ヘアサロン(4)

 この章をアップしようとして気付いたんですけど。 
 このお話、男爵シリーズの『天国と地獄3』を読んでないと意味が分からないかも。 ←今ごろ!!!
 雑文は設定とかいい加減で~(だって雑文だし)、薪さんの階級も警視正のままだったり、男爵系統の設定も混ざってたりして、分かり難くてゴメンナサイです。


 
 ちょっと私信です。
 Rさま。

 そう、そうなんですよっ!! あの歌、正に本誌の薪さん状態じゃないですか!!!
 ちょっとだけ引用 ↓↓↓

「例えば今此処で君が消えてさ 例えば何もかも終わり行く運命でも 変わらないよ二人で見た景色もこの気持ちも 支えあう強さを感じてonly you 」
 さらに2番、 
「例えば今此処で僕が消えてさ 例えば世界は知らぬ顔で回ろうとも 願うのは君の心で輝き続けること 通い合う喜び感じて to be with you 」 

 歌詞だけ読むと鈴薪っぽい気もしますが、ここは敢えてあおまきで! この曲の明るさ、前向きさは、どうしようもなくあおまきだと思うの。
 なのでね、現在、この曲のイメージで滝沢さんのお話を書いてるんですよ~♪ 
 ……「なんでこの歌で滝沢!?」とRさまが絶叫なさるのが目に見えるようデス。(笑)






ヘアサロン(4)






 翌、土曜日の午後1時5分前。
 部下が描いてくれた地図と自己の記憶を頼りに、薪は目的の店を見つけ出した。それほど大きな店舗ではなかったが、落ち着いた外装の店だった。
 入り口のドアには『ヘアサロンNANA』と書かれていた。岡部の行きつけの散髪屋が理髪店でなかったことは少し意外だったが、薪の苦手な、客の姿が外から丸見えの壁面ガラスの店舗でなくてよかった。通行人の見世物になったような気がして、あれはどうも落ち着かないのだ。

 ドアを開けると、カランとカウベルが鳴って、いらっしゃいませ、と複数の店員の声が掛かった。店には2人の先客がおり、それも仕上げに近付いているようだった。
 受付のカウンターで薪が、岡部の紹介で来たことを告げると、店員は、少々お待ちください、と待合スペースのソファを手で示した。促されて腰を下ろすと、それを見計らったようにコーヒーが運ばれてきた。なかなか接客の行き届いた店だ。

「店長。1時にご予約の方で、岡部さまのご紹介だそうです」
「ああはい、伝言メモにあった人ね。岡部さんと同じ髪型にしてくれって」
「岡部さまと同じ、ですか?」
 店長らしき男と話をしていた受付の女性美容師は、ちらりと薪を振り返った。コーヒーを飲んでいる薪を見て、ほんの少しの思案した後、テキパキと言った。

「じゃあ、エクステの用意しますね。お色はA12くらいで?」
「うん。頼むよ」
 店員同士の話は専門外の薪には意味不明だったが、客の髪にスプレーを掛けながら、もう少しお待ちくださいね、と薪に笑いかけた彼らの笑顔は気さくで、薪はこの店に好感を持った。店内も落ち着いた雰囲気でくつろげるし、さすが岡部のお勧めの店だ。
 
 コーヒーカップが空になると、シャンプー台へ案内された。天井を見上げる形式のシャンプー台は馴染みが薄いが、慣れてしまえばこちらの方が楽かもしれない。
「綺麗なお色ですね。染めたばかりですか?」
「…………あ、地毛です」
 気が付いたら眠りかけていて、質問に答えるのが遅れた。年のせいか、横になるとすぐに眠くなって困る。
「まあ、羨ましい。生まれつきなんですか?」
 店員の次の言葉には答えられなかった。女性のやさしい指先による頭皮のマッサージは気持ちがいい。シャンプー台に横になって2分も経たないうちに、薪はすっかり夢の中だった。

「あら、眠ってしまったわ。……それにしても、きれいな人ですねえ。岡部さんの奥さんも美人だけど、またタイプの違う美人だわ」
「違う違う、雛子さんは奥さんじゃなくて、お母さん」
「えっ? 息子さんとは似ても似つきませんけど」
「雛子さんは後妻さんだから」
 洗い上がった髪を乾かしながら、そうなんですかあ、と彼らがお客のプライバシーについて話をしているのは、店内には眠った客と3人の店員しかいないからだ。2人いた先客は仕上がりに満足してお帰りいただいたし、残る一人の客は眠っている。お得意様との未来の会話の中で、トラブルの原因になるかもしれない誤解は解いておいた方が賢明だ。

 今日の予約客は、このお客で最後だ。初めてのお客だから、これからリピーターになっていただくためにも満足してもらえるように自ら腕を振るおうと店長は考えていた。
 今日、こんなに客が少ないのには理由がある。
 実はこれから、業界一のファッション誌、『Hモード』の取材が入っているのだ。あの雑誌に載れば店の宣伝になる。そのための、専用のモデルも雇った。取材の対象はあくまで店の技術だが、モデルの見た目に左右されるのも事実だ。撮影が始まれば自分はモデルに掛かりきりになるから、他のお客には眼が届かなくなる可能性が高い。そんな失礼をするくらいなら、と予約を調整させてもらったのだ。

「乾かしたら、カット台に移っていただいて」
「はい。お客さま、お疲れの処すみません」
 店長の命に従おうと店員は、客に声を掛けてから徐々に背もたれを起こし、すると彼女はゆっくりと眼を開けた。風に吹かれる花弁のように、ふわりと揺らいだ長い長い睫毛。
 店員の言うとおり、なんて綺麗なひとだろう。
 計算づくで作られた人形のように、完璧に整った目鼻立ち。透き通るような白い肌。美容師として注目せずにはいられない、あの亜麻色の髪の輝きはどうだろう。洗い上げただけなんて、信じられない。職業柄、美髪モデルには知り合いも多いが、彼女たちよりずっと意欲をそそる素材だ。

 寝不足なのか、彼女は軽く目をこすりながら鏡の前のスタイリングチェアに移動した。髪質を手で確かめながら、ヘアスタイルの確認をする。
「岡部さんと同じ髪型でいいんでしたよね?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました」
『岡部さんと同じ髪型』は真ん中分けのウェーブヘアだ。髪の長さはエクステで調整するとして、分け目は髪の流れに合わせた方がいい。彼女の額はとても美しいが、意外と強気な眉をしているので、このまま左分けにして前髪は下ろしたほうが愛らしさが強調できる。

「前髪はこれくらい長さがあった方が、お客さまにはお似合いだと思いますが。岡部さんのように、額は出したほうがいいですか?」
「あ、いえ。そこまでそっくりにしたいわけじゃないんで。適当でいいですよ」
「では、前髪は残しますね」
 はい、と彼女が頷いたのを確認し、店長は彼女の後ろ髪に手をかけた。
 それから幾つか細かいことを訊いたが、彼女はあまり髪型に拘る女性ではないらしく、「適当でいいです、お任せします」という答えしか返ってこなかった。美人と言うのは案外こんなものだ。これだけ元が良ければ、細部に拘らなくても美しく見えるからだ。

 確認を済ませ、店長は彼女の地毛にエクステンションを添えた。エクステンションの先にはケラチンが付いていて、ヒーターに挟むと超音波でケラチンが溶け、地毛に接着する仕組みになっている。少々値は張るが、髪のダメージを考慮すると超音波以外のエクステンションはお客に勧めたくない。こんな美髪なら尚更だ。
「お客さまの髪の色ですと、こちらのものが最適かと。長さと形は調整できますので」
「ええ、適当で……ちょっと待った!!」
 それまで大人しかったお客が、突然振り返ったので、店長はヒーターを取り落しそうになった。超音波式だから火傷はしないが、それでも急に動いたら危ない。動かないように忠告しようと店長は口を開いたが、彼女の声の方が早かった。

「なんでそんなもの付けるんですか!?」
「……岡部さまと同じ髪型をご所望では?」
「そうですけど。そんなものを付けないと、あの髪型にならないんですか?」
「岡部さまの髪は、背中まで届くゆるふわウェーブですよ? 絶対的に長さが足りません」
「そうですか、背中まで届くゆるふわ、ってどこの岡部だ、それは!!」

 何故だか分からないが、怒られてしまった。ショートボブの客がロングヘアを希望したら、エクステで対応するのが当たり前だ。店側に落ち度はなかったはずなのに、彼女はどうしてこんなに怒っているのだろう。
「いったい、岡部の電話の何を聞いていたんです!」
「伝言メモには、ご紹介者様の岡部さまと同じ髪型にと……岡部雛子さまのご紹介では?」
 店長が得意客の名前を出すと、初顔の客は眩暈でも起こしたかのように額に手を当て、沈痛な面持ちで言った。
「紹介者の名前はフルネームでメモするよう、従業員に徹底すべきです」
 初めての客に、社員教育について諭されてしまった。失礼な、と思ったのも束の間、彼女の次の言葉に、店長の憤慨は一瞬で吹き飛んだ。

「僕の紹介者は岡部靖文。彼と同じ髪型を希望します」
 
 寺島公延、42歳。20年美容師をやってきて、お客の言葉に開いた口が塞がらなかったのはこれが初めてだった。



*****


『天国と地獄』を読んでない方に、補足説明です。
 うちの岡部さんには、雛子という義母がいます。 岡部さんより年下で、ファンシー系のおっとり美人です。 

 でねっ、実は岡部さんは彼女が好きなの~。 
 でも母親だから結婚できないし、それに二度と彼女を警察官の妻にはしたくないって思ってて、それは岡部さんのお父さんが殉職でね、そのときお義母さんがたくさん泣いたからって、でも薪さんは二人を見て、本当は好き合ってるんじゃないかなって思って、雛子さんは雛子さんで、岡部さんは薪さんを好きなんだと思って、母親として協力しますって言うんだけど、わたしが思うに彼女も本当は岡部さんのこと好きなんじゃないかと、いや、どうなんだろう、薪さんの思い込みかなあ?? ←補足説明どころか自分が混乱している。
 

『天国と地獄3』に書いてありますので! 読んでください。 ←投げた。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Mさまへ

Mさま、こんにちは!

いつもタイムリーで貴重な情報、ありがとうございます!
なんと、世の中にはこんな方が……!(@@)
男の人なんだ~、でも女性服のモデルができるんだ~、つまり女性モデル並みの体型ってことですよね? お肌もきれいなんでしょうね~。

女性と男性って、歩き方から違いますよね?
足跡を辿ると、女性は一本、男性は二本の線になるって聞きましたけど。 この方は、一本の線上を歩く訓練を積んでらっしゃるんでしょうね。 ……うちの薪さんもかっ!


文化庁イベントの情報も、ありがとうございます♪

> 別件ですが、秘密の『メディア芸術祭・読書会』ミッドタウンのライブラリ会場を提供しての無料閲覧会みたいなものなのかな?と想像しています。

無料で『秘密』のコミックスが読めるとか?
これがきっかけになって『秘密』にはまる読者が増えたらいいですね~。


> でも、それとは別に『まんが部門』受賞者の展示スペースが、作品別にあるっぽいので、そっちにはもしかしたら複製画とか原画展示とかあるかもしれませんね!

原画展示!!!
清水先生の原画展は1度行ったことがあるのですけど、
まさに芸術!
でございました。
ものすごくきれいだったの~、メロディが霞んだ。(失礼)
薪さんはもちろん、青木さんも雪子さんも、みんなキラキラしてたんです。 特に雪子さん、こんなに美人だったのか、と感激してしまいました。 雪子さんが苦手で注視できなかった人は、ソンしたよ、あれ。(笑)

線が、生きてる感じでした。
髪の毛とか洋服の皺とか、線に滑らかさと勢いがあって。
わたしは昔書道を習っていたのですけど、先生が展覧会に出展する作品を見せてくれたことがあって、その筆運びの凄さに鳥肌が立ちました。 清水先生の原画を見た時にも、同じような感銘を受けました。 
「きゃー、薪さーんっ」という気持ちもありましたが、すごいな、って思った。

また原画展、やって欲しいですね!
2月号に使われた原画希望。 『だれが甘ったるいって?』の薪さんとか、見たら悶絶しそう!
後は画集ですねっ。
出してくれないかな~、薪さん総天然色の画集。 わたしにとっては国宝よりも価値がある~。 ←非国民。


Mさま、親切に色々教えてくださってありがとうございました!
途中、物欲が垂れ流し状態になりましたこと、お詫びします。

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Mさまへ

2/16 にコメントいただきました Mさまへ


Mさま、こんにちは~。
お返事遅くなってすみません。


文化庁の読書会、追加情報が発表されたみたいですね。
10:00から整理券配るのか~、しかも先着30名。 す、少ない。(--; 
清水先生、ゲスト出演なさるのかしら?
いいな~、東京に住んでたら行くのにな~~。

『聞き手』の藤本由香里先生って、漫画評論家の方ですよね。
先生による『秘密』の見所と言ったものが紹介されるのでしょうか。 『秘密』のここが素晴らしい、みたいな。 
聞いてみたいですね。 中継してくれたらいいのね~。

展示スペースには行けそうですか?
もしも行けたら、お話聞かせてくださいね。 楽しみにしてます。(^^


Mさま、千葉の原画展には行けなかったんですね。 残念でしたね。(><)
わたしも1回目は見逃しちゃったんですよ。 まだネットもブログもチェックして無い頃だったので。 後から知って、悔しかったなあ。

近いうち、完結イベントとかで、絶対にやってくれると思うんですよ!
信じて待ちましょうね!
スケジュールが合えば、会場でお会いしたいです♪

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

しづの日誌

法医第十研究室へようこそ!
おかげさまで8歳になりました(^^♪
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