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パンデミック・パニック(7)

 今年は花粉、スゴイみたいですね。 花粉症の方々に、お見舞い申し上げます。

 うちのオットは重度の花粉症患者でして、殆ど廃人と化しています。 PCの前でね、鼻にティッシュ詰めて、口開いてボー。 ←薬飲んでてこの状態。 
 仕事にならないので、病院に行ったら薬を二倍に増やされて、でもこの薬はステロイド系とかであんまり身体にはよくないんだそうです。 だけど、外の仕事なのでね、服用しないとどうにもならないらしくて。 (くしゃみと涙でレベルが読めないらしい)
 本当に、花粉に殺されそうな勢いです。(--; 

 まだ発症してない人も、マスクとかした方がいいそうですね。
 わたしは現代人とは思えないくらいアレルギー皆無の女なんですけど、今年から花粉症予防のマスクをすることにしました。 夫婦してぼーっとしてたら、会社潰れちゃう☆
 みなさんも気を付けてくださいね。

 



パンデミック・パニック(7)





『というわけで、立て籠もりじゃありません』
 青木から大凡の事情を聞き終えた岡部は、口中に沸いた苦みを奥歯で噛みつぶした。青木は薪のことになると暴走する。今回もやってくれたか、と言う感じだ。
『岡部さんは、どうして状況を知ったんですか?』
「薪さんから山岡宏と言う男の保護を頼まれてな。今、法一に来てるんだ。彼の携帯番号を調べて、GPSで居所を特定しようと思って」
『あ、その件でしたら』

 青木の声を聞きながら、岡部は法一の廊下で擦れ違った白衣の女性を振り返る。短い黒髪を弾ませて彼女は、脇目もふらずに突き当りの部屋へと歩いて行く。彼女が向かう自動ドアの上には赤く点灯する標示板があり、第一解剖室と明記されていた。
 なぜ彼女が解剖室に? そもそも、こんな時間にどうして彼女がここにいる?

『オレが三好先生に連絡を。法一の連絡網をお持ちだと思って』
 おまえか――――!!!

「先生!」
 呼び止められて振り返り、雪子は初めて岡部に気付いたようだった。「あら、こんばんは」と当たり前の、しかしこの状況に置いては暢気と呆れられそうな挨拶を寄越し、岡部に会釈する。
「まさか、先生が感染者の遺体を解剖するわけじゃないですよね?」
「そのつもりですけど。……なんかマズイ?」
「第五の連中、なんて非常識な。新婚の先生に解剖を頼むなんて」
「新婚は関係ないでしょ」
 クスッと笑う雪子の鷹揚に、もしかしたら彼女は薪の窮状を知らないのか、と岡部が思ったのも束の間、雪子は厳しい顔になって、
「ごめんなさい、急いでるの。感染者の命が係ってますから」

「待ちなさい!」
 踵を返した彼女の背中に、鋭い制止が飛んだ。
 横通路から歩いてきたのは、第五研究室室長の佐伯だった。三人とも室長会議で顔を合わせているから、お互い顔は見知っている。
 佐伯は、縁なし眼鏡を掛けたインテリ然とした男で、見るからに神経質そうだ。ミクロサイズの生き物ばかりを相手にしているからか、彼はガサツな人間が苦手なんだと第五の副室長から聞いたことがある。雪子とは反りが合わなそうだ。

「勝手な真似はしないでください。あなたに解剖を頼んだ覚えはありませんよ、三好副室長」
「ええ。でも、佐伯室長ご指名の監察医がここに到着するまでには、あと1時間ほど掛かります。解剖は一刻を争うのでしょう? ならば現在研究室にいる職員の中で、わたしが一番適任だと思ったまでです」
「あなたは第九室長の友人だ。気持ちは分かるが」
「感染者が誰であろうと関係ありません。そこを退いて、わたしに仕事をさせてください」
 黒い瞳を熾烈に光らせて、自分より十も年上の第五室長に言い放つ。さすが女薪。仕事のことになると一歩も引かない。
 岡部とて、一秒でも早く細菌の種類を特定して、薪の命を助けてほしい。しかし、彼女が解剖室に入ったことで、気も狂わんばかりに心配する人間がいることも知っている。その人間の中には、当の薪も入っているのだ。それに、これは雪子の仕事ではない。彼女は青木から連絡を受け、部下の身を案じて職場に出て来ただけ。解剖のために出向いたわけではない。

「三好先生、俺からもお願いします。思い留まってください。あなたに万が一のことがあったら、竹内も薪さんも」
「夫には承諾を得ました」
 なんて夫婦だ。監察医と捜査一課の刑事なんか、結婚するもんじゃない。お互いの仕事に理解がありすぎる。
 夫の竹内が認めたなら、岡部に口を挟む権利はない。黙って道を開けるしかなかった。

「あ、そうだ。三好先生、山岡宏という職員の携帯の番号をご存知ですか?」
「山岡なら、竹内が捜索中です。見つけ次第保護してくれるって」
「その仕事は俺が薪さんに頼まれたんですけど。すでに竹内が動いてるんですか?」
「勝手な真似をしてすみません、わたしが頼んだんです。青木くんから聞きました。犯人は、彼のIDを使って第九に侵入したのでしょう? 山岡の身も心配ですし、もし彼の管理ミスで犯人の手にIDが渡ったのだとしたら、わたしにも責任がありますから」
 一を聞いて十を知る性質。そしてこの行動力。それもまた、彼女が女薪と呼ばれる所以だ。本人に言えば、「あたしは薪くんみたいな悪女じゃないわ」と笑い飛ばすだろうが。

 法一の副室長が解剖室へ姿を消した後、第五室長の佐伯は、チッと舌打ちした。広い額に青い静脈が浮いている。相当頭にきているらしい。
「ったく、生意気な女だ。20キロの防護服背負って解剖だぞ。女にできる仕事か」
「三好先生ならやるでしょうね」
「ますます生意気だ」
 ふん、と鼻を鳴らした佐伯室長は、白髪交じりのパサついた頭髪に手をやり、次いでハハッと苦笑いした。笑った佐伯の眼は人間味を帯びて、彼の「生意気な女」は「大した女だ」という意味だったのかもしれないと岡部は思った。

「彼女に解剖させたなんて分かってみろ。第一の室長はもちろん、あんたのところの室長にも何を言われることか」
「薪さんは、大丈夫でしょうか」
「当たり前だ、絶対に助ける」
 力強く言い切る細菌研究室の責任者に、岡部は頼もしさを覚える。彼の人となりを完璧に理解しているわけではないが、それでも専門家の強気の発言はありがたい。
「二度と彼の女装が拝めないなんて、考えたくもない」
 ……前言撤回。ヘンタイの言うことなんか、誰が信用するか。
 室長会のメンバーには多いと聞いたが、こいつもか。嘆かわしい。やはり原因は何年か前の暑気払いで披露した日本舞踊のせいだろうか。

「今、全職員を叩き起こして遺体から採取した血液の調査と、遺体の男の勤務先を洗わせている。研究員の中には、警察よりも民間研究所のネットワークを持っている者も多いからな」
 夜中の1時に全職員を総動員してくれるとは、しかもワクチンの入手にまで尽力して、佐伯はさすがに警察官だ。職務への熱意と厳しさと、何よりも人命を重んじる公僕の精神を持っている。
「あの頭脳は、日本警察の宝だ。失ってたまるか」
 佐伯の真剣さに岡部は感動すら覚え、先刻の女装云々はいささか場を弁えない彼のジョークだったか、と寛大な心持ちになる。心からの感謝を込めて、岡部は佐伯に頭を下げた。

「ありがとうございます。うちの室長のことを、そこまで」
「『女装を愛でる会』会員ナンバー1ケタの栄誉会員として、全精力を傾ける所存だ」
 高校野球の宣誓のように誇らしく言って、佐伯は自分の仕事場へ戻って行った。
 顕微鏡ばかり覗いているせいですっかり曲がった彼の背中をへし折るのは、薪が健康体に戻ってからにしようと岡部は思った。



*****


 薪さんが室長会で着物着たのって、元はと言えば岡部さんのせいなんだけど。(『新人騒動』及び『岡部警部の憂鬱Ⅱ』)
 人間、自分に都合の悪いことは忘れちゃうもんですよネ。(・∀・)


テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Rさまへ

Rさま、こんにちは。(^^
いつもご来訪ありがとうございます。


> 青木は何だかんだいっても薪さんのそばにいられるし、第五室長は愛でる会メンバーとして燃えてるし(萌えかな!?)、雪子さんは女薪だし、岡部さん一人が大変な思いをしているような気がします。

本当にねえ、岡部さんてあの中に入ると常識人の役割を振られちゃうんですよね。 
だからいつも苦労人になっちゃう。 その辺は原作と一緒かな。
見かけは一番飛ばしそうに見えるんですけどね。 


> 捜一と監察医の夫婦って、某ドラマの

あ、本当だ! 言われて気付きました!
あれ、面白いですよね? あれを面白いと思うようになったらおばさんまっしぐらだと自分に言い聞かせていた10年前、今ではオットと一緒に楽しむようになってしまいました☆
あそこの奥さんも突っ走りますよね~、だから面白いんですけど。


Rさまも花粉症、大変なのですね。
お見舞い申し上げます。

注射は、選ぶ必要があるそうですね。 
オットも若い頃は注射をしていたみたいですけど、それが副作用の大きい副腎皮質ホルモン剤だったみたいなんですよね。 
その頃は副作用のこととか分からなくて、先生にもあまり打たない方がいいと言われたのに、症状に耐え切れなくて打ってもらってたみたいなんです。 そのせいかどうか分かりませんけど、今、彼はすっかり虚弱体質に~、(^^;) 本当にまだ40代なのに、毎日あちこち痛いって言うんですよ。 70過ぎのお爺さんみたい。



> 来月の28日には、薪さん廃人+秘密虚脱感廃人になってしまうんでしょうね。べるぼうも3月末で終了ですし。

簡単に想像がついて怖いくらいです。(--;
先生には新しい『秘密』の構想もおありのようなんですけど~、正直に言うとわたしは先生のファンじゃなくて、薪さんのファンなんですよね。 だからこれから事件を主体にした『秘密』の連載が始まったとして、薪さんが出てこない話だったら、ここまでのめり込めるかどうかは微妙…… 好きな漫画は少年漫画だし、事件ものを楽しむなら推理小説を読んじゃうかも~。

ベル坊も3月末終了ですか?
うーん、残念です。
わたしが楽しみにしてるアニメって、ベル坊の他には「バクマン」と「夏目友人帳」なんですけど、どっちも3月終了っぽい。 あ、あと「銀魂」も。 原作に追いついてきちゃってる感じ。 
お気に入りの番組が終了するのって、寂しいですねえ。


Aさまへ

Aさま、こんにちは。(^^

岡部さんは常識の枠から出られない、
正にその通りです。 この辺、原作に忠実に書いてます。
でも他の人たちが揃いも揃ってスットンキョーなので、岡部さん一人が苦労人に。(笑)


> こんなところにも「女装を愛でる会」会員が(笑)しかも、栄誉会員!

第5室長の発言で、「愛でる会」は室長会が発祥である可能性が高くなりました☆
てことは、この会が発足したのって、岡部さんのせいじゃね?(笑)



「月の子」のラスト、ご説明いただいてありがとうございました。
そうですよね、ジミーが突然幻覚(夢?)を見始めて、どっちが本当なのだか分からなくなりましたものね。
わたしは、ジミーたちの世界では、ショナたちの活躍で爆発は回避できたけど、
現実の世界では起きてしまっていることなので、作者が現実への問題提起の為にあのシーンを入れたのかと思いました。 
だけど、ラストのラストに来てアレですからね~。 清水先生の作品は、最後まで気を抜けませんよね。 
『秘密』も、ラスト5ページで何かが起こるかもしれませんね? あおまきさんのベッドシーンとか! ←絶対にない。
プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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