんはびっくりしたよー。(@◇@)
 

 日本語レベル低くてすみません、(あ、いつも?)
 その上、中途半端な内容ですみません、(これもいつも?)
 どうか大目に見てください。

 


 


天国と地獄4 (1)





 小さな町の住民がそっくり移動してきたのではないか、と疑いたくなるくらい大勢の人々に混じって、青木は右隣の人物の顔をこっそりと見た。
 青木の左で順番を待っている女子高校生らしき少女といくらも変わらない体つきの彼は、つばに英文字の刺繍が入った帽子を目深にかぶっていて、この位置関係だと口元しか見えない。よって青木の眼に映るのは彼の、普段通りつややかできれいなくちびるだけだが、いつもより少しだけ口角が緩んでいるように見えるのは、都合の良い錯覚だろうか。

 C県にある有名なアミューズメントパーク。その入場門の外に設えられた大きな広場は、見渡す限り人の頭で埋め尽くされている。親子連れ、恋人同士、友だち同士、みんな楽しそうに入場門へと歩いていく。
 尋常な数ではないから、その歩みはひどくゆっくりだ。気の短い彼が今にも怒り出すのではないかと、さっきから青木は冷や冷やしている。
 下調べが甘かった。正直、ここまで混むとは思わなかった。
 今日のデートは、申し込み6回目でOKしてもらったのだ。掛かった期間は約1ヶ月。入園前に終了したのでは哀しすぎる。

 遅々として進まない列に並び、少しでも早く順番が来るよう祈りながら、青木は彼に話しかけた。
「すごい人出ですね」
「ああ」
「いいお天気になってよかったですね」
「うん」
 二文字の返事しか返ってこないのはイエローカードだ、と青木は焦る。機嫌が良ければ、「そうだな」くらい付けてくれるはずだ。
 2文字が6文字になったところで変わらないと他人は言うかもしれないけれど、このひとに限っては天と地ほどの開きがある。とにかく、難しいひとなのだ。
「……すみません、お待たせして」
 とりあえず謝っておこう。何事も先手必勝だ。
「なんでおまえが謝るんだ?」
 おかしなやつだな、と皮肉に笑われて、青木はほっと胸を撫で下ろす。それほど怒っているわけではないらしい。

 ストリート系のファッションを楽しむ男子が好みそうなファンキーな帽子は、実年齢より常に20歳ほど若く見られる彼によく似合っているけれど、できれば外して欲しいと青木は思う。
 帽子のせいで、薪の表情がよく見えない。だから、彼のご機嫌が今ひとつ解らない。彼がまとう空気は、いつもより張り詰めていない。でもそれは今がプライベートだからで、この状況をどれくらい不快に思っているのか、微妙な判断がつかない。
 今日のデートだって、自分でも呆れるくらいしつこくしつこく誘ったから、断るのが面倒になって応じてくれたのか、「絶対に楽しいですから!」と青木が力説したのが効を奏して幾らかでも楽しみにしてくれていたのか、その辺もできれば確認したい。
 訊いても答えてはくれないだろうが、彼の瞳を見れば何となく分かる。基本的に彼は無口だけれど、その瞳は誰よりも雄弁で、見つめることさえ許してもらえれば、そこに様々な感情を読み取ることができる。
 でも、肝心の眼を隠されてしまったら。青木には何もわからない。

「薪さん、チケットです」
 自分たちの順番が近づいて来たので、青木はセカンドバックから入場券を取り出し、彼に手渡した。黙って受け取る彼の手はやさしかったけれど、
「後で清算するから。レンタカー代と合わせて、計算しておけよ」
 そんな風に言われてしまうと、まるで仕事で出張に来たみたいで、少々悲しくなる。
 青木はデートのつもりだが、薪にはそんな気はないのだろうな、と、それは分かっているはずなのに、やっぱりちょっとだけ胸が痛い。

 青木が何回好きだと言っても、薪は青木の言うことを信じてくれない。いや、信じないのではなく、理解できないのか。上司として、人間として好意を抱いていると、そんな意味合いだと思っているのだ。
 男が男に恋をするなんてありえない、と薪は頭から決め付けていて、同性に恋愛感情を抱くのは一部の特例だけだ、と断言する。その特例にしても彼のイメージは2世紀くらい前の遺物で、そういう方々は化粧をしてスカートを穿いているものだ、と訳知り顔で青木に教えてくれるから困る。
 自分が女になりたいとか男性に愛されたいとかじゃなくて、あまりにも相手のことが好きで、性別なんかどうでもよくなってしまう。そういう恋が存在することを、薪は認めてくれないのだ。
 そんな彼との関係は、膠着状態を絵に描いたようで。
 上司と部下の関係は超えて、友だちになったはいいけれど、この1年、そこから先には一歩も進まない。でも青木は諦めない。
 今はまだ、道の途中。そう思うことにしている。

 入場口の係員にチケットを渡して、スタンプを押してもらう。定員1名の金属製のバーを順繰りに回して、青木は薪の後ろから園内に入った。
 花で飾られた大きな噴水が、青木たちを出迎えてくれる。
 噴水の周りは広場になっていて、グループになった人々がさざめいている。その周りには二階建ての洋館がずらりと建ち並び、奥の通路へと続いている。園内の奥へと足を進めると、歩道には中世の時代を照らしたようなガス灯が等間隔に立ち、アミューズメントパークの売店とはいえ、ここまで造りに拘れば、それは立派な芸術だと青木は思う。

 素直に賞賛する青木に引き換え、薪はひねくれものだ。
 こんなものが何の役に立つんだとか、電飾パレードは電気の無駄だとか地球温暖化対策の敵だとか、絶対に言うだろうと思った。薪は理屈っぽいし、人の揚げ足を取りたがる性格なのだ。

「へえ。すごいな」
 いつ薪の毒舌が炸裂するのかと身構えていた青木は、その言葉に耳を疑った。
 目深にかぶっていた帽子のつばを上げ、額を覆った前髪の下から薪は、眼を大きく開いて装飾過多な通りを見ている。
「よく造ったもんだ」
 やっと見ることができた亜麻色の瞳は生き生きと輝いて、彼が今の状況を決して不快には思っていないことを青木に教えてくれる。ヨーゼフと遊んでいたときほどではないが、それなりに楽しそうだ。
 今度こそ青木は心底ホッとして、ガチガチに固まっていた肩の力を抜いた。

 大勢の人々に混じり、並んで歩く二人の間を、後ろから来た子供たちの集団が歓声と共に走り抜けていく。無遠慮に薪との間を割っていく彼らを、しかし青木は怒らなかった。あの薪が褒めるくらいだ。子供たちが夢中になるのも無理はない。
 子供たちの元気な背中を見送っていると、今度は真向かいから、しっかりと腕を組んだカップルがやってきた。蹴り飛ばしても離れそうになかったので、仕方なく薪と距離を取って、彼らを通してやった。
 カップルが通り過ぎたとき、薪はその場にいなかった。
「あ、あれっ? 薪さん!?」
「ここだ」
 気が付くと、薪は向かいの通りにいた。
「なんでそっちのほうに」
「人の波に乗ってたら、いつの間にかここへ」
 ほんの一瞬離れただけなのに。恐るべし、ネズミーパーク。

 身体の小さい薪は、簡単に人ごみに紛れてしまう。他人より頭ひとつ分高い青木を薪が見つけるのは容易いが、青木が小柄な薪を見つけるのは至難の業だ。解決策としては離れないようにするのが一番だが、その具体的な方法と言うと、言ったら殴られるかなあ、でも言っちゃお。
「あの……手をつなぎません?」
 迷子防止の一般的な予防策を提案した青木に、薪は予想通りの冷たい一瞥をくれた。
「べ、別にいやらしい気持ちじゃないんですよ。ここではぐれちゃったら、探すの大変だと思うから」
 そりゃ、オレは薪さんの手に触れたら嬉しいですけど。
 
 本音を言えば、さっきのカップルみたいに腕を組んで歩きたい。薪とそんな風に過ごせたら、死んでもいい。
 できることならその華奢な肩を抱き寄せて、自分の胸の中に囲い込むようにして歩きたい。薪が嫌がるからしないけれど、本当はいつも、彼の身体に触りたいと思っている。さわるだけじゃなくて、あんなことやこんなこと、薪が許してくれるならもっと先のことまで、ってそれはここではちょっと無理、てか誰も見てないところでも無理だけど……ネバーギブアップ! いつかきっと!

「それは歩き辛いと思うぞ」
「そうですね。足がぶつかっちゃいそ、えっ!?」
 頭の中の妄想に異を唱えられて、青木は焦る。
 なんで薪が自分の思考に答えるのだ? もしかして、いつの間にか脳内思考が駄々洩れに!?
「こ、声に出てました?」
 青木が心配そうに自分の失態を確認すると、薪は意地悪そうに嘲笑って、
「最後のは、聞かなかったことにしておく」
 最後ってどこ!? どこまで言っちゃってたんですか、オレ!?

「ほら」
 促す声に顔を上げると、薪の小さな手が差し出されていた。
 やらかしたばかりの失敗も忘れて、青木は舞い上がるような心持ちでその手を握った。細くて小さくて女のように華奢な手。でも、しっかりとした骨の感触と高い体温が、彼の性別を強調する。

 人前で手を握ったりして、これは一歩前進したと思ってもいいんじゃないか?

 薪に友情以上の気持ちがないことはわかっているけれど、こうしてつないだ手のぬくもりは、ランド名物の電飾パレードより遥かに青木の心を浮き立たせてくれる。
 嬉しくて、青木はぎゅっと手に力を入れた。
 向かいから来た高校生の集団が、二人の両脇を鰯の群れのように抜けていった。




テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Aさまへ

はい、デートの定番、ネズミーです(^^
お近いんですね、羨ましいな~。
うちからは車で2時間は掛かります。 帰りは当然真夜中過ぎで、だから連休のときじゃないと行けないんです。

『ビアガーデン』というお話の中に、二人でネズミーに行った、というエピが一文だけで出てくるんですけど、これはそこを書こうと思って書き始めました、でも挫折しました、で、違う話になっちゃいました☆ 
ので、二人で乗り物に乗るあおまきさんは、ご想像にお任せで・・・・・・すみませんーー!

4月号の段階で書いてたので、あおまきさん、書くの辛くって~~、(ほら、婚約解消は青雪の絆が深まるフラグだと思ったから)
6月号を読んだ今なら書けるかもしれない、いや、書かねば、
あおまきさん成立記念作品、ラブラブのあおまきさん!!
いやー、原作以上のラブは書けないかな~、うへへへへ。(わたしにはあれが至上の愛に思えます♪) 

Sさまへ

Sさま、こんにちは!
コメントありがとうございます!


>ひゃ~。久しぶりに嬉しいカンジのあおまきですか?心配しなくていいんですよね?ね?ね?(しつこい)

Sさまがここまで心配しなきゃならないものを、普段から書いてるんですね、わたし。(笑)
大丈夫ですよ~、
天国と地獄シリーズは完全ギャグなので、薪さんの性格設定は本編よりもかなり能天気になっています。 このシリーズでは、薪さんは一度も泣きません。 青木くんは泣きっぱなしですけど☆
安心してご笑覧ください。(^^


M野さんのお話は、
そうなんですか~。 ビジュアルが似ているから気になったわけではないのですね。 
詳しくはないのですが、M野さんは、とても理知的で、しかも勇猛果敢な方なのかしら? 
批判を怖れない報道姿勢というか、潔さを感じて、素敵な方だわ、と思ったのですけど。


>しづさんの旦那様はホントに

きゃー、そんなことないですー、おバカなのー、本当におバカなだけなのー!
でもわたしもバカだから、バカはバカ同士気が合って、だからそれなりに上手く行くのかもしれません。
・・・・・・こんなにバカバカ書いて、自分のブログにコメント拒否されないかしら。(笑)
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
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