緋色の月(13)

 こんにちは。
 仕事であっぷあっぷしておりまして、レスが遅くなってます。 申し訳ありません。
 総合評価入札方式? なにそれ、おいしいの? どんどん面倒くさくなるなー。(言ってはいけない一言) 
 現在、資格審査のための資料作りに追われておりまして、レスはもう少し待ってくださいね。
 
 記事は5分でアップできるけど、レスは時間掛けたいし~。
 とっても大切だから、ちゃんとお返事したいんです。 だから待っててください。


 それで、お話の続きなんですけど。

 ………あのねっ、
 これをミステリー小説だと思って読んではいけません! 事件の鍵とか、一生懸命に探しちゃだめー!! 
 素人が書いてる二次創作なの。 しかも、筆者の脳は身長に比例して小学生並で、だから生ぬるく! 真夏の炎天下に30分置いたスイカのようにヌルく見てやってくださいっ!!
 どうかよしなにお願いします。




緋色の月(13)





「先輩に気付かれると厄介なんで、庭に出てもらっていいすか?」

 峰山は後ろ頭をポリポリと掻き、困惑したような眼で薪を見つめ返した。親指を立てて窓の外を示し、薪に建物の外に出るよう促した。
 素っ気無いコンクリート造の庁舎の陰で、二人は同僚に隠れて付き合っている恋人同士のようにコソコソと話をした。薪と話をしているところを先輩刑事に見つかったら、峰山がこっぴどく叱られることは想像がついた。いくら薪が捜査の指揮権を奪うつもりでも、後輩に対する指導までは口が出せない。守ってやれない以上、彼の保身を優先するべきだ。

「その、薪警視長殿は」
「薪でいい」
 薪は階級に拘らない。名前だけで充分だ。煩わしい敬称は好きではない。
「薪、さんは、心の病で病院に通われてるんですよね?」
「心の病? 僕が?」
 形だけだが、警視総監の命令でカウンセリングには通っている。それを知っている誰かが、そんな噂を吹聴しているのか。これも峰山の友人からの情報だろうか。二課で自分の人物像がどんなことになっているのか、ものすごく不安になってきた。

「薪さんは誇大妄想を患っているから、彼の言うことは一切信じるなって、この事件の捜査に入ってすぐに言われて」
「誇大妄想? だれがそんなこと」
 事件の捜査に入ってすぐ、と言うことは、二課の友人から今聞いたのではない。薪の証言が役に立たなくなるよう、警視長の権威が効力を失くすよう、あらかじめ捜査官たちに吹き込んだ人物がいたのだ。
「それは言えませんけど……でも、昨日、課長と薪さんが話してたの聞いて、おれ、とてもそうは思えなくて」
 峰山は真剣な顔つきで、薪の眼を真っ直ぐに見た。若く純粋な光が青木の黒い瞳を思い出させ、薪はそれをとても好ましく受け止めた。

「事件は数じゃないって、おれも同じこと思ってたから」
「賛同してくれて嬉しいよ。ありがとう」
 にこりと微笑むと、峰山はぽかんと口を開いた。呆けたようになって、それから急に頭をブンブンと振った。若くても夜勤明けは辛いのだろう、と薪は彼に同情し、それは薪のお得意のカンチガイだったが、この場は流しておくが正解だ。

「そうだ、これ」
 ふと思い出して薪は、コートのポケットを探った。白いハンカチを取り出し、手のひらに載せる。中を開くと、そこには可愛いマスコットのついたストラップがあった。
「昨日、公園を警備してた巡査から預かったんだ。公園の噴水のところで拾ったって。一課か鑑識の誰かのものじゃないかな」
 面倒だったら署内の落し物入れにでも入れておいてくれ、と薪が警官としては少々不謹慎な解決策をほのめかしたのに対して、峰山は嬉しそうにストラップをつまみあげ、子供のように目を輝かせた。

「うわあ、ピーピくんだ。うちの人間のものじゃないと思いますけど、レアグッズだから欲しがるやつ多いだろうなあ。一通り当たってみて落とした人がいなかったら、おれ、もらっていいすか?」
 おかしなことを言う。これは警察全体に配られたのだ。駐在までは行き渡らなくても、所轄の人間なら皆持っているはずなのに。それとも彼は、刑事になって間もないのか? そんな未熟な人物に、課長がマスコミの対応を一任するとも思えないが。

「君、持ってないの?」
「持ってませんよ。非売品て書いてあるじゃないですか」
 何年か前に総務部から配られた品物であることを薪が明かすと、峰山はますますそれが欲しくなったようで、このままガメちゃおうかな、と冗談交じりに笑った。
「だってこれ、警視庁のマスコットでしょ? 配られたのは東京都の警察署だけじゃないんですか?」
「警視庁のマスコット? ……それ、日本警察のイメージキャラクターじゃないのか?」
「ぶふっ。山下の言うとおりだ。薪さんは天才なのに、常識を知らないところがあるって」
 覚えておくぞ、二課の山下。この屈辱、100倍にして返してやる。
「マスコットは県警ごとに違うんですよ。これは、警視庁独自のマスコットです。だからきっと、持ってるのは警視庁関連の職員だけだと思いますよ」

 そんなバカな、と薪は思う。
 自分は東京都の人間だ。警視庁にも4年在籍し、その後は隣り合わせに建っている警察庁と科警研で仕事をしてきたのだ。こんな地方警察の若手刑事が知っていることを、知らないわけがない。
 しかし、たしかに薪は世事には疎いのだった。峰山が『ピーピくん』と呼んだマスコットの名も、実は知らなかった。

 こういうことは、小池が詳しい。あいつは事情通で、署内の噂話とか下馬評とかを仕入れてくるのが得意なのだ。
 薪は小池に電話を入れ、仕事の進捗状況を聞くついでに確かめてみることにした。本来ならこんなことをしている場合ではないのかもしれないが、峰山刑事が青木に会わせると約束してくれたこと、小野田に電話をするにはまだ時間が早く薪には当座の仕事がないことで、今のうちに東京の事件の経過を聞いておいたほうがよいと判断したのだ。

「小池か? 昨日の、一課からの協力要請はどうなった?」
 おはようございます、と元気な挨拶のあと、すでに解決済みです、と小池は得意気に答えた。
『証拠になる画を捜一に渡したのが、深夜3時ごろです。依頼から8時間のスピード解決でした』
「そうか、見つけたか。よくやった」
『夜中だったので、室長への連絡は朝になってからにしろって岡部さんが』
「岡部はどうした」
『家に帰りました。なんか、急な用事があるとかで』
「そうか」
 岡部に連絡が取れないのは残念だった。
 ここで捜査をするなら、薪はしばらく第九へ帰れなくなる。留守を頼めるのは岡部しかいない。岡部には、早いうちに事情を説明しておきたかった。

 この電話が済んだら岡部に連絡を入れることにして、薪は連絡相手に小池を選んだ理由を明らかにした。
「ちょっとおまえに聞きたいことがあるんだが。何年か前に、マスコット付きの携帯ストラップが総務部から配られただろう? あれって、警察全体のどの辺まで行き渡ったのか知ってるか」
『警視庁設立190周年記念のストラップですか? 警視庁のお祝いなんだから、警視庁だけに決まってるじゃないですか』
「えっ」
 まずい。20年近い薪の東京勤務が、地方警察の若造に常識で敗北しようとしている。

「しかし、第九にも配られただろ? 第九は科警研、警察庁の所属だぞ」
『あれは竹内さんが好意で持ってきてくれたんですよ。捜一で余りが出たからって……憶えてないでしょうね。薪さん、竹内さんが来るといっつも急に用事ができて外出するから』
「いや、でも、雪子さんや助手の女の子も持ってた気が」
『薪さん。いい加減に竹内さんと三好先生が婚約してること、認めたらどうですか?』
 うるさい、余計なお世話だ。あんな人間のクズに雪子さんが惚れてるなんて、僕は絶対に認めないぞっ!
 不愉快になって、薪は物も言わずに電話を切った。電話の向こうでは、小池が自分の失言にうろたえていることだろう。

 そうか、あれは竹内にもらったものだったか。不快な記憶だったから、自分で消してしまったらしい。
 もらったストラップはどこへやっただろう? 忌まわしい男の手に触れた呪われたグッズなんか、捨ててしまっているといいのだが。いや、公費で作られたものを捨てるわけにはいかないから、何か別の方法を考えたに違いない。きっと竹内も、公職に就く人間として税金で作ったものを捨てるわけにはいかないから第九へ持ってきたのだ。
 捨てずに自分の身から離す方法と言えば、例えばリサイクルとか。でなければ、だれか欲しがってるひとにあげたとか。
「…………あ」

 薪は竹内からもらったストラップの行き先を思い出し、そしてようやく昨日感じた違和感の正体に気付いた。
 東条の携帯電話には、何も付いていなかった。
 さらにもう一つ。彼の言葉には、僅かな矛盾点があった。
 どうしてあんな簡単なことに今まで気付かなかったのか、今回どれだけ自分が平常心を失っていたのか、薪は思い知った。青木が捕まったことで心が乱れた。それが今回の敗因だ。
 もう、しくじらない。

 薪は峰山の手からレアグッズを奪い返すと、ハンカチで丁寧に包み直した。それを再び峰山の手に握らせたときには、薪は厳しい捜査官の貌になっていた。
 亜麻色の瞳が、叡智に輝いている。その光の前には、誰もが言葉を失う。透明で深い、宝石のような瞳。周りを縁取る長い睫毛は、そのきらめきに華やかさを加える。
 絶対的で揺るがしようのない真理が彼の中に在って、それが彼を輝かせている。彼の美しさの本領は、姿形の美麗ではないのだと峰山は気付いた。

「このストラップの指紋、調べておいてくれないか」
「了解しました」
「それと、マスコミ対策について知りたい。君が担当しているんだったよね?」
「マスコミには報道規制を布いてます。昨日の朝のローカルニュースだけは間に合わなかったんですけど、それ以降はバッチリ」
 やはり。それで夕方のニュースでも夜のニュースでも、事件の報道が為されなかったのだ。

「わかった。ああ、これは無駄かもしれないけれど、旅館の近くにあるコンビニの店長から、事件の夜に青木を見なかったか、聞いておいてくれないか。できれば、防犯カメラの映像も」
「旅館近くのコンビニですか? わかりました」
 手帳に言われたことを書き付けて、峰山は頷いた。よくよく考えてみれば、部外者である薪の命令を聞く義務は彼にはなかったのだが、そこには思い至らなかった。彼の言いつけを守るのは、当たり前のことに思えた。

「じゃあ、青木さんのところへ案内しますね」
「いや。その前に、ちょっと調べたい事ができた」
 そう言ったとき、薪の爪先はもう、警察署の外に向かって歩き出していた。
「君から伝えてくれないか。僕を信じて待ってろって、それだけ」
 あれだけ会いたがっていた恋人への伝言を峰山に託して、彼の背中はどんどん小さくなっていく。峰山は思わず声を張り上げた。
「わかりました! 愛してるって付け加えときましょうか?」
 峰山が茶化すのに、薪は振り返って、
「それは自分の口で言う!」

 そう叫ぶと、あとはネズミを追いかける猫のごとく、脇目もふらずに走って行った。
 恋人の無実を信じて、彼は懸命に捜査をしている。男のクセに男を好きになるなんて、それは峰山には決して理解できない感情だが、大事な人のために力の限り尽力する、彼の誠実のどこが男女のそれと違うのだろう。
 薪が町民たちに聞き込みをしていたことを、捜査課の人間は知っている。旅館の主人から通報があったのだ。それは捜査課にとって、耐え難く迷惑な行為だった。だから主人に頼んで、薪を宿から追い出してもらった。泊まるところがなくなれば、尻尾を巻いて東京に帰るだろうと思った。
 でも、薪は帰らなかった。必ず助けてやるからと、あんな小さな身体で、あの熱意とパワーはどこから出てくるのか。
 その原動力が、あの二人を結ぶ絆なのだろうと、峰山は察しないわけにはいかなかった。

「すいません、シロさん。起こしちゃいました?」
「廊下であれだけ騒いでりゃ、うちのかみさんだって起きるよ」
 ガラッと後ろの窓が開いて、峰山とコンビを組んでいる年長の刑事が姿を見せた。シロさんこと城田刑事は峰山からハンカチに包まれた証拠品を受け取ると、大事そうに内ポケットにしまった。
「課長が来ないうちに済ませるよ、指紋照合」
「了解っす」

 城田が鑑識係を電話で呼び出す間に峰山は建物の中に入り、城田と合流した。捜査課への階段を上りながら、峰山は気になっていたことを先輩刑事に話した。
「マル被が公園から出てきたって証言したの、あの先生ですよね。警視庁の専属カウンセラーやってるって言う」
 城田は峰山の言葉に曖昧に頷いた。
「警視庁の専属だったら、それ、持っててもおかしくないですよね?」
「そうさな。先生の落し物かもしれないねえ」
「でも先生は、公園の中には入らなかったって言ってましたよね? 夜、眠れなくて散歩してたら、公園から慌てて走り去っていく男を見た。そういう証言でしたよね」
 廊下を歩きながら、峰山は話し続ける。昨日、峰山の意見を笑い飛ばした先輩は、今日は黙って峰山の話を聞いてくれた。

「第一発見者は、公衆電話からの匿名の通報でしたよね? この町で、夜の11時に目撃者が二人もいるのって、不自然じゃないですか? 薪警視長の病気のことだって、あの先生がカルテやら診療記録やら山ほど持ってきて、課長に」
「それ以上はやめとけ、峰」
 鑑識のドアの前に立ち、城田は厳格な表情で言った。
「お前さんが言ってるのは、ただの当て推量だ。あたしたちに推量は禁物だよ。まずは証拠だ」
 城田はそう言って、自分の胸ポケットの上をぽんと叩いた。



*****



 東条学は、探し物をしていた。
 一昨日からずっと探している。大事な人からの、大切な贈り物。それを彼は失くしてしまったのだ。

 彼からそれを贈られたのは、もう2年も前のことだったが、東条はそのときのことを克明に思い出すことができる。診察室の椅子に座って彼は、汚いものでもつまむように、たおやかな指先でその小さな装飾品を持ち上げて見せた。

『僕の大っキライな男が持ってきたんです。見るのも不愉快です』
 そうなの? じゃあ、僕がもらってもいい?
 どうぞ、と澄んだアルトの声が言い、白くて美しい手がそれを渡してくれた。偶然手に触れた彼の指を思わず握ると、彼は不思議そうな顔をして、でもすぐに笑ってくれた。
 
 東条はその場で自分の持ち物にその飾りを取り付け、贈り主に見せた。彼はにこりと笑って、
『先生、可愛いモノ好きなんですね』

 そうだ。かわいいものは大好きだ。
 とりわけかわいいのは ―――――。

 東条がこの世で一番可愛いと思うものを見たくなって、彼は携帯のフラップを開く。カメラモードに切り替えて保存されている画像を呼び出すと、東条は恍惚とした表情でそれを見つめた。
 彼の唇から、夢見るような呟きが洩れる。

「早く帰っておいで。薪さん」


*****




 ああっ、石を投げないでくださいっ。
 薪さんが阿呆なんじゃなくて、書いてるわたしが阿呆なんです、ごめんなさいっ。 

 でも薪さんて、こういうところあると思うのはわたしだけ?
 あのひと、難しいことはよく知ってるくせに、だれもが知っている当たり前のことを知らなかったりしそうな気がするんですけど~。 (暴言)
 特に芸能関係。 アイドル歌手の見分けがつかないとか、あ、それはMさんとこの薪さんか。
 よかった、わたしだけじゃなくて。 (Mさん、とばっちりすみません★)


  

テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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