緋色の月(20)

 こんにちは。

 新しいサイト様のリンクのご紹介です。
 『Sadistic EXPO』 ←押すと飛べます。 
 管理人は オカイアキラ さまです。

 開設は今年の5月だそうで、まだ4ヶ月とのことですが、長編秘密創作に関しては1部が終了し、2部に入っております。 4ヶ月でこの量は、相当熱が入ってらっしゃるものと思います。 

 普通なら、こちらからリンクを貼らせていただくサイト様については 『切ないすずまきさんが』 とか 『甘いあおまきさんが』 とか、サイトの傾向について一言ご説明するんですけど、
 こちらのサイト様に関しては、それは控えさせていただきます。
 もう、そんな次元じゃないんです。 とにかくすごいの。 すごいとしか言いようがない。 ストーリーもキャラも、鮮やかで生々しい。 事件もきっちり書いてて、解決したときには 『おお!そうか!』 ってなる。
 薪さんの苦悩も、恋も、愛も、全部全部重く心にのしかかる感じです。 読んでいると、原作ばりに胸が苦しくなります。

 オカイさんのお話を読んだらね、自分の話なんかペラッペラだな、って思いましたよ。 まあ、うちはギャグなんで、そんなに重くても困りますけどね☆
 あと、うちの男爵はなんて幸せなんだろうって思った。(笑)

 ひとつだけ、お話の内容は決して甘いものではなく、薪さんの苦悩も深いです。
 初めの注意書きをよくお読みなってから、本編にお入りになることをお奨めします。
 わたしの鉄の心臓でさえ何度かビビリましたから~、ナイーブな方には、ちょっと厳しいかも。

 でも、本当に面白いんですよ! これを読まないなんてもったいない!
 是非どうぞ! ご健闘をお祈りします!!







緋色の月(20) エピローグ(1)






 月曜日。
 朝一番で薪がしたことは、官房室の上司に頭を下げることだった。

「申し訳ありませんでした。定期的に接触を持ちながら、彼の異常性に気付かなかった僕の責任です」
 事件は明るみに出た。
 犯人が警視庁専属のカウンセラーであったこと、犯行の動機が薪に対する異様な執着であったこと、犯人の偽装工作によって青木が誤認逮捕されたこと、それらはすべて白日の下に晒され、小野田は事件の渦中にあった警察官二人の氏名がマスコミに洩れないよう、奔走せざるを得なかった。

「責任はすべて僕にあります。青木警視は巻き込まれただけで」
 沈痛な面持ちで報告する薪の言葉は、途中で遮られた。小野田の両手が薪の肩に置かれたからだ。

「心配したんだよ」
 眉根を寄せて薄灰色の瞳を歪ませて、小野田は明らかに怒っていた。どうしてトラブルに巻き込まれた時点で自分に助けを求めなかった、とそれは言葉にはならなかったが、裏切られたような悲しいような彼の瞳が、想いを薪に伝えてきた。

「……ごめんなさい、小野田さん」
 不祥事を起こした部下としてではなく、彼の愛情を受けるものとして薪が心から謝ると、小野田は彼の肩を解放し、いつもの穏やかな顔に戻って言った。
「うん。これからは気をつけてね。きみはおかしな男に好かれる習性があるんだから、自分に話しかけてくる男はみんな自分を狙ってるくらいに思わなきゃダメだ」
「小野田さんまでそんなこと」
 岡部にも青木にも、同じことを言われた。冗談のつもりなのだろうが笑えない。あいつらのギャグセンスは、時々すごく残念だ。

「下がっていいよ。後の処理はこっちでするから」
「処理、とおっしゃいますと?」
 これはI市で起きた事件で、警視庁は介入しない。入るとしてもF県警までで、これ以上小野田の手を煩わせることはないはずだが。
 訝しげな光を瞳に浮かべた薪の前で、小野田は執務机の上で両手を組み合わせ、にっこりと笑って、しかしその眼は冷たいままで、薪は自然と強くなっていく肩の緊張をほぐすことができない。
 警察庁の実力者の貌になって、小野田は薪の疑問に答えた。

「きみを殺そうとした東条は、警視庁の専属カウンセラーだ。これは警視庁の責任でもあると思わないかい?」
「官房長殿の仰せの通り」
 隣の部屋から首席参事官の中園が現れ、小野田の言葉を引き継いだ。
「その責を負うのは、当然警視総監の役目だ。きみを彼のところへ通わせていたのも、彼。彼には何らかの形で責任を取ってもらう。具体的には、彼が第九へ介入する権限を削いで科警研に及ぼす彼の力を減じ、我々の勢力を伸ばすという方向で」
「中園。余計なことは言わなくていいよ」

 中園の口上を遮って、小野田の尖った声が響いた。官房室の諸葛孔明と異名を取る首席参事官は、軽く肩を竦めて、
「小野田。いつまで薪くんを客人扱いする気だい? そろそろ、こういうことも覚えてもらわないと」
「いいから黙りなさいよ。薪くん、昨日の今日なんだからね。無理をせずに、今日は家でゆっくりしたらどう?」
「いえ、大丈夫です。失礼します」
 薪は一礼し、官房室を辞した。

 今回の事件を利用して、小野田は警視総監派の勢力を抑えようとしている。
 派閥抗争のため、利用できるものは何でも利用する。警察の上層部がそういうところだということは理解していたつもりでも、第九や自分がその為に利用される事実を知るのは、悲しかった。
 
 小野田は聖人君子ではない。薪の身をとても案じてくれたことは事実だが、それを利用する狡猾さも持っている―― 。
 小野田に対する尊敬と愛情は変わらずとも、そのことだけは肝に銘じよう。

 官房室のドアを見つめがら、薪は自分にそう言い聞かせた。



*****



 週末、薪にはもう一つのフォロー先が残っていた。誤認逮捕の憂き目にあった哀れな男、つまり薪の恋人だ。

 その日、彼がいささか不機嫌なのはわかっていた。その理由も察しがついた。東条が薪に行った狼藉の数々に腹を立てているのだ。
 青木はやきもち妬きだ。特に、薪が他の男に肌を見せるのを極端に嫌がる傾向がある。温泉の大浴場に浸かるのもいい顔をしないし、夏、タンクトップに短パン姿でコンビニに行くのにも眉を顰める。
 そんな彼が、東条のしたことを知って怒らないはずがない。被害者であるはずの自分が彼の不機嫌をいなさなければならない状況に理不尽は感じたものの、今日のところは仕方あるまいと諦めて、週末の楽しみに録画しておいた推理ドラマは早々に切り上げ、恋人と一緒にベッドに入った薪である。
 青木の不機嫌は、だいたいコレで直る。ちょっとした諍いなら、おつりがくるくらいだ。それを愛情と取るか非情な駆け引きと取るか、その判断に他人の意見はいらないし、聞く気もない。本人同士が納得しているのだから、世間一般の道徳はこの際遠慮してもらおう。

 彼のご機嫌を取るために、常ならば落とす部屋の明かりは点けたまま、恥ずかしいのを我慢して青木の愛撫を受けていた薪は、彼の様子がいつもと違うことに気付いた。それは、薪の肌に吸い付く彼のくちびるの温度とか、彼の指先から生み出されるリズムとか、そんな曖昧なものではなく、もっと具体的で、要は一目見て分かるものだった。
「……どうした? 疲れてるのか?」
 薪の裸体を前にして、青木が反応を示さなかったのは初めてかもしれない。青木は若く、イヤになるほど元気で、服を着たまま接触していても自然にその状態になってしまう。ソファで持たれ合ってテレビを見ているだけでも欲情してしまう彼を、薪は宇宙人でも見るような眼で見ていたのだが。

「ごめんなさい。今夜はできそうにありません」
「気にするな」
 ベッドの上に裸で二人、正座して向かい合う。何をしているのかと笑われそうだが、本人たちは真面目だ。
「おまえも30近いんだから、そういうこともあるさ。落ち込むことはない。僕なんか、ソープで勃たなかったことあるぞ。お金だけ払わされて、あれは口惜しかった」
 しょんぼりしている恋人を、薪はやさしく慰める。かなり微妙な慰め方だが、本人はこれで精一杯元気付けているつもりなのだ。
 それが役に立たないことは、薪の方がずっと多い。薪はもともと薄いほうだし、すでにアラフォー。正直、今夜はしなくて済むと思うと、ちょっとだけ嬉しかったりする。

 まだ眠ってしまうには早いし、さっきの録画の続きを見よう、と提案しようとして薪は、青木が眼の縁に涙を浮かべているのに気付いた。何も泣かなくたって。できなかったことがそんなに悲しいのだろうか。
「青木?」
 薪が下から覗き込むと、青木は黒い瞳を捨てられた子犬のように潤ませて、ごめんなさい、ともう一度謝った。

 いやな予感がした。
 青木の不調は体力的なものではなく、精神的なものだと薪は直感した。
 もしかしたら、薪が東条に穢されたことを知って、青木は薪の身体に嫌悪感を抱いたのではないか。その気持ちが身体に現れて、今日の青木は反応しないのでは?

「オレ、あの男が薪さんにしたことを聞いて」
「あれは僕の意志じゃない!」
 予感が的中したことを悟って、薪は思わず叫んだ。
 レイプにあった被害者が、恋人や婚約者から一方的に別れを告げられることは多い。本人には何の非もないのに、理不尽な暴力に晒されて、なのに一番力になって欲しい人が自分から去っていく。彼女たちの憤りと悲哀を、薪は身をもって体感しようとしてした。

「クスリで眠らされて意識がなかったんだ。それでも、青木は僕を許せないのか」



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Nさまへ

Nさま、こんにちは!
コメントありがとうございます。


> 途中、本当にハラハラしました。
> そしてナイト岡部さんに持っていかれました。
> ああ、岡薪だったねこの話、姫が助かってめでたしめでたし・・

そうなんだ、岡薪だったんだ。(←言われて気付く筆者 笑)
ハラハラしてくださってありがとうございます。 B級サスペンスのノリで楽しんでいただけたら幸甚でございます♪


> んもーー・・(19)ラストの二人再会の場面は
> またまた泣いてしまいましたー・・(´;ω;`)
> しづさんは泣かせ上手ですね・・ボロボロ

Nさまの感性が豊かなんですよ~。
でも、ここは書きたかったシーンなので、Nさまが心を動かしてくださって、とてもうれしいです。


> 薪さんも、長い長い道のり、お疲れ様でした。
> 今回の薪さん、男らしかったですよ。あ、今回も。

うちの薪さん、仕事の時だけは男らしくてカッコいいんです!(そう書いているつもり。 筆力が追い付かないだけ)
プライベートになるとカンチガイ男爵に早変わりしますケド☆


> 東条さん相当捻じれた方でしたが、何かこうゆう人ってちょっとカワイソウになってきます。現実で満たされて欲しい。
> と言いつつ途中発狂しそうになりましたが・・薪さんを・・この!!って☆

とんでもねーな、と思いつつ書いてました。(^^;
いやほんと、間宮の方がナンボかマシだと思いません? 東条に比べたら、間宮は大したことしてないですよね。 覗きに拉致監禁に薬品使って強姦未遂・・・・・・どっちも極刑だな☆


> 小野田さん・・は・・抜け目ないですね。さすが実力者です。実力者の貌かっこいいですね。

これは、次の話への伏線です。
薪さんが小野田さんにいくばくかの不信を持つことが、ここでは重要なんです。(^^


> 続きのエピローグも楽しみにしております^^
> 青木くん・・(´;ω;`)

そう、今回、青木くんの出番、少なかったんですよね。
青木くんファンのNさまには物足りなかったかと・・・・・それでもここまでお付き合い下さいまして、ありがとうございました。 次のエピローグで終章ですので、よろしくお願いします。


この先のお話につきましては、Nさまのブログに直接お返事させていただきました。
ありがとうございます。
Nさまのお気持ち、とってもうれしかったです♪♪

Aさまへ

Aさま、こんにちは。(^^


>薪さん、冗談じゃないから!本当に少しは自衛本能を身につけてくれ(>д<)

仕方ないですよ、うちの薪さん、襲われキャラだもん☆
この人は一生このまま、青木くんに心配かけっぱなしだと思います。


>ああ、あの射撃場で話していたおっさんが小野田さんみたいな人だったらいいのに・・薪さんを助けてくれ!!

本当ですよ!
わたし、てっきりあのひとが逃亡中の薪さんを匿ってくれてるんだとばかり・・・・!
薪さんを保護しないなら、何のために出てきたんだ、あのおっさん!! あれだけ思わせぶりに出てきたんですから、ちゃんとお仕事してくださいねっ!


ご紹介したサイトさまの小説はですね、はい、わたしのよりずっとハードだと思います。 
薪さんは今のところ、男に襲われたりしませんが、もしも襲われたら助けは来ない系の話です。 うちみたいに、ご都合主義じゃないの。
サイト様の注意書きを読むと分かるのですけど、ハッピーエンド主義者には向かない話だと思います。 救いとか、ほのぼのとか、幸せとか、個人的な見解ですが、そういうものはあまり感じ取れませんでした。
加えて、モノガミストで身持ちの固い薪さんが好きなわたしには、受け入れ難い設定もいくつかあったのですけど、それでも!
面白いの、とにかく面白いの! ストーリーがすごい! 薪さんの愛の見せ方がすごい!!
痛みを堪えてでも読む価値のあるお話だと思ったので、リンクさせていただきました。 
Aさまもぜひ一度、トライなさってください。(^^

Mさまへ

Mさま、こんにちは。

個人的事情に基づく予測、ありがとうございました。
て、
Mさまがカレシさんに何をされているのか、めちゃめちゃ気になるんですけど!!(爆)


それにしてもカレシさん、ちょっとS入ってるみたいですけど(失礼)
Mさんのこと、すっごく好きなんですね~~。
愛されてる証拠ですねっ。
許してあげてくださいな。(^^

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Mさまへ

Mさま。
ご無沙汰してます。お元気でしたか?

Oさんのとこ、読まれましたか~!
ね、すごかったでしょう?

>「芸術は爆発だ!」系?

あはははは!
キョーレツですもんね☆

真面目な話、わたし、B型ど真ん中の性格なので、他人のことは気にしない、だから他の方の作品と自分の作品を比べて凹むとかあまりしたことがなかったんですけど、
Oさんの話を読んだ後は、自分の話がゴミに見えました(^_^;)
くわー、上手いなー、羨ましいなー。わたし、300年掛かってもこういう話は書けねえなー、て、当時思ったのを憶えてます。


>しづさまの、「癒される」「元気が出る」系の完成した文章とはまた全然違う。

そう言っていただけて救われますです。
自分じゃゴミにしか見えないんで(笑)


>原作の心臓をぎゅっと鷲づかみにされたような痛みを久しぶりに思い出しました。

そう、これ!
もうこれがね、秘密の醍醐味ってもんですよ!

でもって、Oさんがすごいのは、
原作の人間関係の設定をほぼ変えずに、(鈴木さんと雪子さんの恋人関係とか、青雪さんの婚約とか) それでいて鈴木さん・青木さん・雪子さんからの薪さんへの愛がビシバシ伝わってくる。それ以上に驚かされたのが、
互いに憧れと憎しみを持ちながら対立し続ける、薪さんと雪子さんの複雑な関係が破綻なく矛盾なく、実に巧妙に描かれている。
わたしが一番好きなのは「No soul No body」から「新緑の5月に泣く」あたりの鈴薪さんなんですけど(←作品名出した時点でイニシャルの意味ない。しかも、あおまきすとのクセに鈴薪推し) 
あそこの薪さんが最高に好き。守るために大事な人を自ら遠ざける、原作の薪さんそのもの。
かっとんでるようで、実は原作薪さんのスタンスを忠実に捉えてるんです。だから涙が止まらない。
もー何回読んでも泣きます。



>いろいろなリンクに飛んでみるのですが、もうなくなっているリンクも結構あって

そうなんですよ~。
閉じられたり、パスワード制にされたりして、見られなくなってしまっているブログさん、けっこうあるんですよね。飛べないリンクは外した方がいいですよね。
管理人さんに連絡取って、少しずつ整理しようと思ってます。気長にお待ちくださいませ。



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Mさまへ

Mさま。

お返事のお返事、ありがとうございます。

作品名を出してしまうとアレなんで伏せますが、
ああー、わかりますー! わたしもあそこ、号泣でした(TT)

本当にね、あちらの薪さんは、読むと胸が痛くなって。
気力体力、満タンの時でないとうっかり伺えませんが(笑)、
それだけ優れた作品だってことですからね。すごいですよね~。尊敬してます。

SS書きはみんなそうですけど、コメント等で感想いただけると、すごく嬉しいんです。
ぜひ、送ってあげてください(^^)


プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
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