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天国と地獄7 (1)

 こんにちは!

 お話の途中ですが、毎年恒例の鈴木さんフェアの時期なので、こちらのお話を挟ませていただきます。

 去年、あずきさんのブログ 『竜の果実』 に公開された『帰ってきた男』というお話を拝読しまして、これがめちゃめちゃ笑えるお話で~~、だって鈴木さんが~~~!! 
(こちらから飛べますので、未読の方はどうぞ) 

 『帰ってきた男』

 他の記事やSSから推察するに、あずきさんはとても真面目で心優しい方だと思うのですけど、ギャグを書かれるときにはすみません、お人柄変わりますよね!(←褒めてます!) 
 もしもまだチェックがお済みでない方は、ぜひ!! 半端ないっていうか容赦ないっていうか、台風みたいなギャグです。 とにかく強烈です。 ギャグ好きのわたしには堪りません☆ 

 で、去年、『帰ってきた男』のコメ欄でですね、あずきさんに『じゃあわたしが鈴木さんのリベンジ話を書きましょう』とお約束してできたのがこの話です。 だから書いたのは去年の9月なんですけど、公開はお盆に合わせて、ということで、やっと約束を果たすことができました。
 みんなに笑ってもらえるといいなっ。

 鈴木さんが幽霊になって出てくる話なので、カテゴリは男爵でお願いします。
 ストーリー的には『天国と地獄6』の続きになってます。 「グロッ、キショッ、やっぱムリ!」の数日後です。
 あ、それと、うちの鈴木さんは黒いです。 お含みおきください。

 よろしくお願いします。

 



天国と地獄7 (1)





 家に帰ると、鈴木さんがいた。

「おかえり」
「ただいま戻りました」
「薪は?」
「あ、直ぐに来ると思います。今そこで、管理人さんと立ち話を……………はいいっ!?」

 鈴木さんはソファでくつろいでいた。
 雑誌やら小説やらがローテーブルの上に置かれていて、勝手に冷蔵庫を物色したのか、ビールの空き缶と数枚の小皿がテーブルの片隅に寄せられていた。

 この怪異現象に、どんな説明をつけたら良いのだろう。

 薪さんは毎日鈴木さんの写真を見て、話しかけたりキスしたり、そんなに彼のことを思っているのなら、いつか彼が見る幻は実体を持つかもしれないと考えたりもした。だけど、それが現実になるなんてバカなことが?
 そうか、これは幻だ。この頃仕事が忙しかったから。こんな時間に帰れたのも3週間ぶりくらいだし。疲れて幻覚を見ているんだ、きっと。
 例え幻覚でも、鈴木さんは第九の大先輩だ。ちゃんと挨拶をしておこう。

「鈴木さん、ですよね? 初めまして。オレ、薪さんの部下で青木一行と」
 オレが礼儀正しく挨拶をしようとすると、鈴木さんはいかにも『堅苦しい挨拶は抜きにして、一緒に飲もうぜ』とでも言うように、心安い笑顔で飲みかけの缶ビールを顔の高さに持ち上げ、
「知ってる。薪に惚れてる変態だろ」
 それが初対面の相手に言う言葉!?

 あまりの無礼に開いた口が塞がらないオレに向かって、鈴木さんはにっこり笑いかけると、
「茫然自失時間約3分。状況対応遅いな、おまえ。よくそんなんで第九の捜査官やってられるな? 薪の足を引っ張るのもいい加減にしろよ、トンチキヤロー」
 なんだこのひと! 言葉と表情が合ってないっ! さわやかな5月の風のような笑顔なのに、この容赦ない言葉選びは何事!?

 オレが絶句しながらも相手の非常識な態度を咎めるような顔をすると、鈴木さんは改まって床に正座をし、オレを見上げた。彼は慈愛に満ちた表情をしていた。彼ほどやさしい瞳を持った人物を、オレは今まで見たことがなかった。
 どうやら、今のはオレの聞き間違いだったようだ。こんな聖職者のように穏やかな顔つきのひとが、他人と諍いを起こすようなことを言うはずが―――。
「自宅の出入りを許されてるからって、良い気になるなよ。あくまでおまえは薪の部下兼ボディガードなんだからな。オレの薪に手ェ出したら、トリコロスぞ?」
 敵意むき出しだよ! 『オレの薪』とか言ってるし!!

 言葉どころか意識まで失いそうな酩酊感に襲われ、玄関口に立ち尽くしたオレの後ろでドアが勢いよく開き、オレの背中にヒットした。前のめりに突っ込んで床の感触を頬で味わっていたオレの耳に、薪さんの「あっ」と言う可愛い声が響いた。

「鈴木!!」
 ザッツ、アウトオブ眼中オレ! (予想はしてたけどねっ!)

 リビングの奥に置かれたソファセットに座っている鈴木さんより、上がり口に倒れているオレのほうが薪さんの目には入りやすいはずだとか、そんな理屈が通用しないことは百も承知だ。
 だって、鈴木さんだもの。薪さんが一日千秋の思いで待ち続けている人だもの。

 床に倒れたオレの背中をぴょんと飛び越えて、薪さんは鈴木さんに飛びついた。まるで犬が大好きなご主人様にじゃれつくような勢いだった。
「今年も来てくれたんだねっ、うれしい!」
「当たり前だろ」
「15日までは、ここにいられるの?」
「ああ、その日が限界だ。本音ではずっと薪の傍にいたいんだけどな」
 なに? この会話。常識が崩れそうなんですけど。

 今年もってことは、鈴木さんはお盆になると毎年薪さんのところに化けて出る、もとい帰ってくるのか。
しかし、化けて出るのか帰ってくるのかは、実際微妙なところだと思う。
 あれは確かに正当防衛、というか事故に近いものだったとオレは思っているけど、薪さんが鈴木さんの命を奪ってしまったことは事実なのだから、そこにはやっぱりわだかまりがあって当然だと―――――。

「も~、なんで鈴木ってば、幽霊なんかになっちゃったんだよ~。僕が淋しいじゃん」
「何言ってんだよ、こいつう。おまえが殺ったくせに~」
「てへっ、そうでした~」
 30過ぎのいい大人が、高校生カップルみたいな語尾を伸ばした喋り方やめてもらえます?
 てか、口調と話の内容に凄まじい違和感を感じるんですけど、オレの感性がおかしいんですか?

「ごめんね、あのとき撃っちゃって」
「いいっていいって。オレが頼んだんだし。気にすんなよ」
 軽っ! このふたりの会話、軽っ!!
「ありがと。やっぱり鈴木はやさしいね」
「惚れ直した?」
「も~、やだ、鈴木ったらあ」
 なに、このバカップル丸出しの会話!!
 夜中に夢で魘されてボロボロになってるどっかの誰かさんがバカに見えてきたよ!

「ところで薪。今夜のごはんは?」
「鈴木が来るかもしれないと思ったから、ちゃんと買い物してきたよ」
 そこで薪さんは、初めてオレのことを見た。
「青木。夕飯作るから手伝え」
 態度違いすぎません? 声のトーンが1オクターブくらい低いんですけど、しかも、なんでいきなり命令口調なんですか? 薪さんは今まで、職務時間外に上司風吹かせたこと無かったのに。鈴木さんの前だから?

「鈴木の好きなチラシ寿司つくるからね。ウナギの載ったやつ」
「そりゃ楽しみだな」
 薪さんは当たり前みたいに鈴木さんの頬にキスをすると、スキップでも踏みそうな軽い足取りでクローゼットに入っていった。普段着に着替えてくるのだろう。
 頬にキスなんて、オレはしてもらったことがない。
 薪さんにとってハグとキスまでは友だちの範囲内で、そこに特別な感情はないと知っているけれど。以前薪さんはオレに、鈴木さんに対する恋愛感情はなかった、とはっきり言ったけど、本当のところはどうなんだろう。

「そんなん決まってんじゃん。薪はオレに惚れてんの」
「でも、薪さんは」
 反論しようとして気付く。
 口に出さない疑惑に、どうして鈴木さんが答えを返してきたのだろう。もしかして鈴木さんは、オレの心が読める? いや、まさかそんな。
「オレは第九の神さまだぜ? おまえの考えてることなんかお見通しだよ」
 第九の神さまって……さすが親友。薪さんと考えることが一緒だ。

「オレが早くいなくなればいいと思ってんだろ。お生憎さま。オレは3日後にはいなくなるけど、これからも薪の心の中にずーっと」
「なんだ、ウソだったんですね? 本当に心が読めるのかと思っちゃいました」
「ん?」
 全く、性質の悪い冗談を言う人だ。心の中で薪さんに邪な願望を抱いたりしたら、その場で薪さんにバラされて、半殺しの目に遭わされるかも、なんて心配して損した。

「鈴木さんには、できればずっとここにいて欲しいです。薪さんのあんな幸せそうな顔、初めて見ました」
 あのひとのあんな顔が見られるなら、オレは何にもいらない。
 オレはずっとずっと、あの写真にあるような笑顔で薪さんが笑ってくれることを願っていた。それが今、叶えられたのだ。これ以上の喜びはない。

「……ヤなやつだなー、おまえ」
「え? なんか気に障りました?」
「オレ、天使くん苦手なんだよな」
 鈴木さんは意味の分からない言葉をブツブツ呟くと、身軽に立ち上がって台所へと歩いていった。オレも慌てて後を追う。夕食の手伝いをしないと、ごはんを食べさせてもらえなくなる。
 買ってきた肉や魚を冷蔵庫にしまい、葉物野菜は濡らした新聞紙に包んで、ビニル袋に入れて収納。毎日帰りが遅くて自炊ができないときのことを考えると、ひと手間掛けてもこうして長持ちするようにしてあげないと。

「おまえ、そんなことまでやらされてんの?」
「この食材の殆どは、オレの胃袋に入るものですから」
「ふうん。薪が他人にここまで踏み込ませるとはな」
「はい? 何か仰いました?」
 よく聞こえなかったから聞き返したけど、鈴木さんは答えてくれなかった。きっと大したことではなかったのだろう。

「手伝ってやるよ」
「あ、すみません。ありがとうございます」
 礼は言ったものの、あれだけ飲み食いしたのだから当然だとも思った。オレが毎回楽しみに、少しずつ食べていた薪さんお手製の牛肉そぼろを一気食いしちゃって、それはちょっと頭に来たけど、鈴木さんが相手じゃ仕方がない。きっと薪さんは、鈴木さんにこそ食べて欲しくて料理の腕を磨いたのだろうから。



テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Eさまへ

8/10に鍵コメントいただきました Eさまへ

ああああ、1週間も過ぎてしまいました、すみませんーーー!!!
遅まきながら、お返事させていただきます。


> わぁぁぁもう待ちに待ったフェスが始まって心臓のドキドキが止まりません~(>▽<)鈴薪有り難う御座います!!!はぁはぁ!!!

Eさま、すずまきさんが出ると眼の色変わりますね。(笑)
うちの生ヌルイすずまきさんで良かったら、どうぞ充電していってください♪


> 鈴木さんの相変わらずの軽さ・・・たまらないですvv
> 鈴木さんて皆にとても優しいけれど、嫌いな奴にはにっこり毒吐く素敵な性格だと思っているので・・・!!!なんて理想的な鈴木さん!!!もっと青木をいじめっ・・・ごほごほっ!!!!ドSな克洋様大好物ですvv

ええええ!! そうなんですか?
わたし、原作の鈴木さんは神さまみたいなひとだと思ってるんですよ~。 だって、あの薪さんが惚れた御仁ですもの。 青木さんが天使くんなら、鈴木さんは神さまだろうなって。
でもわたし自身が性格悪いので善いひとは書きづらいから、こんなブラックな性格設定に☆


> そしてそして・・・ぎゃぁ何てバカップルな鈴薪vv薪さんなんて女子高生!!!!
> 鈴木さんが好き好き大好きな薪さんv・・・カワユイです~vv頬にキスなんてっ・・・!!!ウナギののったちらし寿司なんて・・・!!!
> 新婚さん・・・vv青木に対する冷たさにも笑わせて頂きました(^□^)酷いv

もう全開ですねっ。
こっちは男爵なので、本編よりも自分の気持ちに正直に行動する傾向があります。 なのですっかり女子高生に。(笑)
酷い、と言いつつ、満面の笑みとVサインのEさまに、生粋のすずまき魂を感じます!!


> あと・・・青木の天使君発言に・・・

これ、アレですよ!
8巻で薪さんと雪子さんが穏やかに話しているのを見た青木さんの、『自分の好きな人たちが仲良くしてくれるとうれしい』ってやつですよ。
なんじゃそりゃ! と思ったので、ついつい書いちゃいました☆ 
あの時はごめんなさいね、青木さん。 「天使くん、キライ」とか言っちゃって。(^^;


> あぁぁぁ、このまま青木無しに夜にはにゃんにゃんやって欲しいすずまきすとですが

そ、そうなんですよ。
しづはあおまきすとだし、この話は男爵シリーズで、やっぱりあおまきさんなんですよ。
すみません、今度、今度ね、『言えない理由』のsideBを公開しますから、すずまきさんはそちらでご堪能ください、って、あれは薪さんが鈴木さんに振られる話だっけ・・・・・・ううーん・・・・・。

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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