タイムリミット(5)

 言い忘れましたけど、この話、R5本立てなんですよね。(^^;
 しかも2年前のRだから、グロイんだ、これが。 気持ち悪くなったらごめんなさい~~。





タイムリミット(5)











 温かいお湯が贅沢に注がれ続ける桧の湯船は、青木が3人くらい入れそうな広さだった。手足を伸ばした薪の隣に青木が入っても、まだ余裕がある。
「やっぱり、雪見酒は最高だよな」
 上機嫌で杯を傾ける薪の笑顔に、青木はずっと見蕩れている。
 部屋に備え付けの露天風呂に身を浸して、くつろいだ様子で中庭に目をやる。穏やかな笑みは彼の幸せを裏付ける。

 ふたりは、長野の思い出の宿に来ている。
 5年前と変わらぬ美しい中庭に、純日本風の佇まい。しかも天然のかけ流しとくれば、温泉好きの薪にはこたえられない宿だ。

 ここに到着したのは、昨日の夕方。
 知り合いのいないこの地なら誰に憚ることもないと、薪は観光地を巡る間中、ずっと青木と手をつないで歩いていた。腕を組み腰を抱き、人目が無ければ軽いキス。
 普段の薪からは想像もつかない。というか、こんなに自分に甘えるこのひとを見るのは初めてだ。宿に着いてからもずっとその調子で、青木の傍に引っ付いている。あの薪が大浴場に行かないなんて、びっくりだ。

「青木。おまえもどうだ」
 薪が冷酒の徳利を持って、青木の方へ差し出す。薪の白い手の向こうに、青い空が見える。
 雪が音を吸収しているのか、時間が早すぎて連泊者以外の宿泊客がいないせいか、辺りはとても静かだ。竹を模した湯管から落ちるお湯の音と、中庭に時おり響く獅子脅しの音以外は、何も聞こえてこない。

 青木が酌を返そうとすると、薪はそれを断った。
「飲みすぎると眠くなっちゃうから。せっかく愛しいおまえと旅行に来たのに、寝ちゃったらもったいないだろ」
「新しい嫌がらせですか? その気色悪いセリフ」
「ばれたか」
 薪はちろりと赤い舌を出して、つややかなくちびるを舐める。お湯の中を滑るように這って来て、青木の胸に手を置いた。
「もっと嫌がらせしてやる」
 下に伸びてきた悪戯な手を捕らえて、もう一方の手と一緒に片手で封じ込める。残った左手で薪の身体を抱き寄せ、小さな尻の下に指を滑り込ませた。

「あ、こら」
「嫌がらせなら負けませんよ。薪さんに鍛えられましたからね」
「だ、ダメだって。こんなとこで……んんっ」
 抗議の言葉は、唇で塞ぐ。大した抵抗もしてこないところを見ると、決して嫌がっているわけではない。
 しどけなく開いた口の中の熟れた果実を吸い取って舐ってやれば、自然に脚が開いて青木の身体に絡みついてくる。緩んだ脚の間に息づく彼の分身は、青木の手に応じてその形を徐々に変えていく。
 その変化は、青木を喜ばせる。昼日中の露天風呂という場所のせいか、旅行という非日常の効果か、今日の薪は反応してくれている。
 青木の肩に縋り、息を乱す薪の身体を抱え上げ、膝の上に載せる。尻を両手で割って、その奥に進もうとした。

「っ、痛っ」
「痛いですか?」
「お湯の中は無理みたいだ。滑りが悪いし」
 昔の彼女とはできたのだが、男の薪とは難しいか。
 青木は薪を抱えたまま、湯船の縁に座った。ボディシャンプーをローションの代わりに、薪のバックに指で塗りこむ。んん、と薪が呻いて、細い首をのけぞたせた。
 青木の上に向かい合わせに座るように足を広げて、薪はゆっくりと腰を落とした。最初の頃は、この体勢を取るには騎馬位から変化させないと難しかったが、薪も成長したものだ。

「く、ふっ……!」
 青木の首を始点に、ゆっくりと腰を使い始める。5年という月日が薪の身体にもたらした変化は、外見よりも中身の方が遥かに大きい。
 薪の技巧に引き摺られて、青木が思わず呻くと、薪はやおら体位を変えた。横座りになって膝を揃え、ぐん、と締めてくる。
「あ、ちょっと。薪さん、ダメですよ。止まらなくなっちゃいます」
「最後まですればいいじゃないか」
「ここでですか?」
「なんかマズイのか」
「まだ昼間だし。だれか中庭に出てきたら、声が丸聞こえですよ?」
「大丈夫だ。僕たちは夫婦なんだから」
 薪の言うとおり、宿帳にはそう記載した。フロントも客室係も、薪を女性だと思って疑わなかったが。

「いくら夫婦だって。真っ昼間から、こんなところでこんなことしてる夫婦はいませんよ」
「ここにいるじゃないか」
「ダメですってば、あっ、あくっ!」
 薪は、床につけた足を使って腰を回した。ずっぷりと根元まで薪に捕らえられた青木は、薪の中で斜め上方に捻られる。入口を締めた薪の肉にキュウッと引き上げられれば、脳天まで突き貫けるような快感が青木の背筋に電流のごとく流れる。

「青木」
 下方でそんな淫らなことを行なっているとは思えない、あどけない声が青木の名前を呼ぶ。
「おまえの方から突いて。お願い」
 可愛らしい声からは思いもつかぬ大胆なおねだりを、あまやかな吐息と共に耳に吹き込まれれば、青木の羽虫のような理性など跡形もなく吹き飛んでしまう。
 もう、容赦できない。

 薪の身体から自分を乱暴に引き抜くと、彼を部屋の中に引きずり込んだ。部屋の中に多量の水滴が落ちたが、気にしている余裕はなかった。
 奥まった寝所の畳の上に薪を四つん這いにさせ、腰を高く上げさせる。青木は立ったままの状態でそこに挑む。
「ひぁっ!!」
 深くつながって突き上げられると、薪の足は身長に応じた長さしかないから、下半身は宙に浮いてしまう。逆さまになった状態で腕を突っ張るが、とても支えきれない。すぐにへたりと腕を折って、床に突っ伏すような格好になる。
 大きな手にがっちりと捕われた腰が、激しく動かされる。肉がぶつかり合う音が大きく響く。逃れることも衝撃を吸収することもできなくなった薪は、ひたすら青木の動きに応じて悲鳴を上げる。

「ゆ、許しっ……!」
 なにを勝手なことを。誘い込んだのは、薪のほうだ。
「オレはちゃんと警告しました。それを聞かない薪さんの方が悪いんですよ」
「だ、だって。おまえ、激しすぎっ、くはっ!」
「ちゃんと薪さんのことも、気持ち良くしてあげますから」
「いい、遠慮する!」
 細い肩を竦ませて首を振る薪の髪から、粒子状の水滴が飛び散る。身体に浮いた水滴から漂う温泉の匂いの中に、薪の清冽な体臭が混じり始めている。

「せ、せめて床に降ろして」
「このまましたいです」
「もう無理だってば。てか、普通にできないのか、おまえ」
 喋ってられるのは、余裕がある証拠だ。まだまだ行ける。
 自然に下方へ伸ばされたままの薪の足を抱え上げ、腰の後ろで組ませる。青木の腰に脚で掴まった状態で逆さまになった薪の身体に、思い切り深く自分を埋める。
「あ、ああああ!」

 薪の小さな唇から、大きな悲鳴が迸った。
 畳の上に這いつくばった嗜虐的な姿に、ますます熱を煽られる。薪の腰がびくびくと痙攣し、青木にその震えを伝えてくる。
 たまらない。ここに、宿のひとが飛び込んで来てもやめられない。

「ひ、あ、あふぁあっ」
 薪の声が変わった。
 涙交じりの悲鳴のような声。最高に感じているときの声だ。
 薄い女爪が、バリバリと畳を掻く。青木の腰にしがみついた薪の足に力が入り、青木をもっと奥へと飲み込もうとする。青木の付け根を締め付ける輪が狭まり、側面を包む肉壁がうねりだす。先端に当たっていた肉壁は広がり、自然に奥地へ導かれる。

「あ、おきっ、もうっ……は、ああっ……!」
 指一本触れなかったはずの薪から、快楽の雫が放出される。その瞬間の、信じられない内壁のうごき。
 ぬめる肉壁が青木に吸い付いたかと思うと、器官全体が大きく伸縮した。ガクガクと揺れ動く薪の腰に、押され引かれ捻られた。ぎゅぎゅっと締め上げられて、耐え切れず放った。
 薪の奥に埋まったまま、青木はゆっくりと畳に膝をついた。死後硬直のように固まってしまった薪の足をそっとほどいて、自身を引き抜く。

 うつぶせた薪の身体の上に覆いかぶさって、背中に浮いた汗を舐める。薪の汗は微かに塩気があり、彼の匂いがする。
「青木」
 苦しそうな呼吸の下から、自分の名を呼ぶ声がする。はい、と応えを返して、青木は恋人の顔を覗き込んだ。
「楽しい?」
 とろりと溶けた亜麻色の瞳に、世界一幸せな男が映っている。
「はい。オレ、すっごく幸せです。薪さんの他は、何にもいりません」

「本当に? 本当に何にもいらないのか?」
「ええ」
「じゃあ、僕と一緒に死んでもいい?」
「え?」

 青木は驚いて薪を見た。微笑みを浮かべたまま、薪の真意はわからない。
「冗談に決まってるだろ。バカ」
 いつものように青木を見下した薪の顔は笑っていたが、何故だかひどく哀しそうに見えた。やせた肩と胸の頼りなさが、ぼうっとバスチェアに座っていた薪を思い出させて、青木は背筋が冷たくなるのを感じた。湯船にお湯も入れないで、「うっかりしてただけだ」と薪は言ったけれど。自宅の風呂にジャグジーまで付けるほど気合の入った風呂好きの薪には、あり得ないミスだ。

「青木」
 薪がもう一度、青木を呼んだ。青木は、返事ができなかった。
『一緒に死んでくれ』
 そう言われるような気がした。

「一緒に」
 長い睫毛が降りてきて、亜麻色の瞳を隠す。その瞬間に垣間見えたのは、至福か悲嘆か。

「一緒に風呂に入りたいけど、立てない」
 再び開いた薪の眼は、おまえのせいだぞ、と明らかに憤っている。
 身勝手な恋人に苦笑しつつ安堵して、青木は薪の身体を抱き上げ、露天風呂に向かった。




テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

Mさまへ

Mさま、こんにちは。

まあ、Mさまったら、なんてリスキーな真似をっ・・・・!!
電車の中で読んではいけません!(><) 
そして履歴は消しておいてくださいねっ、Mさまの社会生活を守るためですからねっ。


宿帳ですか?
どうして書いてない妄想のことをMさまがご存知? と思いきや、そうでした、Eさんへのレスに書いたんでした。 
Mさま、細部まで読んでくださってるんですね。 ありがとうございます。

わはは、『剛子』はないですよね。(^^;
マキってカタカナ、だったら女の子で通りますね~! どうして思いつかなかったんだか☆

Aさまへ

Aさま、こんにちは。


幸せの絶頂から地獄に落とされる方が残酷、
そうかもしれませんね。 落差がすんごいことになりそうですものね。

このとき薪さんが青木さんと旅行に行こうと思ったのは、楽しく美しい思い出を作るためなんですけど、
うん、これは完全に薪さんの身勝手で、本当なら相手が自分に未練を残さないように手酷く振っとくのが正解だと思う。 でも、
ここまできても、嫌われるのイヤだったんです。
青木さんとは別れたいけど、嫌われたり憎まれたりするのはイヤ。
勝手ですねえ。


Rは5本立てですが、殆どこんな感じで、イタイRが多いです。 はい、わたしも楽しくないです。(だったら何故書く・・・・?)
やっぱりRは、薪さんが幸せを感じてくれないと、萌えませんよね~。 薪さんが望まなきゃ、読んでもちっとも嬉しくないもの。

よし。 このお話が終わったら、甘い(かどうかはかなりビミョ―)Rを公開しよう。


プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
文字サイズをお選びください
最新記事
最新コメント
拍手のお返事
いつもありがとうございます!

最新拍手コメのお返事はこちらです。

過去の拍手レスの確認は、該当記事の拍手欄を押してください。
鍵拍手コメのレスは、記事のコメント欄にお返しします。
月別アーカイブ
カテゴリ
詩 (1)
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
QRコード
QRコード
FC2カウンター
次のお話の予定
『ヒカリアレ』
書いてます。
60Pを超えました(笑)
7/18 推敲やってます。
あと20ページ。
7/20 推敲の結果、70Pになりました。←バカじゃないの。
2回目の推敲に入りました。
こんにちは(^^
現在の閲覧者数: